2017/11/18

わあわあ言いたいどんぐりの気持ちと幻のコンサート

 

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MichikoYoshida
ビジネスウーマンから、自分自身の内的必然性に導かれて、心理臨床の道へ。臨床心理士として学校や教育機関での相談活動を経て、2016年、東京・青山にはこにわサロン東京をオープン。 箱庭療法を通じて「あなただけの生き方」を応援している。
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宮沢賢治さんの『どんぐりと山猫』をお読みになったことがありますか?

とても愉快なお話なのですが、わたしはいつも、わあわあ言うどんぐりの気持ちに思いを馳せてしまいます。

そして、どんぐりのわあわあを見事に演奏したコンサートがあったのです。

そのことについてご紹介したいと思います。

 

山ねこから届いたはがき

ある土曜日の夕がた、一郎さんのうちに、おかしなはがきが届きます。

かねた一郎さま 九月十九日

あなたは、ごきげんよろしいほで、けっこです。

あした、めんどなさいばんしますから、おいで

んなさい。とびどぐもたないでくなさい。

山ねこ 拝

このはがき、字はまるで下手で、墨がガサガサして手につくようでした。

けれど、一郎さんはとても喜んで、出かけて行ったのでした。

 

山ねこが困っている毎年恒例のめんどうな裁判

一郎さんが山ねこのところにたどり着くまで道程もとても楽しいのですが、今日は割愛いたします。

一郎さんが無事に山ねこに会えたところまで話を進めましょう。

山ねこは、一郎さんに「毎年のことだが、めんどうな争いが起こって、ちょっと裁判に困りましたので、あなたのお考えを伺いたいと思ったのです」と話しました。

そこへ・・・

四方の草の中から、どんぐりどもが、ぎらぎらひかって、飛び出して、わあわあわあわあ言いました。

山ねこが「裁判ももう今日で三日目だぞ、いい加減になかなおりをしたらどうだ」と言いますと、どんぐりどもは口々に叫びます。

「いえいえ、ダメです、なんと行ったって頭のとがってるのがいちばんえらいんです。そしてわたしがいちばんとがっています。」

「いいえ、ちがいます。まるいのがえらいのです。いちばんまるいのはわたしです。」

「大きなことだよ。大きなのがいちばんえらいんだよ。」

「だめだい、そんなこと。せいの高いのだよ。」

「押しっこのえらいひとだよ。押しっこしてきめるんだよ」

 

もう、こんな風で、みんながガヤガヤ言い合っていて、蜂の巣をつついた騒ぎのよう。

そこで山ねこが叫びました。

「やかましい。ここをなんとこころえる。しずまれ、しずまれ。」

 

このやり取りが、何度も繰り返されていて、山ねこが困っていたのです。

なんと愉快なことでしょうね!

「何か良い考えはないか?」と山ねこに相談された一郎は、こう答えます。

「このなかで、いちばんばかで、めちゃくちゃで、まるでなっていないようなのが、いちばんえらいと言ったらどうですか?」

 

そこで山ねこは言いました。

「このなかで、いちばんえらくなくて、ばかで、めちゃくちゃで、てんでなっていなくて、あたまのつぶれたようなやつが、いちばんえらいのだ。」

 

どんぐりは、しいんとしてしまいました。

 

一郎の一言で、めんどうな裁判はあっさり解決しました。

この後、一郎は、山ねこから「名誉判事になってください」とお願いされ、金のどんぐりのお礼もいただきました。

 

こうして、めんどうな裁判を一件落着させた一郎さんは、山ねこに見送られて自宅に帰って来たのでした。

 

それからあと、山ねこ拝というはがきは、もう二度と一郎さんのところに届きませんでしたから、一郎は時々思い出しては残念に思ったのでした。

 

価値の反転

このお話は、一郎さんが「立派などんぐりじゃなくて、バカでめちゃくちゃで、まるでなってないどんぐりがいちばん偉い!」と言って、物事の価値をひっくり返したところが、いちばん面白いところだと思います。

あまりにも驚いたから、どんぐりたちも、シーンとして、何も言えなくなってしまったのですよね。

でも、わたしは、わあわあ言いたいどんぐりの気持ちを思うと、辛くなりました。

というのも、わたしがこの本を読んだとき、わたしは自分を認めてもらえない悔しさで、どんぐりみたいにわあわあ叫びたかったからです。

 

吉村安見子さんの『どんぐりと山猫』

どんぐりと山猫とユング心理学

そんな折、かつしかシンフォニーヒルズというところで吉村安見子さんの『どんぐりと山猫』のコンサートがありました。

小さなホールで、子どもたちが多かったと思います。

吉村さんは、ピアノを弾きながら唄ったり笛を吹いたりして、ひとりで『どんぐりと山猫』を演奏しておられました。

どんぐりがわあわあ言うところは、何と言う名前なのか、もう忘れてしまったけれども、民族楽器のような笛でヒャラヒャラヒャラヒャラ♬それはもうにぎやかに演奏します。

山猫の「しずまれ〜、しずまれ」も秀逸で、しばらく口癖になりました。

吉村さんのどんぐりたちは、元気一杯わあわあ言っていて、それはもう愉快で、わたしはうれしくてたまらなくて、お腹が熱くなってきて、今でのその時の気持ちは色褪せずに思い出すことができます。

帰り道は、何だか、街の灯りがぐんと明るくなったように感じました。

 

わたしの中のどんぐりたち

当時、わたしは心理大学院の1年生でした。

ユング心理学を学びたいとはりきって入学しましたけれども、ユングの本以外、心理学の本を読んだこともない。

ユング心理学以外の心理学があることも知らない。

基礎ゼロの劣等生でした。

授業はまったくわからない。

トンチンカンな質問をして、シーンとされてしまう。

夢に見た場所のはずなのに、居場所がない。

自分を認めて欲しい気持ちでパンパンになっていたのでしょうね。

それで、一郎さんでも山猫でもなく、どんぐりに自分を重ね合わせたのだと思います。

 

幻のコンサート

あれからわたしは、何度か吉村さんのコンサートを探しているのです。

でも、残念ながら、2回目を見るチャンスに恵まれません。

まるで、山猫からはがきの来ない一郎さんみたいです。

どなたか、コンサートの情報をキャッチしましたら、ぜひお知らせください。

 

どんぐりへの道はこちらから

はこにわサロンまで続く道【その8】〜真の名前を探す旅

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具体的には、あなたのお話を大切に聴かせていただくカウンセリングの他に、箱庭療法、絵画療法、夢分析などを通じて、あなただけの答えを見つけるお手伝いをしています。

 

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本のご紹介

『どんぐりと山猫』は、たくさんあると思いますが、わたしのお気に入りはこちらです。

どんぐりたちのわあわあ感がすごく伝わってくるところが好きです。

 

 

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ビジネスウーマンから、自分自身の内的必然性に導かれて、心理臨床の道へ。臨床心理士として学校や教育機関での相談活動を経て、2016年、東京・青山にはこにわサロン東京をオープン。 箱庭療法を通じて「あなただけの生き方」を応援している。
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