2017/10/23

あるビジネスマンが笑顔をとりもどした物語と箱庭療法

 

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MichikoYoshida
ビジネスウーマンから、自分自身の内的必然性に導かれて、心理臨床の道へ。臨床心理士として学校や教育機関での相談活動を経て、2016年、東京・青山にはこにわサロン東京をオープン。 箱庭療法を通じて「あなただけの生き方」を応援している。
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『マカロニ』という映画があります。

わたしが一番好きな映画です。

やり手だけど、ちょっと仕事にも人生にもくたびれたロバート(50歳くらいのビジネスマン)が笑顔をとりもどすまでの物語なんですけどもね。

舞台がイタリアのナポリなので、それだけで、何が起きるかちょっと期待してしまいますよね。

笑いと涙が満載のお話、ご紹介します。

 

主人公のロバートがナポリに到着したところから物語が始まる

アメリカの航空機メーカーで部長さん(くらいにエライ感じ)をしているロバートが、出張でナポリにやって来ました。

実は、ロバートは若いころ、第二次世界大戦後のナポリに米兵として駐留していたことがありました。

でも、そんな昔のことは、もう忘れている様子です。

苦虫をかみつぶしたようなしかめっ面で、イライラ、せかせかして、すぐに怒鳴ります。

 

昔の恋人の兄アントニオ登場

そんなロバートを訪ねて来たナポリっ子のアントニオ。

ロバートが米兵としてナポリにいた時の恋人マリアのお兄さんです。

でも、マリアのことなどすっかり忘れているロバートはろくに話も聞かず、アントニオを追い返してしまいます。アントニオもぷりぷりして帰っていきます。

でも、ロバートもちょっと気になって、あとからアントニオを訪ねていくのです。

そうして、少しずつ、昔のなつかしい出来事を思い出していきます。

 

見知らぬ人々から最高級のあいさつを受けて「??」なロバート

左がアントニオ(マルチェロ・マストロヤンニ)右がロバート(ジャック・レモン)映画『マカロニ』より

 

そんなこんなでアントニオの家に招かれたロバート。

アントニオのご近所まで来ると、いろいろな人がロバートにばかに親しげにあいさつして来ます。

「ついにあなたにお目にかかれて光栄です」なんて言われてしまう始末。

いったいどういうこと?

 

その理由は・・・

それは米兵だったロバートが、恋人マリアと別れて、アメリカに帰国するときのこと。

悲しむマリアにロバートは「手紙を書くよ」と約束しました。

けれど、ロバートからの手紙は次第に途絶えていき、悲しむマリアを見かねて、アントニオがロバートになりかわってマリアに手紙を出していたのでした。

きっと、最初は、ほんの出来心で、マリアの悲しみが癒えるまでの何通かのつもりだったのだと思います。

ただね、脚本家志望でストーリーテラー(物語を語る者)であるアントニオ。

ついつい、やりすぎてしまいます。

手紙の内容が次第にエスカレートしていって・・・

 

世界で活躍する海外特派員ロバート(ニセ)の手紙

フィリピンの火山が爆発した時に、火口に飛び込んで溶岩流を防いだとか(どうして生還できたんだろ?)

バングラディッシュの洪水を身を呈してせき止めた、とか。

もはやスーパーマン並みの活躍ぶりなのです。

そして、こんな手紙が届くたびに、マリアをはじめとする家族、親族、ご近所さんたちが、この手紙を読み、ロバートの活躍に感嘆し、応援して来ていたのでした。

 

自分のあずかり知らぬところでスーパーヒーローにされていた

ババ(イタリアのお菓子)を食べている二人。左がロバート。

 

最初こそ、あきれた顔をして「ぼくは知らないよ」という風だったのです。

ところが、アントニオが捜索したニセ・ロバートの活躍ぶりが、人々の中で伝説となり、語り継がれて来た様子に少しこころ動かされます。

「ねぇ、新しいお話を聞かせてよ!」と頼まれてしまうと「わかったよ、いいかい」と自らニセ・ロバート伝説に加担してしまったり。

こうして、自らヒーローを引き受けたロバートは、笑顔と遊び心を取り戻し、まるで少年に戻ったかのように友だちと語らい、親密であたたかい時間をすごしたのでした。

 

アントニオの死

こんな奇跡の物語は、アントニオが発作で死んでしまうという結末を迎えます。

セラピストよしだ
初めて見たときは本当にびっくりしまして泣きたくなりました。

でも、きっとアントニオはロバートに再会できて、本望だったのかな。

ロバートはこの先どんなことがあっても、アントニオの応援を忘れることはないだろうな。

そんな風にあれこれ真剣に考えてしまいました。

 

『マカロニ』と箱庭療法の似ているところ

この映画のことを考えているときに、いつも思うのは「ロバートって15年前の自分だな」ということ。

仕事はそこそこ成功しているけど、忙しさに追われ、イライラ・ギスギスして、ちっとも幸せじゃない。

「こんなに頑張っているのに、幸せにもなれないってどういうこと?」って思うとますますイライラするから、そういうことは考えないようにしている。

 

もちろん、わたしには、アントニオはいませんでした。

現実の世界には。

でも、こころの中にはいるのですよね。

幸せじゃないことに気づいている自分。

そして、「ちょっと、ちょっと!今のままの生き方じゃ、幸せになれないでしょ?生き方変えなさいよ!」と命令してくるもうひとりのわたし。

このやり取りを、がっちり自分と対話してやっていくのは結構しんどいことです。

けれど、箱庭療法のような遊び心とイメージを介した心理療法だと、アントニオみたいなチャーミングなキャラクターが登場して、笑いとペーソスをまといながら、主人公である自分をまきこんで、内面から変化していくことがあるのです。

温かさや豊かさをも体験できる心理療法。

それが箱庭療法の良いところであり、『マカロニ』に似ているとわたしが思うところなのです。

 

箱庭療法ってなに?という方はこちらの記事をご覧ください

いきなり箱庭療法って言われても、何のことかわからない、という方。

そうですよね。

失礼しました。

いくつか箱庭についての記事がありますので、参考になさってくださいね。

箱庭療法とは

箱庭療法で大切なこと

ドラ・カルフが大切にした3つのこと

 

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