2018/03/06

抱腹絶倒の『野の医者は笑う』を書いた東畑開人さんとマルクスを読んでいるワケとは

 

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MichikoYoshida
ビジネスウーマンから、自分自身の内的必然性に導かれて、心理臨床の道へ。臨床心理士として学校や教育機関での相談活動を経て、2016年、東京・青山にはこにわサロン東京をオープン。 箱庭療法を通じて「あなただけの生き方」を応援している。
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セラピスト吉田

セラピストよしだ

はこにわサロンは、現在、2名のセラピストで運営しています。

今日は、東洋英和女学院大学大学院で織田ゼミ同級生で、はこにわサロンセラピストの河村のりえさんのエッセイをご紹介します。

河村のりえ
はこにわサロンセラピスト・臨床心理士

ユング派セラピストとしての臨床に加え、生きづらさを抱えて生きる当事者支援に関心を寄せ、発達障害の子どもたちの放課後デイサービスや、大人の発達障害のシェアハウスでの支援を行ってきた。

 

臨床心理士が『資本論』を読むわけ

セラピスト河村

セラピスト河村

こんにちは。
河村です。

私は現在、臨床心理士たちで『資本論』を読む会に参加しています。月に一度、マルクスの『資本論』の課題範囲を読んで、カフェで自由に話し合っています。

 参加者は、私も含みみんな、臨床心理士です。さいたま市のカウンセリングルームを営んでいる方もいれば、大学講師をされている方もいます。

私は、生きづらさを抱えながらこの社会でどうやって生きていくのか、ということを考えることに興味があります。

そうした活動をしていくなかで、ミニマリズムの方や自分でスモールハウスを作って住んでる方に出会うことがあります。そういった人たちの中には、資本主義を否定して贈与経済といったことをいう方々もいます。私はそうしたことを考えるために、先ずはマルクスを読んでみなくてはと思っておりました。

 

読書会の主催者・東畑開人さんとは

この会を主催しているのは、東畑開人さんです。東畑さんは、臨床心理学を文化の観点から論じておられるのですが、現代の私たちが囲まれているものを考えたときに、それは日本文化以上に市場主義ではないか、と思い、市場の問題を考える必要性を感じ、『資本論』の読書会を思いついたそうです。

 

東畑さんの著書に『野の医者は笑う‐心の治療とは何か?‐』があります。

この本は、東畑さんが沖縄に滞在していた時代に、“ヒーラー”を名乗る怪しい治療者たちの治療を自らの身をもって片っ端から受けに行った体験が書かれています。

医療人類学という学問があります。その名の通り世界各地の様々な文化の治療を研究するものですが、例えば、アフリカの呪術医がアフリカ文化の賜物であったみたいに、近代医学だって普遍的なものではなくて文化に規定されたものであり違う文化の人から見れば何から怪しいものに見えてくる、という風に考え、治療を科学現象ではなく文化現象として見るのだそうです。

それでは、治療とは一体何なのか、何が治療になるかはどういうルールで決められているのか、というのが医療人類学の問うところです。

この医療人類学を沖縄のヒーラーや臨床心理学に応用して、心の治療の本性を明らかにしようとするのが、この書です。

ユーモア満載の文章で書かれており、東畑さんが体験したことの描写は抱腹絶倒もので、とても読みやすい本です。

 

”傷ついた治療者”とは

東畑さんは、沖縄のヒーラーに会っていくなかで、彼らのほとんどが“傷ついた治療者”であることに気づきます。

ほとんどの人が深刻に病んだ時期があり、それを潜り抜けた後にヒーラーとしての活動を始めていたそうです。

これはけっこう普遍的にきかれるはなしで、シャーマンも臨床心理学を学ぶ学生も、“傷ついた治療者”であることがとても多いです。

 

この“傷ついた治療者”というキーワードは、ユングというスイスの精神科医がいったものなのですが、病の状態に陥ることをただネガティブにとらえるのではなく、そこに意味を見出すのがユング派らしいと思います。

 

しかし、傷つきがある人であれば誰でも治療者になれるわけではありません。シャーマンになる人は、精神病のような状態になるといういうなればあの世的な世界を体験しますが、そこからこの世に戻ってくることが出来た人だけが、シャーマンになることが出来るのです。

とはいえ、治療者を特権的な存在ととらえるのではなく、クライエントとある意味水平な存在であるととらえる視点が“傷ついた治療者”というキーワードにはあると思えます。

はこにわサロンのセラピストは、ユング派のセラピストです。こういった感覚を持ち続けながら、日々来室されるみなさんと会っていきたいと思っております。

 

東畑開人さんについて*追加コメント

セラピストよしだ

セラピストよしだ

わたしは、河村さんが数年前から読書会を開いたり、参加したり、コツコツと研究していたことを知っていました。

が、東畑開人さんの読書会に行っていたとは知らなかったのです。いえ、もしかしたら聞いていたかもしれなかったけれど、記憶に残っていなかったのかもしれません。

実は、わたしは河村さんからの紹介ではなくて、偶然の出会いで今年の1月に東畑開人さんの『野の医者は笑う‐心の治療とは何か?‐』『日本のありふれた心理療法 – ローカルな日常臨床のための心理学と医療人類学』を読んでいました。

その中には、わたしがこの10年余りの間、密かに疑問に感じてきたけれど、口に出すことができなかったことが「まさか!」と息を呑むほどの明るさと強かさで論じられていました。

 

あんまり感激したので、『1月だけど、今年一番の本に出会った話』として、ブログ記事にするべく1ヶ月間がんばったけれど、書き上げられないまま放置されているという裏話があります(苦笑)。

ですから、河村さんのエッセイに、思わず「バンザイ!」してしまいました。

今度はちゃんと、読書会のことを聞かせてもらおうと思います。

 

この記事でご紹介した本

 

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ビジネスウーマンから、自分自身の内的必然性に導かれて、心理臨床の道へ。臨床心理士として学校や教育機関での相談活動を経て、2016年、東京・青山にはこにわサロン東京をオープン。 箱庭療法を通じて「あなただけの生き方」を応援している。
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