大人の発達障害の方がちょっと楽になったエピソード〜河村のりえインタビュー

 

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MichikoYoshida
ビジネスウーマンから、自分自身の内的必然性に導かれて、心理臨床の道へ。臨床心理士として学校や教育機関での相談活動を経て、2016年、東京・青山にはこにわサロン東京をオープン。 箱庭療法を通じて「あなただけの生き方」を応援している。
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はこにわサロンの吉田です。
今日は、大人の発達障害支援に携わってきた河村に、大人の発達障害の方とのエピソードについて聞いてみたいと思います。
 

 


河村のりえ
はこにわサロン東京セラピスト・臨床心理士

「箱庭をもっと気軽に体験してほしい」という願いから、出張箱庭療法を行なっていた頃、大人の発達障害の方々に出会いました。そのご縁から、発達障害の方のためのシェアハウスの設立と支援に携わりました。

発達障害の方々への支援というと、認知行動療法が最も効果があると考えられています。けれど、発達障害の方と生活をともにする中で感じたのは、それだけでなく、心に寄り添うこと、また箱庭療法のように心の深いところに届く支援もともに有効だ、ということでした。

つまり、当事者の方のニーズに合わせて、支援側が支援の方法を組み立てられることが大切だということです。

そんな思いから、はこにわサロンにも発達検査を実施できる設備と準備が欲しいと思ったのです。

 

このように、発達障害の方と、カウンセリングの場だけでなく、生活場面でも過ごして来た河村の考えや思いがあって、はこにわサロンの「大人の発達検査」が始まりました。

今日は、河村が出会って来た方々のお話を聞かせてもらったエピソードをもとに、吉田がいくつかのタイプに分けて、大人の発達障害の方の主なニーズについて書いて見たいと思います。

ただ、ここでご紹介するものは、誰か特定の個人のことではなく、複数のケースの中で共通する事柄を編集して書いているのだということをご理解ください。

 

(事例)職場の悩み

発達障害の方の中には、知的な能力が高くて、大学までは特に困ることもなく、むしろ優秀な成績を修めて来られた方が多くいらっしゃいます。就職して初めて、ご自分の特性に気づかれることも少なくありません。
 
Aさんは、大学を卒業後、金融機関に就職しました。研修の後、窓口業務に配属になったのですが、求められる仕事をこなすことができませんでした。そして朝起きることが辛くなり、仕事を休んでしまうようになったそうです。
 
 
最初は職場環境の問題かと思いましたが、Aさんの話を聞いていると、どうもお客様の対応をしているとバックヤードの声が耳に入らなかったり、複数の仕事を頼まれるとどれにも手がつけられなくなってしまうなど、Aさん自身に課題があるようでした。
 
そこで、外部機関を紹介して発達検査をとることをお勧めしました。結果としては、やはり発達障害の診断がつきました。会社とも相談の結果、窓口業務ではなく、管理部門に異動することで、今では無理のないペースで仕事ができるようになったそうです。
 
仕事への意欲がなくなって、休みがちになると、「うつ」だと思われてしまうことが少なくありません。でも、Aさんのように発達障害が理由だとわかるケースもあるのです。
 

(事例)対人関係の悩み

Bさんは、会社でのコミュニケーションに難しさを感じていました。
 
上司に「わからないところはいつでも質問して」と言われたため、なんでも質問に行ってしまい「自分で考えろ!」と叱られてしまいました。
 
仕事中に私語をしていた先輩を「仕事中ですよ」と注意してしまって、先輩がすっかりよそよそしくなってしまいました。
 
そんな時、出社時に後ろから来た同期に「よお!」と背中を叩かれて、びっくりしてしまって「何するんですか!」と言ってしまったため、同期とも距離が開いてしまったそうなのです。
 

こんなエピソードを覚えていて、わたしに話してくれるくらいなので、Bさん自身も職場でうまくやれていないこと、自分が悪いのだろうということは気づいているのです。でも、自分のどこが悪かったのかは全くわからないのだそうです。
 
Bさんのコミュニケーションの苦手さの背後には、未診断の発達障害があるように感じました。でも、Bさんは、「自分は間違っていないのに、みんなが冷たくするのが問題」と思っていたので、医療機関の紹介は困難でした。
 
たとえ紹介して、発達障害の診断がおりたとしても、自分で受け入れられるかというと難しいのだろうと感じられました。そこで、「職場での不適応を改善する」ことを目標に週1回のカウンセリングをスタートしました。
 
 
 
さて。
 
発達障害の方は、自分の行動の何がいけなかったのか説明されても、納得感を持つことは難しいのです。でも、その理屈が理解できれば、トラブルを防止する行動パターンを獲得することができます。それがSST(ソーシャルスキル・トレーニング)と呼ばれる方法です。
 
でも、SSTを行う前提として、怒りや理不尽な気持ちを受けとめてもらえる信頼関係があることはとても大切です。
 
わたしはBさんの訴えを一生懸命聴かせていただきました。Bさんの、自分は何も悪くない(はずな)のに冷たくされる理不尽感に寄り添いました。(① 気持ちの受けとめ
 
その上で、その出来事を、双方の立場でそれぞれがどう感じたのか?について話し合いました。(② SST)
 
Bさんの訴えは半年以上続き、なかなか改善しませんでした。けれど、少しずつBさんの中に、自己肯定感が育っていったのです。
 
そうしてBさんの表情が明るくなると、遠巻きにしていた職場の同僚や先輩たちも、少しずつBさんのことを受け入れてくれるようになったようでした。
  
残念ながら、Bさんの「空気を読まない言動」は相変わらず続いています。それでも「雨降って地かたまる」ですね。少しずつ、良い距離感が作られていきました。 
 

(事例)自己管理のできなさについての悩み

Cさんはミュージシャンです。

その腕を買われて、大変活躍されておられるのですが、自分ひとりではスケジュールや金銭面の管理ができないのです。

周りにCさんの自己管理を手伝ってくれる人がいるときは良いのですが、自分だけでやらなければならなくなると、途端に破綻してしまうのです。

仕事に遅刻したり、すっぽかしてしまって、クレームが来たり、自分でも自信をなくしてしまったことも、よくあります。

CさんにはADHDの傾向があるなと思いました。そこで、精神科クリニックの受診をお勧めしたのです。
 
Cさんは、クリニックで発達検査をとりました。その結果、やはりADHDの診断がおりました。そして服薬をスタートしました。
 
Cさんは、薬をのむと、いつもとは違って頭がスッキリ、シャープになると言います。そして、これまで自分ではできなかったスケジュール管理も、金銭管理も、自分でやれるようになったそうです。
 
生活面での困り感が、自分の怠けのせいではなく、障害のせいだ(その割りには、いろいろ頑張れている)とわかったことで、「大人になって初めて、自尊心を回復できた」と嬉しそうでした。
 

(事例)ご飯が作れない悩み

Dさんは専業主婦です。夫と2人の子どもと暮らしています。

Dさんは、毎晩、家のご飯を作るのにとても時間がかかることに悩んでいました。16時ごろとりかかっても22時ごろにならないと出来上がらないのです。

 お腹を空かせた子どもたちはケンカをして騒ぐし、仕事から帰って来た夫からも責められ、自分でも「なぜ、こんなことができないんだろう?」と悩んできたのです。
 
また、Dさんは気分の浮き沈みが大きく、くたびれると家の中で何もできなくなってしまったそうです。
 
「自分はうつなのではないか?」と思ってかかったクリニックで薬をもらったのですが、効き目がなく。主婦としての務めを果たせない自分を責めていました。
 
 Dさんの段取りの悪さや、同時並行作業の苦手さ、自分の疲れの状態をモニターできない様子が、発達障害を感じさせました。
 
クリニックで、発達障害の診断がつき、服薬もしたのですが、あまり効果を感じられなかったと言います。
 
そこで、Dさんにはご夫婦でカウンセリングに来ていただきました。わたしからご主人に、Dさんの家事の苦手さは怠けではないことを伝え、ご主人にも協力を仰ぎました。
 
夕食は、メニューが決まっていて食材が揃って届くサービスを利用しました。
 
今でも家事は苦手なのですが、自分を責めては寝込んでしまっていた頃に比べて、格段に暮らしやすくなったと話してくれました。
 

発達障害を抱えて生きていくこと

 
いくつかの”典型的”なエピソードをご紹介しました。
 
わたしは臨床心理士として、発達障害があってもなくても、出会った方がより自分らしく、生き生きと生きられるようになってもらえるように支援したいと思っています。
 
でも、発達障害の傾向があるのであれば、その苦手さを把握してカバーする方法を考えたり、心身のコンディションを楽に整えるための方法やグッズを利用したり、生きづらさを少しでも解消するお手伝いができたらとも思います。 

 

そんな河村の願いがあり、はこにわサロンでも大人のための発達検査(発達に障害があるかどうかを判断するためのテスト)をスタートしました。

検査ありきではなく、検査の結果をていねいにフィードバックして、今後に役立てていただけるよう、また必要ならば継続的な支援も行っていけるようにプログラムを組んでいます。

①   ご自分のことをもっとよく知る
 
「大人の発達検査&カウンセリング」を受けることで、自分が生まれつき苦手としていることは何か、得意としていることは何かを知ることができます。 
 
②   日常生活や仕事におけるお悩みの具体的な改善点を見つけられる
 
 生きづらさを減らし、少しでも楽に、自分らしく過ごせる方法を見つけ出すことができます。(継続的なカウンセリングが必要な場合もあります。)
 
③   自尊心を回復して、自分らしい生き方ができるようになる
 
パーフェクトでなくても構わない。自分で、自分を愛せるように!
 
大人の発達障害 発達検査とカウンセリングはこちらから
 
 
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ビジネスウーマンから、自分自身の内的必然性に導かれて、心理臨床の道へ。臨床心理士として学校や教育機関での相談活動を経て、2016年、東京・青山にはこにわサロン東京をオープン。 箱庭療法を通じて「あなただけの生き方」を応援している。
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