思い出したくないイヤな記憶の無限再生を止めるには?6つの対処方法を紹介
東京・青山の心理カウンセリングルーム「はこにわサロン東京」の吉田(臨床心理士・公認心理師)です。
先日「嫌な思い出がよみがえって苦しい」というお話を聞きました。
それ、わたしもあります。
すごく苦しいですよね!
このお悩みは以前から折りにふれて質問されることであり、自分も苦しい実感があったので、ここ1〜2年、検討と工夫を重ねてきました。
今日は、そこで見出した6つの対処法についてご紹介していきます。
最初に確認して欲しいこと
まず最初に確認したいこと。
それは、再生される「嫌なこと」はいつのことか?という点です。
というのも、もしそれが、「昨日」「今日」の出来事であったとすると、嫌なことがあって心身が痛みを感じているステージであるということ。
不快かもしれないけど、痛みは次第に和らぐものなので、そう思って、痛みを受け入れてみてほしいんです。だって、「嫌なことがある→思い出すと苦しい」はこころの自然な反応だから。
さて、再生される「嫌なこと」が過去のことである場合は、これからご紹介する6つの方法を試してくださいね。
でも、その前に、嫌な記憶が再生される理由を確認してみましょう。
嫌な記憶が再生されるのはなぜ?
昔の嫌なことが再生されるのはなぜでしょう?
それは、
① 今後に備えて反省点を見出そうとする脳の働き
または
② 未消化なので紹介したいと願うこころの働き
なのではないか。
主観的には「いやな気持ち・つらい気持ちになるから、やめたいよ」と思うけど、脳やこころは、独立した”機関”として、あなたを守ろうとしているのですよね。
だから、「いや」だけど「悪いものじゃない」ということだけは、理解しておけるといいですね。
では、具体的な対処法をご紹介していきましょう。
いやな記憶の無限再生が起きたときの6つの対処方法
【1】身体の緊張をほぐす
人は、嫌な気持ちになっているとき、身体にも強張りが生じていますよ。
ご自分の身体の緊張を確認してみてください。
そうして、意識的に緩めていきましょう。
①首を前後、左右に軽くストレッチしてみる。それからゆっくりと回してみましょう。
②肩をぐるぐる、回してみましょう。
③腕を付け根からぐるぐる。
④両手を組んで、ググ〜っと背伸び。骨と骨の間に隙間を作る気持ちで。
⑤手首と足首をぶらぶらっとふってみる。
⑥身体を横に倒して側筋を伸ばそう。
⑦アキレス腱も伸ばしてみよう。
⑧手のひらを指圧するのもいい。
⑨同様に、頭やこめかみを指圧したり、肩・腰をやさしくマッサージ。
ぜひ、やってみてくださいね!
【2】ゆっくり腹式呼吸
人は嫌な気持ち、不安な気持ちの時に呼吸を止めていたり、浅くなっていたりします。(本当です)。
腹式呼吸(おへそで呼吸する)ができるといいのですが、「よくわからない」という方は、こうしてみてください。
空気をゆっくり持ち上げていき、頭のてっぺんまで届いたら、ゆっくり下ろしていきましょう。
足の裏から吐き出します。
ただね、不安なときの呼吸って案外難しいんです。
うまくできなくて過呼吸になってしまうのは避けたい。
うまくできない、頭がぼーっとするなと思ったら、「大きく吐く」を意識してください。
ため息でもいいですよ。
思い切り「あ〜〜〜あ!」とため息ついてみましょう。
【3】目の前のことに集中・同化する
いま、何かしていますか?
例えば、ごはんを食べていたり。
たいくつな授業または会議中だったり。
またはお料理やお皿洗い中?
歩いている時?(運転中!?)
意識を「今していること」に全集中してみましょう。
五感を働かせて、ゆっくり味わうとか、いま目にしているものに”同化”してみる。
例えば、青空と自分を。
お皿を洗っていたら、洗われているお皿は気持ちいいかな、と考えてみたり。
水の感触に集中してみたり。
脳やこころのアイドリングを止めて、今に集中してみてくださいね。
【4】自分をねぎらう
嫌な思い出の無限脳内再生は、脳やこころが「自分を助けよう」として生じること。
実際は逆効果なんですけれども。
あれと同じです。
子どものお手伝い。
うまくいかないかもしれないけど、一生懸命やっている。
そう考えると、イライラするより、苦笑しつつも感謝して受け入れるの気持ちになりませんか?
それからもう一つ。
今の自分を将来の自分の視点で眺めてみませんか?
(例えば、1年後の自分は、今の自分になんというだろう?)
きっと、「いろいろあるけど、よくがんばってて、エライよ!」と言ってくれるのではないでしょうか。
同じように、失敗した過去は、責めるよりねぎらい、いたわれたらいいですよね。
【5】笑う(感情表現する)
嫌な思い出なんだけど、あえて、自分で自分を笑ってみませんか?
で、笑い飛ばして終わることもるけど、たぶん、悲しくなって涙が出たり、怒りが湧いてくることがあると思います。
それでいいのです。
我慢しないで、表出させてあげましょう。
そうすることで消化され、すっきりすることもある。
そこまでいかなくても、感情表現することは心身の柔軟性を取り戻すことです。
【6】自分のオリジナル「救急箱」を持っておこう
5つの対処法を紹介しましたが、これらを参考にしてぜひ、ご自分だけのオリジナル救急方法を持っておきましょう。
わたしはね、ものすごくスローな「スケーターズワルツ」を脳内再生しながら身体の緊張を緩めたり呼吸を整えたりします。
それと、最近のヒットは、全身運動で、空中に文字を書くの。
「あ」「い」「う」「え」「お」と書いたり、「あ」「ほ」「う」と自分にツッコミを入れたりします(笑)
面白そう、と思ったら、試してみてくださいね。
(人のいないところでね)
もうひとつ大切なこと〜日頃の生活を整える
ところで、ここでご紹介した6つのことは、実はそもそも、その日の体調・コンディションに左右されることがあると思います。
● 夜はよく眠れていますか?
● ごはんは美味しく食べられますか?
● ほどよく身体を動かしていますか?
どうぞ、いま一度ふりかえって、整えていってくださいね。
まとめと参考記事
思い出したくない記憶の無限再生を止めるための6つの対処方法を紹介してきました。
記事を参考に、ご自分だけのよい対処方法を編み出してくださいね。
こちらの記事も参考にしてください。
●忘れられないのはトラウマ?その場合はケアが必要です。
●気にしすぎをなんとかしたい時
●傷つきをケアする方法