繊細で敏感なHSP向け アーロン博士の「子ども時代の傷チェックリスト」
東京・青山の心理カウンセリングルーム「はこにわサロン東京」の吉田(臨床心理士・公認心理師)です。
HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)は、とても繊細で敏感な人のことで、およそ5人にひとりの割合で存在すると言われています。
HSPは、病気や症状ではなく、生まれ持った性質です。繊細さ・敏感さは、時と場合によって長所にも短所にもなり得ます。
HSPの生きづらさがとても強いときに検討すべきこととは?
HSPの方の生きづらさは、ご自分のHSP特性を理解して、自分の「扱い方」を工夫してあげることで大きく改善すると考えられています。
しかし、それだけでは、生きづらさが改善しないことがあります。それは、子どもの頃に大きな傷つき体験をしてきていて、その傷が癒されることなく持ち越されてきている場合です。
子どもの頃の傷つきがHSPに与える影響とは
子どもの頃の傷つきが持ち越されていたら、HSPでも非HSPも同様に辛く、不安定になります。けれどHSPの場合は恐怖や悲しみをより強く体験しており、また日常的なストレスも強いため、大人になった時に不安や抑うつのような症状を引き起こしやすくなります。
「子ども時代の傷を査定する」アーロン博士のチェックリスト
HSPの提唱者・アーロン博士の『ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。』の中に、「子ども時代の傷を査定する」という項目があります。
もし、ご自分がHSPで、ご自分の今を理解し、改善するために、子ども時代を振り返ることが必要だ、と感じていたら、以下のチェックリストをやってみてください。自分に起きたことに○印、今なお影響が続いていると感じられるものに◎印を、をつけてみましょう。
「今は子ども時代をふりかえることはしたくない(辛い)」とか「子ども時代は幸せで安定していた」と思う方はチェックの必要はありません。
- 両親はあなたの敏感さをいいものだと思っていなかった。そしてうまく対処できなかった。
- あなたは望まれない子どもだった。
- 親や家族でもなく、心の温かい人でもない、何人もの養育者によって育てられた。
- かなり過保護に育てられた。
- 自分で大丈夫だと思えること以上の、怖がっていることを無理にやらされた。
- 両親はあなたには肉体的・精神的におかしなところがあると思っていた。
- 両親や兄弟姉妹、隣人、学校の友達にいいように使われていたり、支配されていた。
- 身体的な、あるいは性的な虐待を受けた。
- 年中冷笑されたり、からかわれたり、怒鳴られたり、批判されたりといった「言葉の暴力」を受けた。
- あなたの「自己イメージ」はあらゆる意味で極端にネガティブな人によって作られてきた。
- 子どもの頃、あまり注目してもらえなかった。あるいは、特別な業績や功績のためだけに注目してもらえた。
- 今までのパートナーや親しい人の中に、アルコールや薬物依存、精神病にかかっている人がいた。
- 親が病気だったり、障害を抱えていたため、あまり面倒をみてもらえなかった。
- 父親か母親のどちらか、または両親の、身体的・感情的な世話をしなければならなかった。
- 専門家が「ナルシスティック」「サディスティック」と呼ぶ、一緒に生活しづらい親がいた。
- 学校や近所でいじめられていた。
- 慢性的な病気、ケガ、身体障害、貧困、天災、親の失業などで、虐待ではないが強いストレスを受けていた。
- あなたの育ってきた社会環境では、いろいろなことをする機会を制限されていた。家庭が貧しかったり、少数民族に属するなどの理由で「劣るもの」として扱われた。
- 自分ではコントロールできない大きな変化があった(引越し、死別、離婚、親に捨てられた、など)。
- 自分が「いけない」と思ったことについて強い罪悪感を感じたが、誰ともそれについて話ができなかった。
- 子どもの頃、「死にたい」と思っていた。
- 子どもの頃に父・母親を失った(死亡・離婚など)。その親とはあまり親しくなかった。その親はあなたの養育にあまり関わっていなかった。
- 前項の場合で、あなたは「親は自発的に自分のことを捨てた」とか「個人的な理由で自分を拒絶した」と感じている。あるいは、あなたのせいで親を失ったと思っている。
- 兄弟姉妹などの近しい家族が死んだ、あるいはあなたから離れていった。
- 両親はいつもケンカをしていた。その上、離婚してあなたのことで争った。
- 十代の頃よく問題を起こしたり、自殺傾向があった。
(E・アーロン『ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。』より抜粋・編集)
チェックの結果
いかがでしたでしょうか。
チェックするものがなかったら、あなたは安定し、幸せな子ども時代を過ごしてきたのだと思います。温かな子ども時代を大切にしていきましょう。
逆にチェックがたくさんついた方、中でも「今なお影響している」と感じるポイントが多かった場合、あなたの生きづらさを改善するためには、「現在困っていること」だけでなく「過去の傷つきを癒すこと」が必要だと、アーロン博士は書いています。
わたし(吉田)は、このチェックリストにひとつでも該当することがあったら、HSPであってもなくても、傷つきをケアすることがとても必要だと感じます。
では、どのようにして傷つきをケアすればよいのでしょうか?
HSPの過去の傷つきを癒す方法
自分の過去をふりかえってみる
まずはご自分のこれまでの人生をふりかえってみませんか?
「確かに辛いことがたくさんあったけれど、心配して見守り、応援してくれた人がいた」と感じたら、きっと勇気が湧いてくるでしょう。
ご自分の努力で数々の逆境や傷をカバーして来られたのであれば、頑張った自分に「よくがんばった!ありがとう!お疲れさま!」と伝えて労ってあげましょう。
その上で、これからは「頑張り抜く」だけではなく、ご自分をいたわりケアする方法を考えて実践していきましょう。
リフレーミングする
「リフレーミング」という言葉を聞いたことがありますか?「リフレーミング」はカウンセリング用語で「意味を捉えなおす」ということです。
あなたの「辛く悲しい体験」を見直すことで、ポジティヴな見方・意味を見つけ出すことです。
例えば、「親はわたしの敏感さを良いものだと思っていなかったが、その分、自分が自分の良き理解者になることができたし、精神的に成長できた」というように。
過去は変えることができませんが、その受けとめ方を変えることはできます。ご自分でリフレーミングすることで、自信にもつながります。
心理カウンセリング(心理療法)を受ける
子どもの頃の辛く悲しい体験をご自分の中で見つめ直し、大切な自分として受け入れるためには、カウンセリング(心理療法)が有効なことも多いと思います。
特に、先ほどのチェックリストには、かなり重たい傷つき項目がたくさん挙げられていますので、ご自分だけでは乗り越えることが難しいことも多いと感じます。
HSPの心理カウンセリング(心理療法)
チェックリストに挙げられていたような傷つきへの心理カウンセリング(心理療法)は、例えば臨床心理士であれば、しっかりと対応が可能であると言えます。ただ、HSPの方はより傷つきやすく、またカウンセリングの場面でも真面目に頑張りすぎてしまう傾向があるので、その傾向についても相談できるとよいです。
ご相談の際は、HSPであることをお伝えになってみてください。「HSPを聞いたことがない」と言われたら、他のカウンセラーを探したほうが良いかもしれません。しかし、HSPの一般概念を知らなくても、あなたの個性として理解できるカウンセラーなら、大丈夫です。
はこにわサロン東京でも、HSPの方のご相談をお受けしています。担当するのは吉田(臨床心理士・心理カウンセラー)です。ご不明なことがありましたら、どうぞお気軽にお問い合わせくださいね。