我慢は、させても育たない〜我慢するちからの育て方とは
東京・青山の心理カウンセリングルーム「はこにわサロン東京」の吉田(臨床心理士・公認心理士)です。
✔️ 「我慢強い子どもになってほしい」と願うお父さん・お母さん
✔️ 「我慢強く頑張れる部下になってほしい」と願う上司の方
に向けて書いています。
学校などで、保護者の方から「少しくらい辛いことがあっても我慢できる強い人になってほしい」という願いを聞くことが(よく)あります。
子どもが何らかの困難にぶつかって困っている時ですね。
でも、辛いことがあったときに我慢すると強い人になれるのかな。(いえ、なれません。)
では、どうしたら、我慢できる人になれるのか?について、書いてみたいと思います。
我慢するとどうなる
我慢すると、誰でも、ストレスが溜まります。
ですから、ふつうわたしたちは、我慢し続けなくてもよいような対策をするか、我慢しなければいけない時には必要なリフレッシュやリラックスを取り入れて、こころのバランスをとります。
けれど、子どもの場合は、自分で対策したり、気分転換するのは、なかなか難しいことが多い。
(子どもの能力的に、ということもありますが、大人に言われたら従わなければならないことの方が多いかもしれない。)
すると、必然的に、こうなります。
「少しくらい辛いことを我慢できるようになってほしい」という願いはもっともですが、我慢を強いることでは実現されないことがわかります。
では、我慢はどうやって身につけるのでしょうか?
我慢強い性格をつくるには?
人間の「我慢強さ」には原型があります。
それは、子育てです。
子育ては、愛する子どものためとはいえ、日常的には、我慢の連続ですよね。
それでも、投げ出さないで育てるのは、今の我慢が子どものしあわせな将来を作ると親が信じているから。
そうして、育ててもらうことで、子どもの中にも我慢する力が育っていきます。
これを「モデリング」と言います。
つまり、我慢する力というのは、親にしてもらったこと(モデル+資源)をもとに、今度は本人が「こうなりたい」という願いのもとに「いま我慢しよう」と考える・行動することで生まれるわけです。
ただ我慢を強いておいて「我慢できない」と責めるのは見当違いであることがお分かりいただけるでしょうか。
社会人の場合はどうすればいいのか?
お互いに社会人で「ここは我慢してほしい」という願いを伝えたい時はどうすれば良いのか?
これも、ただ「社会人たるもの我慢するものだ」と説いても実現しません。(一時的に実現するかもしれないけど、続きません。)
鍵は「モデリング」と「資源供給」です。
この3つの要素のうち、最初の2つが「職場が責任を持って提供する必要がある」という点にご留意ください。
本人が頑張るには、上司や仲間の協力や応援が得られる構造を作る必要がありますよ。
でも、このような構造的な努力は、本人の「我慢して頑張る力」を育みますし、こうして育ててもらった人は、自分が上司になった時にも同じことをするので、長期的に見ると組織にとっても価値があると言えます。
まとめ
我慢強くなるために、小さな頃から・常に、我慢する練習をしないといけない。
こんな風に考える人が少なくありませんが、我慢させても我慢できるようにはならないし、怒りから問題行動が生じたり、無気力・抑うつ的になってしまったり、なにも良いことはありません。
ぜひ、「我慢する」を正しく理解して、育んでくださいますように💓