子どもの暴言〜隠されたメッセージを理解・対応する方法
東京・青山の心理カウンセリングルーム「はこにわサロン東京」の吉田(臨床心理士・公認心理士)です。
子どもが親に暴言を言うとき、その背後にはさまざまなストレスや感情が隠されていることがよくあります。暴言は、子どもが自分の内面的な葛藤や不満をうまく表現できず、感情が溢れた結果として出てくることが多いです。
そのため、暴言を叱ると、子どもの気持ちを否定することになってしまい、子どものストレスがさらに大きくなったり、親に対して不信感や絶望感を抱いてしまうこともあります。
暴言に隠された子どものストレスの種類や、暴言に隠された親へのメッセージをキャッチして対応するにはどうすればよいかについて考えます。
暴言の背後にある子どものストレスの種類
大人からすると子どもは自由で気楽な立場に見えるかもしれませんが、子どもたちもストレスを抱えていることは少なくありません。どのようなストレスがあるでしょうか。
学校でのストレス
学校生活は、子どもにとって大きなストレス源の一つです。成績、友人関係、いじめ、先生との関係など、学校での日常は子どもの感情に強く影響します。
学校生活のストレス
学校は集団行動の場で、自分の気持ちより集団を優先しなければなりません。
学校でもマイペースにふるまえるとよいですが、「ちゃんとしなきゃ」「頑張らなきゃ」「友だちに親切にしなきゃ」など、がんばる子ほどストレスをためやすくなります。
ご家庭で子どものがんばりを認めて、ねぎらってくれるとよいですが、家でもがんばることを求められると気持ちが溢れて暴言になることがあります。
学業のプレッシャー
テストや宿題、成績のプレッシャーが強いと、緊張や不安、苛立ちが募り、親に対して暴言という形で表れることがあります。学業プレッシャーには、「よい成績」を求めるタイプと「最低限これだけは」を求めるタイプがあり、どちらも、親の期待や不安から強くプレッシャーをかけやすいので要注意です。
友人関係のトラブル
仲間とのトラブルや孤立感など、友達との関係で感じるストレスも子どもの大きな負担です。小学校高学年以降は、友人関係の悩みがあっても親に話したがらなくなることも多く、親も子どもの悩みに気付きにくくなります。
家庭内のストレス
家庭内でのストレスも、子どもの感情を揺さぶります。家庭内不和、親子関係や兄弟姉妹との関係、家庭内のルールなど、家の中での苛立ちが暴言につながることがあります。
親の期待やプレッシャー
親からの期待が高すぎると、子どもはそれに応えられないことでプレッシャーを感じ、暴言で反発することがあります。「もっと頑張りなさい」「成績を上げなさい」といった言葉が子どもを追い詰めてしまうこともあります。
「あるべき姿」の押し付け
親が子どもに「最低限これだけは」と期待することが守られないと、子どもを強く叱ってしまうことが起きやすくなります。子どもの生活習慣や自立は、子どもの成長や性格などにより様々であるため、親の基準を押し付けると子どもを追い詰めてしまいます。
家庭の雰囲気
夫婦仲があまりよくない、家族の愚痴を子どもに聞かせてしまう、親に余裕がなくて子どもに気持ちを向けられないことが続くと、子どもは自分が大切にされていないと感じ、反発から暴言が生じることがあります。
前思春期・思春期のストレス
前思春期(小学校5〜6年生)、思春期(中学・高校生)になると、自立心や自己主張が強まります。親との距離感や対話の難しさがストレスの一因となり、暴言に結びつくことがあります。
自立への葛藤
思春期の子どもは、親から独立しようとする一方で、親に頼りたい気持ちも持っています。この矛盾がストレスとなり、「うるさい」「もうほっといてよ」などの暴言として表れます。
親への反発と愛情の複雑な感情
親に対して独立心が強まる一方で、親からの愛情や承認を求める葛藤があり、その感情がうまく処理できないと、親に対して攻撃的な態度を取ってしまいます。
将来や進路に関する不安
特に高校生に多いのが、進路や将来に関する不安です。将来への漠然とした不安や進学、就職のプレッシャーが暴言につながることがあります。
ご家庭によっては、中学校受験、高校受験の折などにも、子どもの不安が高まり、親に対して強く反発することがあります。
将来の選択に対する不安
進路選択の悩みや、周囲からの期待が重圧となり、子どもが「自分で決めたい」という強い欲求を持つことがあります。親からアドバイスを受けることがプレッシャーと感じると、「ほっといてよ!」などと反発します。
暴言に隠された親へのメッセージ
暴言は単なる感情の爆発ではなく、子どもが親に伝えたいメッセージが隠されていることがとても多いです。ですから、暴言の背後にある本当の気持ちや意図を理解することが重要です。
「理解してほしい」
子どもが暴言を使う背景には、親に自分の気持ちを理解してもらいたいという強い願いがあることが多いです。しかし、言葉でうまく表現できずに暴言に走ることがあります。
暴言例 「うるさい!」「黙れ!」
【本当のメッセージ】
「私の気持ちをもっと理解してほしい」「アドバイスに耳を傾ける余裕がない」
【対応案】
子どもが落ち着くまで待ってから(数時間後、翌日以降の場合も)、冷静に、しかし温かく、子どもが何に困っているのかや、どんな助けが欲しいと思っているのかを聞いてみる。子どもから聞き取れないときは、「いつでも聞くから」と伝えて、ストレスが高くてイライラしやすい子どもを否定せず、いつも通りに接する。子どもの自己肯定感を育むことができます。
「自分で決めたい」
思春期や自立心が芽生える年齢の子どもにとって、親からの指示や干渉が過度に感じられると苛立ちが暴言として表現されることがあります。
暴言例「ほっといて!」「関係ないでしょ!」
【本当のメッセージ】「自分の意思を尊重してほしい」「自分を信頼して任せてほしい」
【対応案】
子どもの生活態度や成績、将来などを心配するあまり、日々あれこれ言いすぎたり、親の考えを押し付けてはいませんか?言いたい気持ちはわかりますが、子どもが反発するだけである場合は、親側が自制する必要があります。
ただし、「自制する」というのは、「何も言わない・関心を持たない」ではありません。心配する気持ちは、子どもに干渉しないで済む分野、例えば子どもの表情がよいかどうか気にかけて、暗い時にはちょっとした差し入れをしながら「応援している・必要な時はなんでも言って」を伝える、のように修正してみてください。気にかけているが口を出してはこない態度が子どもに伝えられると、親子関係が改善します。
「愛されているのか不安」
子どもが親の愛情に対して不安を感じている時に暴言が出ることがあります。親の反応を試すことで、愛されているかを確認しようとするのです。
暴言例: 「大嫌い!」「わたしのことなんてどうでもいいんでしょ?」
【本当のメッセージ】 「わたしを大切に思ってくれている?」「どんな状況でも私を愛してくれている?」
【対応案】 子どもに対して「親の言うことを聞くよい子であるべき」「よい成績をとるべき」といった条件をつけていませんか?誰か他の人と比べて批判していませんか?こ子どもは、親が自分を丸ごと受け入れてくれているかどうか敏感に察知します。一度ゆっくり子育てをふりかえり、条件をつけているならやめる、欠点も含めて子どもを受け入れるように修正してみましょう。
「限界に達している」
子どもが感情やストレスに押しつぶされ、もう耐えられないという状況に陥ると、暴言という形でSOSを発することがあります。
暴言例: 「もう嫌だ!」「消えたい」
【本当のメッセージ】「これ以上我慢できない」「限界だから助けてほしい」「どうすればいいかわからない」
【対応案】
「子どもに強いストレスがかかっていませんか?
親にしてみると「これくらい当たり前」とか「受験の時は仕方がない」と感じられるとしても、子どもにとっては「もう耐えられない。助けて!」であることも多いです。
その場合は、大人の常識ではなく、子どものコンディションを第一に考えて対応する必要があります。
子どもが落ち着いているときに、「つらい状態でいることにもっと早く気づいてあげられず、申し訳なかった」と伝え、子どもが話してくれるなら聞く、できることは何かを話し合ってサポートしてください。
親からすると、甘えやわがままと感じるリクエストがあるときは、緊急支援と理解してできるだけ応えてくださると助かります。
子どもの暴言の理解と対応〜まとめ
子どもの暴言は、多くの場合、ストレスや感情の未熟な表現です。その裏には「理解してほしい」「自分で決めたい」「愛されたい」「限界に達している」などという親へのメッセージが隠されています。
親は、子どもの感情やストレスの原因を理解し、冷静かつ愛情深く対応することが大切です。対話を通じて解決策を探し、子どもが健康な感情表現ができるようサポートしてください。
暴言があまりにひどく、対話の糸口が見つけられない時は、カウンセリングで、子どものメッセージ理解と対応方法を検討することができます。
はこにわサロンでは、お子さん理解のカウンセリング、子どもをケアするカウンセリングを行なっています。
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