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適応障害の要因・対応・治療(セルフチェックつき)

 
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外資企業勤務後、心理臨床を志す。臨床心理士の資格取得後は東京・神奈川・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年、東京都港区・青山一丁目に「はこにわサロン東京」を開室。ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析を行っている。日本臨床心理士会、箱庭療法学会所属。
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東京・青山の心理カウンセリングルーム「はこにわサロン東京」の吉田美智子(臨床心理士・公認心理師)です。

 

適応障害とは

適応障害は、生活の中での大きな変化やストレスの原因(仕事の問題、人間関係、家庭の変化など)に適応できず、感情や行動面で過剰な反応が現れる状態です。

 

通常、ストレスの原因が明らかです。そのため、ストレス要因に対処するか取り除かれることで症状は改善することが多いですが、適切な対応がなければ悪化し、抑うつや不安障害へと進行することもあるので注意が必要です。

 

適応障害チェックリスト

(1) 最近、生活や環境の大きな変化(転職、転校、離婚、家族の死別など)がありましたか?

(2) 特定の状況(仕事、学校、家庭など)が強いストレスの原因になっていますか?

(3) ストレスの原因が何か明確にわかりますか?

(4) 最近、悲しさや憂うつな気持ちが続いていますか?

(5) 過剰な不安や心配を感じることがありますか?

(6) イライラや怒りっぽさが増えていますか?

(7) ストレスを感じる状況を避けるようになっていますか?(例:仕事や学校を休む、特定の人を避ける)

(8) 衝動的な行動を取ってしまうことがありますか?(例:暴言、破壊的な行為など)

(9) 以前は楽しめていたことに興味を失っていますか?

(10) 頭痛、胃痛、吐き気、動悸などの身体症状が現れていますか?

(11) 睡眠に問題がありますか?(寝つきが悪い、途中で目が覚めるなど)

(12) ストレスが原因で、仕事や学業に支障が出ていますか?

(13) 家族や友人との関係に問題が生じていますか?

(14) 日常生活でやる気が出ず、無気力な状態が続いていますか?

(15) 上記の症状が、ストレスが発生してから3か月以内に現れましたか?

(16) 症状がストレスの原因から6か月以上続いていますか?

 

適応障害チェック結果の見方

  • 該当する項目が3つ以上・・・適応障害の可能性があります。日常生活に影響が出ている場合は、専門家に相談をおすすめします。
  • 該当する項目が少ない場合・・・ストレスが蓄積している可能性があるため、セルフケアや生活環境の見直しを行いましょう。

*このチェックリストはあくまで参考用です。迷ったら信頼できる人や専門家に相談してください。

 

適応障害の診断基準

適応障害の診断には、以下のような基準が含まれます(DSM-5より)。

①ストレス要因に対する過剰な感情反応

■ストレスが発生してから3か月以内に症状が現れる。

■その反応が社会的、職業的、学業的な機能に著しい障害を引き起こす。

 

②不適応な行動または感情反応

■抑うつ、過剰な不安、衝動的な行動など。

 

③症状が一時的で、ストレスがなくなれば6か月以内に軽減する

■長期的な病状ではないが、ストレス要因が続く場合は症状が慢性化する可能性もある。

 

適応障害の要因

適応障害の発症には以下のような要因が絡んでいます:

 

①環境的要因

■職場や学校での人間関係の問題、いじめ、ハラスメント。

■生活環境の大きな変化(引っ越し、転職、離婚、病気など)。

 

②個人的要因

■繊細な性格や不安感の強い気質。

■ストレス対処能力の不足。

■過去のトラウマやストレス体験。

 

③社会的要因

■サポート不足(家族や友人の不在)。

■高い社会的プレッシャーや過剰な期待。

 

適応障害の治療

適応障害の治療では、ストレス因子への対処症状の軽減が主な目的となります。

 

①心理療法

認知行動療法(CBT)
ストレスに対する考え方を修正し、適応能力を高めます。

カウンセリング

自己理解やさまざまな感情の整理を通じて、柔軟性や自分のペースを回復します。

 

②薬物療法(必要な場合のみ)

一時的に抗うつ薬や抗不安薬が処方されることがありますが、心理療法が中心となる場合が多いです。

 

③ストレス因子の軽減

ストレスの原因となっている環境や状況を見直し、可能であれば取り除く、または調整します。

 

適応障害:自分でできること

①ストレス因子の特定と整理

■ 何がストレスの原因なのかを書き出す。

■ ストレス軽減が可能なものに対処する。

 

②リラクゼーション

■ ストレッチ、エクササイズ、深呼吸や、温かい飲み物を飲む、肌触りのよいもの、香りのよいものを使う。

 

③生活リズムの改善

■ 6時間以上の睡眠(目覚めた時にスッキリできるか)

■ バランスの良い三食の食事

■ デジタルデトックス

 

④自律神経を整える

■  身体をほぐすマッサージで身体の緊張をやわらげる

■ 心地よいと感じる活動をする。五感が心地よい活動や、好きなこと。笑う、歌う。

■ 人と心地よくつながる。動物や自然でも。

 

⑤完璧を目指さない

■全て完璧にすることは無理であることを理解して、力を抜く工夫をする。

■働きすぎ・がんばり過ぎにならないようセーブする。

 

家族にできること

①否定しない

まずは本人の気持ち、焦りや苛立ち、苦しさを「そうなんだね」と丸ごと受け止めます。

「〜がいけなかったんじゃない?」のような批判や否定は不要です。

 

②アドバイスより寄り添い

アドバイスは本人に受け取る余裕や意欲がない時には役に立ちません。

本人のペースを尊重し、「いつでも話を聞くよ」「困ったら相談してね」の姿勢で。

 

③プレッシャーをかけない

本人自身が不安や焦りを感じていることが多いので、周りからプレッシャーはかけない。「どうするの?」「大丈夫なの?」もプレッシャーになる。

 

④生活サポート

規則正しい食事や睡眠、エクササイズや、自律神経を整えるための活動をサポートする。

 

 

適応障害・まとめ

適応障害は、ストレス因子への強い反応として発症しますが、原因がはっきりしていることが多いため、適切な対応を行うことで回復が期待できる病気です。

 

まずはストレス要因を整理して、しっかりと休息を取り、ケアをして、回復していきましょう。

 

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