燃え尽き症候群とは? 原因と対策、予防法を徹底解説

東京・青山の心理カウンセリングルーム「はこにわサロン東京」の吉田美智子(臨床心理士・公認心理師)です。
「最近、何をしてもやる気が出ない…」「頑張ってきたのに、突然エネルギーが切れたように感じる」 そんな状態に心当たりがある方は、燃え尽き症候群(バーンアウト)かもしれません。
燃え尽き症候群は、長期間にわたる過度のストレスの努力の末に、心身が限界を迎えてしまう状態です。本記事では、燃え尽き症候群の特徴や原因、対策、予防策を詳しく解説します。
燃え尽き症候群とは?
燃え尽き症候群(Burnout Syndrome)とは、過度のストレスやプレッシャーの中で頑張り続けた結果、心身ともにエネルギーが枯渇し、無気力や意欲の低下を引き起こす状態を指します。
燃え尽き症候群の主な症状
燃え尽き症候群には、精神面、身体面、行動面にさまざまな症状が生じます。
【燃え尽き症候群の精神的な症状】
■何をしても楽しめない
■達成感がない
■仕事や家事に対する意欲がわかない
■集中できない
■イライラしやすく、落ち込みやすい
■突然涙が出ることがある
【燃え尽き症候群の身体的な症状】
■慢性的な疲労感・倦怠感
■頭痛・めまい・胃の不調
■食欲がない、または過食気味
■眠れない、または寝ても疲れが取れない
燃え尽き症候群の行動の変化
■遅刻や欠勤が増える
■人付き合いを避けるようになる
■突然、仕事や活動を辞めたくなる
燃え尽き症候群になりやすい性格傾向とは?
燃え尽き症候群になりやすい人には、特定の性格傾向があります。
完璧主義(100%の成果を求めすぎる)
■「もっと頑張らなければ」と自分を追い詰める。
■失敗やミスを極端に恐れる。
責任感が強すぎる
■仕事や家庭の役割をすべて自分で背負い込む。
■周囲に頼ることができず、限界を超えてしまう。
他人の評価を気にしすぎる
■「人に認められないと価値がない」と思い込む。
■自分の感情より、他人の期待に応えようとする。
断れない性格
■頼まれた仕事やお願いを断れず、キャパオーバーに。
■「嫌と言ったら迷惑をかける」と考えてしまう。
燃え尽き症候群になりやすい性格は、もともと持っている性格による場合もありますが、子どもの頃の育てられ方が強く影響します。
当てはまる場合は、過去の影響を理解することや、慢性的な傷つきをケアすること、自尊心を取り戻す、自己肯定感を持てるようになることなどが、燃え尽き症候群の防止や回復に必要となります。
燃え尽き症候群の「環境要因」
燃え尽き症候群は、個人の性格だけでなく、環境の影響も大きく関わっています。
仕事の負荷が過剰(長時間労働・過剰な責任)
■常に業務量が多く、終わりが見えない。
■「頑張っても報われない」と感じる。
評価が不公平・努力が報われない
■どれだけ頑張っても評価されない。
■ミスには厳しく、成功して当然とされる。
■やりがい搾取がある。
サポートがない
■上司や同僚に相談できない。
■サポート体制がない。
プライベートの時間が確保できない
■仕事や家事に追われ、休む時間がない。
■趣味やリラックスする時間を持てない。
燃え尽きてしまったときの対応方法
燃え尽き症候群になってしまった場合、適切な対応をとって回復することが大切です。
頑張ることをやめる
エネルギーが枯渇した状態では、頑張っても成果を出すことはできません。「まずはしっかり休んでいい」と自分に許可を出しましょう。「休むこと=サボり」ではないと理解することが大切です。
十分な睡眠と栄養をとる
睡眠と食事は、人間のコンディション作り・回復には欠かせない大事なことです。睡眠不足や食事をおろそかにする習慣を続けると、状態がさらに悪化します。1時間早く寝る、朝ごはんを食べる、など、工夫をしてください。
信頼できる人に相談する
燃え尽き症候群は、一人で抱え込むと、状況が悪化しやすいです。同僚や家族、友人に「今つらい」と話してみてください。
つながりがある人には言いにくい場合は、産業医・保健師・臨床心理士・公認心理師などのサポートを得てみてください。一度の相談でも、 こころが軽くなったり、今できる手立てをみつることができます。
はこにわサロンでも、燃え尽き症候群のご相談を受け付けています。(ご予約はこちら)
小さな楽しみを見つける
すぐに大きく変えるのは難しいので、「好きな飲み物を飲む」「好きな音楽を聴く」など小さなリラックスを取り入れてみましょう。その際、デジタル機器に頼りすぎることはお勧めしません。(検索しすぎて不安が増したり、ブルーライトを浴びて寝付けなくなったりするため。)
自律神経を整える
燃え尽き症候群には自律神経の乱れが関係しています。自律神経の整え方を知って、日常生活に取り入れてください。
燃え尽きを防ぐためにできること
燃え尽き症候群を防ぐには、日常的なストレス管理と、無理をしすぎない習慣づくりが重要です。
自分の限界を知る(頑張りすぎない)
■「できること」「できないこと」を見極める。
■「ここまでやったらOK」と線引きをする。
頼ることを覚える(全部自分でやらない)
■「助けを求めることは悪いことではない」と理解する。
■仕事や家庭の負担を、周囲と分担する意識を持つ。
小さな息抜きを大切にする
■「好きなこと」を意識的に取り入れる。(趣味、散歩、読書など)
■仕事の中にこまめな休憩を組み込み、休憩する。
完璧主義を手放す
■「80%でもOK」「失敗してもいい」と考える。
■「何もしない日があってもいい」と自分を許す。
まとめ〜燃え尽きを防ぎ、自分を大切にしよう
燃え尽き症候群は、責任感が強く、頑張りすぎる人ほど陥りやすい状態です。
性格的な要因に加え、働く環境や周囲のサポート不足も影響します。
また、繰り返す方は、生育歴や親子関係(複雑性トラウマ、機能不全家族、アダルトチルドレン、愛着障害、小児気逆境体験)が関係していることがあります。
■「頑張る」ことが当たり前になりすぎないよう、適度に休む習慣をつける。
■「助けを求めることは悪いことではない」と考え、周囲と協力する。
■「休むことは必要なこと」と認識し、心と体をケアする時間を確保する。
ご自分のこころと身体を大切に、無理なく過ごせる環境を整えていきましょう。