中学生のスマホ中毒やゲーム依存を治療したい?取り上げるのは逆効果です
東京・青山の心理カウンセリングルーム「はこにわサロン東京」の吉田(臨床心理士・公認心理師)です。
わたしは週3日、中学校のスクールカウンセラーをしていますが、保護者から子どもたちのスマホやゲームがやめられないこと(依存や中毒が心配)の相談を受けることが増えています。
ちなみに共通する訴えはこのような事柄です。チェックリストではないのですが、いくつ当てはまるか見てみてください。
スマホ・ゲーム中毒や依存が心配される子どもの生活
- 子どもが家でスマホやゲームばかりしています。
- 夜中までやっていて、朝起きられません。
- 休みの日など一日中やっています。
- 家庭のルールは決めているけど、守れません。
- 注意するとイライラして反抗してきます。
- 取り上げると逆上します。
- 使い方を確認して渡しても、やはりルールは守れません。
- 成績が下がりました。
- 本人にはスマホやゲームのやりすぎだという自覚はありません。
- スマホやゲーム以外にも好きな遊びがある
- 勉強、部活などの活動、遊びの優先順位を自分でつけられる
- 家族の対話が活発
- スマホやゲーム以外に興味を持つものがない
- 努力したら成果が出る手応えを感じられていない
- 家族が忙しく関係が希薄
いかがでしょう。
10個、全部当てはまった方も少なくないのではないでしょうか。
概ね当てはまる場合は、中毒、依存に近い予備軍であるといえるでしょう。
なんとか、今のうちに手を打ちたいですよね。
でも、どうすれば?そのご質問に答える前に、こんなことを考えてみたいと思います。
子どもたちはなぜ、スマホやゲームにはまるのか?
今の時代、スマホやゲームを持っていない子はとても少ないと思います。まぁ、大半の子どもが持っているし、利用しています。
でも、中毒・依存になる子ばかりではありません。その違いはどこにあるのでしょうか。
わたしは、毎年、勤務している中学校の新入生全員にスマホやゲームの使用状況を聞きます。入学時に既に依存的になっている子もいますが、まだまだ家庭のルールの中で使用できている子どもが多いです。でも、この段階で、この後、スマホやゲーム依存が心配だなという子はなんとなくわかります。
スマホ依存・ゲーム中毒にはならない子の特徴
スマホ依存・ゲーム中毒になりそうな子の特徴
では、スマホ依存・ゲーム中毒になってしまうこ子どもに共通することはどんなことなのでしょうか。
スマホ依存・ゲーム中毒になってしまう子どもの特徴
① 自分に自信がない
→小学校までで既に学習などが苦手で自分に自信がない子
→自分が自信を持っていたこと(例えばスポーツ)で自分が輝けないと感じて自信を失ってしまった子
② 寂しい
→家族関係が希薄
→友だちが少ない・仲良しと距離ができた
→夢中になれるものがない
③ ありのままの自分が認められる場所がない
→勉強が苦手だったり問題行動が多かったりして学校では注意されてばかり
→家庭でも怒られてしまうことが多かったり、良い子であることを求められてしまう
④ 本人の気質
→ひとつのことに夢中になると寝食を忘れるタイプ
→切り替えが苦手
⑤ スマホやゲームが居場所になっている
→その子にとってスマホやゲームをしている時だけが屈託なく楽しい時間である
→スマホやゲームを通じてできた友だちが自分にとって一番大切な友だち
このようにスマホ依存・ゲーム中毒になる子どもは、そうなりやすい素地があるのです。
そして、スマホやゲームが唯一の心のよりどころであるため、取り上げたり、使用ルールを決めるだけでは改善せず、むしろ親子関係が悪化してしまうのです。
スマホ依存・ゲーム中毒の子どもを救うには
スマホやゲームに夢中な子どもたちも、スマホやゲーム以外に楽しいことや打ち込めることがあり、ありのままの自分でいても大丈夫だと感じられる場所があれば、依存や中毒から脱することができます。
まずは、家庭環境を整えましょう
ご家庭は、子どもがほっとできる環境ですか?居間でダラダラしたり、一緒にご飯を食べたり、雑談したり。当たり前のことでいいのです。
本人がどんなことに打ち込んでいるのか、教えてくれるなら少し興味を持ってやってみたりしてみませんか?
とにかくまずは、本人と毎日、雑談できる関係を再構築しましょう。
その上で、スマホやゲーム以外で一緒にできることを模索してみてください。
本人が今のままでも受け入れられていると感じられる場所を作りつつ、本人が抱えている課題の解決に取り組みましょう
学校生活や学習面で困っていることがあると思います。担任の先生やスクールカウンセラーがいれば相談してみてください。
安易に塾に入れるというような対応はお勧めできません。一度きちんと本人が何にどの位困っているのか把握してみることが必要です。本人の能力に見合った目標設定をすること。本人が、努力したら成果を感じられるような環境設定をしてあげることが大切です。
本人の能力について把握する場合は、地元の教育センターなどで発達検査をしてみることをお勧めします。発達検査は、発達障害かどうかを判断するものだと誤解されがちなため、拒絶反応のある方もいらっしゃると思います。しかし、本人の能力の理解なしに、適切な目標設定をすることはできません。目標が適切でなければ、頑張ったら報われる手応えを感じることもできません。
*ただし、発達検査をするときには、本人・ご家庭がしっかりその目的を理解していることと、検査結果が本人の日常生活改善のために活用されることが大前提です。検査結果の数字が高い低いで一喜一憂せず、しっかりと検査結果の説明をしてもらいましょう!
スマホ依存・ゲーム中毒治療のためにカウンセリングができること
スマホ依存・ゲーム中毒を治療するときに中心となるのはカウンセリングです。(お薬で治すことはできません。)
その治療の中心は、本人の自覚を促すことです。
しかし、本人が「スマホやゲームが自分にとって、たった一つの居場所」だとすると、保護者の問題意識とは全く噛み合うことができないでしょう。
自分に自信が持てず、唯一の居場所にしがみついている子どもにできること。それは、上から目線の注意や指導ではなく、ただ本人を愛すること。今のままでいいよと伝えること。なのだと思います。
こう書くと「なるほど〜」と思われると思います。そして、早速明日から、家庭の対応を色々変えてみようと思ってくださる方もいらっしゃると思います。
でも、具体的にはどうすればよいのかわからない。頭ではわかっているけど、イライラしてしまって、思ったようにはできないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そのようなときに、家庭と本人を支え導く役割を果たすのがカウンセリングです。
学校にカウンセラーが来ていたら、ぜひ、利用しましょう。自治体でも子どもや保護者のための相談機関を設けていますから、そちらに相談してもよいです。せっかく税金で賄われているのですから、積極的に利用しましょう。
もちろん、はこにわサロンでもご相談を受けつけています。中学生の子どものスマホやゲーム依存、そこから派生する問題行動(不登校、嘘、お金に関する問題)を解決したいとき、ぜひご相談にいらしてくださいね。
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