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社交不安症(SAD)のカウンセリング〜安心感・信頼感の再獲得が大切

 
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外資企業勤務後、心理臨床を志す。臨床心理士の資格取得後は東京・神奈川・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年、東京都港区・青山一丁目に「はこにわサロン東京」を開室。ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析を行っている。日本臨床心理士会、箱庭療法学会所属。
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東京・青山の心理カウンセリングルーム「はこにわサロン東京」の吉田(臨床心理士・公認心理士)です。

 

こんなことで、困っていませんか?

 

「人前に出ると緊張する」とか「自分がどう見られているのか心配」と感じるのは、わりと誰にでもあることなのですが、それが強まって「恐怖感」になったり、日常生活にも影響が出てしまうような状態を「社交不安症」といいます。

 

頭では「気にしすぎだ」と分かっているのに、不安や恐怖をほどよくコントロールすることができません。

 

そのため、日常生活が不安と恐怖に支配されてしまい、気持ちが落ち込みやすくなったり、不安になることを避けようとして生活が制限されてしまったりします。

 

社交不安症にはこのようなものがあります

■対人恐怖、■スピーチ恐怖、■電話恐怖、■視線恐怖、■会食恐怖、■赤面恐怖、■書痙・振戦恐怖、■発汗恐怖、■自己臭恐怖、■腹鳴恐怖、■排尿恐怖

順にご説明します。

 

対人恐怖

学校や職場などの人間関係に強い緊張と不安を感じます。

 

人が自分のことをどう思っているのか(変に思われていないか)が気になって、思うように人とつながることができず、苦しい思いをします。

 

本当は自分もコミュニケーションを取りたいのに、できないので、自分を責めたり、周囲を責めたりしてしまう気持ちが生まれます。

 

*この後、さまざまな「特定の」不安・恐怖について紹介しますが、どれもベースに「対人恐怖」があります。

*なぜ発症するのか(背景理解)と治療方法については、あとにまとめて説明しますね。

 

スピーチ恐怖

✔️ みんなの前で発表する

✔️ スピーチをする

✔️ 会議で発言する

✔️ 反対意見を述べる

このような、人前で注目されることに苦痛や恐怖を感じます。

 

このような場面を苦手とする人は多いのですが、「スピーチ恐怖」の場合は、不安のあまり過剰に準備をして眠れない日々が続いたり、終わってからも自分反省会で自分を責めてしまう・次の機会への恐怖をつのらせてしまう傾向があります。

 

電話恐怖

オフィスの電話に出ることに強い不安を感じます。

 

自分の応対を社内の他の人に聞かれることへの緊張感や、相手が誰だかわからない・ちゃんと対応できるかわからないことに強い不安を感じます。

 

電話対応は、新入社員・派遣社員・アルバイトなど、「新しく入ってきた不慣れな人」に任されることの多い仕事ですが、声だけのコミュニケーションであることや、些細なことでクレームになり得る風潮もあり、電話対応は「ベテラン向け」のお仕事であるように思います。

 

視線恐怖

いつも自分が周りの人から「見られている」「ネガティヴに思われている」と感じてしまい、不安や苦痛を感じます。

 

視線を避けようとおどおどしてしまうために、逆に注目されてしまうこともあります。

 

また逆に、自分の視線が他人を不快にしてしまうのでは?と不安になり、相手の目を見られなかったり、会話に集中できなくなってしまうこともあります。

 

会食恐怖

人前で食べることが苦痛です。

 

自分の食べ方や音が変なのでは?と気になったり、出されたものを食べきれないのでは?残してはいけないとプレッシャーになり、落ち着いて、味を楽しんで食べることができません。

 

また、自分の緊張が相手に不快感を与えてしまうのでは?と不安を募らせてしまうこともあります。

 

赤面恐怖

人と話すときや人前に出るときに顔が赤くなります。

 

顔の火照りを感じるとますます緊張してしまいます。

 

赤くなる反応は自分でもコントロールできず、対人緊張が増してしまいます。

 

手や身体が震える(書痙・振戦恐怖)

■書痙(しょけい)

黒板やホワイトボードに字を書く、誰かが見ているところで記帳・記入する時に手がひどく震えてしまい、書字が困難になります。

 

自分の緊張が人に見られていると思うと、なおさら苦痛が増します。

 

■振戦恐怖

緊張や不安で身体が強く震えてしまう状態です。先生や上司、友達が見ているだけでも手や身体が震えてしまって、動作に支障を来します。(手が震えて作業ができない、動作がギクシャクしてしまう)。

 

ひとりなら何の苦もなくできることが人前ではできなくなるため、自己否定的に感じてしまいやすいです。

 

発汗恐怖

緊張すると額から汗がポタポタたれてしまったり、汗で手がすべって物が持てないほどになってしまいます。

 

汗が不快感を与えるのでは?と不安になり、ますます症状が悪化したり、自信をなくしてしまいやすいです。

 

実際には他の人と同程度の汗かきなのに、「自分だけすごく汗をかいていて他人に不快に思われている」と感じてしまって、体育やスポーツを避ける場合もあります。

 

自己臭恐怖

「自分が変な臭いを発しているのではないか?」「それで他人に迷惑をかけている・嫌われている」と感じて、外出ができなくなってしまいます。

 

実際には臭くないことが多く、医療機関で臭いがないことを確認してもらっても、不安は消えません。

 

お腹の音が怖い(腹鳴恐怖)

授業中や仕事中に、空腹でお腹が鳴ると、バツの悪い思いをするものですが、自分のお腹の鳴る音がとても強く大きく感じられ、周りの注目を浴びるのではないかと不安になります。

 

実際には周りには聞こえない音でも、鳴り響いたように感じられたり、「鳴るのでは?」と思うと不安になり、人がいる場所にいられなくなることもあります。

 

人がいると排尿できない(排尿恐怖)

特に男性ですが、トイレで他の人が隣にきたり、後ろで待たれたりすると緊張してしまい排尿できなくなってしまう。

 

個室の場合は、男女を問わず、外で待たれているとプレッシャーになって止まってしまう。

 

特定された場面で起きる?いつも起きる?

これらの不安は、ある特定の場面でだけ起きる場合と、いつも生じてしまう場合とに分けられるといわれます。

 

特定の場面だけであると、自分でも準備・対応することができます。

ただ、次第にエスカレートすることも多く、早めに治療を検討することが望ましいといえます。

 

「家の中、自分の部屋は安心だけど、それ以外ではいつも不安・恐怖を感じる」ことを「全般型」と言いますが、この場合は、社会生活全般に支障をきたすため、家から出られなくなる・治療につながることも困難になる上、うつなどの他の病気を引き起こすこともありとても心配です。

 

社交不安症の要因とは

安心感・信頼感の欠如

対人緊張の不安のベースには、安心感・信頼感の欠如があるといわれています。

 

安心感とは

✔️ 自分が唯一無二の大切な存在であると感じられる。

✔️ ダメな時でも愛される

✔️ 居場所がある

 

信頼感とは

✔️ 自分は信頼できる誰かにつながっていると感じられる

✔️ いつでも困ったら誰かが助けてくれると感じられる

 

安心感・信頼感は、通常、幼少期の親子関係のなかで獲得されるものであるため、対人不安症のベースに親子関係の不全があることは否定できないように思います。

 

ただ、安心感・信頼感を獲得するために、ひとの2倍、3倍の「愛情補給」や「守り」が必要なお子さんもいらっしゃるので、その場合は、子どもの性質を理解して育むことも必要です。

*「信頼感」「ひといちばい安心感が必要な子ども(HSC)」については、こちらの記事も参考にどうぞ。

 

また、「前思春期(10〜12歳くらい)」、「思春期(13〜18歳くらい)」など、内面が大きく成長・変化する時には、時期としてとても情緒不安定になりやすく、それが引き金になることもあります。

 

社会人になったときや、昇進したときのように、社会的に大きな変化があった時にも同様と考えられます。

 

きっかけとなる出来事・失敗

人に対しての安心感・信頼感が薄い中では、小さな出来事や失敗が、とても辛く苦しく体験されます。

例えば・・・

✔️ 授業中「声が小さい」と注意されて恥ずかしかった

✔️ 「顔が赤くなってる」とからかわれたり、「手がふるえてるよ」と指摘されて恥ずかしかった

✔️ 新しい環境で緊張して馴染めない時・周囲にはグループが作られていくが入れない時に、人の視線が気になったり、自分がダメだと感じて自信をなくしてしまう、など

 

本人がそう感じた時に、「安心・信頼できる人間関係・場所」に戻り、日常生活の中で傷つきを癒していければよいのですが、それが叶わないと、次第に「社交不安症」の症状としてまとまりを作ってしまいます。

 

このような不安を本人が訴えた時には、本人の訴えに注目してしまうと、かえって症状を強化してしまうこともあるように思います。

 

例えば、「誰だってそう感じるよ」と辛さを否定したり、「大丈夫、明日は頑張ろう」と励ますことで本人の「あるがままでもいいよ」の安心感・信頼感が揺らぎ「ダメな自分」が強化されてしまう、というように。

 

本人が「失敗したと感じた」「恥ずかしかった」「つらかった」と訴えたら、ただ「そんなことがあったんだね」「わたしでも不安に感じてしまうかもしれない」「よくがんばったね」と丸のまま受け入れてくださるといいんだけどなぁ・・・。

 

社交不安症の治療

社交不安症の治療には大きくわけて医療機関でのお薬の治療と、カウンセリング生活習慣の見直しの3つがあり、状況に応じて組み合わせることが必要です。

 

投薬治療

症状が強くて日常生活・社会生活に大きな影響が出ている場合は、医療機関に相談することが望ましいと思います。

 

不安や緊張をやわらげるお薬を服用することで、日常・社会生活をとりもどせると、失っていた自信を取り戻すことができます。

 

ただし、「楽になっから」と勝手に服薬を中断するのはお勧めできません。ドクターとよく相談しましょう(ドクターとのコミュニケーションが自信を取り戻すきっかけになる人もいらっしゃいます。)

 

カウンセリング

社交不安症のカウンセリングは、認知行動療法で本人の考え方・感じ方の偏りを見直す・整える方法がよくとられます。

 

カウンセラーという第三者と一緒に、困っている場面を多面的に見直すことで、気づきが生まれたり、対策を相談したりすることができます。(わたしも学校などでは、この方法で生徒と話し合ったり、保護者や先生方に協力を要請したりすることが多いです。)

 

ただ、症状が重いほど、認知行動療法では改善しないようにも感じています。というのも、この症状のベースに「安心感・信頼感の欠如」がある以上、そこを補充・再獲得することが求められるからです。

 

「安心感・信頼感」が基本的に幼少期に獲得されるべきものであるため、後から補充・獲得することは容易ではありません。

 

ですが、これまで対応した事例から

 

✔️ 自分でわかっていてもどうにもならない辛さをカウンセラーにそのまま受けとめてもらう

✔️ 癒えることなく続いてきた傷・痛みをケアする(トラウマケア)

✔️ カウンセラーとの関係の中で、不安や不信を話し合っていく

✔️ 封印していた自分らしさを見つけていく

 

のようなプロセスを通じて、少しずつ、不安や緊張を自分で抱えて、ほどよくコントロールしていけるようになることも可能であると思っています。

 

生活習慣の見直し(マインドフル)

社交不安症の改善にもう一つ欠かせないこと。それは、生活習慣の見直しです。

社交不安症は、対人不安を避けるために、活動が制限されやすく、それがこころの健康にも影響しやすいと考えられています。

 

よくいわれることですが、生活リズムを整えること、気持ちよくできるエクササイズを取り入れること、またこのような努力を重ねることで、自分の中の自信をもう一度取り戻していくことが大切です。

 

もうひとつ、お勧めしたいのが「マインドフル」です。

マインドフルというのは、「あるがままの自分を受け入れる」生き方で、禅の考え方がベースになっています。

こちらに詳しく説明していますので、参考になさってくださいね。

 

社交不安症について・まとめ

社交不安症について、どのような症状があるのか、その要因と治療方法についてお話ししました。

 

「誰にでもあること」だし「自分でなんとかすれば大丈夫」だと思いがちですが、日常的に不安や緊張が強い・強まってきている時や、緊張場面を避けるために生活範囲が狭まってきているときは、専門家への相談が必要です。

 

医療機関を探す時には、ご自分が通いやすい場所名「心療内科」「精神科」で検索してみてください。

 

医療機関によっては、カウンセラーが在中しているところもありますが、ご自分で探す場合は、こちらを活用ください。

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ご予約はカレンダーからどうぞ。(オンライン・お電話の相談も可能です

 

不安とほどよく共存して、自分のペースで生きていけるようになりますように!
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