些細なことでイライラ・怒りが爆発する〜原因と解消法は?
東京・青山の心理カウンセリングルーム「はこにわサロン東京」の吉田(臨床心理士・公認心理師)です。
ささいなことにものすごくイライラして怒りが爆発してしまう。
不機嫌になって人に怒りをぶつけずにはいられなくなる。
こういうことがよく起きていたら、毎日がストレスだらけ、しんどく生きづらくなってしまいます。
この記事では、自分を乗っ取ってくる強い怒りがなぜ生じるのか、どうすれば手放せるのかについてお話していきます。
怒りに乗っ取られる不自由さを手放して、軽やかに自由に生きられるようにしていきましょう。
些細なことでイライラし、怒りを爆発させていませんか?
日常生活の中で生じるちょっとしたこと、いちいち目くじらたてて怒らなくても済むと思うのにすごくイライラしてしまうことはありませんか?
■急いでいるのに電車が遅れた・渋滞している
■お店の人が無愛想だった
■感謝されない
■真剣味が足りない etc, etc…
確かにどれも、イライラさせられることではありますが、いちいち強く腹を立ててしまうと自分も疲れるし、対人関係を壊してしまうことにもなりかねず、不自由です。
些細なことで怒りが爆発する理由とは
人を家に例えて説明しますね。
自分の中には、いろいろな自分がいます。
それは、喜怒哀楽のような感情であったり、仕事の顔、親の顔、プライベートの顔など、立場や場面に応じて変わる自分だったりします。
いろいろな自分を「自分」が取りまとめているわけです。
さて、些細だけど、イラッとさせられることがあると、こころの中はこのようになるでしょう。
このように、自分の中で、怒りの感情が強く、大きく膨らみます。
けれども、今目の前で起きていることだけなら、イライラ・ムカムカしても、大人の態度でスルーして後で愚痴って発散する、怒りをコントロールして相手に自分の気持ちを伝えるなどの行動ができるものです。
けれども、もし、過去にも似た体験があると、それらも同時再生されてしまうことがあります。このように・・・。
こうなってしまうと、冷静な態度で対処することはとても難しくなります。
さらに、その体験の中に
■罪悪感(自分のせいだ、恥ずかしい)
■孤独(誰も知らない、気づいてもらえない)
など、尊厳を傷つけるような要素が含まれていると、怒りや悲しみの破壊力が増します。
つまり、些細なことで強く怒ってしまったり、長い時間イライラしてしまうのは、今の出来事だけではなく、過去の同様の体験や、怒り・悲しみが足し上げられたり、掛け合わされたりして巨大化することで生じてくるのです。
ちなみに、このような作用は、その人のこころが弱いから、我慢が足りないから生じるわけではありません。
同じことが起きれば誰にでも生じる、自然・当然なことです。
強い怒りのハイジャックはどうすれば解消できる?
些細なことでイライラ・怒ってしまう、人にぶつけてしまうのは、現在の出来事だけでなく、過去の体験の足し上げ・掛け合わせによって、今の自分がハイジャックされてしまうことで生じます。
では、どうすれば、それを解消できるのでしょう?
②過去をふりかえり整理する
詳しく説明していきます。
① 今と過去を分ける
「なんでこんな些細なことで腹が立つ?傷つくんだろう?」と思っていませんか?
そう思うとき、今=些細なこと、と、過去=たくさんの似た体験、とが足し上げられ、掛け合わされて巨大化しています。
ひとまず「足し算・掛け算・同時再生が起きているかも」と考えてみてください。
いちばん腹を立てているのは過去の自分たちなんじゃないか?という視点を持つと、少し客観的になることができます。
すると「よくわからないけど怒りが炎上して止められない」を防ぐことができます。
そして、ひとまず今のことだけにフォーカスして、対処してみましょう。
今のことだけ、であれば、腹は立つけど爆発はしないでいられるのではありませんか?
もし、爆発せずにいられたら、そうできた自分にどうぞ「やったね!」「助かったよ!」と感謝と労いの声をかけましょう。
② 過去をふりかえり整理する
さて、「今」にフォーカスしてうまく怒りに対処できたら、今度は、今日の出来事の何が過去の体験・怒りを同時再生させてしまったのかを検討していきましょう。
「似た体験があったかな?」と考えると思い浮かぶことはありますか?
「まただ」「いつもこうだ」と思う場合は、いくつも浮かんでくるかもしれません。
核となりやすいのは、家族や友人など、自分にとって大切な存在との間で生じた体験です。
いじめ、暴言暴力、ネグレクト。
また、自分ではそれほどのこととは思っていなかったけれど深い怒りや悲しみを残した出来事かもしれません。
信頼している人、助けてもらえるだろうと思っていた人、安心して付き合っていた人から受けた心ない言葉、無視、人格否定、暴言暴力などは、社会全体への安心信頼を破壊する作用を持つため、そうでない人から受けた場合の数倍のダメージを残します。
ですから「昔のことなのに」とか「相手だって悪気があったわけじゃないのに」などと片づけてしまわずに、当時の自分の気持ちを思い出してみましょう。
ショック。
苛立ち。
悲しい。
心細い。
信じられない。
怒り。
孤独。
誰にも言えない(恥ずかしい)。
こんな気持ちがあったのではないでしょうか。
ご自分の中のこのような感情・感覚が傷ついたまま放置されていると、ふとした時に再生されます。
再生、といっても、記憶ではなく、感覚や体感として再生されることが多いです。(辛い記憶は閉じ込められていることが多いため。)
ですから、ふりかえりをする時には、ぜひ、過去の自分に温かい眼差し、思いやりのある言葉かけをしてほしいと思います。
悲しみや怒りは、大切な人(大切な自分)にきちんと受け止めてもらえると、不意に再生される傷つき(トラウマ)ではなく、過去の出来事として自分の中にしまっていく(あるいは忘れていく)ことができるようになります。
カウンセリングにできること
現在と過去を分けて、過去を整理することで、過去の怒りに乗っ取られなくて済むということをお話しました。
ただ、中には、過去の出来事があまりに大きすぎてご自分だけでは向き合うことが難しい場合があります。
例えば、暴言暴力やネグレクト、ハラスメントが、幼少期からあった、長い期間続いた、信頼できるはずの人との中で起きた、事件事故、災害などによるショック体験は、信頼できる他者の助けが必要になることが少なくありません。
そのような時は、専門家にご相談くださいね。
「はこにわサロン東京」でもカウンセリングを受付ています。
まとめ
些細なことで怒りを爆発させてしまうのは、過去の傷つき体験が同時再生されて対処不能になることが関係しています。
現在と過去を分ける視点を持つこと。
過去の体験をふりかえり、辛かった気持ちに寄り添い、整理し直すことで、怒りに呑み込まれなくなることができます。
まずは、自分で試してみてほしいのですが、おひとりでは難しい時は、どうぞご相談くださいね。
過去の傷つきを整理すると、驚くほど、今が軽やかに、楽に生きられるようになります。そういう自分を取り戻してくだ
さい。