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子どもの癇癪がひどいとき無視はNG。イライラを解消する方法とは?

 
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外資企業勤務後、心理臨床を志す。臨床心理士の資格取得後は東京・神奈川・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年、東京都港区・青山一丁目に「はこにわサロン東京」を開室。ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析を行っている。日本臨床心理士会、箱庭療法学会所属。
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東京・青山の心理カウンセリングルーム「はこにわサロン東京」の吉田(臨床心理士・公認心理師)です。

 

「また癇癪…。何度も何度も泣かれて、どう対処すればいいのか分からない…」そんなふうに感じているお父さん・お母さんは少なくありません。

 

癇癪は、子どもの成長過程で避けられないものですが、対応に困ることも多いと思います。

 

この記事では、癇癪の原因を理解した上で、どのように対応したら親子のイライラを減らせるか、子どもが感情をコントロールする力をつけられるかについてお話ししたいと思います。

 

癇癪とは

癇癪(かんしゃく)は、子どもが感情をコントロールできずに起こす感情爆発を指します。泣いたり、叫んだり、叩いたり、地面に寝転がるなど、激しい行動を伴います。

 

癇癪は子どもの成長過程でよくみられます。子どもの脳は、まだまだ未発達です。世の中の成り立ちがよく理解できていませんし、言葉も感情のコントロールもまだまだ上手にはできません。

 

これは、人間の脳のイラストです。人間には大きくわけて「生存脳」と「理性脳」があります。「理性脳」は言葉を使って論理的に考える役割を果たす部分ですが、完成するのに25年くらいかかります。

子どもの癇癪は、この生存脳の暴走と関係があります。子どもが「びっくりして、自分が脅かされた」と感じると、生存脳が主導権を握って感情を爆発させてしまうのです。

 

癇癪を起こした子どもを落ち着かせるには、言葉ではなく、感覚で伝えるのが効果的です。刺激となっている場所から離れ、子どもの気持ちが落ち着くように、よしよし、トントン、優しく身体をさすったり、穏やかな声で話しかけること、何か飲み物を飲ませるのもいいですね。

 

逆に、無視する、叱る、脅す、怖がらせる、驚かせることは、癇癪を悪化させます。

 

なぜなら、困って泣き叫んでいるのに、その態度がよくないという大人側の理由で無視されたり叱られたりすると、子どもにとっては大人から心理的な暴力を受けているのと同じと体験されるからです。

 

癇癪は、子どものSOSです。大人が感情的になることなく、冷静に対処してあげることが大切です。

 

子どもが成長するに従い、子どもの理解力や、言葉で伝える力、感情を調節する力がついていきます。その間、大人が上手にサポートしてあげられると、子どもの感情コントロールする力やコミュニケーション力を育むことができますよ。

 

年齢による癇癪の違い

乳児期(0~2歳)

この時期の子どもは、自分の欲求や不快感を泣いたり怒ったりして(つまり癇癪で)伝えようとしてきます。

 

大人は、子どものニーズを汲み取り、対処してあげることが求められます。お腹が空いているのか、眠い、疲れた、抱っこしてほしいなど、できるだけ、応えてあげることが大切です。この時期に、周りの大人に自分のニーズを満たしてもらえたかどうかが、子どもの安心感の発達に影響します。

 

幼児期(2~4歳)

この時期、子どもの行動範囲が広がります。「自分にはできる!」という万能感を持ち、「自分でやってみたい」チャレンジ意欲が生まれます。この時期にさまざまな挑戦をし「できた!」という体験をすることが、子どもの自己効力感(自分にはきっとできるという感覚)を育てます。

 

しかし、実際にはこの時期の子どもにできることは限定的ですし、子どものやりたいことには大人にもできないこと・自然の成り立ちに反することも含まれるため、不満を抱きやすい時期でもあります。また、自分でやりたい気持ちを、大人に反発することで表現する時期(イヤイヤ期)でもあり、感情を爆発させやすくなります。

 

思い通りにならないと激しく泣き叫んだり、抵抗したり、物を投げる、叩く・蹴るなどの行動が生じることもあります。

 

これらの激しい行動は望ましくないことを子どもに伝えてあげなければなりませんが、大人が感情的になって強く叱ったり、脅したりすることは慎む必要があります。

 

まずは、思い通りにならなくて悔しい気持ちに寄り添いましょう。できれば、静かな場所に移動するなどして、落ち着いた態度で「嫌だったね」「悔しかったね」と子どもの感情を言葉にして伝えながら、子どもが嫌がらなければ背中をさするなどして落ち着かせます。

 

少し落ち着いてきたら、大人が態度で深呼吸を促して、一緒にしてあげます。大人の助けで気持ちを落ち着かせることができたことを「よくできたね」「えらかったね」とねぎらいます。何か飲み物を飲むのもよいでしょう。

 

この時期の子どもには、例えば道路で暴れたら危ないよ、とか、他人を攻撃してはいけないよ、などの社会ルールを教える必要があります。しかし、癇癪の最中に言っても伝わりませんし、気持ちが落ち着いていない時に叱ると、子どもにうまく伝わらないこともあります。十分、気持ちが落ち着いた時に、短く、わかりやすく、伝えてください。一度で伝わらない(行動を改められない)時でも、やり方は同じです。根気よく、短く、わかりやすく伝えていきましょう。大人が感情的にならずに教えてくれる体験は、子ども自身が感情コントロールを学ぶお手本となります。

 

どの年齢でも共通することですが、子どもの態度がよくないからと言って無視すると、それは、「態度がよくないと教えている」のではなく、「あなたの存在は不要だから無視する」と伝わります。

 

癇癪の態度がよくないことを伝えるためには、いったん受けとめて、落ち着かせてから、何がいけないかを短くわかりやすい言葉で伝えること、望ましくない態度を子どもが取らないで済むように、親子で協力することが必要です。

 

癇癪を引き起こす3つの原因

①    欲求不満

子どもが自分の欲求を満たせないとき、特に自分の思い通りにいかないときに強い欲求不満を感じ、癇癪を起こします。例えば、欲しいおもちゃが手に入らない、自分の思い通りに積み木が積めない、もっと遊びたい・帰りたくない、などがあります。

 

まだ、自分の欲求をコントロールすることは難しいので、悔しい気持ちを受けとめてあげることが大切です。欲しいものが手に入らなくても、気持ちを受けとめてもらう、なぐさめてもらうことで、子どもの気持ちを満たしてあげることで、対人信頼感と安心感が育まれます。

 

すると、癇癪も収まっていきますし、情緒の安定した子どもに育てていくことができます。

 

②    疲れ

子どもは大人に比べて疲れやすいです。疲れるとイライラして、感情をコントロールするのが難しくなります。長時間のお出かけや、お友だちと遊んで興奮した、睡眠不足などがあります。

 

できるだけ疲れを溜めないようにすることや、こまめな休憩、水分・糖分補給などで予防・対処してください。

 

③    ストレス

新しい環境や人間関係で不安や緊張を感じると、ストレスとなって、癇癪が起こりやすくなります。

 

新しい環境(新年度や引っ越し、新しい習い事、兄弟ができたなど)だけでなく、親が忙しいことや、習い事で頑張らなければいけないことなどもストレス要因となります。

 

子どもにストレスを与える変化が予測されるときは、事前に、子どもに理解できるように伝えて準備をさせておくことが大切です。

 

子どもの不安や緊張は、大人が気づいてあげること、「大丈夫だよ」と穏やかに声をかけて安心させてあげることがとても大切です。不安や緊張を他者のなぐさめによってやわらげる体験が、子どもの自律神経の発達を促します。

 

癇癪に対応する5つの方法

①    冷静さを保つ

子どもが癇癪を起こしたとき、大人が感情的にならないことが大切です。

 

子どもの癇癪は、親を困らせようとする行動ではなく、子どものSOSであることを意識して、子どもが何に困っているのか、子どもの様子を観察、想像してみてください。

 

その際、大人が人目を気にせず対処する場所に移動する、深呼吸をする、水を飲むなどの対応も有効です。

 

大人が冷静で穏やかな態度でいることで、子どもも落ち着きを取り戻しやすくなります。

 

②    共感と理解を示す

子どもが癇癪を起こすときは、何か必ず原因があり、それに対して、ショックや怒り、悲しみなどを感じています。

 

ですから、子どもの気持ちに寄り添って「悔しかったね」「悲しかったね」「嫌だったね」のように、言葉にして伝えながら、子どもの感情が収まるまで穏やかに待ってあげると、子どもの癇癪が落ち着きやすくなりますし、子どもが自分の感情を言葉にすることを助けます。

 

③    選択肢を与える

癇癪が落ち着いたら、子どもに小さな選択肢を与えるのもよい方法です。

 

例えば、「もう1回だけ、すべり台してから帰るのはどうかな?」とか、「片づけは、お父さんと半分ずつやるのはどうかな?」のように、子どもが受け入れやすい方法を提案します。

 

自分で決めて行動できた達成感を感じることは、子どもの自己効力感(自分でできる感覚)を育みます。

 

④    注意を逸らす

子どもが癇癪を起こしそうなときに、子どもの注意を別のことに誘導してあげる方法です。

 

例えば、「先にあの遊具で遊ぶのはどう?」とか「おやつ休憩にしようか」のように。

 

その際、子どもが喜びそうな提案をするのが成功の鍵です。

 

⑤    方針を決めておく

子どもが癇癪を起こしたときに、場当たり的に大人が譲歩を繰り返すと、子どもは「癇癪を起こすことで願いを叶えることができる」と誤って学習してしまうことがあります。

 

ですから、大人側がある程度の方針を持っておくことは大切です。

 

ただ、子どもの癇癪に対して、大人が頑なに約束やルールで対応すると、癇癪を収める糸口がつかめず、癇癪が悪化したり、親子関係が悪化することがあります。

 

ですから、大人側は、子どもの気持ちと方針との間で、ある程度、柔軟な対応を取ることがよいでしょう。

 

また、もし、決めたルールがいつも守れないときは、そのルールを守るのはまだ難しいことを示していますから、ルールを修正することです。

 

例えば、「夕飯の前にお菓子を食べない」がルールでも、もし、毎日バトルになるならば、おにぎりやおせんべいなら食べてよいと修正する。買い物で「お菓子は買わない」と約束したのに、お菓子売り場で癇癪が起きるなら、まだその約束を守ることは難しいのですから、疲れてお腹が空いている状態でスーパーに連れて行かないとか、お買い物に付き合ったお礼に1つお菓子を選んでよいことにするなどの修正が現実的です。

 

ルール・約束事は、親の願いを押し付けるのではなく、子どもが無理なく守れるものにすることが大切です。

 

親の願いを押し付けることで癇癪が悪化することがありますから、注意が必要です。

 

癇癪と発達障害の関連性

発達障害の子どもは、「快い」と感じる幅が狭く、感覚過敏や環境変化の苦手さなどから不安や緊張を感じやすいために、癇癪を起こしやすくなることがあります。

 

日頃から、ストレス過多にならない工夫が必要です。

 

子どもが落ち着く日常生活リズムや環境づくりをすること、変化は事前に伝えて、不安や緊張を緩和するなど。

 

子どもを理解して、サポートするために、療育や医療・心理などの支援を受けることも有効です。

 

癇癪と反抗挑戦性障害の関係

反抗挑戦性障害とは、「6か月以上にわたって持続する持続的な反抗的、挑戦的な行動パターンを特徴とする行動障害」です。

 

親や教師、権威者に対しての怒りや挑発的な態度が目立ち、日常生活に支障をきたすことがあります。

 

癇癪と反抗挑戦性障害は、前者が成長過程で子どもに現れる状態、後者が医療機関で診断される疾患名であるという点で、区別されます。

 

しかし、反抗挑戦性障害と診断される子どもの多くは、生まれつきではなく、幼少期の親子関係など、大人との関係性の中で、不安や恐怖を受けとめてやわらげてもらう体験を持たず、不当に強く叱られた結果、生じてきます。

 

ですから、その背景要因を理解せずに、「反抗挑戦性障害である」と病気扱いすることは、子どもをさらに追い込んでしまうことになりかねません。

 

もし、子どもの癇癪がひどくて、「反抗挑戦性障害なのではないか?」「当てはまる」と思う場合は、カウンセリングを通じて、親子関係や子育てについて振り返りを行い、修正することが大切です。できるだけ早い方が望ましいでしょう。

 

癇癪が続く場合の専門家への相談

癇癪は、子どもの成長過程でよくみられる困りごとです。多くは子どもの成長と共に減っていきますので、心配しすぎることはありません。

 

しかし、子どもの癇癪は大人に強いストレスを与えます。

 

もし、子どもの癇癪に悩んでいるときは、子どもの理解や対応方法の修正をして、癇癪を減らせるといいですね。

 

子どもの癇癪ポイントがわからない、対応方法が分からないとき、また、日常生活に影響が出るときは、専門の臨床心理士・公認心理師への相談が有効です。

 

はこにわサロンでも、子どもの癇癪についてのご相談を受け付けていますから、お気軽にご相談ください。

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最後に

癇癪は、多くの子どもが成長の途中でみせる態度です。子どもの性質によって、癇癪を起こしやすい子、起こさない子がいますから、親の子育てが悪いというわけではありません。

 

しかし、力で抑えようとしたり、不寛容な対応をすると、子どもの癇癪を悪化させてしまうことがあります。

 

子どもの癇癪は、必ず、何か理由があって起こります。ですから、よく観察して、気持ちを受けとめてあげることや、寄り添って気持ちをやわらげてあげられると、子どもの感情コントロールの力や自己効力感、自律神経を整えること、親子の信頼関係を作ることができます。

 

親が対応方法を持っておけると、親子双方のストレスを軽減できますから、観察と工夫を重ねてみてください。

 

糸口が掴めないとき、悪化しているときは、専門家(臨床心理士・公認心理師)にご相談ください。

 

子どもの癇癪を解消して、楽しい子育てを取り戻しましょう。

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