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パワハラと言われないために〜上司のためのアンガーマネジメント

 
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外資企業勤務後、心理臨床を志す。臨床心理士の資格取得後は東京・神奈川・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年、東京都港区・青山一丁目に「はこにわサロン東京」を開室。ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析を行っている。日本臨床心理士会、箱庭療法学会所属。
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東京・青山の心理カウンセリングルーム「はこにわサロン東京」の吉田(臨床心理士・公認心理師)です。

 

この記事では、パワハラについて、パワハラがなぜ起きるのか、どうすればハラスメントをしないリーダーに変わることができるかについて説明しています。

 

パワハラとは?

パワハラ(パワーハラスメント)は、職場での上下関係を背景にして、権力を持つ人(上司や先輩など)が、立場の弱い人(部下や後輩など)に対して行う不適切な言動や行為を指します。

 

身体的な暴力、物を蹴るなどの対物暴力はもちろん、そのほかにも7つのハラスメント例を挙げます。

①暴言

「頭悪すぎる」

「頭が悪い」と決めつけて、人格を否定する言葉でNGです。

 

「こんなこともできないなら辞めろ」

脅しにあたり、不適切です。

 

「社会人失格だ」

どんな点が望ましくないのか、どう改善すべきかを、相手にわかるように冷静に伝える必要があります。

 

「こんな簡単なことも理解できないのか」

指示を出す側が相手に伝わるように説明する必要があります。

 

「これ以上のミスは許さない。次はただじゃ済まないぞ。」

脅しで不適切です。なぜミスが生じたのか、話を聞いて、防止策について話し合う、次回はうまくいくようにサポートする必要があります。

 

大声で怒鳴る

大声での叱責は、相手に恐怖感を与え、過剰で不当なストレスを与えます。

 

部下が萎縮して必要なコミュニケーションが取れなくなると、部下のパフォーマンスが悪化する悪循環になります。

 

また、周囲の社員にも不安や緊張感を与えるために、職場全体の雰囲気を悪化させます。

 

③見下す態度・嘲笑する態度

見下す態度は嫌悪感を生み、信頼関係を損ないます。

仕事を円滑に進めるのに必要なコミュニケーションを阻害し、やる気を低下させます。

 

④威圧的なボディランゲージ

相手を睨みつけることや、無言で黙り続けること、舌打ちや指で机を叩いて不満や苛立ちをアピールすること、また、大きな音を立てることは相手を威圧します。

 

また、至近距離まで近づくことは、相手のパーソナルスペースを阻害するので望ましくありません。

 

⑤過度な業務の要求または業務上の妨害

達成不可能な目標を与えること、相手の力量に見合わない量や難度の仕事を押し付けることや、十分な作業時間を考慮しないことは、仕事に見せかけたハラスメントであり、不適切です。

 

逆に、業務を全く与えない、またはスキルや能力に見合わない単純作業だけをさせる。例えば、重要な仕事から外して、雑務だけを担当させることは、相手をおとしめる行為です。相手の力量が不足している場合は、客観的な評価と、今後どのように力をつけていくのがよいかを話し合い、手助けする必要があります。

 

⑥人間関係の切断

意図的に無視したり、孤立させたりすること。例えば、会議に呼ばない、ひとりだけ誘わない、目を合わせない、挨拶しないなどコミュニケーションを避けたり、妨害することは、ハラスメントです。

 

上司が部下を無視する態度は、多くの場合すぐに他の職員の気づくところとなります。すると、職場全体のやる気の低下、心理的安全性の低下が起こります。

 

⑦私的な領域への過度な干渉

家族やプライベートについて詮索することや、プライベート時間の使い方について干渉することは、過度な干渉です。

 

パワハラはなぜ起こる?3つの理由

パワハラがなぜ起こるのか、その理由には以下のようなものがあります。

 

①誤ったリーダー像

ひと昔前(例えば昭和)のリーダー像は、今ではパワハラ、モラハラだと訴えられてしまう言動が当たり前に許されていました。そのため、一方的で威圧的な態度が強いリーダー、望ましいリーダーであると誤解している場合があります。

 

②職場のカルチャー

上下関係や権力構造の強い職場では、権力を持つ側が自分の立場を利用して相手を支配しようとしてしまうことが生じやすいです。パワハラ文化が「当たり前」として、次の世代に引き継がれてしまうことも少なくありません。

 

③上司自身のストレス

上司がストレスやプレッシャーを抱えていると、その解消のために、部下に対して不適切な態度をとってしまうことや、部下にも強いプレッシャーを与えてしまうことが起こりやすくなります。また、人は誰でも、強いストレスにさらされていると、余裕がなくなるため、感情的に怒りやすくなります。

 

パワハラを防止するためにできることとは

では、パワハラを防止するためにできることには、どのようなことがあるでしょうか。

 

①十分な知識を持つこと

●パワハラについての知識を持つことで、どのような行動がパワハラに該当するかを理解でき、誤解や摩擦を回避する助けになります。

 

●「自分の常識」や「自分にとっての当たり前」ではなく、正しい知識を得ることが大切です。

 

●「権威的な態度で相手を威圧することで職員のパフォーマンスが上げる」や「感情的になることはこちらの真剣さや相手への愛情を伝える行為だ」という考えは誤りであると理解する必要があります。(権威的・威圧的な態度は部下のモチベーションを下げます。感情的な態度は相手に恐怖を与えるだけです。)

 

②感情コントロール

●自分の言動が他者にどう影響しているかを意識することが重要です。感情的な言動は、相手を不安・不快にするため、こちらの意図をうまく伝えることが難しくなることを認識する必要があります。また、相手の反応をよく観察して、伝わっているかを確認したり、落ち着かない様子が見られた時は、相手に「大丈夫ですか?」と問いかけながら、自分の態度を修正することが大切です。

 

●感情を高ぶらせないで済むような設定やシナリオを事前に考えておくことはとても重要です。いったん感情的になってしまうと、その場で感情をコントロールしながら建設的な話し合いをすることは困難です。そうならないで済むように、事前準備をしておきましょう。

 

●感情がたかぶってしまった時は、一旦、休憩を挟む、別の機会を設けるなど、気持ちを落ち着けて話せる工夫をしましょう。

 

●いつも感情を抑えられない場合は、アンガーマネジメントについて学ぶ、講座やカウンセリングを受けるなど、自己変容が必要です。

③適切なコミュニケーション

●誰でも意見を言いやすい雰囲気を作ることはとても大切です。そのためには、意見を否定せず肯定的に受け止める態度、関心を持って聞く態度などで接することが必要です。

 

●異なる意見や反対意見を頭から否定するのではなく、いったん受け止める態度が大切です。頭ごなしに否定されないことがわかると、対話が活性化します。

 

●部下や同僚が話しやすい環境設定を作ります。雑談形式、ワン・オー・ワン、文字の方が気持ちを伝えやすいなど、話しやすい環境設定は人によって異なります。

 

●指示やフィードバックは、わかりやすく、具体的にすることも、互いのストレス軽減に貢献します。

 

●質問には親切に答えるように心がけることは大切です。上司や周りの反応を怖がらずに質問できる雰囲気があると、心理的安全性が増し、職場のパフォーマンスが向上します。(心理的安全性については、後ほど改めて説明します)

 

組織ができること

パワハラを防ぐためには、個人が気をつけることだけでは十分ではありません。

組織がはっきりしたガイドラインを提示することや、職員が必要な知識や態度を身につけることをサポートすることが必要です。

 

①パワハラ防止のポリシー

●組織として、パワハラ防止に関する明確なポリシーやガイドラインを設け、それを全従業員に共有することが必要です。これには、パワハラが許されないこと、どのような行為がパワハラに該当するのか、パワハラが発生した際の対応策などが含まれます。

 

②研修制度

●全職員むけの研修では、パワハラの認識と防止方法を共有し、パワハラに対する意識を高めることができます

 

●管理職向け研修では、パワハラを防ぐリーダーシップとはどのようなものか、部下への適切なコミュニケーションについて学ぶことが有効です。

 

●定期的な研修を通じて、管理職や従業員に対してパワハラの認識と予防策を教育し、全体での意識を高めることが大切です。

 

③相談窓口の設置

●パワハラについて相談できる窓口の設置と、利用方法について周知することが必要です。

 

●相談にあたっては、相談者のプライバシー保護の徹底、公正で中立的な態度で迅速に対応すること、問題が解決するまでのフォローアップが必要です。

 

●被害者が安心して相談できるように第三者機関を設置することも有効です。

 

④職場環境の改善

●パワハラが発生しやすい職場の要因(過度なプレッシャー、長時間労働、過度な競争など)を減らし、健全な職場環境を構築することが求められます。働きやすい環境を作ることで、従業員がパワハラを受けるリスクが低減されます。

 

⑤心理的安全性

心理的安全性とは、職場などの集団の中で、自分の意見やアイデアを自由に表現したり、質問をしたり、間違いや失敗を認めたりしても、仲間や上司から非難されたり罰せられたりしないと感じられる状態を指します。

 

心理的安全性が高い職場では、従業員がリスクを恐れずに発言しやすく、相互の信頼が育まれ、生産性やイノベーションが向上します。

 

失敗やミス、「ヒヤリ・ハッと」を、共有し、誰が悪いかではなう、どうすれば改善できるかを話し合う仕組みを作ることが心理的安全性を高め、職員のモチベーションを高めます。

 

会議やミーティングの際には、発言者の話を遮らず、しっかり耳を傾ける。また、異なる視点や意見に対しても、批判するのではなく建設的な議論を行うよう促します。

 

パワハラを防止・解消するためのアンガーマネジメント・カウンセリング

パワハラ(パワーハラスメント)とは、職場で権力を持つ人が立場の弱い人に対して行う不適切な言動を指します。

 

感情コントロールが苦手で職場でついカッとなってしまうことがある、職員が自分を怖がる・萎縮する様子が見られる、ハラスメントだと言われたときは、アンガーマネジメントのプログラムを受けることが効果的です。

 

はこにわサロンでは、「我慢しないアンガーマネジメント・カウンセリング」(全6回)をおこなっています。初回は無料動画の視聴ですので、まずは、動画を通じて、どうすれば怒りをコントロールできるのかについて学んでみてください。

 

アンガーマネジメント・カウンセリングを通じて、自分の怒りがなぜ生じているのかを理解し、その対応方法を実施することで、今よりずっと建設的で効果的なリーダーシップを発揮できるようになります。

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外資企業勤務後、心理臨床を志す。臨床心理士の資格取得後は東京・神奈川・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年、東京都港区・青山一丁目に「はこにわサロン東京」を開室。ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析を行っている。日本臨床心理士会、箱庭療法学会所属。
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