いじめやハラスメントのターゲットになりやすい人の特徴と変えるには?
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東京・青山の心理カウンセリングルーム「はこにわサロン東京」の吉田美智子(臨床心理士・公認心理師)です。
いじめやハラスメントは加害者の問題であり、ターゲットになる側に「責任があるわけではない」 ことが大前提です。
しかし、加害者が「攻撃しやすい」と感じる特徴があると、ターゲットになりやすくなることがあります。
以下では、いじめやハラスメントの標的にされやすい人の特徴と、その背景にある心理について解説します。
① 断れない・NOが言えない(従順すぎる)
■頼まれると嫌でも断れない
■理不尽な要求にも「仕方ない」と思って応じる
■強く言われるとすぐ折れてしまう
なぜターゲットにされる?
加害者は「抵抗しない相手」を狙う傾向があるため、「この人は何を言っても逆らわない」と判断されると、いじめやハラスメントがエスカレートしやすくなります。
背景にあるもの
幼少期に「嫌と言うと怒られる」「周りに合わせるべき」と学んできた人は、対立を避けるために「従順さ」でその場をやり過ごすことが多いです。
② 自己主張が苦手・意見をあまり言わない
■会議や話し合いで意見を言えない
■人と意見が違っても、合わせてしまう
■争いを避けるために黙ることが多い
なぜターゲットにされる?
「何を言われても反撃しない人」と思われるため、標的になりやすい。自己主張しない人は、加害者にとって「やりやすい相手」と見なされる。
背景にあるもの
内気で主張することが苦手な方。また、幼少期に「自分の意見を言うと怒られた」「家族の中で意見が通らなかった」などの経験があると、「どうせ言っても無駄」と感じるようになり、自己主張を避けるようになる。
③ 目立ちすぎる or 目立たなすぎる(集団から浮きやすい)
■特定の才能・能力があり、嫉妬されやすい(成績が良い、仕事ができる、外見など)
■おとなしく、控えめすぎて存在感が薄い
■趣味や価値観が周囲と違い、共感されにくい
なぜターゲットにされる?
「目立つ人」は嫉妬や妬みの対象になりやすく、「目立たない人」は孤立しやすいため、攻撃されやすくなります。
背景にあるもの
「目立つ人」は、加害者の劣等感や嫉妬心を刺激しやすいです。
「目立たない人」は、「この人なら反撃しない」「周りに守ってくれる人がいない」と思われると、いじめの標的になりやすいのです。
④ 共感力が高すぎる(相手の感情に敏感)
■相手が怒ったり、悲しんだりするとすぐ気を遣う
■人に嫌われないように細かく気を配る
■人の機嫌に左右されやすく、緊張しがち
なぜターゲットにされる?
共感力が高い人ほど「攻撃したときの反応が面白い」と思われ、いじめがエスカレートしやすくなることがある。
背景にあるもの
優しくて共感力が高い性格(HSP)。また、幼少期に「親の機嫌を気にしながら生きてきた」「親が感情的で振り回された」経験があると、相手の感情を敏感に察知しすぎる癖がつきやすいです。
⑤ 責任感が強すぎる(頼まれると断れない)
■「自分がやらないとダメ」と思いやすい
■誰かが困っていると、つい助けてしまう
■過剰に仕事や責任を押し付けられることが多い
なぜターゲットにされる?
責任感が強い人は加害者から都合よく利用されやすいです。
背景にあるもの
責任感が強い人。長男長女など、責任を持たされて育ってきた人。また、幼少期に「親の期待に応えないと認められなかった」「頑張ることで愛された」などの経験があると、「自分がやらなきゃ」と過剰に責任を背負ってしまうようになります。
⑥ 自己肯定感が低く、「自分は攻撃されても仕方ない」と思っている
■嫌なことをされても「自分が悪いのかも」と思う
■人からの評価に敏感で、常に認められようとする
■自分に自信がなく、他人の意見に流されやすい
なぜターゲットにされる?
加害者は「反撃してこなそうな人」を嗅ぎ分けるため、自信がなく萎縮している人ほど、攻撃の対象にされやすい。
背景にあるもの
幼少期に「ダメ出しが多かった」「親の顔色をうかがう環境で育った」などの経験があると、「自分には価値がない」と感じやすく、攻撃されやすくなってしまいます。
ターゲットになりやすい人の特徴・まとめ
- 断れない・NOが言えない
- 自己主張が苦手で意見をあまり言わない
- 目立ちすぎる or 目立たなすぎる
- 共感力が高すぎて、相手の感情に振り回されやすい
- 責任感が強く、頼まれると断れない
- 自己肯定感が低く、攻撃されても「自分が悪い」と思ってしまう
どうすればターゲットにされにくくなる?
① 小さな「NO」を言う練習をする
いきなり強く自己主張するのが難しい場合、「今日はちょっと無理かも」など、小さなNOを言う練習をしてみてください。少しずつ、必要な場面で自分の意見を言えるようになっていきましょう。
② 表情や態度を少し変える
自信がなく見えるとターゲットにされやすので、背筋を伸ばす、相手の目を見て話すなど、姿勢や態度を変えてみてください。自分に自信が持てるようにもなり、一石二鳥です。
③ 相談できる味方をつくる
自分の気持ちを率直に話せる人がいると、ひとりで抱え込まずに済みますし、ターゲットにされることを防いだり、早期に解決できるようになると思います。
④ 「自分の価値は相手の評価で決まるわけではない」と意識する
相手の言葉や態度に振り回されないよう、「自分はこれでいい」と思う習慣をつけましょう。自分軸が定まると、つけ込まれにくくなります。
いじめやハラスメントを受けやすい人は、過去の経験から「自分が我慢すれば丸く収まる」と思いがちなところがあるかも知れません。でも、それは理不尽な我慢で、あまり繰り返してほしくはありません。
小さな工夫を通じて、自分を守る力をつけていきましょう。
安易にターゲットにされることのないように、こころから願っています。
もし、ターゲットにされてしまい、相談できる人がいないときは、どうぞ、カウンセリングを利用してくださいね。