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醜貌恐怖(身体醜形障害)とは?特徴・治療法・自分や周囲ができること

 
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外資企業勤務後、心理臨床を志す。臨床心理士の資格取得後は東京・神奈川・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年、東京都港区・青山一丁目に「はこにわサロン東京」を開室。ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析を行っている。日本臨床心理士会、箱庭療法学会所属。
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東京・青山の心理カウンセリングルーム「はこにわサロン東京」の吉田美智子(臨床心理士・公認心理師)です。

 

「自分の容姿が醜い」「人から気持ち悪いと思われている」と強く思い込み、日常生活に支障をきたしてしまうのが醜貌恐怖(しゅうぼうきょうふ)です。

 

これは「身体醜形障害(Body Dysmorphic Disorder: BDD)」とも呼ばれ、単なる外見のコンプレックスとは異なり、強い苦痛や不安を伴う精神疾患の一つです。 

 

自分では「絶対に醜い」と確信しているため、他人が「気にすることないよ」と言っても受け入れられず、鏡を見続けたり、逆に鏡を避けたり、美容整形を繰り返したりすることがあります。

 

この記事では、醜貌恐怖の特徴やなりやすい人、診断基準、治療法、自分でできる対策、周囲のサポートについて詳しく解説します。 

 

醜貌恐怖の特徴とは?

醜貌恐怖の人は、自分の外見に対して極度の不安や嫌悪感を抱いています。

 

実際には、他人から見れば気になるほどの欠点ではないことが多いのですが、自分の中では「絶対に受け入れられない」「みんなが自分を気持ち悪がっている」と思い込んでしまいます。 

 

醜貌恐怖の主な特徴

■自分の外見の特定の部分に極端にこだわる(例:鼻が大きい、目が小さい、肌が汚いなど) 

■鏡を頻繁にチェックする、または一切見たくない

■写真を嫌がる、外出を避ける、他人と目を合わせない

■他人の視線が自分の外見に向けられていると思い込む

■美容整形や過剰なスキンケア、化粧で「欠点」を隠そうとする

■不安やストレスが強く、学校や仕事に支障をきたす

この症状が日常生活に影響を及ぼすと、「身体醜形障害」と診断されることがあります。 

 

醜貌恐怖になりやすい人の特徴

醜貌恐怖は、さまざまな要因が関係していますが、特に次のような人がなりやすい傾向があります。 

 

① 完璧主義な性格

「自分は完璧でなければならない」という思いが強い人ほど、外見の些細な欠点を受け入れにくくなります。 

 

② いじめや容姿に関する指摘を受けた経験がある

過去に「顔が大きいね」「ニキビが目立つね」などと指摘された経験があると、それが心に深く残り、醜貌恐怖につながることがあります。 

 

③ 家族や文化の影響を強く受けている

家庭で「見た目がすべて」「美しくなければ価値がない」と言われたり、美容やダイエットに厳しい環境で育った人も、外見へのこだわりが強くなりがちです。 

 

④ 不安障害やうつ傾向がある

もともと不安が強い人や、自己肯定感が低い人は、「自分の容姿も人より劣っている」と思い込みやすくなります。 

 

醜貌恐怖の診断基準

DSM-5(精神疾患の診断基準)によると、身体醜形障害(醜貌恐怖)は以下の基準を満たすと診断されます。 

1. 自分の外見の欠点について強くこだわる(実際にはほとんど気づかれない程度のもの)

2. 鏡を頻繁に見たり、整形を繰り返したり、欠点を隠そうとする行動をする

3. このこだわりによって日常生活や社会生活に大きな影響が出ている

4. 別の精神疾患(摂食障害など)では説明がつかない

 

醜貌恐怖の治療法

醜貌恐怖は、適切な治療によって改善することができます。主な治療法は以下の通りです。 

 

① 認知行動療法(CBT)

「自分は醜い」という思い込みを修正し、現実的な視点を持つことを目的とします。「本当に他人は自分の外見を気にしているのか?」といった認知の歪みを修正するトレーニングを行います。 

 

② 薬物療法(抗うつ薬など)

強い不安や抑うつがある場合、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などの抗うつ薬が処方されることがあります(医師の診断・処方)。 

 

③ カウンセリング

醜貌恐怖には、強い不安感、自己否定感、人目や評価への強い不安と恐怖、対人不信感が関係しています。

ですので、これらのつらい不安や恐怖がどのように生まれてきたのかを理解し、整理することが必要です。

 

まずは、不安や恐怖をそのまま、受けとめます。どのように感じているのか、体感も教えてもらいます。どのような時にそう感じやすいのかなどについても理解し、対処方法を一緒に考えます。

 

自分のつらい気持ちを否定しないで受けとめることや、小さな対処法をしてみることを通じて、少しずつ冷静な自分を取り戻していきます。

 

強い不安や恐怖には自律神経の乱れが関係していることが多いので、自律神経を整える方法についても助言します。

 

セラピストとの対話を通じて、少しずつ、自分を肯定することや、不安な時の対処法を学んでいってもらいます。

 

自分を強く否定する自分が緩和されると、醜貌恐怖で表現されていた不適応が改善していきます。

醜貌恐怖に対して自分でできること

「外見=自分の価値」ではないと考えてみる

外見だけが人生を決めるわけではありません。自分の内面、感情、存在など、目に見えない価値に思いを馳せてみましょう。

 

SNSや美容コンテンツから距離を置く

SNSや美容コンテンツに接すると、自分の不安や恐怖が刺激されてしまいます。「見ない不安」もあると思いますが、できるだけ距離を置いてみてください。

 

感情を受け入れて冷静な内面対話を取り戻す

不安は恐怖でいっぱいになっていると、白黒思考になり、自分を否定してしまいがちです。でも、これは、不安や恐怖でいっぱいな時には、誰もがそうなることです。

 

「不安でいっぱい」「怖くて仕方がない」といったネガティブな感情を「そういう気持ちなんだね」と受け止めてみましょう。

 

そして、不安や恐怖に怯える自分に対して、「大丈夫だよ」となぐさめる自分を取り戻していきましょう。

自分で自分を慰められる冷静さを取り戻せると、恐怖に飲み込まれずにいられます。

 

醜貌恐怖に対して周りの人ができること

① 「気にすることないよ」と言わない(本人には響かない)

醜貌恐怖を抱える人に対して、「そんなに気にしなくていいよ」「みんなそんなこと思ってないよ」と励ますのは逆効果になることがあります。

 

本人は「自分が醜い」という確信を持っているため、他人の意見を受け入れにくい状態です。「気にするな」と言われると、「理解されていない」「自分の悩みを軽く扱われた」と感じ、余計に孤独を深めることもあります。

 

代わりに、「何が一番つらい?」と話を聞く姿勢を大切にしましょう。 

 

② 無理に外見を褒めない(プレッシャーになることもある)

「あなたは十分きれいだよ」「そんなに悪くないよ」といった外見に関するポジティブな言葉も、場合によってはプレッシャーになります。本人は「それでも自分は醜い」と感じており、他人の言葉とのギャップがストレスになることがあります。

 

また、「外見を褒められた=見た目を気にするべき」というメッセージとして受け取られ、ますます外見へのこだわりが強くなることも。外見以外の長所や内面の魅力に目を向けるサポートが大切です。 

 

③ 一緒にできることを探す(趣味や活動など)

醜貌恐怖を抱えていると、人と会うことを避けがちになり、結果として孤立しやすくなります。

本人が興味を持てる趣味や活動を一緒に探し、無理のない範囲で社会とのつながりを持てるようサポートすることが重要です。

 

特に、外見を気にしなくても楽しめるオンライン活動や、個人で取り組める趣味(読書、アート、ゲームなど)を勧めるのも良い方法です。

 

無理に外に連れ出すのではなく、本人のペースを尊重しましょう。 

 

④ 専門家のサポートを提案する

醜貌恐怖は、本人の意志だけで克服するのが難しいことが多いため、専門家のサポートを提案することが有効です。

 

ただし、「病院に行った方がいいよ」と押し付けるのではなく、「最近つらそうだけど、カウンセリングを試してみるのはどうかな?」と優しく提案するのが大切です。

醜貌恐怖・まとめ

醜貌恐怖は、単なるコンプレックスではなく、深い不安を伴う心理的な問題です。しかし、適切な治療や考え方の変化によって、少しずつ楽になっていくことができます。

 

自分を責める思考・癖を手放すこと、どんな時でも自分を肯定できる力をつけていくこと、困った時のセルフケアを身につけることなどを通じて、醜貌恐怖から回復していくことができます。

 

はこにわサロンでは、醜貌恐怖のカウンセリングを受け付けています。

ご予約はこちらから。

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外資企業勤務後、心理臨床を志す。臨床心理士の資格取得後は東京・神奈川・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年、東京都港区・青山一丁目に「はこにわサロン東京」を開室。ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析を行っている。日本臨床心理士会、箱庭療法学会所属。
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