東京・青山の心理カウンセリングルーム オンライン・電話対応可

オンラインやお電話でも相談できます

正義感が強い人ほど怒りやすいのはなぜか「正当化マインド」と幼少期体験の関係

 
この記事を書いている人 - WRITER -
アバター画像
外資企業勤務後、心理臨床を志す。臨床心理士の資格取得後は東京・神奈川・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年、東京都港区・青山一丁目に「はこにわサロン東京」を開室。ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析を行っている。日本臨床心理士会、箱庭療法学会所属。
詳しいプロフィールはこちら

東京・青山の心理カウンセリングルーム「はこにわサロン東京」の吉田(臨床心理士・公認心理師)です。

 

怒りのコントロールに関するご相談を受けている中で、「正義感が強い人ほど怒りに悩みやすい」という現象に出会います。

 

✔️ ルール違反が許せない。

✔️ 不誠実な態度に強く反応してしまう。

✔️ 不公平を見ると、どうしても黙っていられない。

✔️ 怒ったあとも「自分は間違っていない」という感覚が残る。

 

正義感は、誠実さや責任感、倫理観の高さを示すものであり、本来は大切な力です。

しかし、それが強い怒りや慢性的なイライラにつながっている場合があります。

そこには、いくつかの心理的な構造が隠れています。

 

 

正義感と「べき思考」

正義感が強い人は、「べき思考」が強い傾向があります。

✔️ 約束は守るべき。

✔️ 努力すべき。

✔️ 人の迷惑にならないよう注意すべき。

 

これらはもちろん、大切なことですが、「べき」が強すぎると、それが守られないときに強い怒りが湧きやすくなります。

 

わたしたちは、「境界線が侵害されたとき」に怒りを感じやすくなります。

正義感が強い人は、自分自身だけでなく、社会や世界全体の秩序にも境界線を引いています。

そのため、ルール違反や不公平、不誠実な態度を見ると、自分の内側で「侵害」が起きたように感じやすいのです。

「正当化マインド」がブレーキを外す

さらに怒りを強めるのが、「私は正しい」という感覚です。

正義感に基づく怒りは、道徳的な正当性を伴います。「自分は間違っていない」「相手が悪い」「怒るのは当然だ」という確信があるため、本来かかるはずのブレーキがかかりにくくなります。

 

普段なら、「言いすぎかもしれない」「関係が壊れるかもしれない」「自分にも落ち度があるかもしれない」といった内省が働くのに、正義の側に立っている感覚が強いと、相手を責める方向に進みやすくなります。

 

結果として、強い口調で責めたり、執拗に追及したり、SNSで正論を展開してしまったりすることが起きます。そして不思議なことに、怒りながらどこかスッキリする感覚もある。この「正義の高揚感」は、怒りを習慣化させる要因にもなります。

 

正義感から怒りやすい人〜3つのチェックリスト

ここで少し、ご自身を振り返るための3つのチェックリストを行ってみましょう。

 

【STEP1】正義感トリガーチェック

当てはまるものに✔をつけてください。

 

□ ルール違反を見ると強くイライラする

□ 不公平な扱いに人より強く反応する

□ 「普通はこうするでしょ」と思うことが多い

□ 無責任な人が許せない

□ 嘘・ごまかしに非常に敏感

□ 約束を守らない人に強い怒りを感じる

□ 弱い立場の人が損をする状況が我慢ならない

□ 「ちゃんとしない人」に強い嫌悪感がある

□ 相手よりも自分のほうが誠実だと思うことがある

□ 怒った後も「私は間違っていない」と感じやすい

 

▶ 5個以上で「正義感怒り型」傾向あり

 

【STEP2】正当化マインドチェック

□ 「怒るのは当然だ」と思うことが多い

□ 相手の事情よりも「原則」を優先する

□ 怒りながらもどこかスッキリ感がある

□ 言いすぎても後悔が少ない

□ 自分の怒りを「教育・指導」と捉えやすい

□ 反省よりも相手の非を考え続ける

□ SNSで正論を書きたくなる

□ 「自分が言わなければ誰が言う」と思う

□ グレーな判断が苦手

□ 白黒思考になりやすい

 

▶ 4個以上で「正当化マインド」作動中の可能性

 

【STEP3】怒りの深層チェック

□ 子どもの頃、不公平な経験が多かった

□ 理不尽を飲み込んできた感覚がある

□ 「ちゃんとする」ことで評価されてきた

□ 怒れなかった過去がある

□ 無力だった経験を思い出すと悔しさが残っている

□ 弱い自分を見せるのが苦手

□ 甘えられなかった

□ 自分は我慢してきたと思う

□ 「正しくないと価値がない」と感じることがある

□ 失敗すると強い自己否定が出る

 

▶ 3個以上で、怒りは「正義」だけでなく「防衛」や「自己保護」から来ている可能性あり

 

正義感の奥にある幼少期体験

正義感が過剰に働く人の背景には、幼少期の体験が関わっていることが少なくありません。

 

たとえば、厳しい躾のもとで育った人。

感情よりも規律が優先され、「正しい/間違い」がはっきりしていた家庭。反論や感情表現が許されなかった環境。

そのような環境では、子どもは「正しくないと愛されない」「間違うと危険だ」と学びます。

やがて親の厳しい声は内面に取り込まれ、自分を批判する者となります。

この声は、自分にも他人にも向けられます。だから正義感を振りかざす人は、実は自分にも非常に厳しいのです。

また、不公平や理不尽を多く経験してきた人もいます。きょうだい間で差別されたり、親の気分でルールが変わったり、努力が報われなかったりした経験です。

親のルールが理解できないから余計に、ルールを判断の拠り所として重視するのです。

 

感情を受け止めてもらえなかった経験も影響します。

「泣くな」「怒るな」「わがまま言うな」と言われ続けた人は、悲しみや傷つき、無力感といった一次感情に触れることが難しくなります。

その結果、怒りを「正論」という形でしか出せなくなることがあります。

 

正義感の苦しみ

正義感が強い人は、周囲と衝突しやすく、疲れやすく、怒りが収まりにくいという特徴があります。

そして実は、自分自身も常に裁かれている感覚を抱えていることがあります。

 

内的批判者は休むことがありません。「もっとちゃんとしろ」「甘えるな」「間違うな」と、自分を監視し続けます。

だから怒りは外に向かうだけでなく、内側にも向かいます。イライラの裏には、強い自己批判と緊張があることが多いのです。

 

強すぎる正義感を手放すために大切なこと

まず、自分の中の「べき」に気づくこと。

その声が誰のものなのか、いつから自分の中にあるのかを探ることが、内的批判者を弱める第一歩になります。

 

そして、正義感の下にある一次感情に触れることも大切です。

正義感の奥に、悲しみや恥、傷つきや無力感がないかを丁寧に見ていくこと。

 

そして身体レベルでの調整も欠かせません。呼吸をゆっくり吐く、背中を支えるものに預ける、足裏の感覚を感じる。

自律神経が安全を感じられる状態を増やすことで、過剰な警報反応は徐々に弱まります。

 

強すぎる正義感をやわらげる10のリセット法

① 怒りの前に「私は今、何を守ろうとしている?」と自問する
怒りの奥には、傷つきや不安が隠れています。まずは自分が守ろうとしているものに気づきましょう。

 

② 「正しい」と「今怒る必要があるか」を分けて考える
正しいことでも、今すぐ怒る必要があるとは限りません。タイミングを切り分けて考えます。

 

③ べき思考を書き出してみる
「〜すべき」「普通は」と浮かぶ考えを書き出すと、思い込みの強さに気づきやすくなります。

 

④ 相手の事情を1つだけ想像してみる
100%理解しなくていいので、「何か事情があるかも」と一度だけ想像してみます。

 

⑤ その場で反応せず24時間置く
強い怒りは一晩寝かすと少し落ち着きます。時間を味方につけることも大切な選択です。

 

⑥ 境界線は怒りではなく「選択」で示す
怒る代わりに、距離を取る・関わらないなど行動で境界線を示します。

 

⑦ 呼吸を長く吐く(6秒以上)
長く吐く呼吸は神経を落ち着かせます。身体が緩むと、思考も柔らかくなります。

 

⑧ SNS投稿を一晩寝かせる
正義の勢いで書いた言葉は強くなりがち。一晩置くと必要な言葉だけが残ります。

 

⑨ 自分の神経が過覚醒になっていないか確認する
動悸や緊張が強いときは怒りを衝動的に発散しやすくなります。肩の力を抜いて、緊張を緩めましょう。

 

⑩ 「正義より安心」を優先する練習をする
正しさよりも、自分の安全と穏やかさを選ぶようにすると、その方が心地よいので、少しずつ強く怒らなくてもよくなっていきます。

 

強すぎる正義感を手放すために 〜 まとめ

正義感は、誠実さや責任感の表れです。

けれども、それが「べき思考」や「私は正しい」という確信と結びつくと、怒りを正当化し、自分を消耗させてしまうことがあります。

背景には、厳しい躾や不公平な体験、感情を受け止めてもらえなかった過去が隠れていることも少なくありません。

だからこそ大切なのは、正義を否定することではなく、その奥にある傷つきやすさや無力感に気づくことです。

小さな心がけでも、続けていくと、強すぎる正義感を手放していくことができますから、ぜひ、やってみてください。

この記事を書いている人 - WRITER -
アバター画像
外資企業勤務後、心理臨床を志す。臨床心理士の資格取得後は東京・神奈川・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年、東京都港区・青山一丁目に「はこにわサロン東京」を開室。ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析を行っている。日本臨床心理士会、箱庭療法学会所属。
詳しいプロフィールはこちら