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傷ついた脳と自律神経を回復させる 自己肯定感の思わぬ効用

 
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外資企業勤務後、心理臨床を志す。臨床心理士の資格取得後は東京・神奈川・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年、東京都港区・青山一丁目に「はこにわサロン東京」を開室。ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析を行っている。日本臨床心理士会、箱庭療法学会所属。
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東京・青山の心理カウンセリングルーム「はこにわサロン東京」の吉田美智子(臨床心理士・公認心理師)です。

複雑性トラウマの方は、自己肯定感を持つことが難しいことが多いと思います。

でも、いつも自分を責めがちな方が自己肯定感を持つ練習をすることが、傷ついた脳と自律神経を回復させる練習になるので、その理由とやり方をご紹介します。

 

自己肯定感とは?

自己肯定感というのは、ありのままの自分にOKを出すことです。

今日一日が、うまくいってもいかなくても、「がんばったね、お疲れさま」と自分を労えること。失敗や反省があっても、「ベストは尽くしたよね」と認めて、自分に「今日もありがとう」が言えることです。

日本は、家庭も学校も、ダメなところを指摘する原点方式の接し方が多かったため、ありのままの自分にOKすることは、難しい方の方が多いかもしれません。

でも、自己肯定感は存在を肯定することであり、メンタルを安定させるには欠かせない大切なことです。

 

複雑性トラウマの方に多い「自動思考」とは?

複雑性トラウマの方は、幼い頃から批判や否定、心理的コントロールの中で育っていることが多いです。

例えば:

「もっと頑張りなさい」
「あなたが悪い」
「ちゃんとしなさい」
「期待を裏切らないで」など。

 

そのため、親に言われる前に自分で気づいて言動を正すことがサバイバルに必要なことでした。

 

すると、脳は常に危険を探すようになります。

 

「何か悪いことをしたのではないか」
「もっと頑張って完璧にしないとダメだ」

こうした考えが、自動的に、エンドレスに、頭の中で再生されてしまうようになるのです。

 

これは、認知行動療法で「自動思考」であり認知の歪みであると考えますが、ポリヴェーガル理論で見ると、歪みというよりは、脳や自律神経が生き残りをかけて過剰に働いている状態だと考えられます。つまり、人はそういうふうにできているのです。

 

自動思考を止めるために自己肯定感ができること

つまり、自己批判は、脳や身体が危険に備えて警戒している状態、自分を守ろうとしている状態なので、「考え方を変えよう」としても、なかなか変わりません。

 

そこで、助けになるのが「自己肯定感を育てること」です。

 

例えば、一日の終わりに、

「今日もよく頑張ったね。」
「暑い中、仕事へ行けた。」
「子どもの話を聞こうとした。」
「今日は疲れていたから、これで十分。」

そんな言葉を自分にかけてみます。

 

まずは自動思考に気づくことが大切

最初は、セリフを棒読みしているくらい、実感が湧かないと思いますし、すぐに自己批判の自動思考が立ち上がって「そんな甘いこと言ってたら、誰にも受け入れてもらえなくなっちゃうよ」とか「今日の自分の振る舞いは、誰かに誤解を与えたのではないか?」「ダメな人って思われたんじゃないか?」という考えが湧き上がってくるのではないかと思います。

 

そうしたら「あれちょっと待って!」と気づいて欲しいのです。「自分を肯定しようと思ったら、自己批判が始まっちゃった」と気づいて欲しいのです。

 

自動思考と脳の働き

自動思考の間は、脳の中の扁桃体が「危ない」「失敗だ」「もっと頑張れ」と警報を鳴らします。

 

一旦、自動思考になってしまうと、危険に注力するために視野が狭くなります。

 

でも、「あれ?自動思考になっている?」と気づけると前頭前野が働く余地が生まれます。

 

前頭前野は、物事を客観的に見たり、「本当にそうだろうか」と考えたりする脳の部分です。

 

前頭前野が働くと、「危険信号が作動しているが、本当に危険かどうか確かめてみよう」とする視点が生まれます。

 

自己肯定感は自律神経を整える(腹側迷走神経の働き)

また、自分に温かい言葉掛けをする、自分をねぎらうことは、自律神経にも働きかけます。

 

ポリヴェーガル理論では、安心やつながりを感じている時には、腹側迷走神経が働きやすくなると考えます。

 

もちろん、自分に「お疲れさま!」と言っただけで腹側迷走神経が正常に働き始めるわけではありません。

 

でも、自分を責めないで、自分に対して温かくやさしい声かけや態度を取ることは、自分が自分にとっての「安心できる人」になっていく練習です。

 

もし、自分が自分に、四六時中、「自分が悪い」「まだ足りない」「もっと頑張れ」と言い続けていたら、自律神経は休まることができません。

 

でも、「今日はよく我慢して偉かったね!」「ベストは尽くしたね」「また明日やればいいね」のように、ねぎらいや肯定のメッセージを発信することができるようになると、脳も身体も、「無理に戦い続けなくてもいい」と学び始めます。

 

自己肯定感で自動思考を止める

自己肯定感とは、自分を甘やかすことでも、自分を無理に好きになることでもありません。

 

自動運転で流れ続ける自己批判に気づき、一度立ち止まり、現実を見直す力を取り戻すことです。

 

それは認知行動療法でいう「自動思考に気づく力」を育てることであり、脳科学でいう前頭前野の働きを取り戻すことでもあり、ポリヴェーガル理論でいう腹側迷走神経が働きやすい状態を少しずつ増やしていくことでもあります。

 

ですから、自分を肯定する試みを、始めてください。

 

最初のうちは、本当に意図して、努力して自分を肯定しないとできません。

 

でも、意図して、努力して、が、自動思考を止まらせて、冷静に、客観的に自分を見るチャンスを作ってくれます。

 

オリジナルの声かけや、ねぎらいのアクションも、色々考えてみるといいと思います。星空を眺めながら、とか、好きなボディローションを使うときに、とか、五感を働かせる方法を組み合わせるのもおすすめです。

 

自動思考を止めて、自己肯定感を獲得する。ぜひ、二兎を得てくださいね。

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外資企業勤務後、心理臨床を志す。臨床心理士の資格取得後は東京・神奈川・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年、東京都港区・青山一丁目に「はこにわサロン東京」を開室。ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析を行っている。日本臨床心理士会、箱庭療法学会所属。
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