東京・青山の心理カウンセリングルーム オンライン・電話対応可

オンラインやお電話でも相談できます

ひとり反省会がやめられない!反芻思考はなぜ起きる?止める方法は?

 
この記事を書いている人 - WRITER -
アバター画像
外資企業勤務後、心理臨床を志す。臨床心理士の資格取得後は東京・神奈川・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年、東京都港区・青山一丁目に「はこにわサロン東京」を開室。ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析を行っている。日本臨床心理士会、箱庭療法学会所属。
詳しいプロフィールはこちら

東京・青山の心理カウンセリングルーム「はこにわサロン東京」の吉田美智子(臨床心理士・公認心理師)です。

 

「あの時、あんなことを言わなければよかった」
「相手はどう思ったんだろう」
「もっと違うやり方があったんじゃないか」

そんなことを何度も繰り返し考えてしまう、いわゆる「ひとり反省会」が止められないことはありませんか。

 

考えることで答えが出たり、「次はこうしよう」と結論が出たりするのであれば、それは大切な振り返りです。

ところが、いくら考えても答えが出ない。それなのに、やめようと思っても頭から離れない。仕事をしている時にもふと思い出して、またぐるぐる考えてしまう。夜、布団に入ってからひとり反省会が始まり、眠れなくなってしまう……。

 

このように、同じことを繰り返し考え続けてしまうことを、「反芻(はんすう)思考」といいます。

 

反芻思考は誰にでも起こりますが、不安やストレスが強い時には特に起こりやすくなります。また、複雑性トラウマ(C-PTSD)の人にも、反芻思考が強くみられることがあります。

 

では、なぜ私たちは、答えが出ないとわかっていても考え続けてしまうのでしょうか。そして、どうすれば「ぐるぐる思考」から抜け出すことができるのでしょうか。

 

近年の研究からわかってきたことも踏まえて、反芻思考が止まらなくなる仕組みと、その対処法について考えてみましょう。

 

反芻思考とは?

反芻思考とは、同じことを繰り返し考え続け、なかなかそこから抜け出せなくなる状態を指します。

 

たとえば、

● 「あの時、どうすればよかったのか?」と過去を何度も検証する。

● 「相手はどう思ったんだろう?」と相手の気持ちを推測し続ける。

● 「また同じことが起きるのでは?」と未来の危険を予測し続ける。

 

そして最後には、「やっぱり自分はダメだ」と自己否定に行き着いてしまうこともあります。

 

振り返りには、「次はこうしてみよう」「ここは仕方がなかった」など、ある程度の結論があります。そして、考える必要がなくなれば、別のことへ意識を移すことができます。

 

でも、反芻思考では、考えても新しい答えがほとんど出ないのに、同じ問いを繰り返します。

 

そのため、仕事に集中できない、人と話していても相手の話が頭に入らない、いつも心ここにあらずになる、物事を決められない、といったことが起こります。

 

特に夜は、反芻思考が止まらず寝つけなくなったり、睡眠の質が低下したりすることもあります。

 

本来なら仕事やプライベートに自由に使えるはずの脳のエネルギーが、ぐるぐる思考に占領されてしまうのです。

 

なぜ反芻思考は止められないのか

反芻思考についての研究では、認知コントロール情動調節が重要な要素として研究されています。

 

① 考えを「いったん脇に置く」ことが難しくなる

私たちは日常生活の中で、さまざまなことを思い出します。たとえば仕事中に突然、「今日の会話、あの言い方でよかったかな」と思い出すことがあるかもしれません。

 

その時、「ちょっと気になるけれど、今考えても答えは出ないから、必要なら後で考えよう」といったん脇に置き、目の前の仕事に意識を戻すことができます。

 

このように、今必要のない思考に引っ張られず、注意を戻したり切り替えたりする働きは、認知コントロールの一部です。

 

近年の研究でも、認知コントロールの働きと反芻思考には関連があることが報告されています。

 

② つらい感情をなんとかしようとして「考える」

もう一つ重要なのが情動調節です。

 

情動調節とは、不安、悲しみ、怒り、恥ずかしさなどの感情が生じた時に、その感情に飲み込まれず、少しずつ落ち着きを取り戻していく働きのことです。

 

たとえば、誰かにメッセージを送ったのに返信が来ないとします。「忙しいのかもしれない」と考え、いったん別のことをして待てることもあるでしょう。

 

でも、不安がとても強い時には、「嫌われたのではないか」「何か失礼なことを言ったのではないか」「あの文章がまずかったのかな」「やっぱり自分はダメなんだ」と考え続けてしまうことがあります。

 

ここで興味深いのは、反芻思考は単なる「考えすぎ」ではなく、考えることによって、不安や悲しみなどのつらい感情をなんとかしようとしている場合があることです。

 

「原因がわかれば安心できる」「正解が見つかれば、もう失敗しない」「相手の気持ちがわかれば不安がなくなる」そんなふうに、考えることで安心を取り戻そうとします。

 

でも、いくら考えても確かな答えが得られない問題では、不安はなくならず、むしろ考えるほど不安や自己批判が強まり、その感情を鎮めるために、さらに考える――という循環が生まれます。

 

つまり、不安になる → 考える → 答えが出ない → もっと不安になる → さらに考えるという「ぐるぐる」ができあがってしまうのです。

 

複雑性トラウマ(C-PTSD)の人は反芻思考が起こりやすい

反芻思考は複雑性トラウマがある人だけに起こるものではありません。ただ、複雑性PTSD(C-PTSD)の人では、反芻思考から抜け出しにくくなる背景を持っていることがあります。

 

複雑性トラウマ(C-PTSD)とは、虐待やDVなど、逃れることが難しい状況で長期間、あるいは繰り返しトラウマとなる体験にさらされた人にみられることがある状態です。

 

PTSDにみられる再体験、回避、脅威への過敏さなどに加えて、感情を調節することの難しさ、「自分には価値がない」といった否定的な自己イメージ、人との関係を築いたり維持したりすることの難しさなどが特徴です。

 

子どもの頃から親の機嫌を読んでいた、失敗すると強く叱責された、安心して自分の気持ちを出せなかったなどの経験があると、いつも周囲を警戒し、「何かまずいことをしなかったか」「相手を怒らせなかったか」「次に何が起こるか」と確認する習慣が身についていることがあります。

 

そう考えると、ひとり反省会も、単なる「考えすぎる癖」ではなく、もともとは自分を守るために身につけたものだったのかもしれません。

 

トラウマ後ストレスと反芻思考、情動調節の難しさには関連があることも報告されています。

 

もし「私のぐるぐる思考は、昔から続いている」「人間関係になると特に止まらなくなる」という場合には、反芻思考だけを何とかしようとするのではなく、C-PTSDや複雑性トラウマについて知り、その背景にある不安や警戒心をケアしていくことが、改善につながる場合があります。

 

反芻思考から抜け出すには?

① 「今、自分は反芻思考をしている」と気づく

反芻思考をしている時は、その考えにすっかり飲み込まれています。自分では一生懸命「考えている」つもりでも、実際には同じところをぐるぐる回っていることがあります。

 

ですから、まずは、「今、自分は反芻思考をしているな」「ひとり反省会が始まっているな」と気づくことが大切です。

 

自分の状態に気づくことができると、思考から少し距離をとり、次にどうするかを選びやすくなります。

 

② 「しない」を「する」に変える

「考えないようにしよう」「早く忘れよう」と思うほど、かえってそのことが頭から離れなくなることがあります。

 

考えを意図的に抑え込もうとすると、その後かえって思考が戻ってきやすくなる「リバウンド効果」です。

 

ですから、「考えない」を頑張るより、「ここでいったんピリオドを打つ」「この問題はいったん保留にする」「今は目の前の仕事に戻る」というように、「しない」を「する」に変えてみましょう。

 

③ 「考え」ではなく「感情」に気づく

反芻思考をしている時、私たちは、「どうしてこんなことになったんだろう」「何が悪かったんだろう」と答えを探しています。

 

でも、その奥には、不安、怒り、悲しみ、恥ずかしさ、寂しさ、無力感などの感情があり、そのざわざわとした気持ちが思考を動かし続けていることがあります。

 

そこで、「なんでこうなったんだろう?」から、「私は今、どんな気持ちなんだろう?」へ問いを変えてみてください。

 

「怖かったんだな」「受け止めてほしかったんだな」「悲しかったんだな」「恥ずかしかったんだな」そんなふうに自分の気持ちに気づき、名前をつけてみます。

 

問題の「正解」を探し続けるのではなく、自分の中で起きている感情に目を向けるのです。

 

自分の感情に気づいて受け止めることができると、自然とぐるぐるが解消されることがよくあります。

 

自分の気持ちに気づくことは、自分を大切に扱うことでもあります。

 

④ 一人で抱え込まない

反芻思考は、一人で長時間考え続けても答えが出ず、不安や自己批判だけが強くなってしまうことがあります。

 

そんな時は、信頼できる人に話を聞いてもらうのもよいでしょう。

 

でも、「こんな話をしたら迷惑なのでは」と罪悪感を感じたり、人に頼ることそのものが苦手だったりする人もいます。そのような場合には、カウンセリングを活用するのも一つの方法です。

 

私は、反芻思考の強い方に「保留箱」の記録をつけてもらうことがあります。ぐるぐる考えてしまうことが出てきたら、それを書き留めて、「これはカウンセリングの時に扱う」と決め、いったん保留箱に入れて終了します。

 

「今ここで考え続けなくても、扱う場所と時間がある」とわかると、思考をいったん脇に置きやすくなります。

 

そして、保留箱に入れた内容をカウンセリングで一緒に検討していくと、その出来事の奥にある不安や悲しみ、怒りなどにも気づきやすくなります。「考えをいったん脇に置くこと」と「感情を扱うこと」の両方を練習していくわけです。

 

よかったら参考にしてみてください。

 

まとめ――「考えない」より、ぐるぐるから離れる練習を

反芻思考が止まらないのは、「考えすぎる性格だから」「気持ちの切り替えが下手だから」とは限りません。

 

その背景には、不安やつらい感情を何とかしようとして考え続けていることや、思考をいったん脇に置くことが難しくなっていることがあります。

 

ですから、「もう考えない!」と無理に頭から追い出すより、

① 「今、ぐるぐるしているな」と気づく。
② いったん保留にする。
③ その奥にある感情に気づく。
④ 必要なら誰かの力を借りる。

まずは、この記事でご紹介した方法を試してみてください。

 

そして、反芻思考が特に人間関係で起こりやすい、子どもの頃からひとり反省会を繰り返してきた、常に人の顔色や反応が気になってしまうという方は、C-PTSDや複雑性トラウマについて知ることも、自分の反芻思考を理解する手がかりになるかもしれません。

 

それでも、何時間も考え続けてしまう、夜眠れない、仕事や日常生活に支障が出ている、強い自己否定から抜け出せないという場合には、カウンセリングを利用することも検討してみてください。

はこにわサロンのカウンセリング

ご予約はこちら

 

反芻思考を「ゼロにする」ことを目指す必要はありません。

 

「また考えている」と気づき、必要のない時にはいったん手放し、必要な時に改めて考える。その力を少しずつ取り戻していくことで、ぐるぐる思考に使われていた時間と心の余裕を、自分のために使えるようになっていきます。

 

この記事を書いている人 - WRITER -
アバター画像
外資企業勤務後、心理臨床を志す。臨床心理士の資格取得後は東京・神奈川・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年、東京都港区・青山一丁目に「はこにわサロン東京」を開室。ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析を行っている。日本臨床心理士会、箱庭療法学会所属。
詳しいプロフィールはこちら