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【予言の自己成就】「どうせ見捨てられる」が本当に起きてしまうのはなぜ?

 
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外資企業勤務後、心理臨床を志す。臨床心理士の資格取得後は東京・神奈川・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年、東京都港区・青山一丁目に「はこにわサロン東京」を開室。ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析を行っている。日本臨床心理士会、箱庭療法学会所属。
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東京・青山の心理カウンセリングルーム「はこにわサロン東京」の吉田美智子(臨床心理士・公認心理師)です。

 

見捨てられ不安を理解する上で重要な概念の一つに、「予言の自己成就」があります。

「予言の自己成就」とは、もともとは社会学者のマートン(Robert K. Merton)が提唱した概念で、「誤った思い込みであっても、それに基づいて行動すると、結果としてその思い込みが現実になってしまう現象」を指します。

見捨てられ不安においては、「どうせ見捨てられる」「どうせ嫌われる」「私は大切にされない」という予測が、本人の行動を変化させ、その結果として本当に関係が悪化してしまうという形で現れます。

今日は、見捨てられ不安のある人の「予言の自己成就」とはどのようなものなのか、なぜ起きるのか、どうすれば変えられるかについて、お話します。

 

愛着研究における予言の自己成就

愛着研究では、愛着不安の高い人は、

● 拒絶に敏感である

● 相手のネガティブな反応を過大評価しやすい

● 親密性への欲求が強い

● 関係喪失への不安が強い

と言われています。

 

金政祐司(2021)は、愛着不安の高い人は対人情報処理にネガティブなバイアスをかけやすく、相手の表情や態度から拒絶や否定を読み取りやすいと述べています。

 

つまり、相手が本当に怒っているかどうかとは別に、「怒っているように見える」「嫌われた気がする」「距離を取られた気がする」という主観的体験が生じやすいのです。

 

ここから予言の自己成就が始まります。

 

予言の自己成就【第一段階】拒絶を予測する

例えば、恋人からのLINEの返信が少し遅れたとします。

安定した愛着を持つ人なら、「忙しいのかな」「あとで返ってくるだろう」で終わるような出来事です。

 

でも、見捨てられ不安が強い人は、「怒らせたかもしれない」「嫌われたのではないか」「もう気持ちが離れたのではないか」と考え始めます。

 

実際には、(まだ)何も起きてはいません。ただ返信が遅れているだけです。

けれども、見捨てられ不安のある人は、こういった曖昧な状況を拒絶の証拠として解釈します。

 

予言の自己成就【第二段階】不安の解消行動

不安になると、人は不安を減らそうとします。それは、普通のことです。

でも、愛着不安の高い人は、不安の解消方法として、関係への過剰な働きかけを行うことがあります。

例えば、

● 何度も連絡する

● 相手の気持ちを確認する

● 相手の機嫌を探る

● 必要以上に謝罪する

● 自分を犠牲にして尽くす、などです。

 

これらは、一見すると関係を守ろうとする努力ではあります。

 

でも、その根底には「見捨てられたくない」という恐怖があるため、言動が衝動的で返事をもらえるまで過剰にやり続けて止められない、ということになりやすいです。

 

予言の自己成就【第三段階】相手が疲弊する

相手からすると、何もしていないのに、

● 疑われる

● 不安をぶつけられる

● 過剰に確認される

● 機嫌を試されることになります。

 

すると、相手は、次第に疲弊して、距離を取ろうとし始めたりします。

それをみて、見捨てられ不安を持つ人は、それを見て、「ほら!やっぱり、嫌われた!」と思うのです。

 

予言は現実になる

こうして、最初は存在しなかった拒絶が、ご本人の行動によって現実になります。

つまり、「どうせ見捨てられる」という予測が、見捨てられ不安に基づく行動を生み、その行動が関係を悪化させ、結果として本当に距離が生じる。

これが、予言の自己成就です。

 

予言の自己成就は過剰適応タイプの人にも起きる

いつも人に気を使ういい人で頑張り屋の、過剰適応型の見捨てられ不安の方にも、予言の自己成就が起きます。

例えば、嫌われることを恐れて、いつも相手を優先し、本音を隠して、相手の頼みを断らないと、疲労や不満が蓄積していきます。それは、人ととして、とても自然なことです。

でも、その結果として、被害感が溢れてしまう、怒りや不満が爆発する、突然関係を切る、といった言動が引き起こされます。

「自分は大切にされないのでは?」という不安が、過剰な適応を生み、しかし、その結果、「やっぱり大切にされなかった」という結果を引き起こしてしまうのです。

 

マスターソンから見る見捨てられ不安の予言の自己成就

精神科医のマスターソン(James F. Masterson)は、見捨てられ不安の本質は、単なる孤独への恐怖ではなく、自己の存在感の喪失だと言っています。

そのため、関係の危機が起きると、「関係性が危ない」ではなく、「自分に危険が迫っている」と体験します。

すると、防衛が極端になります。例えば、追いすがる、攻撃する、迎合する、解離する・・・等々。

いずれも、自分を保とうとする必死の試みですが、この防衛が関係に圧力をかけ、結果として見捨てられ不安を強化してしまうことになります。

 

では、予言の自己成就を止めるにはどうすればいいでしょう?

 

予言の自己成就を止める4つの方法

予言の自己成就を止める方法①  知ること&気づくこと

まず必要なのは知識です。

見捨てられ不安の人は、嫌われた、見放された、価値がないと、感じます。でも、実際には、それは事実ではなく「予測」であることが少なくありません。

ですから、まずは、「予言の自己成就」について知ること。

そして、自分が「見捨てられた」と感じたときに「今自分にスイッチが入っている」と気づくことが、とても大切な最初の一歩です。

 

予言の自己成就を止める方法安心基地になる人を見つける

見捨てられ不安の人は、不思議なことに、安定した人よりも不安定な人に惹かれやすい傾向があります。理由は、馴染みがあるからです。それで、自己中心的で不機嫌な人や情緒不安定な人を選びやすいのです。

逆に、情緒が安定した人は、退屈、物足りない、と感じやすいのです。

でも、やはり、誠実で、普通に約束を守れる人、支配しようとしない人と繋がることが、とても大切です。

誠実で脅かさない人と繋がると、脅されたり、支配されることがありません。穏やかさは退屈に感じられるかもしれませんが、自分の気持ちを伝えることができるし、そうしても怒られず、むしろ喜んでもらえる体験ができます。この驚きを体験できると、退屈ではなく、安心や信頼を感じられる様になっていきます。

 

予言の自己成就を止める方法③「自分で自分の味方になる」

見捨てられ不安の人は、承認を外に求めます。評価してもらうことで安心できるからです。

でも、他人の評価に依存するのはリスクが高いと思いませんか?認めてくれる人がいればいいけど、批判的な人や、意地悪する人だっていますよね。

それより、自分が自分の味方になれるように、自分を育てましょう。

自分の味方をする、というのは、つまり、自分に「いいね!」をすることです。

どんな1日だったとしても、うまくいかない日も、自分のせいで失敗した日も「よく頑張ったね」「お疲れさま」を伝えましょう。

「今日はこれでいいよ」「ごはんを食べて、寝よう」と伝えて、ゆっくり休みましょう。

これが、自己肯定感です。

自己肯定感を持てるようになると、他人の評価に依存しないでいられるようになります。

 

 

予言の自己成就を止める方法 ④ 予言を検証する

4つ目は、予言を検証してみることです。

例えば、「断ったら嫌われる」のは、本当?

やってみる。嫌われなかった。

 

「変なこと言っちゃったから見捨てられる」本当?

大丈夫だった。

 

このような実験をしてみるのです。

そして、人が、自分の予測と違う反応をすることに気づけると、見捨てられ不安の強い恐怖に飲み込まれることを減らしていけます。

 

見捨てられ不安がある人の【予言の自己成就】まとめ

見捨てられ不安は、原初的で根源的な強い恐怖感です。ですから、回復方法として提示した方法は、どれも、けっこう難しく感じられると思います。

でも、少しずつ、チャレンジしてください。諦めないで続けていくと、少しずつ、変わっていきます。

 

「ひとりでやるのは、難しい」「ひとりは怖い」と感じたら、カウンセリングの利用も検討してみてください。

はこにわサロンでも、見捨てられ不安のご相談を受付ています。

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ご自分を、取り戻していきましょう。

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