風景構成法という絵を描くカウンセリングにはどんな効果があるのか〜セラピストのうつ抜け体験
はこにわサロンの吉田です。
なつかしいスケッチブックを見つけました。
わたしが無気力から立ち直って心理の道を志した頃に描いた絵(風景構成法)です。
風景構成法(ふうけいこうせいほう、英: Landscape Montage Technique ; LMT)は、中井久夫によって1969年に創案された、絵画療法(芸術療法)の技法の一つである。
出典:Wikipedia
もう少し具体的に言いますと、決められた順番で風景の項目を描いていって、一枚の風景画を描きます。
作品から描き手の心の様子を理解するために利用されますが、描くこと自体にも自分と向き合う・深いところで修復する治癒作用があると言われています。
百聞は一見にしかずといいますから、どんなものなのか、ご覧くださいね。
風景構成法(1枚目)〜うつから抜け出して動き始めていたころ
これが、心理学大学院を目指していた頃に描いた、人生初の風景構成法。
画像があまり良くないので、分かりにくいかもしれませんが、一見して感じるのは「浮世離れ感」。
川の右岸はピンク色の花畑一色ですし、左側も桜が満開で何だか現実感がありません。
この頃は、働きすぎて会社員をドロップアウトしてから1年半ほど経っていて、「心理の大学院に行こう」と決めて、アルバイトや勉強に精を出していましたけれど、わたしの心の中はまだ「ふわふわ〜〜」とした状態だったことがよくわかります。
前に進もうという意欲が出てきて、エネルギーも湧いてきているけど、こころの状態としては、まだ「ぽや〜」っとしていて本調子には至っていないと感じられます。(こんな風に、心身の状態にタイムラグが生じることって少なくないと思います。)
風景構成法(2枚目)〜心理の大学院の入学が決まって武者ぶるいしていたころ
こちらが、その2ヶ月後くらいに描いた2枚目の風景構成法です。
心理学の大学院の入学が決まって、ホッとしたころ。
臨床心理で身を立て直そうと考えて、浪人生活をおくってきたけれど、正直、「いい大人がちゃんと働きもせず、何やってるんだろう?」という自問自答の毎日で、やっぱり結構しんどかったと思います。
大学院が決まって、「この道で進んでいけそう」とか「居場所ができてよかった!」とかそんな気持ちと、「ちゃんとできるのかなぁ」「学費払えるかなぁ」と現実的な心配と、まだまだ葛藤の日々は続くのですけども。
絵の方も、桃太郎と猿カニ合戦が合体したような、まだ浮世離れしていますね。
それでも、にこにこした表情で川に洗濯に向かうおばあさんは、これから心理の勉強をしたり、自分とも向き合っていこうとしている心持ちが表現されているような気がします。
そして、上流から流れてくる桃をキャッチしたい気持ちと。
対岸の山や道は、これから歩む道の険しさへの覚悟が表現されていたかも。
こんな風に、たった2ヶ月でも、表現が大きく変わってきたりするので、とても面白いですよね。
風景構成法をご紹介したいと思った理由
風景構成法にしても箱庭療法にしても、その作品は、個人的でとても大切なものなので、本当はネットで公開するようなものではありません。
ご紹介した2枚の風景構成法の作品は、これまで内々のワークショップなどでご紹介したことはありますが、基本的にはわたし自身の大切な心の軌跡としてしまっていました。
区切りがついたのでしょうね。
そして、風景構成法って何だろう?と思っている方や、やってみたいなぁと思っている方にご紹介してみようと思いました。
風景構成法にできること、その効果は?
シンプルに言えば、カウンセリングルームの中で、セラピストと対話しながら「絵を描くだけ」なのですが、これがなかなかに優れたカウンセリングの方法なのです。
- 風景構成法を通じて、ご自分の今のコンディションを把握することができたり、今後の見通しについて話し合ったりできます。
- ひととき集中して描いて作品を作り上げることで、リフレッシュできたり、自己肯定感を持てたりするという効果もあります。
- 定期的に(例えば2〜3ヶ月ごとに1年間のように)描くことで、言葉によるカウンセリングと同等かそれ以上の自己理解を得られます。
はこにわサロンでも、風景構成法を行なっています。
ご希望の方は、こちらからカウンセリング(初回)を選んでお申し込みください。(メッセージ欄に「風景構成法に興味があると書いていただくと、準備がスムーズですが、当日申し出てくださっても対応できます。)