HSP(ひといちばい敏感な人)の「敏感さ」と「深く考える」を活かす生き方とは
東京・青山の心理カウンセリングルーム「はこにわサロン東京」の吉田(臨床心理士・公認心理師)です。
これまで、HSP(ひといちばい敏感な人)について何度か取り上げて書いてきたのですが、今日は、HSPの特性である「深く考える」について書いてみようと思います。
というのは、どうも「D=深く考える」がHSPの「コア(本質)」なのではないかと思ったからです。
HSPのDOESとは
HSP提唱者のE・アーロン博士は、HSPの特性として「DOES(ドゥーズ)」と呼ばれる4つの特徴をあげています。
このHSPの4つの気質を図にすると、こうなります。
「DOSE」のうち
O(刺激を受けやすい)
S(些細なことに敏感)
E(共感力)
⬇️
横とのつながり
他者や環境との関係性に関わること
一方、D(深く考える)はというと
D(深く考える)
⬇️
縦とのつながり
自分の内面(下方向)や、天や神のような超越的なもの(上方向)との関係性
「DOES」の「D」とは?
「DOES」の「D」は、何事も深く掘り下げて考えてしまうことや、いちいち本質を考えてこだわってしまうことなのですね。
つまり
些細なこと(S)を敏感に察知して(O)影響を受けてしまう(E)
(友だちの不機嫌を敏感に察知して過剰に反応してしまう)
≠
深く考える・深い処理(D)
このように環境や対人関係に心乱されて深く考え込んでしまうことがHSP的なのではなくて
●ふと目にしたハエの死骸に世の無常を感じ胸が痛む
●毎日当たり前に繰り返される学校・仕事に意味を感じられなくなって固まる
●「本当の友だち」とか「生きる意味」を考えて悩んでしまう
=
D(深く考える・深い処理)
ということなのではないでしょうか。
HSPをHSPたらしめる「D」(深く考える)とは?
このように、HSPの方はちょっとしたことをきっかけに深い思考(縦の仕事)に入ってしまい、そうすると、日常生活とか対人関係とか(横の仕事)が、ともすると疎かになりがちなのかもしれません。
「横の仕事<縦の仕事」と思っているので、横の仕事に時間やエネルギーを費やす時間がもったいなく感じられたり、価値なく感じられてしまう。
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このような内なるせめぎ合い(葛藤)を抱える人の代表としていつも思い浮かぶ人がいます。
実在ではなく、小説の中の人なのですが。
村上春樹作『ダンス・ダンス・ダンス』をめぐるHSPのお話
このようなHSPの生き方を考えるときにいつも思い浮かぶのが、村上春樹さんの小説『ダンス・ダンス・ダンス』の主人公「僕」です。
『ダンス・ダンス・ダンス』は『羊をめぐる冒険』の続編です。
主人公の「僕」は『羊をめぐる冒険』で親友を亡くし、恋人キキを失っています。そのため、「僕」は自分に起きた不可解な出来事を受けとめきれず、もがいていました。
社会の片隅で大切なものが損なわれているのに、気にもとめずに繁栄を求め続ける世の中のありようにも嫌気がさしていました。
そんな「僕」を応援するのが「羊男」という何か超越的な(この世のものではない)存在です。
「羊男」は、社会からドロップアウトしかけている「僕」に、「ステップを踏み続けなきゃダメだよ(社会にとどまり続けよ)」と声をかけ、励まし続けるのです。
『ダンス・ダンス・ダンス』は、「横の仕事」と「縦の仕事」に疲弊しがちなHSPの方が、自分だけのバランスを見出す助けになるのかもしれない、と思います。
あまり上手に説明できないので、興味のある方はぜひ、『羊をめぐる冒険』と『ダンス・ダンス・ダンス』を読んでみてくださいね。
自分らしく生きる
対人関係やコミュニケーションが大事な今の時代は、横の仕事が苦手で、縦の仕事に重きをおきたいHSPにとっては生きづらいことが多いかもしれません。
でも、HSPにとって(というか本当は誰にとっても)横と縦の「自分のバランス」を見つけることがとっても大事なんじゃないかと思います。
自分の縦横バランスを模索する仕事は、「縦の仕事」なので、本当はHSPさんには向いているんじゃないかな。
HSPのカウンセリング
はこにわサロンでは、HSPの方のカウンセリングをしています。
カウンセリングは、その方のニーズや願いに応じながら進めるので、話すことも、目指す方向も、その時々で異なります。
ただ、はこにわサロンでは、HSPの方の生きづらさを受けとめ、改善策を話し合いつつも、「楽に生きる」ではなく「ご自分らしく生きるには?」を模索することを大事にしたいと考えています。
HSPであってもなくても、自分だけの納得できる生き方を見つけられたら!と願っています。