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トラウマとは何か?傷つきとの違いとケアの方法とは?

 
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外資企業勤務後、心理臨床を志す。臨床心理士の資格取得後は東京・神奈川・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年、東京都港区・青山一丁目に「はこにわサロン東京」を開室。ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析を行っている。日本臨床心理士会、箱庭療法学会所属。
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東京・青山の心理カウンセリングルーム「はこにわサロン東京」の吉田美智子(臨床心理士・公認心理師)です。

 

「トラウマ」という言葉は、日常でもよく使われます。「あの出来事はトラウマになった」という表現を耳にすることもあるでしょう。しかし、心理学でいう「トラウマ」には、明確な意味があります。単なる「傷ついた経験」とは異なるのです。

 

トラウマと「ただの傷つき」の違い

私たちは誰でも、日常の中でさまざまな「傷つき」を経験します。友だちとケンカをした、仕事で失敗した、家族とすれ違った…そんな出来事は確かにつらいですが、多くは時間の経過や周囲の支え、自分なりの回復力によって少しずつ癒えていきます。これが「傷つき」です。

 

傷つき

  • 友人とケンカして一時的に落ち込んだが、仲直りして関係が回復した
  • 仕事でミスをして落ち込んだけれど、上司のフォローで再び挑戦できた
  • 子育てで叱りすぎたと反省したが、あとで「ごめんね」と謝って関係が修復した

このように「傷つき」はサポートや時間によって癒える心の傷です。

 

トラウマ

一方、「トラウマ」は単なる心の傷とは異なります。
あまりにも強い恐怖や無力感を伴う出来事によって、心がその瞬間に固まり、時間が経っても回復が難しい状態を指します。ふとしたきっかけで、当時の恐怖や緊張がよみがえるのが特徴です。

 

例えば…

● 交通事故に遭ったあと、車のエンジン音を聞くだけで動悸がしてしまう

● 幼いころ厳しく叱られ続け、今も「人に怒られるのが怖い」と感じる

● 過去のいじめの記憶がよみがえり、職場で人間関係に過剰に緊張してしまう

● 親の顔色をうかがう日々を過ごした結果、「安心できる場所」がわからなくなる

 

これは「忘れられない性格だから」ではなく、神経や身体にその恐怖の記憶が刻まれているために起こる現象です。

トラウマは「心の問題」というより、自律神経や身体の記憶が解除されないまま残っている状態なのです。

 

トラウマが残るとどうなる?

トラウマは、時間が経てば自然に消えるとは限りません。

 

心や身体が「危険は過ぎた」と理解できないまま、ずっと緊張状態に取り残されてしまうことがあります。これにより、次のような反応が現れることがあります。

 

① フラッシュバック

過去の出来事が、映像や感覚のようによみがえります。

● 交通事故の再現をテレビで見た瞬間、当時の恐怖が一気に蘇る

● 昔の叱責を思い出させる上司の声に、息が止まり固まってしまう

 

② 過剰な警戒心

危険が去っても、心と身体が「まだ安全じゃない」と感じ続けます。

● 些細な物音にびくっとする

● 職場や家庭で、いつも「次は怒られるんじゃないか」と不安になる

 

③ 感情のコントロールが難しくなる

トラウマによる神経の過緊張は、感情の波を大きくしやすくします。

● 小さなことでイライラが爆発する

● 感情が鈍くなり、何をしても楽しいと感じにくい

 

④  身体症状が出る

トラウマは心だけでなく、身体にも影響します。

● 慢性的な頭痛や肩こり

● 不眠や動悸、胃の不調

● 強い疲労感やエネルギーの低下

このように、トラウマは「過去の出来事」ではなく、今も心身に影響を与え続ける「現在進行形の反応」なのです。

 

トラウマ: 自分でできること

トラウマのある方が、まずは、ご自分でできるセルフケアをご紹介します。

 

①  安全な環境を整える

トラウマを抱えた心は、常に「今、危険じゃないか」と警戒しています。まずは「安心できる時間・場所」をつくることが大切です。

● 部屋を少し暗くして静かな音楽を流す

● 好きな香り(アロマ)を取り入れる

● 落ち着けるブランケットやお気に入りの椅子で休む

 

 ②  身体を落ち着ける(自律神経ケア)

トラウマは身体に記憶されるため、身体を落ち着けることで心も少しずつ回復します。

● ゆっくりした深呼吸(4秒吸う→6秒吐く)

● 手を胸やお腹にあてて「大丈夫」と自分に声をかける

● 軽いストレッチや散歩で身体をほぐす

 

③  気持ちを言葉にする

つらい出来事を「なかったこと」にすると、心はますます混乱します。言葉にすることで、自分の気持ちを整理できます。

● 日記やスマホのメモに、「今日しんどかったこと」を短く書く

● 「悲しい」「怖い」「悔しい」など、感情に名前をつける

 

④  サポートを得る

トラウマの回復には、「わかってもらえる」経験がとても大切です。

● 信頼できる友人に話してみる

● カウンセリングやサポートグループで安心できる人とつながる

 

トラウマ: カウンセリングにできること

トラウマは、単に「つらい記憶」ではなく、神経と心の反応として今も続いているものです。だからこそ、専門的なサポートが必要になります。

 

はこにわサロンでは、以下のようなカウンセリングをしています。

 

①  トラウマの整理

まず、何が起きたのか、どんな反応が続いているのかを一緒に整理します。
そして、これは、弱さではなく、あなたの心身が自分を守ろうとしている反応だということをお話しします。臨床心理士の説明で、トラウマを正しく理解することが、回復の最初のステップです。

 

②  安全な感情表現の場

トラウマは、時間が経つにつれて「自分にも悪いところがあった」などと理解されやすいのですが、まずは客観的に肯定的にお話をお聞きします。安心して話せる場を持つことが、社会への信頼を取り戻すきっかけになります。

 

③  日常でできる対応のサポート

カウンセリングで、日常生活を楽に過ごせる方法について検討します。場合によっては環境調整(恐怖を感じる人や場所から離れる)の検討をしたり、日常生活で辛さを感じている場面について、どうすれば無理なく過ごせるかを検討します。

 

④  自律神経を整える

トラウマ体験の影響は心身に大きく影響し、自律神経が乱れてしまうことが多いです。現状を把握し、自律神経を整える方法をご一緒に検討します。具体的には、ポリヴェーガル理論に基づいたセルフケアの方法をお話します。自律神経が整うと、自己コントロール感や、落ち着き、安心してつながることなどを取り戻すことができます。

 

トラウマとは: まとめ

トラウマは「弱さ」ではなく、「心と身体が生き延びるために戦った証」です。 はこにわサロン東京では、トラウマを理解し、神経を整え、少しずつ「安心を取り戻す」ためのサポートを行います。ひとりで抱えず、回復の一歩を一緒に踏み出しましょう。

 

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