東京・青山の心理カウンセリングルーム オンライン・電話対応可

オンラインやお電話でも相談できます

アンガーマネジメントができないのはなぜ?怒りを解消するには?

 
この記事を書いている人 - WRITER -
アバター画像
外資企業勤務後、心理臨床を志す。臨床心理士の資格取得後は東京・神奈川・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年、東京都港区・青山一丁目に「はこにわサロン東京」を開室。ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析を行っている。日本臨床心理士会、箱庭療法学会所属。
詳しいプロフィールはこちら

東京・青山の心理カウンセリングルーム「はこにわサロン東京」の吉田(臨床心理士・公認心理師)です。

 

「強い怒りをコントロールしたいけど、できない」

「アンガーマネジメントできない自分に失望する」

このようなご相談をお受けうることがあります。

 

みなさん、既にネットなどでお調べになり、「6秒ルール」などは知っていて、やってみるけどうまくいかないとお悩みなのですよね。

 

今日は、6秒ルールでは改善できない強い怒り、コントロールが難しい怒りと、その解消方法についてお話します。

 

アンガーマネージメントとは?

1970年代に米国で生まれた怒りやイライラの感情とうまくつきあうための心理教育・トレーニングシステム。自分の怒りのクセを理解して、怒りのピーク(6秒)をやり過ごす、自分の怒りを上手に相手に伝える方法を身につける。(日本アンガーマネージメント協会

 

怒りとは?

怒りは、ネガティヴな感情で、コントロールするべきものであると考えられがちです。

 

けれども、怒りは人間の大切な感情のひとつ。

 

「怒り」は不適切な状態に気づき自分を守るために発動されます。

 

例えば、誰かにバカにされて腹が立つような時に、怒りは「バカにされたままでいいの?」と自分に対して注意喚起しています。

 

このように、怒りを大切な信号としてキャッチして、適切に対処やケアをすることで、わたしたちのこころの健康(メンタルヘルス)が守られるのです。

 

やみくもに「消そう」「コントロールしよう」とすると、この自分を守る機能が働かなくなり、加えて他の感情も合わせて感じなくなってしまうこともあるので、とても危険です。

 

 

怒りっぽさ・強い怒りが生じる理由

一方で、いつもイライラして怒りっぽかったり、すぐに強い怒りが爆発してしまうと、社会生活でトラブルを生みやすく、自分の生活の質も落としてしまいかねません。

 

では、なぜ、わたしたちはイライラしがちだったり、強い怒りの爆発を起こすのでしょう?

 

人のこころには、感情の器があると考えてください。

器の中が適切に整理されて、不意な感情が起きても入れておける容量があれば「いつもイライラ」したり「強すぎる爆発」は生じません。

 

この状態であれば「6秒ルール」が適用できます。

 

けれど、感情の器の中に、長い間、さまざまな感情が隙間なくぎゅうぎゅうに詰め込まれ未処理のまま溜め込まれていたらどうでしょうか?

 

ほんの些細なことでも、溢れ出し、爆発してしまうのは当たり前、仕方のないことです。

けれど、こうなってしまうと、感情の器の整理なしに怒りのコントロールは不可能です。

 

感情の器の整理とは?

感情の器を整理するには:

✔️  信頼できる人との安心できる関係の中でゆっくりとふりかえりをして、味合わないまましまいこまれたネガティヴな感情に向き合い、納得できる形に整理し直すこと

 

✔️ ありのままの自分を肯定してもらえる環境で、少しずつ適切な自己表現を獲得していくこと

 

✔️ 信頼できる関係性や安心できる環境が得られないときは、カウンセリングがおすすめです。

 

詰め込まれたネガティヴな感情の中には、自分らしさ、大切な感情、大切な思い出が混在しています。

取り掛かるのは本当に億劫だけど、やってみると、大切な自分を取り戻す体験になります。

 

怒りがため込まれるのはなぜ?

では、なぜ、そんなに感情の器が整理されないままになるのか?

それにはいくつかの理由があります。

①  疲れ・ストレスで、こころの健康度が落ちている

②  自分の感情を呑み込むクセがある

③  不安が強い(自己肯定感が持てない)

④  複雑性トラウマの影響

 

それぞれ、説明します。

 

① 疲れ・ストレスで、こころの健康度が落ちている

あなたは仕事や日常生活でがんばりすぎが続いていたり、ストレスを感じながら、どう向き合って良いかわからず放置していませんか?

 

「みんなも頑張っているのだから自分ひとり弱音を吐いてはいけない」と感じて、ただ我慢しようとすると、感情の器に我慢がため込まれてしまいます。

 

ひとはそれぞれ違う事情を抱えているので、安易に人と比べて「まだ我慢」する必要はありませんし、危険なのでお勧めできません。

 

ひとばんぐっすり寝たり、週末にのんびり過ごす・気分転換をすればリセットできる程度に調整してください。

 

② 自分の感情を呑み込むクセがある

「怒ってはいけない、我慢しなさい」と教わってきましたか?

 

本来この教えは、我慢の後に、十分な発散やケアの場が設けられて、怒りが消化されることができることが前提なのですよね。

 

怒りを我慢し続けるのではなく、怒りを適切にリリースしたり、我慢した自分をねぎらいケアしたりするなど、意識的に消化する方法を見つけてください。

幼少期から我慢する役割を担ってきたという方もおられるでしょう。

 

それは、あなたに我慢する力、耐える力があり、周囲がそこに甘えていたのです。けれど、それは本来あなたがひとりで背負うことではありませんでした。

 

この場合は、我慢が生き方のデフォルトになってきたことに気づくこと、また気づいた時に生じる強い怒りや悲しみをていねいに分解して、ご自分をケアしてあげる必要があります。

 

信頼できる人との関りのなかで、またはカウンセリングが必要になる場合が多いと思います。

 

③ 不安が強い(自己肯定感が持てない)

あなたは、「自分なんてダメだ」「みんなからもそう思われているのではないか?」と不安に感じていませんか?

 

不安が強いと、些細なことで不安が刺激されて怒りを爆発させてしまうことになります。

 

人は誰だって、大切な存在として認められたいと願うものです。でも、それは、何より自分で自分のことを「大切な存在」と思えなければ、どんなに他の人からそう言ってもらってもダメなのです。(不安が増すだけ。)

自己肯定感という言葉を聞いたことがありますか?

 

自己肯定感とは、「ありのままの自分でいい」ということ。

 

それは、長所も短所もひっくるめて、今日1日がうまくいっても、あまりうまくいかなくても「お疲れ、自分」と言えることです。

 

人より優れていなくても、何か自慢できることがなくてもいいんです(自己肯定感=自信があること、ではありません)。

 

自己肯定感のあるなしは、親子関係をベースに、学校などの社会体験の中で育まれたり、傷つけられたりします。詳しくはこちらをご覧ください。

 

この他に、元々の性質として怒りっぽいとか、怒りが衝動的に発出しやすい人(発達障害、ASD、ADHD、またその二次障害)、また①②③が複合的に足しあげられている方もいらっしゃいます。

 

ご自分がなぜ、感情の器の中に未処理の怒りを詰め込んできたのかを一度しっかりふりかえってみてください。そして、ご自分の感じ方や考え方を調整し、必要なら環境も見直しをしてください。(いつも否定的な言動を向けてくる人がいるなら、その人と距離を取る、とか、働きすぎを見直す、など。)

 

④ 複雑性トラウマの影響

複雑性トラウマ、という言葉を聞いたことがおありでしょうか?

 

一般的に、トラウマ、というと、大きな出来事によるショックや傷つき体験を指します。

 

複雑性トラウマ、というのは、それほど大きくないものの、不適切なことを日常的に繰り返しされることで生じるトラウマを指し、大きな出来事によるトラウマ以上の強い影響を与えることがわかっています。

 

例えば

  • 話を聞いてもらえなかった
  • 気持ちを受けとめてもらえなかった
  • 「ダメな子」だと感じてきた
  • 子どもの頃から感情コントロールが苦手で叱られた

上記のようなことが、家庭や学校で繰り返されると、自分に自信が持てず、自分の感情を否定して我慢したり、人に合わせてうまくやろうとするだけになってしまうものです。

 

傷ついた時に、あなたの傷つきに気づいて「大丈夫?」と声をかけて話を聞いてくれたり、なぐさめたり、励ましたり、「大事に思っているよ」と伝えてもらえたりしていたら、たまに上記のようなことがあってもトラウマになったりしません。でも、いつもぞんざいに扱われたり、傷ついているのにひとりぼっちでいると、傷つきが繰り返されて複雑性トラウマとなります。

 

怒りは、今目の前で起きている怒りだけなら、なんとか自分をコントロールして怒らずに済ませることができるものです。あとで愚痴ったり、リフレッシュをしたりすれば忘れられます。でも、「まただ・・・」と感じる怒りの時は、目の前の怒りだけなく、自分の内側で、過去の怒りや悲しみが同時再生されるため、大きく膨れ上がり、コントロール不能になります。

 

このような怒りを、6秒ルールや、場所を変えるだけで、コントロールしたり、消化することはできません。カウンセリングを通じて、過去の怒りや悲しみに向き合って、解消してあげる必要があります。

 

怒りを適切にコントロールするには・まとめ

✔️ 怒りは人間の大切な感情のひとつ

 

✔️ 怒りをやみくもに「消したり」「コントロール」すると自分を守れなくなったり、喜怒哀楽全てが麻痺する危険がある

 

✔️ 人には感情の器がある。適切に整理され、充分な空き容量があればアンガーマネジメントが成り立つが、満杯の場合は、蓄積された怒りの整理をすることなしに怒りをコントロールすることはできない。

 

✔️ 感情の器は、信頼関係の中でゆっくり行い、怒りを適切に表現できるよう練習が必要。

 

✔️ 詰め込まれたネガティヴな感情の中には、自分らしさ、大切な感情、大切な思い出も含まれている(取り戻そう!)

 

✔️ 怒りが溜め込まれるのには①疲れ・ストレスで、こころの健康度が落ちている、②自分の感情を呑み込むクセがある、③不安が強い(自己肯定感が持てない)複雑性トラウマ などの理由があり、異なる理解と対応が必要。

 

✔️ 複雑性トラウマにはカウンセリングが有効

 

はこにわサロンでは、あなたの怒りに合ったアンガーマネジメントを見つけるカウンセリングをしています。

ご予約はこちらから(カレンダーを見る)

はこにわサロンについて

 

こちらもどうぞ

この記事を書いている人 - WRITER -
アバター画像
外資企業勤務後、心理臨床を志す。臨床心理士の資格取得後は東京・神奈川・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年、東京都港区・青山一丁目に「はこにわサロン東京」を開室。ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析を行っている。日本臨床心理士会、箱庭療法学会所属。
詳しいプロフィールはこちら

- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください