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子どもに言葉が伝わらない!?その理由と解決方法を詳しく解説

 
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外資企業勤務後、心理臨床を志す。臨床心理士の資格取得後は東京・神奈川・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年、東京都港区・青山一丁目に「はこにわサロン東京」を開室。ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析を行っている。日本臨床心理士会、箱庭療法学会所属。
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東京・青山の心理カウンセリングルーム「はこにわサロン東京」の吉田(臨床心理士・公認心理師)です。(オンラインカウンセリング・電話カウンセリング受付中)

 

子どもと言葉でやりとりをしていると、うまく伝わらないことがありませんか?

 

きょうは、なぜ親子ですれ違ってしまうのか、解消方法をお話したいと思います。

 

親子でコミュニケーションがすれ違う理由は3つ

すれ違いの理由は大きく3つ

①子どもの理解力の限界

②親の早とちり

③言いたくない

 

詳しくお話します。

 

(理由①)子どもの理解力の限界

子どもは1歳前後から少しずつ言葉を理解し、話せるようになっていきます。早い子では3歳くらいから、多くは5歳くらいには、概ね「言葉でやりとりができるようになったな」と感じられると思います。

 

でも、会話のキャッチボールがうまくいっても、子どもが親と同じ理解ができているとは限りません。

 

例えば下の図のように。

親子でやりとりができていても、イメージがずれているのがおわかりいただけるでしょうか。

 

 

大人が「早くして」と言った時には

●むこう何分間でしなければならないことは何か?

●どのくらい急がないと間に合わないか?

●もし遅れるとどうなるか?

などということを合わせて考えます。

 

でも、子どもは(年齢にもよりますが)そこまでイメージすることはできません。

 

そのため、

親「早くして!」

子ども「わかった!」

いいお返事をしたのに遊んでいる、とか、ちっとも急いでいない、ということが生じます。

 

解決するには?

小学校中学年以前の子どもたちは、大人が思う時間感覚を獲得していません。

 

例えば、大人は「あと10分以内に何をしないといけない」と時間をタスクで“割り算”して帳尻を合わせることができますが、子どもの時間はまだ“足し算”ですから、大人が1つずつ、順番に伝える工夫が必要です。

 

また、子どもは先を見通す力もまだ獲得していませんから、「急がないと遅刻する→遅刻すると困ることになる→遅刻しないようにしよう」と考えること難しいのです。

 

このように、「急いで!」「わかった!」と一見スムーズなコミュニケーションができていても考えている内容には隔たりあり、この隔たりは子どもに埋めることはできません。

 

「急いでね」の例で言えば、「急いで」と言う代わりに、子どもにやってほしいことを、ひとつずつ、順番に、具体的に言ってあげる。大人が子どもの理解力に合わせてコミュニケーションを調節する必要があるのですね。

 

(理由②)親の早とちり

 

図では、わかりやすくするためにシンプルにしていますが、子どもの中にさまざまな気持ち(時に相反する気持ち)がある時などに、大人が部分的に言い当てて納得してしまう、ということがあります。

 

部分的でも当たっているから子どもは「そうだ!」と同意するけど、次第にずれが生じてしまうわけです。

 

大人は「そうだって言ったのに、なんで?」と子どもに不信感を持ったりするかもしれませんが、子どもにしてみれば別に嘘を言っているわけではないのです。

 

解決するには?

子どもの表情・様子を観察しておくことをお勧めします。

 

本人が「いちばん伝えたかったことを大人に理解してもらえた!」と感じていればスッキリした表情をするでしょう。

 

表情が冴えないなと感じたら、折を見て他の可能性についても伝えてみるとよいかもしれません。

 

とはいえ、親にも全部を理解できるというわけではありません。

 

「親にも分らないことがある」と受け入れることが、子どものこころの尊重につながるのではないでしょうか。

 

(理由③)言いたくない

 

子どもが親に考えや気持ちを「言いたくない」と感じることもありますよね。

 

そんな時は、子どもの「言いたくない気持ち」を受けとめてあげられるといいですね。

 

なぜなら、丸ごと受け止めてもらえたら「言ってみようかな」と感じるだろうから。もちろんそれでも、言う・言わないは子どもの自由なんですけども。

 

あるいは「いつでも聴くから言ってね」と伝えておくのも有効です。本人のペースを尊重することができます。

 

でももし「親に心配かけたくないから言えない」としたら?

 

これも、子どもの表情・様子を見ながら判断することが求められます。「こんなことないかな?」と聞いてみたり、「もしこんなことがあったら親はこう思うな」と促してみたりしてもいいかもしれません。

 

具体的なことを親に話さなくても「親が味方になってくれている」と感じることで子どもは安心できます。

 

自分で解決したり、後でお話してくれるかもしれません。

 

子どもの気持ちを理解するには?

子どもの気持ちを理解するには、

 

①子どもがその時出来ることを理解して親が手助けする

②親が全部理解できると思い込まない

③言えないことがあるときは「待ってるね」とメッセージを出して待ってみる

 

のが有効だということをお話しました。

 

大切なのは、言葉は便利だけど、言葉だけに頼らないことです。

 

言葉にならないメッセージ(表情、態度、様子)を観察・確認しながら、問いかけをしていきましょう。

 

大切なことなので、もう少し具体的にお話します。

 

観察する、とは?

まず確認したいのは、食事、睡眠、意欲・表情です。

 

食欲はありますか?

食欲がないみたいだ、あるいは逆に、過食気味であるときは、何か心配ごとがあるサインかもしれません。

 

夜はよく眠れていますか?

夜ぐっすり眠れていればよいのですが、夜更かし、寝付けない、朝起きられないなど、睡眠の乱れがあるときは、子どもとの対話や生活リズムの見直しが必要です。

 

ゲーム三昧である、というようなときは頭ごなしに叱るのではなく、子どもがゲームに依存的になってしまう理由は何かを考えながら、対話のチャンスをつくりましょう。

 

意欲はありますか?

学校や幼稚園に行くことやお友だちと遊ぶこと、好きな遊びをすることなど、意欲的にとりくみ、よい表情が見られるでしょうか?

 

無気力になってしまっているときは、学校(幼稚園)や家庭に何かストレスがないか検討してください。

 

表情

普段の表情はどうでしょう?

 

いつも表情が優れない、目が合わないなどの場合は、何かに困っているが言えないのかもしれません。

 

ひとりになりたがるようなときも、何か困っていないか、様子を気にかけてあげたいところです。

 

このように、言葉にならない子どものメッセージを観察して、気になることがあるときには、次の「問いかけ」をしてみてください。

 

「問いかける」方法

子どもが何かこころに抱えているようだと感じられるとき。でも、どうやら親には言いたくないようだ、と言うときには、どのように話を聞いたらよいでしょう?

 

ヒントは「問いかける」です。

 

親が子どもに何か聞きたいことがあるときは、ついつい「こうなの?ああなの?」と質問してしまうのではないでしょうか?親側がイライラ、不安、怒りなどの感情を持ちながらの質問は、子どもにとって「尋問」になってしまうこともあります。それでは、子どもに安心して話してもらうことは難しい。

 

代わりに「もしや、こうなのかな?」とか「わからなくてごめんね。教えてくれる?」のように問いかけると、子どもも自分の気持ちを話しやすくなりますよ。

 

質問・尋問が親が上、子どもが下のような構図を想像させるのに対し、問いかけは親子が横並びの構図(対等な立場で教えて欲しい、とお願いする)になっているのが、こころを開きやすくなる理由です。

 

「NO」が言える関係性を

お子さんは自分が嫌だなと思ったときに「NO(嫌だ)」が言えますか?

 

「NO」は子どもにとって、自分を守る大切な言葉です。(「YES」より大切なくらい!)

 

お子さんは、「NO」が言えますか?親の顔色を読んで「NO」が言えなくなっていませんか?

 

大切な話をするときは、「嫌な時は嫌って言ってね」と最初に伝えておくのも一案ですよ。

 

大人になっても役立つ非言語コミュニケーションのすすめ

これまでのお話は親子を想定しています。

 

就学前・小学校中学年くらいは、一見言葉でコミュニケーションがとれていても、理解にギャップがあることがあります。

 

また、小学校高学年以上になると、コミュニケーション力は大人に近づいてきますが、思春期で大人に言いたくないことも増えてきます。

 

言葉の力・コミュニケーションの力を磨くことは大切ですが、同様に非言語のコミュニケーション力を鍛えておくと、親子のコミュニケーションがよりスムーズに、豊かになります。

 

まとめ

●親が思っている通りのことが伝わらないときは、ひとつずつ、具体的に伝える、などの工夫をする

 

●親子のあいだでも、子どものすべてを理解できるわけではない、と心得る

 

●子どもが言いたくないと感じているときは、観察と問いかけをする

 

非言語のコミュニケーション力を磨くと、コミュニケーションがよりスムーズになる

 

このような工夫をしても親子でうまくコミュニケーションがとれないとき、子どもに心配な様子が見られるけどどう話し合えばよいかわからないときは、こころの専門家がお手伝いします。お気軽にご相談ください。

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外資企業勤務後、心理臨床を志す。臨床心理士の資格取得後は東京・神奈川・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年、東京都港区・青山一丁目に「はこにわサロン東京」を開室。ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析を行っている。日本臨床心理士会、箱庭療法学会所属。
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