■ダメ出し■ディスる~対人関係・自己肯定感に悪影響の批判癖をやめるには?
東京・青山の心理カウンセリングルーム「はこにわサロン東京」の吉田(臨床心理士・公認心理師)です(オンラインカウンセリング・電話カウンセリング受付中)
■相手をディスってしまう。
■マウンティングしてしまい対人関係がうまくいかない。
■大切な相手・自分を批判する癖がある。
わたしがこの記事を書くきっかけになったのは、わたし自身のなかに「くだらない」「~の方がマシ」のような批判マインドがあることに気づいたからです。
批判マインドは、相手との関係を悪化させるだけでなく、自分への肯定感にもダメージを与えます。
ですから、批判マインドに陥る理由を理解して、自分も相手も尊重できる生き方をしていけるといいなぁと願ってこの記事を書きたいと思います。
「くだらない」「~の方がマシ」にひそむ批判マインド
■「ダラダラやるくらいなら、やらない方がまし!」
もし、あなたが子育て中なら、上のような物言いを子どもにしてしまうことがあるのではないでしょうか。
子育て中じゃなくても家族や友人、会社の同僚などに対して批判的な気持ちでダメ出しをしてしまうことがありませんか?
このようなときは、「そろそろゲームは切り上げて明日の準備をしたら?」や「集中してやんなさい」と言えばよいだけなのに、なぜ、頭に批判をつけてしまうのか?
昭和的口癖
ひとつには、自分がそう言われてきたから。
家でも学校でも、昭和の大人はこういう言い方をしたと思いますし、そう言われたら反省して行動を正すのが求められました。
でも、その結果、わたしの中に「わたしは何が好き」ではなく「この方がマシ」だから選ぶ・人に勧める、自分が何か時間潰しをして気分転換した時に「はー、楽しかった、さ、次のことしよう」ではなく「くだらないことに時間を使ってしまった、後悔」という気持ちがわきます。
これは、ずいぶんと残念な生き方なのではないでしょうか。
大切な人とのコミュニケーションにおいて、また自分に対しても、こんな言い方したくないし、子どもたちにはこのような残念な考え方を身に着けてほしくない。
それが事実・正しかったらいいのか?
「やるべきことを後回しにして遊ぶ」や「やるべきことをダラダラ行う」のは望ましくないのだから、その通り言って何が悪いの?という考え方もあると思います。
相手の言動を修正して欲しいときには、「こうして欲しい」「こうすれば?」と提案することは大切です。
ただ、自分の方が正しいのだからといって相手への批判や非難を加えると、実は相手にはあなたが伝えたかったことは伝わらず「批判された・非難された」ショックや怒り、悲しみや諦めの気持ちがわきおこります。
相手が言動を修正したとしても「本当にそうだな!言ってくれてありがとう!」と言う気持ちではなく、あなたのことが嫌だから(これ以上言われたくない)言われた通りにするだけ。
納得して言動を修正しているわけではないので、それが繰り返されることも想定されます。悪循環が生じそうな予感がしませんか?
このように「自分のほうが正しいから」「いいことを言っているのだから」と相手にダメ出しをする、ディスる、批判することは、相手との関係性を壊すだけで、双方に何のメリットもありません。
それなのに、なぜ、ダメ出し、ディスる、批判をやめられないのでしょう?
ダメ出し、ディスる、批判をしてしまう5つの理由
①白黒思考
何事も、白黒はっきりさせたい、またははっきりするものだ、と考えていませんか?
そして、「自分が正しい時は相手は間違っている」と決めつけていませんか?
世の中のことは何事も、はっきり白黒はつけにくいものです。
例えば「殺人は絶対に悪」という考え方があります。
でも、もし、「虐待されていたら?」「本人が不治の病で望んでいたら?」「これ以上ひとりで介護するのは無理だったら?」一方的に「悪だ」と決めつけられないと思うのではないでしょうか。
このように、相手の事情を聞いてみないと何が正しいのかわからないものです。
それから、「自分が正しい・正義だ」と考えると、相手を一方的に強く責めてしまうものです。
一方的に断定して批判すると、相手の考えや事情を聞くチャンスを失います。
白黒思考を修正するには、冷静かつ中立的な態度で、相手に話を聞いてみることが大切です。
②マウンティング~自分が上に立とうとするマインド
ダメ出しや批判は、「自分が正しく相手がダメ」というマインドセットなので、自分が相手より上に立つことができます。
そのため、自分が人より上に立っていたいと願うとどうしても人に対して批判的にしてしまいます。
「別にマウントをとっているつもりはなくて、自分の方が正しい・知識や経験が上だから、親切に言ってあげているだけ」であれば、相手があなたの意見や批判に従わなくても気にならないはず。
でも「せっかく言ってあげたのに!」と相手に更なる批判の気持ちが湧いてくるときは、ご自分の中の「批判することで上に立ちたい気持ち」であるということです。
本当に相手のことを思って伝えたいときは、相手に伝える工夫が必要です。
そのために、まず相手の気持ちや事情を聞くことが大切です。
相手があなたと同じようにできないなら、それが相手の今のベストだろうと思います。
相手のベストを認めた上で、改善について話し合えばよいのです。
自分のほうがわかっている・上手にできるとしても、押し付けたら関係が悪化するだけ。これは親子関係でも同じことです。
③「正しさ」への依存
「正しいこと(間違っていないこと)」には、安心感があります。
なぜなら、正しければ誰からも批判されないで済むからです。
そのため、自分に自信がないときや、対人関係に不安があるときなどには、自分を守るために正しさに依存してしまうことが生じます。
自分に自信がないときや不安の強い時は、自分に対してもダメ出しや批判を強めるケースもよくあります。
「自分がこれだけ頑張っている」と思うと、他者に対する批判がエスカレートしてしまうのです。
④不満の表明
不満の表明というのは、「わたしは不満なのだ!」「話を聞いてほしい」「助けて欲しい」という気持ちが相手に伝わらず追い詰められたときに、相手への批判として表れることです。
この場合、批判行動は特定の相手に対して発せられます。
けれども、批判行動からは相手の聴く姿勢や自分に対する思いやりを引き出すことはできません。
大切な相手とこのような悪循環が生じている場合は、信頼できる第三者やカウンセリングなどを通じて、関係性や自分の思いを整理するのが望ましいかもしれません。
⑤気質
わたしたちの考え方や感じ方、言動には、生まれ持った気質が関係します。
そのため、白黒思考で考えたり(たとえ不都合や不利益が生じても)、相手の事情を勘案することが苦手だったり、一方的なコミュニケーション表現をとることもあります。
気質の場合は、なかなか変えることは難しいかもしれません。
ただ、気質が関係していても、不安が高い時は強まる傾向があろうと思います。
不安を軽減することや、相手の希望を聞くことでうまくいく体験などが、批判マインドを和らげることはあります。
批判マインドを手放すには
批判的な考え方や言動を変えていくにはどうすればよいでしょうか?
自分の正しさを疑う視点を持つ
正解はひとつだけ、とは限りません。
自分の視点からだけでなく、相手の視点を想像すること。
わからなかったら、相手に聞いてみましょう。
ただし、聞き方は淡々と・ニュートラルに。
相手を尊重する
相手を尊重すると、相手からも尊重されます。
尊重する、というのは、具体的に言うと、相手の気持ちや感情をまず聞こうとする姿勢のことです。
自分の考え・感じ方を大事にする
正しさにこだわらず、自分の考えや感じ方を大切に扱いましょう。
正しさや誰かとの比較ではなく、自分をまるごと肯定できれば、人に対して批判することもなくなりますよ。
事情を受け入れる
「よくないことはわかっているけど、今はこれしかできない」ことってありませんか?
その時々の事情で、できるベストが変わってきます。
相手の事情、自分の事情、どちらに対しても聞く耳を持って、受け入れましょう。
批判してくる人にどう対応すればよいのか
上から目線で一方的に批判ばかりしてくる人に対して、ついやってしまいがちなのが、自分が正しい時に主張することです。
「正しさ」がルールの間柄であれば、自分が正しい時に主張する・反撃することは理に適っていると思うかもしれません。
でも、相手に複合的な視点や柔軟な姿勢がない時には、「正しさ」で勝負してもおそらく勝つことはできないでしょう。
同様に、「目には目を」と批判返しをしたくなるかもしれません。例えば、本人に直接言えない場合は陰口で。若干のストレス解消にはなるかもしれませんが、相手との関係性には何の変化ももたらさないため不毛な方法です。
ひとつの提案は、相手の批判を「あなたはそう考えるのですね」と受けとめることです。
淡々と、事実整理をする姿勢で。
その上で(やはり冷静に)「わたしはこう考える」と伝えることが大切です。
「あなたとわたしは、考えは違うが、どちらも大事だと思っている」ことを伝えることができます。
相手の言うがままにしてしまうと、相手は「自分のやり方が正しい」と誤解してしまうので、注意が必要です。
相手が目上の人である場合や、やりこめないと気に食わない人の場合は、うまく対応するのが難しいこともあるでしょう。
その場合は、相手の批判マインドが何から来ているのかを考えながら、相手を責めたり不安にすることを避けて、伝えてみてください。
批判マインドを手放して、自分も相手も大切に生きられるようになれば!と思います。
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