東京・青山の心理カウンセリングルーム オンライン・電話対応可

オンラインやお電話でも相談できます

ワーママのメンタル崩壊を防ぐ 今すぐできる自分ケアと子育ての秘訣

 
この記事を書いている人 - WRITER -
アバター画像
外資企業勤務後、心理臨床を志す。臨床心理士の資格取得後は東京・神奈川・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年、東京都港区・青山一丁目に「はこにわサロン東京」を開室。ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析を行っている。日本臨床心理士会、箱庭療法学会所属。
詳しいプロフィールはこちら

東京・青山の心理カウンセリングルーム「はこにわサロン東京」の吉田美智子(臨床心理士・公認心理士)です。

 

働きながら子育てをするお母さんたちは、仕事と育児を両方担ってものすごく頑張っているのに、「自分は十分にできていない」と罪悪感を感じて、メンタルダウンしてしまうことが少なくありません。

 

この記事では、ワーママが感じやすい罪悪感について、なぜ起きるのか、今すぐできる対処法(自分ケアと子育ての方法)についてお話します。

 

子どもや家族だけでなく、ご自分のことも大事にできる子育てをしていきましょう!

 

ワーママの罪悪感(マミーギルト)とは

「マミーギルト」という言葉を聞いたことがありますか?

 

「自分は母親として十分なことができていない」と子どもや家族に罪悪感を感じたり、落ち込んだりすることを指し、調査によれば、約3人に2人が感じていることがわかっています。

マミーギルトとは

仕事と育児は、本来、二人分の仕事なのに、ひとりで両方になっているのですから、充分なサポートが得られれば充実感や満足感を感じることができますし、得られなければ、イライラしたり、孤独感を感じたり、「自分はダメだ」と感じてしまうのは当たり前のことだと思います。

 

罪悪感を感じるのはどんな時

 

どんな時に罪悪感を感じるのかというと(自由回答より)

  • 子どもが病気になっても預けて仕事をしなければならないこと
  • 子どもが体調不良の時に、仕事の心配をしてしまうこと
  • 子どもたちに満足なご飯を作ってあげられなかったり、いつもイライラしてしまっていること
  • 学校行事に参加してあげられないこと
  • 子どもが休日にひとりで留守番をしたり、連休が取れないこと
  • 「ママも自由時間が欲しい」と思うことに対して
  • 忙しくて時間に追われ、余裕のなさがいろんなところに出てしまうこと

ワーママなら誰もが感じることばかり・・・。

 

仕事と育児の両立は、誰がやっても本当に大変で、お母さんのせいというより、サポート不足が原因なのですよね。

 

でも、責任感が強い人ほど、罪悪感を感じやすく、自分を追い詰めてしまいがちです。

 

メンタル崩壊を防ぐためにできることを3つ、ご紹介していきます。

 

対処法① 自己肯定感を持つ

対処法② 自律神経を整える

対処法③ 目指すのは「ほどよいおかあさん」

 

対処法① 自己肯定感を持つ

まず、大事なひとつ目は、「自己肯定感を持つこと」です。

よく聞くけれど、よくわからない、という方も多いのではないでしょうか。

わかりやすく図解していきますね。

 

わたしたちの中には、いろいろな自分がいます。

例えば「仕事を頑張らなくちゃ!」と思っている自分がいる一方で、「もう無理だ・・・休みたい」という自分がいたりしますよね。

自分の中には、自分に努力を促す声かけをする役割を果たす「超自我」がいます。

 

超自我は、わたしたちの成長に欠かせない大事な役割を果たしますが、強すぎると支配的になることがあります。

 

イメージで言うと「親」「先生」「警察官」「裁判官」みたいな感じ。

一方で、わたしたちの中には、自分を肯定する自分もいます。それが自己肯定感です。

自己肯定感とは、どんな時でも自分を肯定できる自分です。ダメな自分、失敗した自分も「大丈夫」「ドンマイ」と感じられる気持ちで、「自分はすごい!」「自信がある」ということではありません。

 

自分の中で、自己肯定感と超自我のバランスが取れていることはとても大切です。

でも、ワーママのように、自分にとって大切で、やるべきことがたくさんある時、わたしたちはどうしても超自我に傾きやすい性質があります。

 

ひとり二役で、限界をこえて日々がんばっているのに、超自我が自分を責めてばかりいると、自信がなくなり、罪悪感を持ってしまいやすくなります。

超自我と自己肯定感のバランスが取れていると、メンタルダウンせずにいられます。

 

もし、「自分はいつも自分を責めてばかりいるな」と思ったら、意識的に自分にエールを送ってください。

 

たとえ、「何もうまくいなかった残念な1日だったとしても、「疲れたよね」「よくがんばったな」「今日は早く寝よう」のように自分に肯定的な声かけができると、自分の心身をよい状態に保つことができますよ。

 

対処法② 自律神経を整える

ワーママがメンタルダウンしてしまう理由の一つに、自律神経の乱れが関係しています。

 

自律神経とは、自分の意思とは関係なく、生命維持のために働く神経で、内臓、代謝、体温調節などをつかさどっています。

 

自律神経は、大きく、交感神経と副交感神経から成り立っています。

 

この図では、上の濃いピンクが交感神経を、下の薄いピンクと水色が副交感神経を表しています。

 

交感神経は、アクセルの役割を果たしていて、活動するとき、がんばる時は、交感神経優位になります。

 

副交感神経は、リラックスとブレーキの役割を果たします。寝ている時や、くつろいでいる時、人と穏やかに交流しているときは副交感神経優位になります。

 

副交感神経の中には、急ブレーキの役割があります(水色のところ)。

 

自律神経がうまく働いている時は、朝、目覚めて、朝ごはんを食べると徐々に副交感神経から交感神経優位になって活動に備えますし、疲れたらちょっと休憩して副交感神経優位に戻す、というように、穏やかな波線が描かれます。

 

けれども、ひとり二役で超多忙なワーママの場合、自律神経が乱れてしまいやすいのです。こんなふうに・・・

ワーママの朝は超多忙です。起きたらすぐにアクセル全開で、フルスピードで走り出し、時間を惜しんで仕事に没入します。交感神経優位のままで、一息いれる時間もありません。

 

でも、もちろん、それでは心身が持たないので、急ブレーキを踏んでちょっと休憩するのですが、すぐにまたアクセル全開しないといけない。ワーママたちは、甘いものやカフェインでアクセルをふかし、冷たいものやアルコールで急ブレーキを踏む、という人も。

でも、こんなふうに、無理を続けてしまうと、自律神経の働きが乱れてしまいます。

 

自律神経の働きが乱れてしまうと、どのような状態になるかというと・・・

  • 休みたくても休めない
  • リラックスできない
  • 寝付けない・朝起きられない
  • イライラして些細なことで強く怒る
  • 攻撃的になったり、被害的に感じやすくなる
  • だるい、動悸や息切れ、めまい
  • 頭痛、食欲不振
  • 便秘・下痢 など・・・

 

自律神経の乱れが、身体の不調やメンタルダウンを引き起こしてしまうのです。

 

では、自律神経を整えるには、どうすればよいでしょう?

 

大きく、2つの方法があります。

自律神経を整える方法①  自分をゆるめる

自律神経を整えるファーストステップは、自分をゆるめることです。

例えば、以下のような方法が有効です。

☑️  首の後ろをやさしくマッサージする

☑️ 手のひらでお腹を温める

☑️ 肌触りのよい衣服やタオル、寝具を使う

☑️ 温かい飲み物を「ふーふー」しながら飲む

☑️ ゆっくり動く・ゆっくり動くものを眺める

☑️ デジタルデトックス(寝る前1時間は見ない)

 

自律神経を整える方法②  つながりモードの回復

自律神経を整える、次のステップは、つながりモードの回復です。

 

わたしたちは、人と穏やかに繋がり心地よいと感じる時に副交感神経優位になります。

ですので、穏やかなコミュニケーションを回復するためにできること、例えばこんなことが有効です。

☑️  手のひらで顔をやさしくマッサージ

☑️  百面相で表情筋をゆるめる

☑️  目をキョロキョロさせる

☑️  周りの環境に意識的に意識的に気持ちを向けてみる(例えば、空や緑を見る)

☑️  心地よい音楽を聴く。

☑️  子どもを抱きしめる

☑️ 動物とふれ合う

参考文献: 浅井咲子『不安・イライラがスッと消え去る「安心のタネ」の育て方』大和出版

 

対処法③ 目指すのは「ほどよいおかあさん」

自己肯定感を回復し、自律神経を整えたら、最後にやってみてほしいのが、無理のない子育てです。

 

一度しかない子育てだから、わたしたちはどうしても、「いい母親」「いい子育て」を目指してしまいがちです。でも、心理学では「いい母親やいい子育ては無理だよね」と理解されていて、「目指すのは、ほどほどのお母さんである」といわれています。

 

「ほどよいお母さん」というのは、ウィニコット先生(イギリスの小児科医・精神科医)が提唱した概念です。ウィニコット先生はこのように言っています。

あるべき母親の姿は「ほどよい母親」です。それは、際限のない子どもの要求に、いら立ち、怒り、憎しみも覚えるが、それを我慢するのではなく、悪意のない方法で発散することができるお母さんです。
 
 
お母さんが、自分のこころに自然と湧いて来る方法で、やれることをやっていたら、それが一番よい方法だし、自分の判断を信じられるときがお母さんにとってのベストコンディション。 (ウィニコット)
 

 

もうひとり、日本の心理学者である繁多進先生の言葉も紹介しましょう。

51%のよいお母さんでいいんだよ。

49%は魔女でもいいの。

それでも、子どもは100%愛してくれるんだよ。(繁多進/白百合女子大学教授)

 

「がんばらなくても大丈夫」な子育てについて、こちらの記事もどうぞ。

 

 

実は、子育ての不安が強いと、わたしたちの気持ちは超自我に傾きやすいのです。

  • 母親が働いていると、子どもが寂しいのではないか?マイナスの影響があるのではないか?
  • 子どもが保育園や学校に適応できるだろうか?
  • 子どもを社会自立させる責任がある
  • 不登校になったり、引きこもりにならないようにしなければ、など

 

でも、子育てに不安を感じたり、悩んだりするのは、みんな同じです。

ですから「わたしだけ・・・」と思いつめないでください。

 

ワーママのメンタル崩壊は、誰にでも起きる可能性があります。

 

どうか、ひとりで抱えて悩まないでください。

 

遠慮せずに、身近な、話しやすい人に愚痴りましょう。

 

子どもを預けて、自分だけの時間を持ちましょう。

 

対処法の効果がない方へ

ご紹介した対処法では効果がないという方もおられると思います。

 

それは、今のお仕事や子育て環境が過酷すぎるか、子育て以前に生きづらさや親子関係の問題などを抱えておられる方であろうと思います。

 

ご紹介した対処法がうまくいかなくて、つらい状態が続くときは、カウンセリングの利用をおすすめしたいです。

 

カウンセリングを通じて、今の環境を整理して、また、ご自身が抱えてきた困難を理解・整理して、自分らしい生き方と子育てをしていけるように手助けすることができます。

 

はこにわサロンでは、対面の他に、オンラインや電話でのカウンセリングも行っています。

お昼休みなどにつながることも可能です。

詳しくはこちらからどうぞ。

 

この記事を書いている人 - WRITER -
アバター画像
外資企業勤務後、心理臨床を志す。臨床心理士の資格取得後は東京・神奈川・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年、東京都港区・青山一丁目に「はこにわサロン東京」を開室。ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析を行っている。日本臨床心理士会、箱庭療法学会所属。
詳しいプロフィールはこちら

- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください