東京・青山の心理カウンセリングルーム オンライン・電話対応可

オンラインやお電話でも相談できます

カサンドラ症候群(夫婦・親子・職場)予防と対応・カウンセリング

 
この記事を書いている人 - WRITER -
アバター画像
外資企業勤務後、心理臨床を志す。臨床心理士の資格取得後は東京・神奈川・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年、東京都港区・青山一丁目に「はこにわサロン東京」を開室。ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析を行っている。日本臨床心理士会、箱庭療法学会所属。
詳しいプロフィールはこちら

東京・青山の心理カウンセリングルーム「はこにわサロン東京」の吉田(臨床心理士・公認心理師)です。

 

自閉スペクトラム症(ASD)の方は、定型者(発達障害ではない人)とコミュニケーションの方法が違います。そのため、誤解が生じ、時に、相手を傷つけたり、ハラスメントになってしまうこともあります。

 

ASDの方とのコミュニケーションに悩んでいても、周囲から理解が得られないと、ストレスが高じて身体症状・精神症状となることもあります。カサンドラ症候群と呼ばれます。

 

カサンドラ症候群とは?

カサンドラ症候群とは、発達障害のひとつである自閉スペクトラム症(以下ASD)の相手とのコミュニケーションがうまくいかないストレスから心身に不調をきたしている状態を指します。

 

「カサンドラ」という名前は、ギリシャ神話から来ていて、本当のこと、正当なことを言っていても、周りから信じてもらえない理不尽さや孤独のメタファーがあります。

 

カサンドラ症候群は、ASDの夫を持つ妻の苦しみがよく知られていますが、夫婦間だけでなく、親子間や職場の人間関係でも生じることがあります。

 

夫婦、親子、同僚は、一般的によい関係が期待されているため、違和感や困り感があっても、つい無理して相手に合わせたり、我慢してストレスを溜めやすくなります。面倒見が良く責任感が強い人ほど、自分の努力でカバーしようとしてひとりで抱えやすくなります。周囲も、悪意なく「気のせいじゃない?」「誰にでもあるよ」などと答えがちで、余計に当事者を追い詰めてしまいます。

 

カサンドラ症候群は正式な診断名ではありません。症状には身体的な不調(例えば頭痛、動悸、めまいなど自律神経の乱れ、疲れやすさ、体重の増減)精神的な不調(抑うつ、無気力、情緒不安定、孤独感、罪悪感など)があります。日常生活へ支障が出ているときは、医療機関の受診や相談機関につながることが必要です。

 

ASDの特徴

ASDの特徴には以下のようなものがあります。

  • 場の空気や相手の気持ちを察するのが苦手
  • 曖昧な表現が伝わらない(例「困ったら質問してね」「適当にお願い」)
  • 目が合いづらく、お礼や謝罪が苦手
  • またはよくしゃべり、明るく社交的だが共感や情緒理解が苦手
  • 柔軟な対応が苦手
  • 学校や職場など、求められることと評価がはっきりしている場所で能力を発揮し、高い評価を得ることもある
  • 自分や周りの人が困っていることに気づいていないことも、逆に、自覚していて適応のために努力を重ねているがうまくいかず自信を失っていることもある。

 

このように、ASDの特徴は人によって異なり、わかりにくい・気付かれにくいこともあります。特に、本人に自覚がなく、優位な地位(例えば、上司、夫、親など)にある時に、ハラスメントが生じやすくなったり、それが、他の人からは気付かれにくいこともあります。例としては、仕事で優秀な実績を上げており、人柄もよく見えるが、部下にだけは過剰な要求をするとか、外ではいい夫・親に見えるが、家族に対しては過剰な要求をして、できるまでやらせるなどがあります。

 

しかし、本人は加害意識はなく、正しいことを伝えているだけ、あるべき姿を求めているだけなので、「やりすぎ」や「相手の気持ちを考えて?」が伝わりません。

 

カサンドラ症候群を防ぐためにできること

①  ASDの特性を知ること

ASDの特徴について知ることで、不可解に思えた相手の言動が理解できるようになったり、相手の反応を予測することができるようになります。すると、対応方法を見つけることができます。

 

ASDについて理解するには、ネットサーチだけでなく、本を読むことをお勧めします。また、その際には、発達障害について解説している本に加えて、ASD当事者が書いている本を読むと、より深く理解できるのでお勧めです。

 

本はたくさんありますが、1冊ずつお勧めするならこちら:

発達障害大全「脳の個性」について知りたいこと全て

みんな水の中

 

② わからないこと・できないことがあるし悪いことではないと知る

ASDの方について理解することは大切ですが、すべて理解することは難しく(ASDじゃない人同士でも難しいですよね)、分かり合えないことがあると知っておくことが必要です。

 

また、理解できたとしても、自分が相手に尽くす必要はなく、できること、できないことの線引きをすることが大切です。

 

③  話せる人、相談相手を見つける

ASD者との関係について、気軽に話せる人、相談できる人を持つことで、一人で抱え込まずに済みます。また、人に話すことで気づきが生まれたり、対応方法を検討することができます。自助グループや勉強会を通じて、同じ悩みを持つ人と繋がると、悩みを話し合ったり、工夫を交換したりできます。

 

④  自分を犠牲にしない

ASD者との関係に悩むと、自分の生活リズムを崩してしまいやすくなりますが、自分の日常生活をしっかり守ることはとても大切なことです。食事や睡眠、仕事、休息や、自分が楽でいられること、楽しめることなど、時間や予算を確保してください。

 

⑤  個人的に受け取らない

ASDの方から個人攻撃を受けると、「自分のせいだ」と感じてしまいやすいのですが、その攻撃は、あなた個人に向けられたものというより、ASDではない人たち、社会に向けられたものであることが多いです。ASDの方のストレスに気づくことは大切ですが、個人的に引き受けてしまわないようにしてください。

 

カサンドラ症候群への対応は?

ASD者との関わりから、不安や緊張が生じたり、体調不良、精神不調が生じた時は、早めに、身体のケアとメンタルケアをすることが必要です。体調不良がある時は、内科や心療内科・精神科などを受診して相談しましょう。服薬などの治療が必要になることもあります。

 

しかし、服薬治療は対処療法にすぎません。環境調整とメンタルケアも同時に行ってください。

 

環境調整というのは、ASD者との関係について三者に相談することを通じて、接触を減らしたり、担当を変えるなどの調整を行うことと、心身を回復させるために、例えば仕事時間を減らすなどの必要な環境調整をすることを指します。

 

家庭の場合、調整が難しいことも多いですが、例えば、子どもの学習や受験に当該親が口出しを控える(先生・塾に任せる)ことや、生活上のルールを決めて口出ししないなどの対応が考えられます。家族だけで話し合うのが難しい時は、第三者に同席してもらうなどの工夫が必要です。

 

カサンドラ症候群のメンタルケアで大切なのは、ASDについての知識を持ち、自分のせいではないと知ること、自分を大事にする習慣を持つこと、また、ASD者との関係で慢性的な傷つきが生じている場合には、その傷つきをケアする必要があります。

 

カウンセリングを通じて、振り返りや整理をすること、対応方法について話し合うことも大切です。

 

お互いに、できる範囲とやり方を工夫して、どちらか片方に無理な負担がかからないようなコミュニケーションスタイルを作ることができるとよいです。

 

はこにわサロンでも、カサンドラ症候群に関する相談を受付けています。

 

カウンセリングについて、もっと知りたいときはこちらをクリックしてください。

 

 

この記事を書いている人 - WRITER -
アバター画像
外資企業勤務後、心理臨床を志す。臨床心理士の資格取得後は東京・神奈川・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年、東京都港区・青山一丁目に「はこにわサロン東京」を開室。ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析を行っている。日本臨床心理士会、箱庭療法学会所属。
詳しいプロフィールはこちら

- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください