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気づいたらまた怒鳴ってしまった・・・怒鳴る子育てを卒業する方法

 
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外資企業勤務後、心理臨床を志す。臨床心理士の資格取得後は東京・神奈川・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年、東京都港区・青山一丁目に「はこにわサロン東京」を開室。ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析を行っている。日本臨床心理士会、箱庭療法学会所属。
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東京・青山の心理カウンセリングルーム「はこにわサロン東京」の吉田(臨床心理士・公認心理士)です。

 

「気づいたらまた怒鳴ってしまった」

後悔と罪悪感でいっぱいの夜、あなたも経験したことがありますか?」

 

子育てをする中で、どうしても感情が爆発してしまう時があります。

 

子どものことを大切に思っているのに、つい声を荒げてしまう自分に自己嫌悪を感じる。

 

「今日こそは怒鳴らない」と心に決めるのに、繰り返してしまう。

そんな負のサイクルに悩んでいるお父さん・お母さんへ、怒鳴ることをやめ、穏やかな親子関係を築くためのステップをご紹介します。

 

なぜ子どもに怒鳴ってしまうの?

怒鳴りたくないのに怒鳴ってしまうのには、いくつかの理由が考えられます。

 

ストレスが溜まっているから

子育てに加えて、家事や仕事のストレスも相まって、日常的にストレスが溜まってしまっていると、些細なことにも爆発してしまいやすくなるものです。

 

時間や余裕がないから

日々の忙しい生活の中で、時間的余裕がないと感じると、子どもに「早く」「ちゃんとやってほしい」と焦ることが増えます。この焦りが苛立ちとなり、怒鳴ってしまうことが生じることがあります。

 

子どもへの期待

自分のキャパシティがいっぱいである時、親はどうしても子どもがよいふるまいをすることや、親に対して協力的であることを期待してしまいがちです。その期待に子どもが応えられないと、「期待が裏切られた」と感じて、感情的になってしまいます。

 

子育て方法がわからないから

子どもが思い通りに動いてくれない時、親は子どもに何をどうしてあげたらよいかがわからず、途方に暮れてしまう、無力感に苛まれてしまうことがあります。

 

個人的に受け取ってしまう

子どもの反抗的な態度や言動を「自分を否定している」と感じたり、親の威厳や権威が脅かされていると感じることがあります。すると、強い怒りとなって子どもにぶつけてしまいやすくなります。

 

自分がされた子育てを再現している

自分が子どもの頃に、親から頻繁に怒鳴られたり、体罰を受けた経験があると、無意識に同じことを子どもに繰り返してしまうことがあります。

 

怒鳴ることの影響—子どもへの心理的影響と親子関係への影響

子どもに怒鳴ってしまうことは、子どものこころと行動に、親子関係にも大きな影響を与えます。それぞれ説明しますね。

 

怒鳴ることが子どものこころに与える影響

不安感や恐怖感

怒鳴られると、子どもは常に親の機嫌や感情に敏感になります。そのため、いつも不安だったり、親の態度に恐怖心を覚えてしまうことが生じます。

 

自己評価の低下

子どもは親の言葉や態度から自分の価値を判断します。親に怒鳴られることで「自分はダメなんだ」と感じ、自尊心の低下や自己否定感につながることがあります。

 

ストレス反応

怒鳴られることが多いと、子どもの身体はストレス反応を起こしやすくなります。これが身体的な問題(頭痛、胃痛、不眠など)や、情緒の不安定さとして現れることがあります。

 

感情の抑制や爆発

怒鳴られることで子どもは自分の感情を表現することを怖がるようになり、感情を押し殺すようになるか、逆にフラストレーションがたまり、強い怒りや攻撃的な態度を示すことがあります。

 

怒鳴ることが子どもの行動に影響を与える

反抗的な態度

繰り返し怒鳴られることで、子どもが親に対して反発心を持つようになり、親の言うことを聞かない反抗的な態度を取るようになってしまいます。

 

コミュニケーションの減少

子どもは親とのコミュニケーションを避けるようになります。特に自分の考えや感情を話すことが難しくなり、親に対して不信感を感じたり、こころを閉じることも生じます。

 

学校や社会での問題行動

家で怒鳴られることが多い子どもは、学校や友人関係でも問題行動を起こしやすくなります。その理由は、家庭でのストレスを発散せずにはいられないから、また、子どもにとって馴染みのある対人コミュニケーションが怒鳴る、支配するであるため、自然とそうふるまってしまうからです。

 

怒鳴ることの親子関係への影響

親が子どもに怒鳴ることは、親子関係に深刻なダメージを与えることが多いです。

 

信頼関係が損なわれる

怒鳴られることで、子どもは親を怖い存在、信頼できない存在と感じることが多くなります。

 

親への反発

子どもは怒鳴る親に対して反発するようになるため、些細なことでも親子でバトルになってしまったり、親が大切な話をしていても耳を傾けなくなってしまうため、親子の断絶が拡大してしまいます。

 

親の罪悪感と悪循環

親が怒鳴った後に後悔や罪悪感を抱くことが多いですが、その気持ちが子どもに対してさらに厳しく接する結果を生み、怒鳴る行為が繰り返されてしまうことがあります。

 

感情調整能力の欠如

子どもは、自分が情緒的に不安に感じた時に、周りの大人に安心させてもらう、なだめてもらう、説明してもらうことなどを通じて、自分の感情を適切に調節する体験をします。それが、子どもの自律神経を安定させ、情緒を安定させます。しかし、親子関係が緊迫していると、感情調節を会得することができません。

 

世代間連鎖

怒鳴られることが当たり前の環境で育った子どもは、自分が親になったときに同じ行動を繰り返す傾向があります。これが「世代間連鎖」として次の世代にまで影響を及ぼすことがあります。

 

怒鳴る子育てを手放すためにできること

怒鳴る子育ては、親にとっても、子どもにとってもメリットがありませんから、少しずつ修正していけるとよいですよね。その具体的な方法をご紹介します。

 

①ストレスを減らす

人は誰でも、ストレスやプレッシャーが高いと、余裕がなくなり、怒りやすくなります。ですから、まず第一に検討してほしいのが、日常のストレスを見直し、整理・軽減することです。

 

家事や子育ての省力化・優先順位づけをしてみましょう。願い通りにできない日があっても、家族がその日を無事に過ごせたならよし、と割り切ることも大切です。

 

子どもを寝かせた後に自分の時間が取れることは大切ですが、早く休んで十分な休息を取ることも大切です。

 

買い物の配達サービスを利用する、便利家電を使う、地域の子育てサポートの仕組みを使う(ファミリーサポート、シルバーサポートなど)、子どもの保育の延長や学童を利用することも検討してみてください。

 

何より大切なのは、家族の理解と思いやりです。子育てがワンオペになっていたり、子育ての大変さを理解してもらえないとストレスが高まります。よかったら、このブログ記事を共有して、理解と話し合いの糸口にしていただけると嬉しいです。

②プレッシャーを手放す

子育てにはさまざまなプレッシャーがつきものです。まずは「よい(母)親」であるべきだ、というプレッシャーがあります。これは、自分で自分にプレッシャーをかけてしまうこともありますし、パートナーや親族からかけられることもあります。さらには、外出時などに子育てに厳しい眼差しが注がれてしまうこともあり、子育て中の親にとってはつらいところです。

 

心理学では「よい親」とは「ほどほどの親」であると考えます。完璧な子育てはそもそも無理です。今日を元気に生き延びられたら自分に合格点をあげましょう。子どもは周囲に迷惑をかける存在であるため、外で迷惑をかけることは必ず起こります。もし不幸にも責められてしまうことがあったら、周りの人に愚痴を言って早く忘れましょう。「迷惑をかけないようにしよう」と萎縮する必要はありません。

 

周りの親が上手に子育てしているように見えたり、SNSなどで理想的な母親像を目にすると、自分の子育てが不十分だと感じてプレッシャーを感じてしまうことがあります。また、身近な家族から「子育てはこうあるべき」という意見や期待を押し付けられると、プレッシャーになります。

 

子育て方針の違いから家族内で衝突が起きると、それがプレッシャーになってしまうこともあります。子育ては、子どもと親の個性が相まって「我が家の子育て」になります。教科書通り、理想通りいくことはありません。「理想とは違うが、我が家はこれでいい」と肯定することが大切です。

 

子どもの将来に対する不安から、過剰に期待をかけたり、結果を急いで求めてしまい、プレッシャーとなることがあります。習い事などで、上達が遅いとイライラしたり、費用対効果を求めてしまう、ということが起きることもあります。子どもにも不要なプレッシャーやストレスをかけると、かえって子どもの成長を阻害します。

 

自分にも子どもにも良くないとわかっているのに、子どもにプレッシャーをかけずにいられない場合は、教育虐待に発展してしまう危険もありますから、ひとりで抱えないで信頼できる人や専門家に相談することをお勧めします。

 

③怒りのメカニズムを理解する

怒りには、自律神経や脳の働きが関係しているため、意思の力でコントロールしようとするのは難しいことが多いです。

怒りのメカニズムを理解して、無理のないコントロールを実践することが大切です。

怒りのメカニズムについては、こちらの記事で詳しく説明しています。

 

④子どもの発達を理解し無理な期待はしないこと

子どもの成長は、親が思うよりゆっくりなことが多いです。特に、言葉が通じるようになると親は、言葉で言えることはできることだと期待してしまいがちですが、行動が伴うようになるまでには時間がかかることがほとんどです。例を挙げますね。

 

2〜3歳

親が「おもちゃを片付けて」と言えば、子どもはその意味を理解します。でも、片付けようとしてもすぐに他のおもちゃで遊び始めたり、集中力が続かずに片付けが途中で終わってしまいます。この年齢では、自己コントロールがまだ発達していないため、親が指示した行動を最後までやり遂げるのは難しいです。

4〜5歳(幼児期後半)

「今日は電車に乗ったら静かにしようね」というような簡単な約束は理解します。でも、いざ電車に乗ると、興奮してしまって声が大きくなったり、騒いでしまうことがあります。この年齢では、理解はしていても、特に興奮したり感情が高ぶった場合に、約束を守り続けることが難しいことがあります。

 

小学校低学年

「宿題を先にやってから遊んでね」といった論理的な順序を理解します。でも、遊びたい気持ちが強くて、宿題を後回しにしてしまったり、宿題に集中できずに早く終わらせようとしてミスが多くなったりします。

 

小学校中学年

「ゲームは1時間だけね」という制限を理解し、時間の概念もある程度身についています。でも、ゲームに夢中になり、約束の時間が過ぎてしまっても気づかない、もしくは「あと少し」と言って延長しようとします。欲望に負けてしまうのも、年齢相応です。

 

小学校高学年

「計画を立てて行動しなければならない」という考え方を理解しますし、学校でも自主的に課題を進めるよう指導されることが多くなります。でも、実際には、計画を立てても先延ばしにしてしまうということが起こりがちです。この年齢では、自己管理のスキルはまだ発達途上です。

 

中学生

「勉強しないと将来が大変になる」というような、将来的な影響を含む話も理解できるようになります。でも、目の前の遊びや友人関係を優先して、勉強に集中できなかったり、計画通りに取り組むことができないことがあります。論理的には理解していても、感情的な部分や短期的な満足が優先されることがあるため、行動が伴わないことが多いのです。

 

例はあくまで平均的な子ども像であり、実際には子どもの発達により±1〜3歳の幅があります。また、子どもの置かれた状況、例えば、親子関係や学校のストレス、習い事や塾でのプレッシャーなどにより、子どもがどのくらい頑張れるか、我慢できるかに差が生まれます。

 

大人の期待を子どもの発達程度に合わせてあげることや、子どものストレスが高い場合は、ストレス緩和策を検討することが必要です。

 

⑤コミュニケーションを変える

子どもを怒鳴らないために、親は冷静で建設的なコミュニケーションを心がけることが大切です。具体例を交えながら説明しますね。

命令から提案へ

子どもとのやり取りを、「〜しなさい」から「〜したらどう?」のように提案型に変えてみる方法です。提案型にすることで、子どもの反発を減らせますし、子どもが自分で選ぶ、考えるなどを通じて、子どもの主体性を育むことができます。その際、いくつかの選択肢を与える方法も一案です。親子のコミュニケーションもグッとスムーズで建設的なものにしていけるのでお勧めです。

 

Iメッセージを使う

「なんでできないの?」「あなたが悪いでしょ」と子どもを責めると、子どもが傷ついて自信をなくしたり、感情的に反発して注意がきけなくなってしまいます。「わたしはこう思うよ」(Iメッセージ)に置き換えると、子どもに非難やプレッシャーを与えずに、親の気持ちや提案を冷静に伝えることができます。お互いに感情的にならないでコミュニケーションができると、子どもの実施力や、共感力を育むこともできます。

 

子どもの感情を受けとめる

子どもがイライラしたり困っているときに、まずはその気持ちを理解し、受けとめることが大切です。子どもは、自分の負の感情を親に受け止めてもらい、共感したり、なだめてもらう、解説してもらうことで、感情を自分で調節する力をつけることができます。

 

子どもをよく見てポジティブなフィードバックを与える

子どもが自分で行動したり、うまくできた時、あるいは、失敗したけどやろうとした時は、その態度に気づき、「いいね」「がんばったね」「あと一息だったね」などのポジティブなフィードバックをしてあげます。

 

子どものやさしさや思いやりを見つけた時には、「すてきだね」「うれしいな」のように伝えてあげてください。子どもは、親が自分のことをよく見ていてくれて、承認してくれることで、自尊心を持つようになります。

 

一緒に問題解決に取り組む

子どもがやらない理由を責めるのではなく、なぜできないかを一緒に考えて、必要なサポートをします。子どもは、できないことを責められるのではなく、親の手助けで成功する体験ができるので、自己効力感が持てるようになりますし、問題解決能力を育むこともできます。

 

タイムアウトを設ける

親も子どもも感情的になりそうなときには、冷却時間(タイムアウト)を設けることで、怒鳴ることを避けられます。「ちょっとお互いに離れて落ち着こう。また後で話そう」のように伝えて、双方が冷静になる時間を持つことで、衝突を避けることができます。

 

⑥自分を責めない

怒鳴らない子育てをするために、親が自分を責めないことはとても大切です。自分を責めると「よい親でなければ」というプレッシャーが強まり、感情的になりやすくなります。

 

「子育ては思うようにはいかないなぁ」と現状を肯定できると、柔軟に対応しやすくなり、子どもに対しても穏やかな態度で接しやすくなります。

 

⑦自分にやさしく、思いやりを持つ

子育てはハードで、終わりのない仕事です。まずは、自分の頑張りを認め、ねぎらってください。失敗したら、反省して気を取りなおす。うまくいかない日は、それでも今日が無事に終わったことでよしとする。

 

自分にやさしく、思いやりを持つ態度は、子どもの大切なお手本です。よい日も悪い日も受け入れる親の態度が、子どもの自己肯定感を育てます。

 

まとめ

怒鳴らない子育てについて、その原因や影響、改善方法についてお話しました。記事を通じて、ふりかえりや子育ての修正をしていただけましたら幸いです。

 

子育てを修正するためには、一人で抱え込まないこと、家族で話し合えることや信頼できる相談相手を持つことが大切です。まずは、家族での話し合いや、同じ悩みを抱える親と繋がる、子育てを助けてくれている人(幼稚園・保育園・学校)と相談するなどしてみてください。

 

安心して話せる人がいない場合は、カウンセリングを受けることも検討してみてください。

 

はこにわサロンでは、現状のお悩みをお聞かせいただいて、ご一緒に、ストレス・プレッシャーの軽減について話し合い、子どもの発達について個別・具体的な説明と助言をさせていただきます。その上で、そのご家庭に最もフィットする子育て方法を見つけるお手伝いをいたします。ご相談は、対面の他、オンラインやお電話も可能です。

ご予約はこちらのカレンダーからどうぞ。

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外資企業勤務後、心理臨床を志す。臨床心理士の資格取得後は東京・神奈川・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年、東京都港区・青山一丁目に「はこにわサロン東京」を開室。ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析を行っている。日本臨床心理士会、箱庭療法学会所属。
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