空の巣症候群とは? 原因・症状・対処法(チェックリスト付き)
東京・青山の心理カウンセリングルーム「はこにわサロン東京」の吉田美智子(臨床心理士・公認心理師)です。
「空の巣症候群」とは、子どもが進学や就職、結婚などで家を離れたあとに、親、特に母親が感じやすい喪失感や孤独感、無力感などの心の状態を指します。
それまで当たり前のようにあった
・子どもの声
・生活のリズム
・「誰かのために動く日常」がなくなり、
「ぽっかり穴があいたような感じ」や「自分の役割がなくなったような感じ」と言った感覚が生じます。
これは病気というよりも、人生の大きな変化に伴う、とても自然な心の反応ですが、個人差があって、ちょっとした落ち込みで済む場合もあれば、心身不調になりカウンセリングや医療機関の受診が望ましいという場合もあります。
この記事では、空の巣症候群とは何か、チェックリスト、回復のヒントや専門機関に相談する目安について解説します。
空の巣症候群になるのはなぜ?
子育てって本当に大変です。
最初は、24時間つきっきりで、親は食事も睡眠もままならないところから始まりました。初めて歩いた日を喜んだのも束の間、今度は事故に遭わないように気を張って、食事やお風呂のお世話はもとより、子どもが寂しい時には抱きしめてあげて。家族や保育園・幼稚園などの手助けがあっても、やっぱり親の責任は重く、自分より子どもを優先する日々が何年も続きます。
学齢になれば、物理的に距離はできるけど、縁の下の力持ちを果たし、子どもの反発、親離れにも対応してきたのです。その時々の子どものニーズに合わせて、八面六臂の大活躍をしてきました。
ですから、たとえ「いつか来る」と予期していたものであったとしても、子どもの巣立ちは親にとって突然の空白の衝撃や困惑をもたらすのも当然で自然なことであると思います。
ただ、せっかく大任を果たし、解放されたのだから、もう一度、自分優先の人生を取り戻していけるといいなと思います。

空の巣症候群になりやすい人とは
空の巣症候群は、誰にでも起こり得るものですが、特に次のような方は影響を受けやすいといわれています。
子どもが生活の中心だった方
子どもの成長や予定に合わせて生活してきた方は、「主役がいなくなった」ように感じて、揺らいでしまいやすくなります。
仕事や趣味、人とのつながりが少ない方
外との関わりが少なく、子どもの存在が心の大きな支えになってきた場合、子どもの不在から孤独感を感じやすくなります。
環境の変化が重なっている方
更年期の体調不良や仕事の変化・退職など、人生の節目が重なると、心の負担はより大きくなります。
もともと不安や落ち込みを感じやすい方
これまでにも気分の波があった方は、環境の変化をきっかけに、揺れが強く出ることがあります。

空の巣症候群チェックリスト
今のご自身の状態を確認してみてください。このチェックは診断ではなく、今のご自身の状態に気づくための目安です。
□ 何をしても楽しいと感じにくい
□ 一日が長く感じる、時間を持て余す
□ 気力がわかず、やるべきことが後回しになる
□ 以前はできていた家事や仕事がしんどい
□ 涙もろくなった、理由なく涙が出ることがある
□ 子どもに頻繁に連絡したくなる/実際にしている
□ 子どものことばかり考えてしまう
□ 眠れない、または寝すぎてしまう
□ 食欲が落ちた、または過食気味になっている
□ 体の不調(頭痛・だるさ・動悸など)を感じる
□ 「自分には価値がないのでは」と感じることがある
2つ以上当てはまった場合
こころが少し疲れているサインかもしれません。無理をせず、休息をとったり、気持ちを言葉にしたりするなど、セルフケアを意識してみましょう。
5つ以上当てはまった場合
つらさが大きくなっている可能性があります。一人で抱え込まず、カウンセリングなどで気持ちを整理することをおすすめします。
数に関わらず、次のような場合は相談を検討してください
□ 日常生活に支障が出ている
□ 気分の落ち込みが強く続いている
□ 眠れない、食べられない状態が続いている
□ 「消えてしまいたい」と感じることがある
このような場合は、医療機関(心療内科・精神科)の受診も検討してください。

空の巣症候群で揺れるこころを整えるヒント
① 「寂しい」という気持ちを否定しない
まずは、「寂しいよね」「頑張ってきたもんね」と自分の気持ちを肯定して、自分に声をかけてあげましょう。
寂しい気持ちを「ダメ・情けない」などと否定したり、ただ押し殺してしまうと、かえって長引かせてしまったり、子どもや周りの人にぶつけてしまうことにもなりかねないので、「大切な気持ち」と受け止めてくださるといいです。
② 子どもとの関係を「新しい形」にしていく
子どもとの関係は、形を変えながら、これからも続いていきます。人生の先輩として、話を聞いたり助言をすることもありますが、対等な立場、子どもをひとりの大人として尊重し、大人同士の付き合いをする楽しみが生まれます。より、自由で楽しく繋がっていくことができますよ。
③ 自分のための時間を育てる
子ども優先の時間の使い方を見直していきます。出産前は、どんなことが好きだったのか思い出してみる。子育て中に、忙しくて諦めたことがなかったか、振り返ってみる。
家での過ごし方も、習い事やお付き合いも、少しずつ、自分のペースを取り戻していきましょう。
空の巣症候群のカウンセリングや医療機関受診の目安
空の巣症候群は、多くの場合、時間の経過(数週間〜数ヶ月)とともに、落ち着いていきます。
ただし、次のような状態が続く場合は、専門家のサポートを受けることも一つの選択です。
カウンセリングを検討してよいタイミング
□ 気持ちの整理がつかず、同じ考えがぐるぐる続く
□ 誰にも話せず、一人で抱えている
□ 子どもへの関わり方(距離感)に悩んでいる
□ これからの生き方について迷いが大きい
カウンセリングを通じて、子育てを振り返ることで、モヤモヤやイライラ、悲しみなどが整理され、大切な体験として、胸の中にしまっていくことができます。
子どもとの関係や、家族との関係についての悩みを相談することもできます。
過去を整理して、今をどうしたいのかや、未来のイメージを持つことも大切です。
医療機関の受診を考えたいサイン
□ 強い抑うつ状態(気分の落ち込み)が3ヶ月以上続いている
□ 日常生活に支障が出ている(家事・仕事ができないなど)
□ 眠れない/食べられない状態が続いている
□ 強い不安や動悸、パニックのような症状がある
□ 「消えてしまいたい」などの思いが出てくる
このような場合は、心療内科や精神科などでの相談を検討してみてください。
必要に応じて、お薬のサポートを受けて、心身の健康を取り戻すと、気持ちを整理しやすくなりますし、前を向く気持ちを取り戻すことができます。

空の巣症候群・まとめ
子どもの巣立ちは、人生の「次の章の始まり」です。
子どもに向けてきた愛情やエネルギーを、これからは、自分に向けてみましょう。
自分の楽しみを取り戻し、興味のあることに時間や集中力を割いてみましょう。
そうこうするうちに、子どもとの新しい距離感も見つけられて、信頼できる大人同士として付き合っていくことができるようになっていきます。
もし、自分一人では心許ない時は、どうぞ、ご相談ください。
まだまだ、先の長い人生を自分らしく過ごせるように、ご一緒に検討していきましょう。
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