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褒められるのが苦手なのはなぜ? 素直に喜べない心理と上手な受け取り方

 
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外資企業勤務後、心理臨床を志す。臨床心理士の資格取得後は東京・神奈川・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年、東京都港区・青山一丁目に「はこにわサロン東京」を開室。ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析を行っている。日本臨床心理士会、箱庭療法学会所属。
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東京・青山の心理カウンセリングルーム「はこにわサロン東京」の吉田美智子(臨床心理士・公認心理師)です。

「すごいですね!」「よく頑張りましたね」「さすがですね!」

誰かに褒められたとき、どんな気持ちになりますか?

素直に嬉しいと感じる人もいれば、なんだか落ち着かなくなったり、居心地が悪くなったりする人もいるでしょう。

「いえいえ、そんなことありません」「たまたまですよ」と、反射的に否定してしまう人もいるかもしれません。

本当は褒めてもらえたら嬉しいはずなのに、なぜか素直に喜べない。そんな自分を不思議に思ったことはありませんか?

実は、褒められることが苦手なのには、いくつかの心理的な理由があります。特に、子どもの頃から否定されたり、厳しく評価されたりしてきた人は、褒め言葉を受け取ることが難しくなる場合があります。

今回は、褒められるのが苦手な心理と、それが対人関係に与える影響、そして、褒め言葉を無理なく受け取るためのヒントをご紹介します。

 

なぜ、褒められるのが苦手なの?

① 自分のイメージと一致しないから

一つ目は、褒め言葉が自分の持っている自己イメージと一致しないことです。

例えば、子どもの頃から「あなたはダメね」「もっと頑張りなさい」と否定されたり、よい成績を取ったときだけ認めてもらえたりしてきた人は、「自分は能力がない」「自分には価値がない」という否定的な自己イメージを持ってしまうことがあります。

すると、大人になって誰かから「すごいですね!」と褒められても、なかなか信じられません。

「いやいや、そんなはずはない」「自分の本当の姿を知らないから、そんなことを言うんだ」と感じてしまうのです。

そのため、褒め言葉を聞くと、「そんなことありません」「たまたまうまくいっただけです」と、思わず打ち消してしまうのです。

これは単なる謙遜ではなく、これまで持ってきた自己イメージを維持しようとする心理が働いている場合もあります。

 

② 人の言葉を信用できず、目立つことが怖いから

二つ目は、褒められても相手の言葉を素直に信用できなかったり、注目されることに不安を感じたりすることです。

例えば、子どもの頃、親の機嫌によって褒められたり怒られたりしてきた人は、人の言葉をそのまま信じることが難しくなる場合があります。

「本心ではどう思っているんだろう?」「何か裏があるのでは?」「お世辞を言っているだけかもしれない」と、相手の真意を探ってしまうのです。

また、褒められたことで嫌な思いをした経験がある人もいます。

例えば、先生に褒められたら同級生から嫉妬されたり、親に褒められて喜んでいたら「調子に乗るな」と叱られたりした経験です。

こうした経験があると、「褒められると嫌なことが起きる」「目立たない方が安全だ」と感じるようになることがあります。

そのため、褒められても嬉しいというより、周囲の反応が気になって落ち着かなくなってしまうのです。

 

③ 褒められるとプレッシャーを感じるから

三つ目は、褒められることが期待やプレッシャーにつながってしまうことです。

例えば、子どもの頃、テストで90点を取っても「次は100点を取りなさい」と言われたり、何かができるようになると、さらに高い目標を求められたりした経験はないでしょうか。

こうした経験を重ねると、「褒められることは、もっと頑張らなければならないという意味だ」と感じるようになることがあります。

すると、仕事で「さすがですね!」と褒められても、嬉しいより先に「次も同じようにできなかったらどうしよう」「期待を裏切ったらがっかりされるかもしれない」と不安になってしまいます。

褒め言葉が、喜びではなく、次の課題や責任のように感じられてしまうのです。

そのため、できるだけ期待されないように、目立たないように振る舞ったり、褒められると慌てて否定したりすることがあります。

 

褒め言葉を否定し続けると、どんな影響がある?

このように、褒められるのが苦手なのには、それぞれ理由があります。特に、つらい経験をしてきた人にとって、褒め言葉を否定することは、自分を守るために身につけた反応なのかもしれません。

でも、いつも褒め言葉を否定していると、対人関係や自分自身の気持ちに影響することがあります。

 

① 周囲の人が褒めにくくなる

誰かを褒めたとき、毎回「そんなことありません」「全然ダメです」と否定されたら、どう感じるでしょうか。

「この人は褒められるのが嫌なのかな」「あまり言わない方がいいのかな」と思うかもしれません。

すると、本当は応援したい、頑張りを認めたいと思っていても、その気持ちを言葉にしなくなってしまうことがあります。

その結果、本来なら受け取れたはずの励ましや応援、肯定的な評価を受け取る機会が少なくなってしまうのです。

 

② 人との心の距離が縮まりにくくなる

褒め言葉は、単なる評価だけではありません。

「あなたの頑張りを見ていますよ」「あなたのよいところを知っていますよ」という、相手からの温かいメッセージでもあります。

例えば、友人から「その服、似合っているね」と言われたとき、「えー、そんなことないよ。私なんて何を着ても似合わないし」と否定してしまったら、相手は少し残念に感じるかもしれません。

褒め言葉を交わすことは、お互いに温かい気持ちになり、親しさや信頼を育てる機会でもあります。

その機会を逃してしまうのは、少しもったいないことかもしれません。

 

③ 自己否定の悪循環が続いてしまう

褒め言葉を否定し続けることは、自分自身の評価にも影響します。

例えば、仕事で成果を上げて「よく頑張ったね」と言われても、「いえ、私なんて全然ダメです」と否定してしまう。

すると、自分の努力や成果を認める機会まで失ってしまうことがあります。

本来、人から認められたり、温かい言葉をかけられたりする経験は、自分自身を肯定的に捉えるきっかけにもなります。

ところが、そうした言葉をいつも打ち消していると、「自分はダメだ」という自己イメージが修正されないままになってしまうことがあります。

つまり、自分を守るために褒め言葉を避けていることが、結果として、人から大切にされる経験や、自分を大切に思う機会を遠ざけてしまう場合があるのです。

 

褒め言葉を上手に受け取る4つのヒント

では、褒められるのが苦手な人は、どうしたらよいのでしょうか。

ポイントは、無理に自分を高く評価しようとしないことです。

「すごいですね」と言われたからといって、「そうですね、私はすごいです」と思う必要はありません。

まずは、相手が自分に向けてくれた好意を受け取ることから始めてみましょう。

 

①「ありがとうございます」「そう言っていただけて嬉しいです」

最も簡単なのは、感謝の言葉を返すことです。

自分が本当にすごいかどうかを判断するのではなく、「相手がよいところを見つけて、伝えてくれたこと」に感謝するのです。

自分への評価には納得できなくても、相手の気持ちには「ありがとう」と言えるのではないでしょうか。

 

②「まだまだですが、嬉しいです」

どうしても謙遜したくなる人には、こんな言い方もおすすめです。

「まだまだですが」という言葉で自分の気持ちを表現しながら、「嬉しいです」と相手の言葉も受け取ることができます。

自分を無理に肯定しなくても、相手の好意を否定せずに済む言い方です。

 

③「周りの方のおかげです。ありがとうございます」

自分一人の成果だと思えない場合には、周囲への感謝を伝えてもよいでしょう。

ただし、「自分は何もしていません」と、自分の努力まで消してしまう必要はありません。

周囲への感謝と、自分が頑張ったことは、両立してよいのです。

 

④「今日はその言葉だけでご飯三杯いけそうです(笑)」

親しい相手なら、ユーモアを交えて返すのもよいでしょう。

ちょっと照れくさい気持ちを笑いに変えることで、自分も相手も明るい気持ちになれます。

褒め言葉を深刻に受け止めすぎず、楽しくやり取りする経験を重ねることも、褒められることへの苦手意識を和らげる助けになります。

 

褒め言葉を受け取ることは、人を信頼する練習にもなる

褒められるのが苦手なこと自体は、決して悪いことではありません。謙遜はごく自然なコミュニケーションでもありますし、無理に喜ぶ必要もありません。

ただ、もしあなたが、褒められるたびに居心地が悪くなったり、反射的に否定してしまったりするのであれば、一度、その理由を考えてみてはいかがでしょうか。

「自分にはそんな価値がないと思っているのかな?」「人の言葉を信じるのが怖いのかな?」「期待されることがプレッシャーなのかな?」

そして、今度誰かに褒められたときには、すぐに否定する代わりに、ちょっとだけ勇気を出して「ありがとうございます」と言ってみてください。

もちろん、相手の褒め言葉がいつも本心とは限りませんし、無理に信用する必要もありません。

それでも、信頼できる人からの温かい言葉を少しずつ受け取れるようになることは、人との関係に安心感を育て、自分自身を肯定的に捉え直すきっかけになるかもしれません。

褒め言葉を受け取ることを通じて、心地の良い対人関係を取り戻していってくださったら嬉しいなと思います。

 

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外資企業勤務後、心理臨床を志す。臨床心理士の資格取得後は東京・神奈川・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年、東京都港区・青山一丁目に「はこにわサロン東京」を開室。ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析を行っている。日本臨床心理士会、箱庭療法学会所属。
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