がんばらなくても大丈夫な子育ての秘訣〜「ダメなお母さん」が花マル!な3つの理由
東京・青山の心理カウンセリングルーム「はこにわサロン東京」の吉田(臨床心理士・公認心理師)です。
子育てに係る仕事をしていますが、自分の子育てはいたってフツー(ときどきフツー以下もあり)な臨床心理士の吉田です。
ダメなお母さんでも大丈夫というのは、がんばるお母さんへのなぐさめでも、自分への言い訳でもありません(笑)
心理学では「ほどほどのお母さんがよい」とされるのですが、そのあたりをお話してみたいと思います。
ダメなお母さんでも大丈夫な理由<その1>
51%のよいお母さんでいいんだよ。49%は魔女でもいいの。それでも、子どもは100%愛してくれるんだよ。
これは、心理学者の繁多進先生が、ある幼稚園の講演会でお母さんたちに向けてお話された言葉だそうです。わたしはこのお話を聞いてとてもうれしくなりました。
お母さんって、自分でもパーフェクトは無理だなってわかっている。でも、その分、少しでも上を目指してがんばらなくちゃ!という気持ちになりがちではないでしょうか。
愛する我が子の笑顔を見るために。
今しかできない子育てだから。
子どもから愛されるお母さんになりたいから、などなど。
でも、子育てはまったく自分の思い通りにはいかないもの。やさしくありたいと思っているのに、イライラ・ガミガミして、寝顔を見て反省したり。自分以外のお母さんたちの姿を見て、「あぁ〜、すごいなぁ〜」と思うと、自分もがんばらなきゃと焦ったり。
でも、51%だったら、できそうな感じがしませんか?
そして、51%のお母さんを、子どもは100%愛してくれるんですね。これは、わたしも、本当にそう思います。無償の愛って、子どもが親を愛する気持ちなんじゃないかしら!?
ダメなお母さんでも大丈夫な理由<その2>
あるべき母親の姿は「ほどよい母親」です。それは、際限のない子どもの要求に、いら立ち、怒り、憎しみも覚えるが、それを我慢するのではなく、悪意のない方法で発散することができるお母さんです。
これは、イギリスの心理学者、ウィニコット先生の言葉です。ウィニコット先生は、なんと6万例もの親子を観察したそうですよ。
ウィニコット先生の言葉はこうもおっしゃっています。
お母さんが、自分のこころに自然と湧いて来る方法で、やれることをやっていたら、それが一番よい方法だし、自分の判断を信じられるときがお母さんにとってのベストコンディション。
子育ては、教科書通りにいかない。予定通りにもいかない。その時、目の前の子どもとガチンと向き合って決めたことが結局ベストなのではないでしょうか。
一般的にはよくないことだったとしても、その時、その場では、そうしかできなかったとしたら。それは、その時のベスト。「よくがんばったね!」と自分をねぎらいましょうよ。
もし、何をしても自分の子育てに自信が持てなくなったら、休息+気分転換+誰かに相談すること、の3つを、できるだけ早く、してくださいね。
ダメなお母さんでも大丈夫な理由<その3>
繁多先生もウィニコット先生も、お母さんの中にネガティヴなものがあることを肯定しておられることに、気づかれましたでしょうか。
お母さんって、よく太陽に例えられるでしょう。お母さんがいるだけで、あったかくて、気持ちが明るく元気になる。
でも、太陽の光が当たると、そこには必ず陰もできますよね。光と陰がセットなのは、自然だけでなく、子育ても同じです。
わたしが出産して自宅に帰って数週間後のことです。夜中に授乳して、さぁ寝かしつけと思うけれども、ちっとも寝てくれない。もう何日も寝ていないから、わたしもふらふらなのですが、抱っこで歌を唄いながら部屋中を歩き回り、ようやく寝た!そっと布団におろした途端に「ふんぎゃー」と泣いて抱っこリクエスト。「いい加減に寝たらどうなのよ!」思わず胸の中にエコーのかかるほどの叫びがわき上がりました。
生後まもない我が子に怒りを感じている自分にショックで、涙が出てきました。でも、ちょっと泣いて気持ちも落ち着くと、しみじみ「あ〜、これが母親の陰ってやつなんだな」と思いました。
子どものことは100%愛しているから、100%受け容れたいと思うけど、寝てくれないなんて理由だけでもこんなにイライラしてしまうんだな。でも、それは、自分なりにがんばってもうまくいかない悔しさや、イライラする自分への失望感もあるのよね。
精一杯やっているからこそ湧いて来るネガティヴな感情を、わたしは少しだけ愛おしく感じたのです。
悪いお母さんのお話
古今東西、悪いお母さんの昔話・おとぎ話はたくさんあります。たとえば『シンデレラ』や『白雪姫』。日本では『手なし娘』。どれも、悪い母親は「継母」だという設定になっています。
『白雪姫』などは、もともとは「継母」ではなく「生母」のお話だったとも言われていて、母親を悪者に描くことが好まれなかったから時代とともに修正されてきたのではないかとわたしは考えています。お母さんというのは、よいお母さんを指すのであって、悪いお母さんというのは、本物のお母さんではないのだ、と思いたいのですね。
でも、悪いお母さんというのは、決しておとぎ話だけではありません。現実にも、ひとりで抱えて、どうにもできなくなって虐待してしまったり、死なせてしまうお母さんも存在するのです。母親の陰があまりにも大きくなってしまうと、悲劇が起きてしまう。
母親には光と陰の両方がある。光の分だけ、陰もある。そうわかっていたら、陰を隠さずにすみます。「助けて!」「ちょっと聞いて!」と言いやすい。自分のことを、ダメだなぁと思っても、また明日がんばろうかと思えます。お母さんの陰に対して、寛容な社会だと子どもを育てやすいです。
だから、「49%魔女でいい」というのは、お母さんが健康な子育てをするためのベストバランスなのではないかと思います。
ダメ母讃歌
あぁ、また今日も・・・
- 子どもの話をゆっくり聴きたかったのに、聴けなかった。
- 手作りごはんを食べさせたいのに、お惣菜だった。
- 子どものケンカにイライラして、どなってしまった。
なんていう方。
だいじょうぶ、今日もいちにちよくがんばりました。
お疲れさま!
明日は明日の風が吹く。今日はゆっくりおやすみなさい!
子育てについてまとめたこちらの記事もどうぞ