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箱庭療法を始めたドラ・カルフさんが大切にしたこと3点をわかりやすく説明します

 
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外資企業勤務後、心理臨床を志す。臨床心理士の資格取得後は東京・神奈川・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年、東京都港区・青山一丁目に「はこにわサロン東京」を開室。ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析を行っている。日本臨床心理士会、箱庭療法学会所属。
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東京・青山の心理カウンセリングルーム「はこにわサロン東京」の吉田(臨床心理士・公認心理師)です。

 

箱庭療法(Sandplay therapy)は、50年あまり前に、スイスのドラ・カルフさんが元々は子どもの心理療法として開発したのですが、カルフさん自身が、子どもだけでなく大人にも効果のある方法だと見出しました。

それはそうと。

カルフさんが当時から大切にしていた箱庭療法の大事なこと3つをご説明して見たいと思います。

というのも、それは、今でも、箱庭療法の大切なスピリットだからです。

ではいきますよぅー。

 

まずはセラピストとの関係性がとっても大切だということ

あなたが箱庭療法をするときには、必ず近くにセラピストがいると思います。

たとえ初対面だとしても、セラピストのことを信頼できると思わなければ安心して箱庭表現をすることはできないからです。

そうはいっても、セラピストのことを信頼できるかどうかなど、すぐにはわからないですよね。

セラピストのわたしも、自分自身がどちらかというと人見知りですし、いつも必ず信頼していただける人間性かと言われたら、全く自信がありません。

ただ、セラピストとして箱庭療法に立ち会うときには、わたしはあなたの作る箱庭表現にできる限り付き添おうという気持ちでいます。

仮にふざけ半分だったとしても、あるいは破壊的なものだったとしても、また箱庭制作をしなかったとしても、いずれもがあなたの大切な表現で、立ち会うことに感謝して、あなたとあなたの作品に敬意を持って向き合います。

もちろん、口に出して説明するわけではありません。

ただ、この心構えが願わくば、あなたの心に届くようにと願って、静かに見守っているのです。

このセラピストの様子に呼応して、あなたが安心して、箱庭制作に取り組めるように願っています。

でも、口に出して説明してしまうと、むしろ伝わらないこともあるように感じていて、言葉の説明は最低限に押さえるのです。

 

カルフさんが大切にしたこと【その1】
母と子の一体性

 

子どもが言葉を話す前、母親は子どもの様子に気を配り、気持ちを汲み取り、必要な時は手助けをし、けれど基本的には子どもが自由に楽しく過ごせるように母親は静かな笑顔で黙ってついていきます。

この頃の、言葉に頼らないで相手の様子を理解して、見守り育む母親と、母親は自分の味方として必要な手助けをしてくれると100%信じていて、でも自分で自由にふるまいたいと願う子ども。このような、普段の人間関係・コミュニケーションよりも深いところで繋がれること。

このような母と子の一体感のような関係性があってこそ、あなたが安心して自由な箱庭表現をすることができる。

こう、カルフさんは言っているのです。

 

あなたが自由に振る舞い、表現できる空間を作ること

あなたが箱庭体験や箱庭療法をする時は、必ず、前日までに予約をして、セラピストと日時の確認をして、サロンにいらっしゃるはずです。

一見、手間に見えるかもしれませんが、このプロセスを踏むことで、あなたのプライバシーと落ち着いた空間を確保できるのです。

例えば、箱庭の最中に誰かが入ってくる、なんてことは、ありませんし、あなたの来室や箱庭表現、お話してくださったことは、「大切な秘密」として扱われ、守られます。

さらに、箱庭の砂箱も、あなたの自由な表現を守る枠組みです。

箱庭療法のルールは、ただひとつ。

「箱の中に収めること」

箱庭制作をするときに、あなたがこころの深いところと対話して、思いのたけを表現しても、安心していられるのは、この砂箱の枠組みあってのことなのです。

このように、事前の予約や、砂箱、のように、制限があるからこそ、その内側では、安心して自由にふるまうことができるのです。

 

カルフさんが大切にしたこと【その2】
自由にして保護された空間

 

箱庭を作ることや、セラピストと話し合うことで、あなたが体験する特別なこと

あなた
結局のところ、なぜ箱庭に作品を作ることで良くなるのですか?

はい。

これは、とても不思議だと思いますよね。

でも、これまでに説明したように、守られた時間と空間で、信頼できるセラピストの元で箱庭の作品を作ることは、普通の遊びや表現とは全く異なり、あなたの心の深いところで何かが動いたり、気づきがあったり、傷が癒されたりできる可能性があるのです。

例えば、あなたが誰かとケンカしていて、そのことで悩んで箱庭制作をしたとします。

箱庭を作ることで、相手と仲直りできるわけでは、もちろんありません。

けれど、箱庭という表現の場所で、たとえケンカの様子を表現したりしなくても、あなたのこころのニーズを受けて、モヤモヤした気持ちや、怒りや、迷いなどが表現されていくことでしょう。

ご自分では、ケンカのことは考えたくもないと思って、違うものを作ろうとしていたのに、案外とあなたが気にしていることが表現されてきたりするものです。

もちろん、ケンカのことを聞いていなければ、セラピストもあなたがお友だちとのケンカで悩んでいることを気づくわけではありません。

それでも、出来上がった作品をあなたとセラピストで眺め、感想を話し合ったりしていく中で、あなたの中でケンカへの新しい理解や、モヤモヤしていたことへの答え、自分の傷つきを癒していくことなどが、起きてきたりします。

実際に仲直りをしたわけでなくても、実際の仲直り以上の納得感が得られたりするのです。

 

カルフさんが大切にしたこと【その3】
象徴的な体験

 

そう、箱庭の中での体験ですから、あくまでも「象徴的(イメージの上での)」体験に過ぎないはずなのです。

けれど、こころの中で、象徴的に(イメージの力を借りて)体験することは、きっとあなたにとって深い体験となることでしょう。

 

ドラ・カルフさんが大切にしていた箱庭療法を意味ある体験にするための3つのこと

いかがでしたでしょうか。

カルフさんの著書からそのまま書くと、この3つ

① 母と子の一体性

② 自由にして保護された空間

③ 象徴体験

 

つまりは、信頼できるセラピストと一緒に箱庭に自由に制作する体験をすることは、こころの深いところに作用して、あなたがよりよく生きるためのお手伝いをすることができるのです。

 

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