2017/10/23

「キレる」子どもと大人が増加中・・・メカニズムと対応方法を今すぐチェック!

 

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MichikoYoshida
ビジネスウーマンから、自分自身の内的必然性に導かれて、心理臨床の道へ。臨床心理士として学校や教育機関での相談活動を経て、2016年、東京・青山にはこにわサロン東京をオープン。 箱庭療法を通じて「あなただけの生き方」を応援している。
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小中学校でスクールカウンセラーをしている経験から子どもの「キレる」現象について書こうと思ったら気づいたことがありました。それは、今、日本でキレやすい(キレることで困っている)のは子どもだけじゃない!ということ。

グーグルで「キレる」と入れると、中年も高齢者も、夫も妻も、上司も、なんだかみんなキレやすくて悩んでいるようです。

これは、もはや国民病なのでは!?と思ってしまいました。

私の中で一番印象に残っているのは、5年ほど前にある図書館で見かけた光景。あるおじいさんが、図書館のコピー機の使い勝手が悪いし説明も悪いと、女性司書の方を叱りつけていました。大企業にお勤めされていたのかな、と感じさせられるエバリ方でした。おじいさんの言いがかりに言い返したら、もっと事態が悪くなると思って、我慢しておられたのかなと思います。わたしも気にはなれど、声をかける勇気もなく、その場を離れました。弱い者いじめを目撃したのに何もしなかった後味の悪さが残りました。

今日は、子どもの「キレる」メカニズムとキレない子どもに育てる方法、そして、大人がキレるメカニズムと対処方法について書きます。長文になりますが、手描き4コマ漫画(初の試みです)でわかりやすく説明していますので、最後までお読みくださいね。

 

学校の暴力行為の発生件数

まずは、学校でどのくらい(たくさんの)暴力行為が起きているかを調べました。

平成26年度の全国の小中高校での暴力行為(*)の発生件数は、54,242件。平成18年と比べると(*)中学校が30,564件(18年)→35,683件(26年)、高校が10,254件(18年)→7,091件(26年)、小学校は3,803件(18年)→11,468件(26年)です。

*暴力行為とは、対教師暴力、生徒間暴力、対人暴力(学校外)、器物損壊の4種類。暴言は含まれない。

*平成18年度から統計方法に変更があったので、18年度と26年度で比較しています。文部科学省データ。

子どもたちの暴力行為が一番多いのは、思春期まっただ中の中学生ですが小学生がこの8年で3倍に増加していることに驚かされます。でも、最近は、「就学前(5〜6歳)から小学校低学年に(キレる子が)多いよね」と言われたりして、わたしもそれはうなづいてしまいます。

 

小学校での暴力行為の増加は発達障害の子どもの数と関係があるの?

そして、この小学校での増加は、発達障害の子どもが増えたからだと思われるかもしれませんが、そうは感じられないのです。

もちろん、発達障害の子どもたちは、普通の子どもたちより感覚がするどいので、音や光、匂いなどに敏感で、不快に感じやすいため、普段から我慢することが多く、「キレやすい」条件があるとは言えます。

でも、増加している感があるのは、場所によってキレたりキレなかったりするタイプのお子さんなのです。(例えば、家ではまったくキレないが、学校ではすぐにキレる、というように。)発達障害のお子さんは、このように場所を選んでキレたりキレなかったりする、ということはありません。ですから、発達障害でキレる子もいるけれども、発達障害ではないがキレやすい子どもが増加しているのでは?と感じるのです。

 

子どもの生活習慣・ストレスとの関係

次に考えられるのが子どもの生活習慣とストレスの問題です。ゲーム、スマホ、YouTubeなど、電子機器で遊ぶ時間が長くて睡眠時間が短かったり、習い事や塾で気持ちにゆとりがないというような子どもたち。でも、これは小学校低学年ではなくて高学年に多い要因ですね。小学校の低学年では、まだ親の目も届きやすく、ゲーム三昧と言っても睡眠不足になる程やっている子どもは少ないのではないでしょうか。

では、一体、何が、このキレる低年齢化を引き起こしているのでしょう?

それは、子どもの育て方に誤解があるからではないか?

 

がまんできる子どもに育てようと願って、キレる子どもにしてしまっている??

よかれと思ってやっていることが、実はキレる子どもを作り出してしまっているのかもしれません。

わたしが子育てをしていた時に、気になっていたことがあります。子どもが1歳を過ぎると公園などの公共スペースで遊ぶようになります。すると必ず起きるのが、子ども同士のケンカです。すべり台の順番だったり、おもちゃの取り合いだったり。そして、親ももちろん介入・仲裁します。「あぁ〜、これは大人の理屈だから、子どもにはまだわからないよなぁ・・・」と悩みながらやっていました。

こうして、親が介入すると素直に親の言う通りにできること、まったく聞き入れないで大泣きする子がいました。うちは後者でしたから、いつも本当に肩身が狭くて、号泣する子どもを抱いてその場を離れたことも一度や二度ではありませんでした。

ただ、これも、年齢が上がって、2〜3歳のイヤイヤ期が始まると、どちらもお互い引かない争いになります。わたしは内心「この方が気が楽だわ〜」と思っていました。

ところが、イヤイヤ怪獣期でも親のいうことを素直に聞いてぐずらない子どももいました。「あ、いま泣くな」という瞬間にママが「マルマルくん、泣かないよね」と声をかけるとグッと我慢して、おもちゃを差し出せる子。

「なんてできたお子さんなんだろう?」子どもの持って生まれた素質かな、ママの子育てがいいのかな?としばし思い巡らせました。うらやましかったんです。でも、やっぱり「なんか違う気もする・・・」とひっかかっていました。泣き虫を持つママのヒガミかな?でも、あの子の「嫌だ」と思う気持ちはどこへ行ってしまったんだろう?いつもこんなに我慢していて、爆発しないのかな?などなど。そして、自己弁護する自分が「やっぱり子どもの時くらい、泣きたきゃ泣いて育って欲しいよね」と負け惜しみ。

 

「泣きたい時は泣いてもいいよ」の子育てが難しい時代

とはいえ、今の時代の子育ては、子どもが存分に泣いて育つ、というのはなかなか難しいと思います。乗り物やお店のような、人口密度の高い場所で泣いたりすれば、その瞬間に周囲の雰囲気が緊張するのがわかります。間髪入れずに非難のまなざしがくることも。そして、そういう人がひとりでもいると、その空間にとても不寛容な空気が流れるのです。

こんな中で「泣きたい時もあるよね〜」なんてどーんと構えていることはなかなかできないことだと思います。わたしもいつも内心ドキドキしていましたから、こういう時だけでも「泣かないで」って言ったらちょっと我慢できる子どもだったらいいのに!と何度も思いました。

でも、やっぱり、大人が注意したらパッと静かにできる子どもというのは、無理を重ねている子どもなのですね。

 

ネガティヴな気持ちを切り離してしまうと「キレる」

先日、東京学芸大学教授・大河原美以先生の講演を聞くチャンスがありました。

大河原先生はこうおっしゃいました。

子どもは、自分が感じている身体感覚と矛盾する声かけを大人からされると、「大人が正しい」と思い、自分の身体感覚を切りはなしてしまう。それが繰り返されると、子どもの中でネガティヴな感情が切り離されてしまうのです。

本来ポジティヴな感情とネガティヴな感情の両方を、人間誰しも持っていなければならないのに、大人からネガティヴな感情を持つことを否定されてしまうと、ネガティヴな感情が切り離されてしまうのです。それが「キレる」につながっているのです。

つまり・・・

 

このママ(大人)の声かけ。実はわたしもやっていました。ただ、うちの怪獣には効き目がなかったんですね。わたしは子どもの力に助けられたんだなとひやりとします。

でも、もちろん、こんな声かけに素直に応えてしまう子どももいます。

あるいはママたちの中にも、子どもが小さい時から、ちゃんと我慢するこころを育てたいと願って、意図的にこのような声かけを続けていらした方もいらっしゃるのではないでしょうか。

でも、この声かけが効いてしまうと、こうなる危険性があります。

そう。このタローくんが「キレる子ども」の置かれている状態なのです。

 

一番つらいのは本人

こうなってしまうと一番つらく悲しいのはタローくん本人です。ママ(大人)の言う通りにいつも我慢してきたのに、その努力が怒りをコントロールできない自分を作ってしまったのです。

いったん「キレる」状態になった子どもは、大人の注意など耳に入りません。

じゃあと言って、後でおちついてから、大人が一緒にふりかえりをして「今度からキレたりしないように気をつけようね」と言ったらどうでしょう?

本人もそうなりたいと願っているから「うん」と答えるかもしれません。でも、タローくんがどんなに願っても、切り離したタローくんをコントロールすることはできないのです。

 

では、キレる子どもをどう助けたらよいのでしょう?

それは、もう一度、タローくんの中のネガティヴなタローくんと仲直りをして、ポジティヴなタローと共存できるようにしていくことです。

そうすることでタローくんは、嫌なことがあったら「嫌だ、やめて」と、困ったことがあったら「困った、助けて」と言えるようになるのです。困った気持ちを素直に表現して、泣きたければ泣いていられるようになれば、タローくんは「嫌なことがあったら不機嫌になる」かもしれませんが「キレたりはしない」子どもへと成長していくでしょう。

 

「キレない」子どもを育てる方法を四コマ漫画で

子どもにとって良かれと思って、ネガティヴ(悪魔)な感情を切り離してしまったタローくんとお母さん(大人)でしたが、また同じようなケンカが起きた時にどうしてあげたらよいでしょう。

タローくんの痛さ・悔しさをママ(大人)がくみ取ってあげて、「痛かったね、悔しかったね」と言葉にして教えてあげると、タローくんの中でも自分の気持ちの理解ができてきます。もちろん、痛くて泣いたりもしますけれども、その痛みや悔しい気持ちを充分体験して、すっきりしたらまた、ジローくんと遊ぶことができるようになります。

セラピストよしだ
大河原先生によれば、興奮している時や、言葉でやり取りする時に、お水を飲んで深呼吸すると、効果的なんだそうですよ!

このような体験を何度もなんども繰り返して、少しずつ子どもは、嫌な気持ちと共存して、自分なりの我慢やコントロールを身につけていくのです。

 

キレる脳のメカニズム

人が「キレる」ことは大脳の前頭前野の発達と関係があると言われています。

前頭前野の発達をうながすには、人間の不快な感情を切り離すのではなく、不快な体験をした時に、信頼できる大人が共有し、言葉でその不快感情を名付けてあげることが大切です。

つまり、乳幼児〜小学校低学年の、感情と言葉が大きく成長する時期。子どもが不快な体験をするたびに、大人がその気持ちを共有してあげること、そして「痛かったね。こわかったね。イヤだったね。」などと言葉にして教えてあげるのです。この体験を繰り返す中で子どもは、自分が感じている不快な体験が、不快だけれども自分をおびやかすことはない、安心だという感覚を体感し、それが何という不快体験なのかを言葉にしてひもづけていきます。

ですから、不快体験が起きた時に、その体験を切り離す声かけをしてしまうと、安心体験も、自分の体験を言葉で理解するということもできなくなってしまいます。

すると、不快体験をがまんし続けて容量を超えてしまった時に、今度はささいなことでも心身が大きく反応して、キレてしまう、コントロール不可になってしまうのです。

このしくみをつかさどる前頭前野は、10代の終わりまで発達し続けるといわれています。ですから、もし、子どもがキレることで困っておられたら、もう一度、このプロセスをやり直してあげることで、適切な感情制御を身につけることが可能になります。

くりかえしになりますが、感情をコントロールする力は、不快体験を信頼できる大人に肯定してもらい、言葉でひもづけてもらうことでつくられます。

やみくもに我慢させたり、抑制してしまえば、逆効果。キレる子どもにしてしまうことになりますから、どうぞお気をつけください。

 

キレる大人のメカニズム

では、大人の「キレる」は子どもとどう違うのでしょう?

ここで「大人」と呼んでいるのは、前頭前野の発達が充分されていて子どもの頃は不適切にキレる体験はなかったが、大人になって急にキレるようになってしまった方をイメージしています。

 

大人の「キレる」は不快なことだけでなく、理不尽で到底受け入れ難かったこと、辛すぎて忘れていることのような強いネガティヴな感情を、フタやカギをして、あなたの心の奥底にしまいこんできたが、それも容量をとうに超えて、溢れ出したり、破裂したりしている状態であると考えられます。

ですから、大人が「キレる」ときは、そのフタやカギをして埋めてきた事柄を整理してあげることが必要です。

ただ、これまで、自分でとても受け入れがたくてしまいこんでいた辛い事柄を自分ひとりで整理することは、とてもしんどく困難で、ときに危険も伴います。

また、長いことしまいこんでいると、何かがあることはわかっているが、それが何だったか自分でも思い出せない、ということも生じます。

社会人として、しっかりと適応して生きることにも、ネガティヴな側面があるのだな、と感じさせられます。

このようなときに、手助けできるのが、言葉ではなく、イメージを活用するカウンセリングです。

セラピストよしだ
例えば、箱庭療法の他に、絵画やコラージュを行う芸術療法や、夢分析などがあります。

 

箱庭療法を例にとってご説明します

砂に触れて、リラックスした状態で、自由に作品作りをすると、その作品の中に、言葉ではうまく表現できないこと、フタやカギをして心の奥底にしまいこんでいたけれども、今あなたがふり返る必要があることが表現されてくることがあります。

その表現を、あなたとセラピストで対話しながら、少しずつ理解することで、あなたの胸にしまいこまれていた重苦しく、未消化な体験や思いが、大切に扱われて、消化あるいは昇華していくのです。

セラピストよしだ
一見すると子ども向けに感じられる箱庭療法ですが、このような理由から、大人にとってもとても効果のある心理療法だということがおわかりいただけたのではないでしょうか。

 

ネガティヴな気持ちの正体は何か?

人間にとってネガティヴな感情はなぜ大切なのでしょうか?

人間は誰もが、社会生活を送る中で、自分勝手にふるまうのではなく、周囲との調和を大切にして生きるものです。とくに日本人は、他の国の人に比べて、調和を大切にする傾向が強いと思います。

けれど、自分の気持ちを曲げたり、押さえたりしてばかりいると、自分らしく生きることができず、苦しくなってしまいます。

あなたの中の、ネガティヴな気持ち、ネガティヴな自分は、実は、あなたというひとりの人間が、過剰に自分を押し殺すことなく、あなたらしく生きられるように、あなたの心のバランスを取っているのだと考えられます。

つまり、ネガティヴな気持ちは、あなたらしく生きるための助っ人です。

ですから、ポジティヴな自分とネガティヴな自分の両方が共存できることがとても大切なのです。

 

まとめ

  • 子どもが「キレる」のは、不快体験を切り離してコントロールする方法を身につけて、これまでがまんを重ねてきた結果、「これ以上我慢できない」ところまで来ているということです。
  • キレない子どもに育てるには、子どもの不快体験を信頼できる大人が共有し、言葉でひもづけてあげることが必要です。
  • 「キレる」子どもたちを救うには、もう一度、不快な感情を認め、許し、体験し、言葉でひもづけるプロセスが有用です。この感情をつかさどる前頭前野は10代後半まで発達を続けます。
  • 大人が「キレる」のは、社会に適応するために、辛い体験や思い出をフタやカギのついた容器に入れて、自分の心の奥底にしまいこんでいる。そして容量オーバーが起きていることが要因です。
  • キレる大人への対処としては、信頼できる人との関係の中でもう一度、聴いてあげること。そして、消化・昇華させていくことが大切です。
  • このプロセスを言葉で行うのが困難・言葉でやっても効果が出ない場合は、箱庭療法をはじめとするイメージ療法が有効です。

 

箱庭療法って何??という方はこちらをどうぞ

箱庭療法とは

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参考資料

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