箱庭療法の祖・ローウェンフェルドの転機は戦争で傷ついた子どもとの出会いにあった

 

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MichikoYoshida
ビジネスウーマンから、自分自身の内的必然性に導かれて、心理臨床の道へ。臨床心理士として学校や教育機関での相談活動を経て、2016年、東京・青山にはこにわサロン東京をオープン。 箱庭療法を通じて「あなただけの生き方」を応援している。
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砂箱にミニチュアフィギュアを入れて遊んだり表現したりする心理療法を一番最初に考えたのは、マーガレット・ローウェンフェルドというイギリス人女性です。

名前でしか知らなかったマーガレットのことを調べて見たら、とても魅力的な女性だったことがわかったので、まとめて見ました。

セラピストよしだ
父の祖国ポーランドで出会った傷ついた子どもへの愛情が、彼女の人生を大きく変えていきました。

 

マーガレット・ローウェンフェルドの家族

マーガレット・ローウェンフェルドは、1890年にロンドンで生まれました。

お父さんはポーランドからイギリスに移民してきた人で、元々は裕福な家の出のようですが、イギリスでは裸一貫から事業を起こして成功した人だそうです。どんな事業かというと、廃れた劇場を買い取って再開発したり、ノン・アルコールビールを作って売っていたりしていたんだそうです。

お母さんは、イギリスのウェールズ出身です。ウェールズ出身というのが、ロンドンでハンディになるのかどうかわたしにはよくわかりません。でも、きっと、この二人の家庭は何もないところからのスタートであったのではないか、と思います。

この二人の間に生まれた娘が二人。長女がヘレン、次女がマーガレットです。

ローウェンフェルド家はロンドン在住ではありましたが、頻繁に父の故郷、ポーランドとも行き来があったようです。

といっても、1900年前後のこと、移動は馬車!

大変だったでしょうね!

長じてマーガレットは医学の道を志します。これには多分に姉ヘレンの影響があったようです。というのも、ヘレンも医師として、のちに産児制限の権威として活躍していたからです。

 

戦争が変えたマーガレットの人生

1918年、マーガレットは28歳で研修外科医として働き始めました。

しかし、すぐに第一次世界大戦で傷ついた人たちを支援しようと、ポーランドに向かいました。

マーガレットがそこで出会ったのが、戦争で傷ついた子どもたちです。

なんとか子どもたちのこころの傷を癒したいと願ったマーガレットが試行錯誤の末に気づいたこと。

それは、子どもにとって、こころの傷を癒すのに何より有効なのは遊びだ!ということでした。

 

外科医から、子どもの心身の健康を守る活動に転身していくマーガレット

イギリスに戻ってきたマーガレットは、外科医から一転、心理学と子どもの心身のケアについて熱心に研究し始めます。

子どものリューマチ研究を通じて、病気と社会・文化の関係性を考えたり、母親が子どもに授乳することについてや、母乳の成分を研究したり。

ボランティアで、ロンドンの貧困区域で人々の健康を守り、増進する活動に参加したり。

そして、1928年、38歳のマーガレットは、ロンドンに、自分自身でクリニックを開室します。

このクリニックは、心身の健康や発育に何らかの困難がある子どもを対象にした専門のクリニックでした。

このようなクリニックは、イギリスでは初だったということです。

 

子どものための心理療法でマーガレットが大事にした2つのこととは

さて、自身のクリニックで子どもたちに向き合うマーガレットが大切にしたことが2つあります。

ひとつ目は、あのポーランドで発見したこと。

子どもの治療にもっとも有効なのは、遊びだということ。

それからもうひとつ。

子どもにとって自分の気持ちを言葉で表現することは難しいから、言葉以外の表現方法を与えてあげることが大事ということでした。

セラピストよしだ
今でこそ当たり前とされているこの大発見をしてくれたマーガレットに感謝でいっぱい!

 

言葉で上手に表現できない子どもたちのための、遊びを活用した心理療法を作ろう

こう考えたマーガレットが箱庭療法を思いつくにあたり、参考にした遊びが2つあるそうです。

マーガレットも子どもの頃よく遊んだというフロア・ゲーム

 

これは、床を海に見立て、積み木などを使って陣地を作り、そこに兵隊人形や乗り物のおもちゃなども使って行う戦争ごっこあそびのようなものだったようです。

ちなみに、この本を書いたH.G.ウエルズという名前を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

『宇宙戦争』や『透明人間』などを書いた著名なSF作家です。

 

砂箱を使った戦争シュミレーション

これは、実際に軍隊で訓練のために使われたそうです。

砂箱を戦場に見立てて、陣形などを検討したというわけですね。

 

この2つを合体させて、室内で、砂箱の中で、人形などを使って遊ぶこと。

そして、その子どもの「ワールド(世界)」を作ること。

それが、マーガレットが編み出した、元祖の箱庭療法(ローウェンフェルドの世界技法、と呼ばれています)なのです。

 

箱庭療法とマーガレットのその後は

マーガレットは、自身のクリニックで、子どもたちの診療やカウンセリングにあたる一方で、彼女の臨床方法を伝授する活動を行なっていきました。また、世界技法だけでなく、モザイクや積み木を使ったカウンセリング手法も考案していきました。

このようななか、1937年にロンドンの学会でマーガレットの発表を聞いたユングが世界技法に興味を持ちます。

そして、ユングの元で子どもの心理療法に携わっていたドラ・カルフに紹介しました。

このような経緯で、ドラは、マーガレットの元に1年留学して、世界技法を学ぶのです。

それが、後年、箱庭療法(Sandplay therapy)へと発展していったのです。

 

マーガレットは1973年に83歳で亡くなるまで、エネルギッシュに臨床とスタッフの養成に力を尽くされました。

マーガレットの後継者たちの臨床の様子をこちらで見ることができます。

ローウェンフェルド財団

 

まとめ

箱庭療法の前身となる世界技法を考案したマーガレット・ローウェンフェルドさんについてご紹介しました。

父親に反対されても医療の道に進んだり、せっかく外科医の資格を取ったのに、子どもたちの心身の成長を応援する道へと人生の軌道修正をしたり、マーガレットは、強い信念を持ったエネルギッシュな女性だったと思います。

ローウェンフェルド財団のスタッフがマーガレットについて語る様子を動画で見ていると、スタッフたちからもとても愛されていたのだなぁと感じられました。

戦争で傷ついた子どもにできることはないか?

この思いがマーガレットの臨床の礎となりました。

足元にも及ばないけれども、わたしもマーガレットのような神聖な気持ちで日々の臨床に向き合いたいなと感じました。

 

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箱庭療法とは

箱庭療法で大切なこと

ドラ・カルフが大切にした3つのこと

 

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