夢占いとは違う。夢分析で本当の願いや深い傷つきを癒すことができる。
東京・青山の心理カウンセリングルーム「はこにわサロン東京」の吉田(臨床心理士・公認心理師)です。
わたしは、ユングの心理学に基づいた心理療法を行っているので、カウンセリングの中でイメージや夢を大切に活用します。
*ユング派分析家とは、スイス等に留学して数年にわたり研修研鑽を積んで得られるとても難しい資格。日本にも十数名いらっしゃいます。
夢を理解することで
本当の自分の気持ちや気づかなかった大事なことを知ることができたり、
過去の深い傷つきを癒して自分の中に納めたり、
自分らしく一回り大きな成長ができたりします。
夢分析は、頭でどんなに考えてもわからなかったことや、何年もカウンセリングを受けたけど望んだ効果が得られなかった時などでも、しっかり成果を出すことができる方法なのです。
なぜ、そんなことができるのか(夢占いとの違いについても)をお話ししますね。
意識と無意識について
わたしたち人間のこころは、大きく分けて「意識」と「無意識」という2つの異なる働きをする部分でできています。
意識とは?
- 目が覚めているときの状態
- 頭で考え、言葉で表現できる
- 自分でコントロールしている
- 「~してはいけない(禁止)」「~せねばならない(命令)」が強い
このように、「意識」は普段、わたしたちが目を覚ましているときの頭や心の様子です。
では、無意識とはどんな状態なのでしょう?
無意識とは?
- ぼんやりしているときや眠っているときの状態
- 言葉にならない感覚
- はっきり意識すると辛くなるので心の奥深くにしまわれている感情
- つまり、本音、本心、過去の傷つきが収められている
- 「こころ」「内面」「魂」などの言葉で表される。目に見えないが大切なこと。
意識と無意識のバランスをとるということ
とてもシンプルに言うと「目が覚めているとき=意識」、「眠っているとき=無意識」なわけで、人間にとってはどちらも大切、欠かせないものです。
でも、「無意識」とは普段はなかなか自分では意識できないので、大切だとわかっていてもなかなかわかりにくいのが難点です。
夢は、ご自分が無意識の中で感じていることや願っていることなどを届けてくれます。届いた夢に込められたメッセージを読み解くのが「夢分析」という方法なのです。
夢のしくみ
人間は日中は、自分でも知らないうちに、無意識に「蓋」をしています。ですから、自分でも自分の心の奥(無意識)が気になっているのに、なかなか把握・理解が難しいです。
でも、夜寝ているときは、意識の重しが外れるので、無意識が自由に動き出します。それが「夢」です。
ですから、「夢」を理解することで、ご自分の無意識(こころの奥)にしまわれている本当に気持ちを理解することができるのですね。
昨日見たテレビの夢にも意味があるの?
「昨日の出来事やTVの夢を見ます。それは意味のある夢ではないですよね?」と聞かれることがあります。
このような夢では、確かに”夢の素材”は昨日の出来事やTVからきていると言えるでしょう。
でも、だからと言ってその夢に個人的な意味がないとは言えません(むしろ、ちゃんとある場合も多いです)。
夢は、ある種「冷蔵庫にあるもので作る料理」みたいなところがあります。「本当は麻婆豆腐を作ろうと思ったけど、お豆腐がないから麻婆春雨にしとこう」のような感じです。「麻婆春雨」の夢には何も思い当たることがないかもしれませんが:
「麻婆春雨」
↓
「中華料理」
↓
「大皿料理」
と連想していって、「そういえば毎年、お正月に家族で中華料理を食べるんですよ」に行き当たる、というような。
そこから、家族で過ごすお正月にまつわる体験が思い出されてくるかもしれません。
このように、夢は「麻婆春雨は○○の夢」とか「昨日の料理番組の夢」とは断定できない複雑さがあります。
夢占いの限界
ここに、夢占いの限界があります。夢占いは、「蛇の夢」「空飛ぶ夢」など辞書のように意味を調べることができて便利です。でも、その意味がご自分の無意識とちゃんと意味づけ・紐付けされていなければ、本当にご自分の役に立てることはできません。
もちろん、転ぶ夢を見たから注意深くしよう、のように気をつけたりすることはできますが、考えてもわからなかったことがわかるとか、何十年も抱えてきた傷つきを癒すことなど、もちろんできません。このような場面で夢を活用したいときは、やはり、夢を分析する専門家のもとで、あなたが、あなたの夢と向き合うしかありません。
でも、専門家のもとで、丁寧に自分の夢を読み解いていくと、あなたが本当は心から願っていることに気付けたり、どうしても癒せなかった深い傷つきをケアすることができたりします。
夢のメッセージがある程度予想される夢もある
ある程度、連想内容が決まっている夢もあります。たとえば、追いかけられる夢とか、殺される夢、高いところから落ちる夢や水の中に沈む夢などです。
追いかけられる夢は、あなたにとって今は脅威だけれど本当は取り入れられるとよい事柄がある感じがします。
殺される夢(死ぬ夢)は、死ぬほどの思いをして生まれ変わろうとしているときによくみられるように感じます。ターニングポイントということですね。
高いところから落ちる夢は、自己イメージと現実のギャップがあり、調整が必要な印象です。
水の中に沈む夢(泳いだり、おぼれたり)は、無意識(夢)を大切に扱うことで自分の無意識からのメッセージを受け止めてほしいときに見られることが多いのではないかと思います。
もちろん、このような見方もあくまで「傾向」にすぎず、夢の具体的な内容や、夢を見た人がどう感じたのか、どんな印象を持ったのかもとても大切です。
このように、一見「荒唐無稽な夢」にも、あなたの人生にとってとても大切なメッセージが含まれていることが多いので、「たかが夢」と思ってしまわないで、メッセージを読み取って活かしていけるといいですよね。
夢のイメージの働き
夢は、イメージで見ますよね。本を読んでいる夢を見る方もいらっしゃるけれど、すべてが文字だという夢は聞いたことがありません。イメージは、言葉と違って、ひとつのイメージでたくさんの異なる事柄を感じたり、見出したりすることができます。
例えば、1本のバラの花があったとして。そこから感じることは、さまざまです。美しさ、香り、情熱、愛情、プライドの高さ、棘、あるいはバラの花にまつわる個人的な体験など。
このように、言葉ではいくら考えても行き詰ってしまうときなどは、イメージが介在するとぱっとわかることがあります。
また、例えば「父親に暴力をふるわれた」のように、強い傷つきがあり、父親や、大人の男の人にまつわることを考えたり、受け入れたりすることが難しいとき。
夢の中にも見知らぬ男性が出てきて追いかけられて怖い、ということもありますが、そうではなくて、例えばハリネズミのような動物が出てくることもあります。
夢の中のハリネズミに不思議と父親を連想することが糸口となり、少しずつ父親との関係を話し合えるようになる。
そうして、暴力をふるうダメな父親だったけど自分の父親として、一定の折り合いをつけられるようになる、というようなことが生じてきます。
逆に、「自分ではもうけりがついた」と思っていることが、実はそうではないということもあります。もう済んだはずなのに、夢の中で泣いていたり、困惑していたりする自分に出会うかもしれません。
であれば、もう一度そのことと向き合って、傷を癒して、自分が納得できるようにしなければなりません。
このように、時に夢は、意識の死角になっていることを私たちに知らせてきます。そのメッセージをいかにキャッチして、活かすのかによって、人生の充実度に違いが出てくることもあるのではないでしょうか。
夢の理解は簡単ではありません
これは、わたしのつぶやきのようなものなのですが・・・
わたしはカウンセリングの中で、割とよく夢を扱います。それは、夢が相談者とカウンセラー双方に、有益なメッセージを送ってくれるので、活用する方が深いカウンセリングができるからです。
でも、夢を扱うことは簡単ではありません。
ですから、「夢を大事にしよう」と思っても、なかなか自分だけではうまくいかないのではないかと思うのです(上の記事と矛盾してしまうのですが)。
例えば、「怖い人に追いかけられる夢」を繰り返し見ていたら、それが大切な夢であることはわかるけど、どうしたら良いかわからないのではないでしょうか。それは、やはり、夢の理解ができる人と一緒に、時間をかけて読み解いていく必要があります。
もし、悩み事に真摯に向き合っているのに答えが見つからなかったり、子どもの頃の傷つきを癒せなくて辛かったり、自分がどうしたら良いかわからなかったりしたら。そして、あなたが夢を見る人だったら。夢を扱うカウセリングを受けてみませんか?
ちなみに
- 夢は、直感的な人のほうが向いているかもしれません。
- 夢をみない人が無意識と向き合おうとするときは箱庭療法がよいかもしれません。
夢について・まとめ
- 夢は、意識と無意識をつないで、わたしたちがより豊かに生きるお手伝いをしてくれる
- 「自分にはとても乗り越えられない(受け入れられない)」と思うことも、夢(イメージ)を通じて向き合うと、折り合いがつけられる
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