コロナ疲れ・コロナストレスが溜まっているあなたへ。のりきるための7つの対処法
東京・青山の心理カウンセリングルーム「はこにわサロン東京」の吉田(臨床心理士・公認心理士)です。
新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大予防のために気を遣う毎日で、疲れが出たり、ストレスが溜まってきている人が増えています。
わたしも「コロナ疲れ」「コロナストレス」についてのご相談を受けることが増えています。
今日は「コロナ疲れ」「コロナストレス」の特徴と対処方法について臨床心理士の視点からお話したいと思います。
コロナでストレスがたまり続けている
新型コロナウイルス感染予防のための自粛が始まってから、コロナウイルスのことを考えない日はありません。その上、学校は休校、仕事も変則的になるなど、わたしたちのストレス源は増えるばかり・・・
毎日の「手洗い、うがい、消毒。」でも感染したかもと不安になる。
外出自粛で仕事のスタイルが変わり、仕事が増えた・なくなってしまった。
突然学校が休みになっちゃって、友だちに会えない。遊びにも行けない。
ご飯作りに子どものケンカ!お金の心配も・・・
悪いニュースばかりでイライラする・・・
このように、ストレスとなる事柄が増えているのに、リフレッシュする機会が制限されているため、こころのバランスをとるのが難しくなっています。
新型コロナウイルスについては未知なことも多いため、自分がしている対処が本当に正しいか分からなかったり、いつまで続くのか終わりが見えないことも、ストレスを強めてしまっています。
コロナ疲れとは?
このようにストレス負荷の強い毎日が続くと、身体やこころに異変が生じてきます。
身体の異変
○ 頭痛、腹痛、胃痛、生理痛などが頻発する・重くなる
○ 肩こり、背中の痛み
○ 眠れない(寝つけない・夜中に目が覚める・朝早く目が覚める)
○ 食欲がない
○ 耳鳴り・めまい
こころの異変
○ 気持ちが落ち込む
○ イライラする・怒りやすくなる
○ 集中できない
○ 無気力になる
○ 何をやっても無駄な気持ちになる
○ 悲しくなる
行動の異変
○ 攻撃的になる
○ やめられなくなる(食べ過ぎ、飲み過ぎ、眠りすぎ、買いすぎ、SNS、ゲーム、など)
このような心身・行動の異変は、強いストレスからくるもので、誰にでもおきる自然な反応ではあります。
ですから、このような異変を感じたり、いつもと違う行動をしてしまう自分を「ダメだ」とは思わないでくださいね。
ただ、できるだけ早めに、こまめなケアが必要です。
疲れたままにしてしまうと、病気のレベルまで重くなってしまうかもしれません。
抑うつのチェックリスト
念のために、抑うつのチェックリストを載せておきます。
当てはまるものがありますか?(いくつありますか?)
② ものごとに興味をもてなくない・楽しめない
③ 食欲がない、または食べ過ぎてしまう
④ 眠れない、寝つけない、夜中に目が覚めてしまう、寝ても疲れがとれない
⑤ 落ち着きがない・または逆にスローな感じになった
⑥ 疲れやすい。やる気がでない。
⑦ 自分はダメな人間だ、何の役にもたたないと感じてしまう。
⑧ 集中できない。落ち着いて考えられない。
⑨ 死んだ方がましだという気持ちになる。自分を傷つける行動をしてしまう。
このチェックリストは、医療機関の診断基準(DSM-5)に基づいています。
5つ以上が2週間以上にわたって続き、社会的・職業的な障害を引き起こしている場合、うつ病と診断され、多くの場合、服薬治療が必要となってきます。
コロナ禍でストレスが溜まって、身体やこころが疲れていたら、「これくらい大丈夫」「つらいのは自分だけではない」などと思わないで、どうかセルフケアを始めてくださいね。
コロナ禍によるストレス・疲れを緩和するためのセルフ・ケア
いまから、コロナストレス・疲れを緩和するための方法をご紹介します。
できることから、ぜひ取り入れてみてください。
① 規則正しい生活
これは、ストレスや疲れからご自分を守るために最も重要です。
起床時間、就寝時間、3回の食事をしっかり取ること。
睡眠と食事のリズムを守ると気持ちも身体も乱れにくくなります。
毎日の地道な努力が必要なのですが、コツコツ、淡々と続けましょう。
ストレス発散のためでも、夜更かしや暴飲暴食はつつしみましょう。
【参加資料】国際双極性障害学会、光療法・生物リズム学会による共同提言
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行下における、こころの健康維持のコツ: 先の見えない中であっても、日常の生活リズムには気をつけよう
② ネガティヴな感情を受け入れる
○ 人に対して批判的になってしまう
○ イライラを家族にぶつけてしまう
○ すぐに感情的になってしまう
○ 悲観的になる
このようなネガティヴな気持ちが湧いてきたときは、その気持ちを否定しないことが大切です。
「わたしは今、こんな風に感じているんだな」と認めて、ネガティヴな気持ちにも居場所をつくってあげましょう。
ネガティヴな気持ちをコントロール・我慢しようとすると、ある一定の間はがんばれますが、今のように常にストレスにさらされている・リフレッシュ機会のない時には、うまくいかず、その結果、周りに対して攻撃的になったり、自分に批判的になったりします。
そうなってしまうのを防ぐ方法がもう一つあります。
③ 自分に思いやりを持って接しよう
私たちは、ふだん、家族や友だち、職場の同僚にできるだけ親切にしようと心がけています。
それなのに、自分に対しては、厳しく、批判的で、まるで思いやりのない態度をとってしまいがちです。
考えてみれば、不思議なことです。
このコロナ禍でストレスフルな毎日を過ごす自分が「ついイライラして人に当たってしまった」り、「仕事が終わらなかった」りした時に、自分を責めていませんか?
精一杯がんばっているのに、自分を責めるとストレス・疲れが倍増してしまし、心身にも悪影響を与えかねません。
お勧めしたいのは、「思った通りにできなくて、反省点はいっぱい。だけど、今日もよくがんばったよ!お疲れさま。ゆっくり休んで、明日またがんばろう」と自分をねぎらい、認めることです。
これは、マインドフル・セルフ・コンパッションの考え方です。もし、この考え方をもっと知りたい・実践してみたいと思われたら、こちらの本を参考にしてみてください。
【参加資料】
ネフ博士のサイトはこちら(英語)
④ ストレス を解消する
あなたのストレス解消法は何ですか?
あなたのストレス解消法は、コロナ禍で制限がかかってしまっていますか?
何か小さな工夫で、好きなことが楽しめたらいいなと思います。
例えば、カラオケや飲み会にはいけないけど、オンラインでやってみる、とか。
温泉旅行にはいけないけど、家のお風呂にゆっくり入る、とか。
イライラをしばし忘れられたら、リフレッシュ成功です。
⑤ つながる
コロナ禍で友だちや家族、仲間と共に過ごす時間が制限されています。
もし、親しい友だち、信頼できる仲間と会えないことがストレス要因となっていたら、ネットやSNSなどを利用して上手につながりましょう。
疎遠になっていた友に連絡してみるチャンスかもしれません。
⑥ 情報とのつきあい方
新型コロナウイルスに関する情報は、日々刻々と更新されます。
一日中、テレビやネットでニュースをチェックしていませんか?
必要な情報にアクセスすることは大切ですが、過剰にチェックしてしまって疲れが出たり、不正確な情報にまどわされてしまうような弊害も報告されています。
信頼できる情報源に、時間を決めてアクセスするように心がけましょう。
⑦ 自分と向き合う時間を持つ
コロナ禍以降、わたしたちの頭もこころも、ずっと情報過多な状態が続いてきました。
コロナ疲れから回復するためには、ひとりになれる時間、頭をからっぽにしてボンヤリできる時間が欠かせません。
人間は、不安になると頭脳をフル回転させて解決方法を探そうとするクセがあります。
もうウンザリしているのに、ついついコロナ情報をチェックしてしまうのは、こういうわけなのです。
しかし、実際には、解決方法は見つからず、疲労感、徒労感が増すだけです。
ですから、頭とこころを休める活動というのは、その効果を理解して(少なくとも効果が実感できる前は)意図的に行う必要があります。
例えば、このような試みをしてみるのはどうでしょう。
◯ 仕事を始める前の5分間、こころ静かに目を閉じて過ごす
◯ ひとりの食事のとき、スマホチェックはやめて、食べているものに集中してみる
◯寝る前の5分間、今日がんばった自分をねぎらいながら、ぼんやり黙想する
コツが掴めると、ちょっとした待ち時間などにも、イライラしたり、スマホに手がのびることなく、頭とこころのリセットタイムを待つことができるようになります。
⑧ 相談する
わたしたちが新型コロナウイルスの感染を心配せずに生活できる日常をとりもどせるのは、まだ先のことになりそうです。
コロナ疲れやコロナストレスとも、付き合っていかなければなりません。
どうぞ、頑張りすぎないでください。
ご自分をねぎらい、大切にしてあげてください。
ご紹介した情報が、少しでもストレス緩和に役立つことを願っています。
でも、もし、ご自分の力だけでは改善が難しいと感じたり、誰かに聴いてもらいたいと思ったら、お早めにどうぞご相談ください。
新型コロナウイルス感染症関連SNS心の相談(厚生労働省)
新型コロナこころの健康相談電話(日本臨床心理士会・日本公認心理師協会)
こころの耳・働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト(厚生労働省)
はこにわサロンでも、オンライン・お電話でのカウンセリングを行なっていますので、どうぞご利用ください。
こちらも参考にしてください
参考にしたHP
国立成育医療研究センター「新型コロナウイルスと子どものストレスについて」