【子どものコロナ疲れ・ストレス】年齢別の特徴と必要なこころのケア
東京・青山の心理カウンセリングルーム「はこにわサロン東京」の吉田(臨床心理士・公認心理士)です。
コロナ休校が続いていて、子どもたちにも様々な影響・ストレスが生じているようです。
すでに、なんとなく様子が変だな、と感じられる子どももいれば、今のところ態度や行動には出していないけど注意してみてあげる必要がある子どももいます。
子どものストレス反応の出方は、年齢や性格、その子どものこれまでの経験によって違います。
この記事では、コロナ休校中の子どものストレスについて、対応方法も合わせてご説明します。
【子どものコロナストレス】このようなSOSサインが出ていませんか?
コロナ休校で我慢する毎日が続く子どもたち。
このようなSOSサインが出ていませんか?
このような不調サインについて、順番に説明していきますね。
睡眠
こんな様子はありませんか?
✔︎ 寝るのを怖がる
✔︎ ひとりで寝られなくなる
✔︎ 暗闇を怖がる
✔︎ 夜中に目が覚める
✔︎ 怖い夢をみる
✔︎ たくさん寝る(過眠)
✔︎ 昼夜逆転
日中は元気に過ごしていても、夜になり、緊張がゆるむと、不安な気持ちが湧いてきてしまい、不調サインが出されることがあります。
子どもが安心できるようにしてあげましょう
例えば・・・
○ 添い寝、寝つくまで一緒にいてあげる・・・大人が一緒にいてくれるだけで子どもは安心できます。
○ 絵本・本の読みきかせ・・・大人のおだやかな声は子どもの気持ちを落ち着かせます。子守唄もよいですね。
○ 小さな灯り・静かな音楽を流す・・・子どもと相談してやってみてください。
○ 夜中に目が覚めて怖かったら、親を起こしてもいいよと伝えておく、など。
日中どんなに辛いことや悲しいことがあっても、ぐっすり眠れたら、人間は元気を回復できるものです。(睡眠て万能薬!)
ですから、眠ることにまつわる不調サインは、見逃さずに早めにケアをしてあげてくださいね。
食事
こんな様子はありませんか?
✔︎ 食べすぎる
✔︎ 吐き気
✔︎ 嘔吐
食事は、人間にとって「エネルギーの取り入れ」活動なので、不安になると食べられなくなったり、逆に食べすぎてしまうようなことが生じます。
また、不安な気持ちや、「もうこれ以上、不安になる情報を取り入れたくない気持ち」から、吐き気や嘔吐が生じることもあります。
○ 無理に食べさせない・・・少量でも食べやすいもの、好きなものを与えましょう。
○ 水分補給・・・食べられない時は水分補給を意識的に!
○ ひとりにしない・・・家族で一緒にお食事できるといいですね。
○ 過食気味・・・ひとりで食べない、ながら食べをしない(どんなに食べても満足感が得られません)。
○ 嘔吐が激しい時は、医療機関の受診も検討してくださいね。
コロナ休校中は、家族分、1日三食を準備するのが本当に大変なのですが、おそらく家族にとって食事の時間は「1日の中で楽しみな時間」ではないかと思います。
簡単なもので良いので、時間を決めて食べられるようにしてあげてください。
子どもの年齢・興味によりますが、食事の準備のお手伝いをさせることもオススメです。
最初は手間が増えるけど、いずれ必ず子どもの生きる力につながります。
お勉強しない子などには「家庭科」と言ってお手伝いしてもらい、お勉強にカウントしてもよいのではないかしら。
体調不良
こんな様子はありませんか?
✔︎ 頭が痛い
✔︎ だるい
✔︎ 疲れやすい
✔︎ 顔色が悪い
✔︎ めまい
✔︎ 耳鳴り
ストレスは身体に出やすいです。言葉で表現しにくい子どもはなおのこと。
痛みのケアに加えて、気持ち・こころにもケアをしておくと、より効果的です。
例えば・・・
○ 温める、さする・・・痛みを和らげるだけでなく、手の温かさ、愛情も伝えられます。湯たんぽやぬいぐるみなどを活用しても。
○ 話す・・・お話しすると気分転換になって、痛みを忘れられることも。共通の話題や知人についてなど、軽めの話題で。
○ リフレッシュする・・・窓を開ける、散歩に出かける。無理のない範囲で、外気にふれましょう。
○ 体調不良が続くようなら医療機関の受診も検討しましょう。
行動の変化・問題行動
こんな様子はありませんか?
✔︎ テンションが高い
✔︎ 攻撃的になる
✔︎ 注意散漫になる・集中力できない
✔︎ すぐにあきらめる
✔︎ 意固地になる
✔︎ 無口になる
✔︎ 閉じこもる
✔︎ 親から離れなくなる
このような反応は、コロナストレスの元では「自然な反応」であるといえます。
子どものストレス表現をキャッチして、対応してあげましょう。
例えば・・・
○ 枠組みをつくる・・・騒いでもよい時間と場所を決めて、発散できる機会を確保します。その上で、落ち着いて過ごす時間も作ります。メリハリがつくと、子どもが少しずつ落ち着きを取り戻します。
○ ダメなことはダメ、と伝える・・・「コロナ休校でかわいそう」と思って、「いつもはダメなこと」を許していませんか?子どもがかえって不安になってしまうことがあります。
○ 叱りすぎは禁物・・・かといって、叱ってばかりいると子どもは「反応・反発」してさらに興奮してしまう・親子関係が悪化することにもなりかねません。「ダメ!」のあとは、穏やかに理由を説明して、子どもが協力できるようにしましょう。
○ 無口になる・閉じこもるなどエネルギーが低下している時・・・無理に元気づける必要はありません。静かに、でも、見守っているよということを言葉や態度で伝えましょう。
○ 親から離れなくなる・・・乳幼児や小学校低学年に多いですが、それ以上の子どもにもみられることがあります。できるだけ一緒に過ごせるといいですね。親が外出する・一緒にいられない時は、あらかじめ予定と連絡先を伝えておきましょう。急にいなくなると不安が増します。
コロナごっこについて
子どもたちの中には、コロナごっこをして遊ぶ様子が見られるかもしれません。
大人からすると「悪ふざけ」に見えますが、この遊びには新型コロナウイルスという異質で理解困難なものを子どもなりに消化しようとする働きがあります。
強く叱ったりはしないで、年齢が低ければ「お薬ができましたー!」のようにユーモアを持って介入したり、年齢が高ければ「コロナ怖いよね?」と新型コロナウイルスについて話し合う糸口を持つなどの対応ができるといいと思います。
心理の視点からは「ダメ」とは言いたくない遊びではありますが、悪ノリして喧嘩になってしまったり、差別やいじめにつながらないように目配りしておく必要はあります。
気持ちの変化
こんな様子はありませんか?
✔︎ よく泣くようになった
✔︎ 気持ちのアップダウンが激しくなった
✔︎ 何でもない時に涙が出る
✔︎ 表情が乏しくなった・感情を出さなくなった
✔︎ すぐ怒るようになった・怒りが強くなった
✔︎ 「どうせ〜」というようになった
✔︎ 無気力な様子
✔︎ ぼんやりする時間が増えた
このような気持ちの反応も、コロナストレス下では「出て当たり前」なので、焦らずに対応してあげましょう。
例えば・・・
○ 興奮する・・・刺激になること、強いものは避けましょう。つい大人も同じテンションで叱りがちですが、子どもの興奮が強まるだけなので、穏やかに、淡々としたペースで接する方が望ましいです。
○ 落ち込む・・・無理に元気づける必要はありません。「そのままでいいよ」と伝えながら、様子をみていきましょう。穏やかに話しかけたり、程よい日課を一緒にするのもお勧めです。
○ いつもとは違う感情表現をした時・・・叱ったりせずに、「そんな気持ちなんだね」と穏やかに受けとめてあげましょう。叱ったり、大人が強く反応すると「ダメなんだ」と思って隠すようになってしまいます。
○ 言葉の裏に隠された気持ちを汲み取る・・・子どもが発する言葉は、「勢いで出た言葉」であることも多く、大人がその言葉だけに注目して対応すると、すれ違いが生じます。言葉の裏にある気持ち(多くの場合は、イライラする・悲しいなどのネガティヴな気持ちや、もやもやする・なんだかよくわからなくて困る気持ち)を想像して声をかけてあげると、スッと落ち着けることも多いですよ。
トイレのこと
こんな様子はありませんか?
✔︎ おねしょ
✔︎ 下痢や便秘
排泄は、心身のバロメーターです。子どもの場合は特に、不安や緊張がトイレの失敗、排便困難に結びつきやすいので、「必要なストレス反応なのだ」と思って対応しましょう。
例えば・・・
○ 「そういうこともある」と伝える・・・トイレの失敗は本人もショックを受けたり、自信を失ってしまいがちです。「できなくなった」とか「ダメなこと」ではなく、「ストレス反応」なのだということを伝えましょう。
○ ストレス・不安がなくなったら、今まで通り、失敗なくできるようになるから、しばらく失敗が続いても心配することはないと伝えましょう。
○ その上で、大人への伝え方、自分でできる処理方法などを相談して決めましょう。
子どもの不安な気持ちや、自分に自信がなくなりそうな辛さを理解して、穏やかに対応しましょう。
緊張やストレスを「トイレの失敗」で表現する子どもは、普段から「ちゃんとやりたい・やらないとダメ」「完璧主義」「弱音をはけない子」に多いような気がします。
我慢に我慢を重ねた結果、体調不良や問題行動、情緒不安定のような、「気軽に出しやすい方法」ではなく「自分でコントロールの及ばないところに破綻が生じてしまった」とでもいうのでしょうか。
ですから、叱ったり、自信を失わせてしまったりすると、子どもの完璧主義がさらに強まってしまい、とても心配です。
逆に、我慢を重ねた結果の「助けて!SOS!」と理解して、親子で話をしたり、困ったときの助けの求め方を経験できると、子どもの情緒安定・親子関係の改善になります。
どうか、危機をチャンスに変えてくださいね!
年齢別に想定されるストレス反応
ここでは、年齢別に想定される子どもたちのコロナストレス反応とケアの方法についてお話します。
誕生〜2歳
乳幼児は、言葉や周りの状況を理解する力はまだ低いのですが、その分、大人の緊張や不安をダイレクトに察して、影響を受けやすいです。
その結果、不機嫌・よく泣くようになったり、親から離れられなくなったりすることがあります。
また、今までできていたことができなくなったり、やりたがらなくなることもあります。
「成長が止まってしまった」わけでも「後戻りしてしまった」わけでもありませんから、どうぞ、あわてないでください。
スキンシップを多めに取りましょう。
親子ともに安心できるのでオススメです。
3〜5歳
言葉の力がつき、いろいろなことを理解できるようになってきましたが、正しく理解するには大人の助けが必要な時期です。
「自分でやりたい気持ち」と「まだできない苛立ち」がせめぎ合うこの時期、新型コロナウイルスについても、親子で正しく理解して、何ができるのか相談してみるとよいと思います。
赤ちゃんがえりが生じることもありますが、大人が上手にフォローして、子どもの不安な気持ちに応えてくださるといいなぁと思います。
6〜12歳
小学生になり、子どもたちは自立心がつき、世界が広がります。
まだまだ大人に甘えたいけれど、素直には表せない時期でもあります。
新型コロナウイルスについて、正しい知識を親子で共有し、「自分にできることは何かな?」と考え、やってみようとする気持ちを応援してあげてください。
同時に、新型コロナウイルスについて、あるいは今の生活について、不安に感じることがあったら、大人はいつでも話を聴かせてほしいと思っていることを伝えてあげてください。
普段なら、お友だちとの関係が大切な時期です。SNSや電話などを上手に使って、お友だちとつながるチャンスを作るのもよいと思います。
13歳〜思春期・青年期
心身ともに大きく成長するこの時期は、自立した思考・言動ができるようになる一方で、情緒的にも揺らぎやすくなる時期でもあります。
コロナで生じた予期せぬ出来事・社会の動きに対して、強い怒りや悲しみを持ち、自暴自棄になったり、攻撃的な行動に出ることもあります。
そのような時は、穏やかに、「感じていることを話して欲しい」と伝えてみてください。その場で気持ちが話せなくても、「いつでも話してね」という姿勢が伝わると、少しずつ話してくれるようになると思います。
子どもが話をしてくれたときは、聴くだけでOKです。大人視点のアドバイスは不要・やめておくほうがいいことが多いです。
コロナ休校で自宅で過ごすにあたり、子どもがひとりになれる時間と場所への配慮が必要ですが、孤立させてしまわないように、程よい距離を持つように心がけてください。
まとめと相談窓口のご紹介
新型コロナウイルス感染予防のために、休校が続き、子どもたちには様々なストレス反応が生じてきていることが考えられます。
もし、すでに不安定な様子、行動が見られるようなら、早めにケアをしてあげてください。
どの年齢の子どもにとっても共通する大事なことは:
○ 新型コロナウイルスについて正しい知識を持つ(大人がわかりやすく伝える)
○ 子どもにできること、家庭で協力して行うことを話し合う
○ 子どもが自分の気持ちを話す・表現する場をつくっておく
○ 不安になること・ストレス反応があることは「自然なこと」(恥ずかしいことではない)と伝え、大人の手助けのもとケアをすること
もし、ご家庭での対応に不安があるときには、専門家に相談してみてくださいね。
○ お子さんが通っている学校や幼稚園・保育園には(スクール)カウンセラーはいますか?学校に「子どものことでカウンセラーに相談したい」と連絡したら、紹介してもらえますよ。
○ お住まいの市町村のHPで「子育て相談」や「教育相談」があり、臨床心理士や公認心理師が地域の子育て相談にお応えしています。「子どものことで相談したい」と問い合わせてみてください。
○ こころの耳・新型コロナウイルス感染症対策(こころのケア)
はこにわサロンでもオンライン・お電話での相談を受付けています。
わからないこと、不安なことがあったら、早めに相談して、早めにケアしてあげてください。
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