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ひきこもりの原因と心理を理解・改善するために家族にできること

 
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外資企業勤務後、心理臨床を志す。臨床心理士の資格取得後は東京・神奈川・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年、東京都港区・青山一丁目に「はこにわサロン東京」を開室。ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析を行っている。日本臨床心理士会、箱庭療法学会所属。
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東京・青山の心理カウンセリングルーム「はこにわサロン東京」の吉田(臨床心理士・公認心理師)です。

今朝の新聞で読んだのですが、ひきこもりを支援する「引き出し屋」というのがあるんですね。
保護者から依頼を受けて、自宅からひっぱりだしてしまう。

 

もちろん新聞に出ていたような悪質なところばかりではなく、きちんと寄り添い、自立を助けているところもあると思いますが、「一方的にひっぱり出す」という方法には強い違和感を感じずにはいられません。

 

ひきこもりは「甘え」「だめ」だから力を行使するよっていうスタンスを感じるからです。

 

確かにひきこもりが「よい状態」とはいえないけど、ひきこもっている人にとって、ひきこもることが唯一残された方法だからそうしているので、「甘えちゃえ」「楽々」「ラッキー」みたいなことではない(むしろ逆)であろうと思われます。

 

今日は、ひきこもり当事者や経験者、不登校支援をする中でわたしが考えているひきこもりの原因、ひきこもりの方の心理について、また、改善していくために家族にできることを書いてみたいと思います。

 

ひきこもり、とは?

仕事や学校に行けず家に籠り、家族以外とほとんど交流がない人の状況が6ヶ月以上続いている場合(厚生労働省定義)。

 

厚生労働省は、また、ひきこもりは若者の就学就労問題ではなく、全世代の社会参加の問題としている。

 

ひきこもりの原因

ひきこもりに至る背景はさまざまなので、明確に指摘できるわけではないけれども、考えられる幾つかの原因をあげてみたいと思います。

 

育った環境(家庭・学校)

人が育つ家庭環境・学校環境は、人格形成に大きな影響を与えます。

 

さまざまな事情で、家庭が安心できる環境ではなかったり、学校が本人にとって肯定的な体験を積める場所でなかった場合、その過程で我慢・無理を重ねていることがあります。

 

また、その結果、困った時に頼れる人がおらず、助けてもらえない・自分で抱え込んでしまい辛さが増すこともあると思います。

このような環境要因が、ひきこもりのベースを構成していることは少なくないと思います。

 

性質・性格

同じストレスを受けても、人によって感じ方が違います。

 

同じ環境・体験のなかでも、その影響・傷つきは人によります。

 

子どもの頃にトラブルメーカーだと叱られることが多くなり、自己肯定感が下がる、というようなことも影響すると考えられます。

 

しかしながら、特定の気質や性格が必ずしもひきこもりにつながるとは言えないと思います。というのは、家庭の育み、良い友達や先生との出会いなどが大きな違いを作るからです。

 

傷つき体験

ひきこもりのきっかけに、傷つき体験がある場合があります。

 

それは、誰からみても「ひどいこと」である場合もあれば、些細な出来事に過ぎないけれど、それまでに既にギリギリのところで頑張っていたから小さなことでバランスが崩れてしまって、ということも少なくありません。

 

こころの病

ご本人の性質、ストレスなどから、こころの病気を発症しておられる場合も少なくありません。

代表的なものとして以下のものが挙げられます(医療機関の受診が望ましいです)。

✔️ 抑うつ

✔️ 適応障害

✔️ 睡眠障害

✔️ 身体表現性障害

✔️ 社交不安症

✔️ 統合失調症、など

 

ひきこもりの気持ち(心理)は?

ひきこもりの方は、このようなことを感じ、苦しんでいることが多いと思います。

✔︎  恐怖感
✔︎  将来への不安
✔︎  自己否定
✔︎  罪悪感

 

ひとつずつ説明します。

 

恐怖感

人や社会に対して、「怖い」「不安」「安心できない」「信頼できない」と感じていて、それが社会から距離を取ること=ひきこもりとなります。

 

甘えや怠けからひきこもるわけではありません。

 

将来への不安

「いつまでもこうしてはいられない」

「いつか何とかしないといけない」

「自分は将来どうなるのだろう?」

 

こんなふうに将来に対して強い不安を感じているのも、ひきこもりの方々の特徴です。(口に出して教えてくれるかどうかは別です。)

 

誰だって、この先の自分の人生が描けなかったら不安になるでしょう?

 

それは、ひきこもりの人も同じ(むしろ強すぎるほどに感じている)。

 

自己否定

ひきこもっているとき、人は自分への自信を失っています。

 

そのため

「自分はダメだ」

「自分にはできない」

 

と感じ、ますます社会とのつながりを絶ってしまいがちです。

 

罪悪感

「自分のせいで家族に迷惑かけてばかり」

「自分なんていなければいいのに…」

 

こんな風に感じて、死んでしまいたい、消えてしまいたいと感じる方もおられます。

 

ひきこもりは、心理的にはかなり追い詰められている状態であることを理解してください。

 

ひきこもりは甘えでは?

確かに、甘えたい気持ちはゼロではないと思います。

 

でも、それは「誰か助けて」「怖くてたまらないから、こうさせていて」という気持ち。

 

甘えというよりSOSであるように感じられます。

わがままで気楽で、嫌なことから逃げて、親が何とかしてくれる、ラッキー、よろしく、ではないですよね。

 

ですから、一方的に「甘えだ」と決めつけて、無理矢理ひっぱり出してもうまくいかない(逆効果にしかならない)のです。

 

では、ひきこもっている人に対して、どのように働きかけたらよいのでしょう?

 

ひきこもりを改善するには

家の中を安全基地にする

ひきこもっている時点で家が安全基地なのでは?と思われがちですが、そうではありません。

 

安全基地というのは、本人と家族が「今はこれでOK」と肯定できること。

 

安心して、恐怖や不安や自己否定や罪悪感を軽減していけること。

 

具体的にできるとよいことをご紹介します。

①  否定しない

✔️現状は、本人なりに今できるベストなので、否定しない。

✔️「甘やかしてはいけない」とわざと厳しくしたりしないで、生活面などで協力できることはしてあげましょう。

 

②  対話

✔️最初は言葉のキャッチボールから。相手から返ってこなくてもあきらめないで。自分の気持ちを整えるためにも言葉を発してみる。自分が感じることの実況中継もよいですよ。不安が軽減されると、ボールが返ってくるようになります。

 

✔️「困ったことがあったら言ってね」と伝えておく(種まき)。じきに本人の口から何か、ぽろりとこぼれ出るから、その時まで待ちましょう。

 

✔️不安や悩みが話されたら、関心をもって本人の気持ちや考えを聴かせてもらう。「そう思っていたんだね」「話してくれてありがとう」「一緒に考えよう」と伝える。アドバイスは不要。

試行錯誤

✔️家庭内が安心基地になると、少しずつ本人から「願い」が話されると思います。小さなものから、色々やってみられるといいですね。

 

✔️やってみたいこと、行ってみたい場所。肯定的にサポートしましょう。

 

✔️試行錯誤中なので、失敗することもあります。あらかじめ、そう伝えておくと、失敗を怖がらずにすみます。

 

✔️この過程で、外とつながる選択肢が出てきます。フリースペース、サポートステーション、当事者の集まり、カウンセリングも。(ご参考までにいくつかリンクしますね)

 

サポートステーション(厚生労働省)

ひきこもりサポートネット(東京都)(地域のフリースペースは、「地域名+フリースペース」で検索してください。)

当時社会

お近くの臨床心理士を探す(日本臨床心理士会)

 

社会復帰の目標設定

社会復帰の目標設定をするときは、本人が前向きに取り組める内容、ペースにするよう、心がけてください。

 

「正社員じゃないとだめ」のように、本人の状態や気持ちとフィットしない目標を押しつけてしまわないように。

 

家族が支援を受けることの大切さ

ひきこもり支援は家族だけで抱え込まないことが大切です。

 

ご家族が相談機関や当事者会などにつながり、悩みを打ち明け、「うちだけではない」と感じたり、ご家族の罪悪感を軽減することは、そのままご本人のサポートによく影響します。

 

まとめ

ひきこもりの方の気持ちや、改善に向けてご家族の方にできることについて書きました。

 

ひきこもりはネガティヴなことと思われがちですが、ひきこもりをきっかけに家族の対話が生まれたり、本人らしい生き方を模索したり、「自分らしい生き方をするきっかけ」になることも多いのではないかと思います。

 

どうぞ、「甘えている」「だめだ」と決めつけずに、ご本人らしい生き方を見つけていけますように。

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外資企業勤務後、心理臨床を志す。臨床心理士の資格取得後は東京・神奈川・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年、東京都港区・青山一丁目に「はこにわサロン東京」を開室。ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析を行っている。日本臨床心理士会、箱庭療法学会所属。
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