サイレントモラハラ・隠れモラハラ・ステルスハラスメントとは
東京・青山の心理カウンセリングルーム「はこにわサロン東京」の吉田美智子(臨床心理士・公認心理師)です。
サイレントモラハラとは、言葉や直接的な攻撃ではなく、無視、仲間外れ、陰口、冷たい態度、些細な嫌がらせなど、「静かな」方法で相手に精神的な苦痛を与えるハラスメントです。
被害者は深刻な精神的ダメージを受けるにもかかわらず、周囲に理解されにくいという特徴があります。「隠れモラハラ」「ステルスハラスメント」とも呼ばれます。
サイレントモラハラする側の心理(加害者の心理)
優越感・支配欲
相手を見下し、自分の優位性を示したい、支配したいという心理。
ストレスの発散
日常生活や仕事で溜まったストレスを、弱い立場の人にぶつけることで発散しようとする心理。
劣等感の裏返し
劣等感を隠すために、相手を攻撃することで優位に立とうとする心理。
妬み・嫉妬
相手の能力、立場、容姿などに妬みや嫉妬を感じ、嫌がらせをする心理。
報復感情
過去の出来事に対する恨みや怒りから、相手に報復しようとする心理。
意識の低さ
自分の行為がハラスメントに該当するという認識がない場合もあります。
サイレントモラハラされた側の影響(被害者の影響)
存在否定
自分の存在価値を否定されたように感じ自信や自尊心を失います。
孤独感・孤立感
周囲から孤立しているように感じ、孤独感を深めます。
不安・恐怖
何が原因で無視されているのか分からず、常に不安や恐怖を感じます。
抑うつ・無気力
精神的に追い詰められ、抑うつ状態や無気力になることがあります。
身体症状
不眠、食欲不振、頭痛、腹痛など、身体的な症状が現れることもあります。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)
長期にわたる精神的苦痛により、PTSDを発症するリスクが高まります。
周囲への不信感
周囲の人々を信用できなくなり、人間関係を築くことが難しくなります。
サイレントモラハラ・周りへの影響
サイレントモラハラは、被害者だけでなく、周囲の人間関係や職場環境にも悪影響を及ぼします。
職場の雰囲気の悪化
陰湿な空気が蔓延し、職場の雰囲気が悪化します。
生産性の低下
被害者のパフォーマンスが低下するだけでなく、周囲の従業員のモチベーションも低下し、全体の生産性が低下する可能性があります。
不信感の蔓延
従業員間の信頼関係が損なわれ、組織全体の結束力が低下します。
サイレントモラハラ対応策
自分の違和感を無視しない。
サイレントモラハラは、被害者側も気付きにくく、「気のせい?」「気にしすぎ?」などと否定しがちで、加害の常態化を招きがちです。「変だ」と感じたら、客観的に振り返り、整理しましょう。
相談する
ひとりで抱え込むと、不信感が増大します。
家族、友人、同僚、別部署の上司、社内の相談窓口など、信頼できる人に相談しておきましょう。
複数の人に相談することで客観的な視点を失わないメリットがあります。
記録を残す
記録を残す・証拠を集める(メール、メモ、音声データなど)ことは、証明のためだけでなく、「気のせい」にしたり「我慢すればいい」と思わないようにするためにも大切です。
接触を避ける
加害者と距離を取るよう心がけ、接触を避けましょう。
セルフケアを優先する
いつもより強いストレスがかかっていることを認識し、自分のケアを優先するよう心がけてください。
睡眠、食事、運動をしっかりとり、体調管理をしましょう。
十分な休息、リラックスできる時間を持つことは大切です。
また、没頭できる趣味や、スポーツ(観戦)カラオケ・コンサートなど、発散できる活動、笑いを失わないことも大切です。
外部機関への相談
労働基準監督署、労働局の労働相談コーナー、法テラスなどに相談しましょう。弁護士に相談することも選択肢です。
ハラスメントしている人が外面よく評判が良いケースへの対応
加害者が外面が良く、周囲からの評判が良い場合、被害者の訴えは信じてもらえないことがあります。
このような場合は、以下の点を意識しましょう。
具体的な証拠を提示する
曖昧な表現ではなく、具体的な事例と証拠を示します。
複数の人に相談する
一人の意見だけでなく、複数の人に相談することで、客観的な評価を得られる可能性があります。
外部機関への相談を検討する
社内での解決が難しい場合は、外部機関への相談も検討しましょう。
上司に相談しても「気にしすぎ」とあしらわれるサイレントモラハラへの対応
上司が問題を矮小化する場合、さらに上の上司や人事部、社外の相談機関などに相談することを検討しましょう。
記録や証拠を提示し、毅然とした態度で訴えることが重要です。
サイレントモラハラ防止策
ハラスメント研修の実施
全従業員向けの研修で、サイレントモラハラを含む各種ハラスメントへの理解を深めます。
相談窓口の設置と周知
従業員が安心して相談できる窓口を設置し、その存在を周知します。
風通しの良い職場環境づくり
従業員が自由に意見を言い合える環境を作ります。
管理職への教育
管理職に、部下の状況把握、ハラスメントの早期発見・対応のための教育を行います。
就業規則への明記
就業規則にハラスメント禁止規定を明記し、周知徹底します。
サイレントモラハラ・まとめ
サイレントモラハラは、周囲から気づかれにくく、当事者も「気のせい?」「気にしすぎ?」などと感じるため、対応が遅れがちになります。周りから「気にしすぎじゃない?」と言われると、自分を責めてしまったり、孤独感、不信感が募り、心身に深刻なダメージを与えることもあります。
サイレントモラハラをする上司の心理は、狡猾で保身的です。気の小さいところがあるので、抗議すること、上の上司に相談することなどが効果的です。
しかし、立場が弱かったり、感じやすく不安が強い方、過去にトラウマ体験がある方は、なかなか言い出しにくい場合も多いです。
でも、自分の感覚を信じること、自分をしっかり守る責任が自分にあると自覚すること、信頼できる人にちゃんと話して孤独にならないこと、我慢し続けないことがとても大切です。
企業側は組織全体で防止策に取り組むことで、サイレントモラハラのない職場環境を実現していくことが求められます。
サイレントモラハラのご相談受付
はこにわサロンでは、サイレントモラハラのご相談を受け付けています。
ご相談は対面(青山一丁目・赤坂・乃木坂より徒歩7分)または、オンライン、お電話が可能です。
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