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トラウマを癒す鍵「腹側迷走神経」とは?回復のための5つのヒント

 
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外資企業勤務後、心理臨床を志す。臨床心理士の資格取得後は東京・神奈川・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年、東京都港区・青山一丁目に「はこにわサロン東京」を開室。ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析を行っている。日本臨床心理士会、箱庭療法学会所属。
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東京・青山の心理カウンセリングルーム「はこにわサロン東京」の吉田美智子(臨床心理士・公認心理師)です。

腹側迷走神経(自律神経)は、人の傷つきと回復の両方に大きく関係しています。

この記事は、トラウマからの回復を試みている方に向けて、腹側迷走神経とは何か、その働きと影響、回復するためにできること(5つのヒント)についてお話します。

 

トラウマを癒す鍵 腹側迷走神経とは?

「腹側迷走神経」というのは、自律神経の一つです。

自律神経というのは、耳にしたことがある方が多いでしょうか。

呼吸や心拍、体温調整、消化など、生きるために欠かせない身体の働きを調整する神経ですが、それだけでなく、緊張やリラックスのような、心の状態とも連動して動いています。

 

副交感神経は「腹側迷走神経」と「背側迷走神経」の2つ

自律神経には交感神経と副交感神経がありますが、ポリヴェーガル理論では、副交感神経をさらに「腹側迷走神経」と「背側迷走神経」に分けて考えます。

わかりやすくひと言でいうと、交感神経が「活動」、腹側迷走神経が「一緒にリラックス」、背側迷走神経が「止まる」です。

 

腹側迷走神経があるのは哺乳類だけ

ところで、お魚やカメ、トカゲなどの生き物には、腹側迷走神経がありません。

交感神経と背側迷走神経だけです。

腹側迷走神経は、比較的新しく進化した神経で、哺乳類に特徴的です。

では、なぜ哺乳類だけが、この神経を持つようになったのでしょうか。

それは、子どもの育て方、生き残る戦略が違ったからです。

例えば魚は、一度にたくさんの卵を産み、その中の一部が生き残るという方法で種を残してきました。

そのため、活動するための交感神経と、止まるための背側迷走神経の2つで生きることができました。

一方、哺乳類は、一度に産む子どもの数は少ない代わりに、親が長い時間をかけて育てます。

抱っこをする。授乳をする。目を合わせる。声をかける。親や仲間が守る。

これらは、腹側迷走神経の働きで、一緒にいると安心できる、心地がよいと感じる働きです。

腹側迷走神経は関係性の神経なのです。

 

人間は孤独が苦しく感じるようにできている

つまり、人間は、「信頼できる人と一緒にいると安心する」「孤独は苦しい」と感じるようにできているのです。

ですから、私たちが傷つきから回復する時に、腹側迷走神経がとても重要です。

 

関係性の欠如が傷つきを生む

人間の傷つきの多くは、人との関係の中で起こります。

それは、虐待やいじめだけではなく、

事故や災害によるトラウマも、その後に「ちゃんと助けてもらえたか」「安心できる人がそばにいてくれたか」「安全を取り戻せたか」が、回復に大きく影響します。

もし、「そんなことで泣くな」と叱られたり、「気にしすぎだ」と否定されたり、放っておかれたりすると、その対応自体が二次的なトラウマになってしまうこともあります。

 

腹側迷走神経が育ちにくい機能不全家族

機能不全家族で育った方は、腹側迷走神経が十分に育たなかった可能性があります。

腹側迷走神経は、生まれた時にはまだ未発達で、親や養育者との安心できる触れ合いを積み重ねて少しずつ育つからです。

そのため、人が怖かったり、人との距離感がわからなかったり、安心するという感覚そのものがよくわからなかったりすることがあります。

でも、大人になったらもう遅い、ということではありません。

今からでも、腹側迷走神経を育てていくことができます。

もちろん、傷ついているときは、誰にも会いたくない、一人でいたいこともあります。

それは、とても自然な反応です。

でも、少し落ち着いてきたら、安心できるつながりを取り戻していくことが大切です。

そこで、「人がとても怖い」「人とつながるなんてまだ無理」という方でも始められる、腹側迷走神経を育てるヒントを5つご紹介します。

 

今からでもできる 腹側迷走神経を育てる5つのヒント

① 「くっつくと安心」を育てる

まず一つ目は、ぬいぐるみや肌触りのいいタオルケット、衣服を身につけること。

肌触りがよいと気持ちがいい。

抱きしめると安心する。

この感覚を育てていきましょう。

実際、肌は「第二の脳」とも言われていて、心地よい感覚が自律神経を落ち着かせてくれます。

 

② 安心できる場所を持つ

2つ目は、安心できる場所を持つことです。

自分の部屋やベッドが安心できる、というのは、ものすごく大事で、トイレ、とかお風呂、でもいいんですが、人目を気にせず過ごせる公園、とか、図書館、お気に入りのカフェなどがあると、「安心」「居場所」を感じることができます。

自然と触れ合える場所もとてもいいです。

 

③ 生き物とふれあう

3つ目は生きものと触れ合うこと。

生き物は、人を評価しないので、安心してつながることができる存在です。

犬や猫など、直接ふれあえる動物はもちろん、

小鳥の鳴き声に耳を澄ませてみるとか、

蝶のひらひらに気持ちを同調させてみるというのも、とてもいいです。

 

④ アート(芸術)にふれる

4つ目は、小説やアニメ、映画、音楽など、アートの力を借りることです。

こうした作品には、作者の苦しみや希望が込められています。

時間と空間を超えて、つながれること。

「自分だけじゃないんだな」と思えることは、腹側迷走神経を整えてくれます。

 

⑤ AIをうまく活用する

5つ目は、AIを活用してみることです。

みなさんはAIに相談することはありますか?

AIに相談することに対して、否定的な意見もありますが、私は、利用してみたらいいんじゃないかなと思っています。

なぜなら、AIとのやりとりは、人とのやりとりの予習になるからです。

「多くの人は、こんな反応をするんだな」とイメージする。

例えば、「困った」「助けて」って言ったら、「大丈夫?」「できることある?」と返してくれるんだな、とイメージする。

あらかじめイメージできていたら、ちょっと勇気が出てくるんじゃないかなと思います。

 

トラウマケアの鍵・腹側迷走神経を育てる〜まとめ

人は、腹側迷走神経の働きで、安心できる誰かと一緒にいることや、つらい時には「大丈夫?」と気にかけてもらうことが必要なようにできているのだ、というお話しをしました。

いろいろな事情で、人が怖くなってしまっていたら、無理のない安心できるところから、腹側迷走神経のつながりを取り戻していってくださるといいなと思います。

また、親子向けに書いた本ではありますが、こちらの本で、腹側迷走神経がどのように発達し、どのような関わりで育っていくのかを、一般の方にもわかりやすく解説しています。子育て中の方はもちろん、ご自身の回復にもそのまま役立つ内容になっていますので、よろしければ手に取ってみてください。

安心と自分らしい生き方を取り戻していけますように!

 

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外資企業勤務後、心理臨床を志す。臨床心理士の資格取得後は東京・神奈川・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年、東京都港区・青山一丁目に「はこにわサロン東京」を開室。ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析を行っている。日本臨床心理士会、箱庭療法学会所属。
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