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ひといちばい敏感な子ども(HSP/HSC)の学校不適応・不登校を防止するためにできること

 
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MichikoYoshida
外資企業勤務後、心理臨床を志す。臨床心理士の資格取得後は東京・神奈川・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年、東京都港区・青山一丁目に「はこにわサロン東京」を開室。ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析を行っている。日本臨床心理士会、箱庭療法学会所属。
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東京・青山でHSP/HSCのカウンセリングをしている臨床心理士の吉田です。

(HSPとはハイリー・センシティヴ・パーソンの略で、ひといちばい敏感な人のことを言います。HSCはひといちばい敏感な子どもを指します。詳しくはこちら

HSPの子どもにとって、学校生活はひといちばいストレスが高いことが多いです。そのため不登校にもなりやすいといえるかもしれません。

では、どのように育んであげたら不登校などの不適応に苦しむことを避けて、成長させてあげられるのでしょう?

HSPの子どもの敏感さの波を把握することがHSP子育ての第一歩

HSPの子どもの敏感さは、年齢や成長ステージで「強くなったり、弱くなったり」します。

簡単にいうと、例えばどの子どもにもある子育ての難所(イヤイヤ期、前思春期、思春期など)や、大きなライフイベント(入園・入学、進路、行事など)の時に強まります。

子育て・ライフイベントの安定期には敏感さも穏やかになります。

もちろん、家庭環境や対人環境や、子どもの成長には上記だけではないさまざまな要素が絡み合うので、実際にはもっと複雑でわかりにくくなってしまうのですが、それでも「敏感になりやすい時期」をしっかり把握して、対応してあげるだけで、ずっと楽に過ごせるようになりますよ。

HSPの子どもだって楽しく学校に通いたい!

こちらにも書きましたが、HSPの子どもにとって、集団生活の場である学校はひといちばいストレスフルな場所であることは確かです。

他の子どもなら気づきもしない先生の些細な一言で傷ついたり、悩んだりしてしまう。

そんな我が子の学校生活を少しでも改善できればと、勇気を出して先生に相談しても、うまく伝わらなかったり、「子育てのせい」にされてしまって親が傷ついてしまうことも(残念ですが)あります。

セラピストよしだ
学校に対して、親子ともに拒絶感を持ってしまう場合もあるのではないでしょうか。

でも、学校の中にも色々な先生、色々な価値観があります。担任の先生はわかってくれなかったけど、隣のクラスの先生は実は気にかけていてくれているかもしれない。養護の先生は密かに毎日温かく応援してくれているのかもしれない。校長先生はHSPに理解があって、HSPの子どもにも楽しい学校生活を過ごして欲しいと願っているかもしれない。

だから、担任の先生とうまくいかなくても「アンチ学校」にはならないでいて欲しいのです。

もし、今年ダメなら1年お休みしても構わない。でも、来年は親子ともに笑顔の学校生活があるかもしれない。

もちろん、本当は、「1年お休み」なんてすることなしに、どの先生にも子どもの個性を尊重して育んで欲しい。でも、現実にはそうはいかないこともあります。

でも、愛情と熱意で子どもを育み導いてくださる素晴らしい先生もいて、そういう先生との出会いで子どもたちは(HSPであろうとなかろうと)大きく成長します。

もちろん、学校とは距離を置いて育てる・成長することも素敵な方法です。親子で納得して選べたらそれでいいのです。

セラピストよしだ
親子が笑顔になれる方法ならどんな方法だって、それが一番だ!と思っています。

このように、はこにわサロンでは、HSPの子どもの登校(不登校)支援において、学校を排除はしないで、うまくやれる方法がないか模索することから始めています。

では、学校にはHSPの子どもたちにとってどのような困難(不登校に至る要因)があり、どう対応したらよいのでしょうか。学齢前の幼稚園の時期から、年齢ごとに考えてみたいと思います。

幼稚園・保育園(学齢前)のHSPの子どもの特徴は

HSPの子どもの特徴として、新しい環境に慣れるまでに時間がかかることが挙げられます。慣れ親しんだ家庭や家族と離れて、先生やお友達と過ごす幼稚園や保育園という場に入園することはどの子どもにとってもストレスフルですが、HSPの子どもたちにとっては、とてもハードルが高いことがあります。

親と離れて幼稚園・保育園環境で過ごすことがきついようなら、入園を遅らせる、園で過ごす時間を短くするなど、子どもが安心できるような生活パターンを検討してみてはいかがでしょうか。

家庭では、スキンシップや一緒に過ごす時間を多く取り、本人の気持ちの安定を第一に考えてあげましょう。

HSPの子どもと小学校入学

小学校の入学は、どの子にとっても晴れがましく、しかし緊張するライフイベントです。HSPの子どもにとっては、やはり、それはひといちばいハードルの高い出来事であるといえます。

幼稚園・保育園では、不安で泣いてしまっても、先生や保育士さんが本人のペースを尊重した個別対応をしてくださったり、スキンシップをとってくださったりしたと思います。

でも、小学校ではそのような対応はすることができません。クラスの子どもの数が増加しますし、勉強や運動を学び、成績という社会的な評価を生まれて初めて受けることは、HSPの子どもにとってプレッシャーがかかる環境です。

担任の先生に、HSPの子どもの特徴とお子さんの特徴をお知らせして、学級内でも助けてもらったりできるように準備をしましょう。

もし、学校に馴染めないようなら、無理して行かせることはお勧めできません。可能であれば、保護者がこまめに授業参観に出かけたり、個別の参観をするなどして、本人の学校生活の様子を把握しましょう。親が教室に顔を出すことで本人の安心感がぐっと上がります。

小学校で母子分離ができないと、「母子関係ができていないから」とか「子どもが精神的に幼いから」と誤解されてしまうことがあります。しかし、HSPの子供の母子分離できなさは、感受性の強さからくる不安によるものです。そのことを先生に伝えられるといいですね。

また、HSPの子どもの安心感をあげるために、先生と母親と本人の3人でお話しする機会を持ってもいいかもしれません。子どもが先生を信頼できるようになると、子どもの学校での安心感が上がり、みんなと一緒の活動ができるようになることもあります。

ただ、不安がとても強い時は、先生のことが大好きでもお母さんから離れられないというケースもありますので、先生と保護者との間で十分コミュニケーションをとっておくことをお勧めします。

家庭では、小学校で頑張った子どもが安心して楽しく過ごせるようにしてあげられるとよいです。一緒に過ごす時間、スキンシップを大切にしてください。低学年のうちは、お膝に抱っこで本を読んでもいいと思います。(本人が文字を読めるようになっても、本はおうちの方が読んでくださることをお勧めしています。)

小学校中学年以降のHSPの子ども

小学校中学年にさしかかる頃にはHSPの子どももすっかり小学校生活に馴染んでいることと思います。しかし、個人差はありますが10歳を迎える頃から子どもたちは前思春期(思春期の前触れ)で情緒的に不安定になりやすい時期を迎えます。

小学校の入学時になかなかクラスに入れずにやきもきさせられた子どもが、2年生、3年生とすっかり元気に過ごしていたのに、様子が変わってきたり。小学校入学では特に心配することもなかったのに、中学年に上がったら、急に情緒不安定になって親も先生もびっくりしてしまうこともあります。

この時期のテーマに「死」があります。人が死んだらどうなるのか?という問い。大人でも考えると不安になってしまうのではないでしょうか。急に「ひとり」を怖がるようになったり、「夜や暗闇」を怖がるようになったりすることもあります。「もう大きいのだから」と言わずに、ひととき暗いところへは一緒に行ったり、夜寝る時は寝付くまで本を読んだり、近くでゴロンとしたりして、ひとりにしないよう注意してあげてください。

また、小学校の中〜高学年になると、それまで不適応を起こさずに頑張ってきたHSPの子どもたちに疲れが出てくる頃でもあります。嫌なことを嫌ともいえず、誰にも秘密で我慢してきた無理がたたってしまうタイプの不登校です。クラスがにぎやかだったり、高学年になってやんちゃな子どもにも向き合える強い勢いの指導をする先生に出会うことで不適応感が高まってしまうこともあります。

いずれの場合も、最も大切なことは本人の安心感です。この年齢になれば、本人も自分が他の人と違うことに気づいて、自分のことを責めたり、強い不安を抱いてしまうことも少なくありません。

子どもたちの不安の高さや不適応は本人のせいではないことをよく説明してあげましょう。

HSPの子どもが中学生になると起きることとは

「中1ギャップ」という言葉を聞いたことがありますか?中学校に入学したときに、学校環境が大きく変化し、学習も難しくなるために、子どもたちに不適応が生じることです。どの子にもその危機は訪れますが、HSPの子どもにとってはそれが尚更辛く感じられることがよくあります。

思春期の情緒不安定も、HSPの子どもにとっては大きな関門です。はっきりした理由なく、急に学校に行けなくなることも出てきます。

学校に行けなくなると「理由・原因」を探したくなりますが、はっきりした「理由・原因」がないため「怠けている」「わがまま」と誤解されてしまいやすいです。

HSPの子供の理由なき不登校は、「怠け」や「わがまま」ではなく、敏感さ(過敏なほどになることも)による不安感からくることが多いのです。

このように心身ともに「過敏傾向」で調子が落ちてくるので、元気に学校に通っていたときには困らなかった些細な出来事がとても辛く感じられてしまい、学校を休んでしまうのです。

敏感さは、思春期の情緒不安定によるものです。本人が心身ともに成長し、不安定さが減少すると、敏感さも減少し、学校など刺激の多い集団生活に戻ることができます。

しかし敏感になっているときに「怠け」や「甘え」と誤解して、「頑張らせて」しまうと、本人を決定的に傷つけてしまう危険があります。

通常の不登校対応では、「早期介入」と言って休み始めに先生・家庭・カウンセラーなどが積極的に介入することもよく行われますが、HSPの子どもにとっては百害あって一利なしですので、ご注意ください。

HSPの子どもが不登校から立ち直って学校(社会)に復帰するために

ひといちばい感じやすい性質は、長い人生の中でいずれは輝く長所となっていくでしょう。ですから、不安定になりやすいときを把握して、不安定になったときには家庭と学校で温かく育むことが大切です。

HSPの子どもは不安を感じやすい傾向がありますが、安心していたら不適応を起こすことなく、活躍することができます。

どうぞご家庭でも、当たり前の日常の暮らし・家族のコミュニケーションを大切にして、HSPの子どもの気持ちの安心を守ってあげてください。

くれぐれも「無理して鍛える」ことのなきよう、ご注意くださいね。(HSPの感じやすさは鍛えると悪化しますからご用心)。

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外資企業勤務後、心理臨床を志す。臨床心理士の資格取得後は東京・神奈川・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年、東京都港区・青山一丁目に「はこにわサロン東京」を開室。ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析を行っている。日本臨床心理士会、箱庭療法学会所属。
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