「発達障害?」「HSP?」どれもぴったり来ないのは「薄め+重複さん」かもしれません
東京・青山の心理カウンセリングルーム「はこにわサロン東京」の吉田(臨床心理士・公認心理師)です。
これまで、発達障害(ASDやADHD)やHSP(ひといちばい敏感)についてご紹介する記事を書くと
「部分的にすごく当てはまるけど、当てはまらないところもあるよ〜」
という感想をいただくことがありました。
「やっぱり、よくわからなくて、モヤモヤするよ」と感じておられるということですよね。
「わたしも、モヤモヤして、このところずっと考えてきました」
そこで、今日は、「部分的にすごく当てはまるけど、全体としては当てはまらないモヤモヤ」に迫ってみたいと思います。
【前提】発達障害やHSPはどちらも生まれつきの器質
この記事では、発達障害とHSP双方の「ぴったり当てはまらない」について、合わせて考えていきます。
その理由は、発達障害とHSPが似ているから、ではなく、どちらも生まれついて持っている脳の器質であるところが同じだからです。
ここでは、「発達障害とは?」というところから説明していきますので、「もう知ってるよ」という方は、飛ばして読んでくださってもかまいません。
「発達障害」はグラデーションで考える
発達障害には、大きく分けてアスペルガー障害(以下ASDと記載しますね)と注意欠陥・多動性障害(以下ADHD)があります。
発達障害は、しかし、このようにきっぱりと「ある」「ない」と分かれているわけではないので、「スペクトラム」と言って、色の濃さ・薄さで考えます。
つまり、こんな風に・・・。
この図は大雑把で、ASDやADHDなどの区別はしていないのですが、この図を紹介した記事では発達障害による「苦手」や「困難」は、はっきりと診断される人でなくても何かしら持っていることが多いのではないか?と述べました。
その「苦手」や「困難」は年齢や生活場面で「困ったり、困らなかったりする」ので、わたしは「困ったときは対策することが大事」であると考えています。
障害の重さと困り感は比例するのか?
この図を見ると、きっとみなさん、「左側の黄色の濃い人の方がより強く困る」と感じられると思います。
実は、わたしもそう思ってきました。
でも、本田秀夫先生の著書『発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』を読んで考えが変わりました。
「発達障害やHSPの特徴が、部分的に当てはまるが、曖昧だなぁ」と感じる人のモヤモヤに迫る答えがあると思いました。
【モヤモヤ①】異なる性質を併せ持つということ
これは、以前にも書いたことがあるのですが、ASD+ADHDとか、HSP+ADHDとか、異なる(時として相反する)性質を併せ持っているよ、という方々がいらっしゃると思います。
【モヤモヤ②】薄く重なると難しくなる!?
薄いASD+薄いADHDのケース
薄いHSP+薄いASDのケース
わたしは、以前こちらの記事で、「HSPとADHDは合併するが、HSPとASDは合併しないと思う」と書きました。
それは、HSPの「人の気持ちの些細なヒダを敏感に読んで反応すること」がASDの方はできないからです。
けれども、AさんがASDとADHDを薄く併せ持っていたのと同様に、HSPとADHDを薄く持ち合わせていたらどうでしょうか?
ASD的なところ
● 言葉のキャッチボールは苦手だけどできる
● でも、冗談や皮肉は伝わらないことが多い
● 臨機応変も苦手
● こだわりは強くない
→ コミュニケーションの苦手さはあるが、こだわりは強くない。ASDと診断されるかどうかは微妙。
HSP的なところ
● 些細なことを敏感に察知して神経が高ぶってしまう
● 自分の言動を深く省みすぎて不安になったり自信がなくなってしまう
→ HSPのチェックリストをすると高得点になる。「相手の気持ちを(深)読みする」部分はないが、それ以外では確かにHSP傾向があると感じられる。
”純粋な”ASDさんは、人の気持ちが読めない分、いちいち気にしないでいられるという長所がありますが、このように、薄いASD+薄いHSPさんの場合は、人の気持ちはブラックボックスで読めないのに、表面はキャッチして敏感に反応して疲れてしまうという辛さがあるようなのです。
まとめ
このように、異なる性質を併せ持つ場合、それぞれの性質が薄く重なり合うことは、思った以上に困難が強くなる場合があることがお分かりいただけたでしょうか。
診断名・性質名にこだわらないで
自分の「ハッピー」を大切にすること
人に認められるかどうかはまずは置いておきましょう。
自分だけの、「好き」や「ハッピー」を大切にすること。
本田先生も、特性のある方々はどうしても「我慢したり、頑張ったり」する場面が多くなりがちなので、意識して楽しい時間を確保することがとても大切だとおっしゃっておられます。
ささやかなことでも良いのです。自分の「好き」を大事にできることが、自分を大事にすることだと思います。
相談者を持つこと
信頼して相談できる人を見つけましょう。
お話を聴いてくれる人がいいですね。
この記事を読んで、少しでもご自分の色合いがわかったー!と思ってくださったら嬉しいです。
最後に、「こんな風にするといいよ」というアドバイスも書きましたけど、やはり、どの色合いの方にも通じること、というと、このくらい「ざっくり」したことしかお伝えできません。
本当に心苦しいのですが、そこから先は、ご自分で(あるいは身近な人や相談者とご一緒に)探していただくほかありません。
ですので、自分が何かわからないモヤモヤが、これからどうすればいいのかわからないモヤモヤになっただけじゃん!という方がいらしたら、ごめんなさい!
また、少しずつ、違う角度からお役に立てるような記事を書いていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします!
発達障害やHSPについてもう少し知りたい方はこちらにも関連記事がありますので、ご参考に。