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「発達障害?」「HSP?」どれもぴったり来ないのは「薄め+重複さん」かもしれません

 
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MichikoYoshida
外資企業勤務後、心理臨床を志す。臨床心理士の資格取得後は東京・神奈川・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年、東京都港区・青山一丁目に「はこにわサロン東京」を開室。ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析を行っている。日本臨床心理士会、箱庭療法学会所属。
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東京・青山の心理カウンセリングルーム「はこにわサロン東京」の吉田(臨床心理士)です。

 

これまで、発達障害(ASDやADHD)やHSP(ひといちばい敏感)についてご紹介する記事を書くと

「部分的にすごく当てはまるけど、当てはまらないところもあるよ〜」

という感想をいただくことがありました。

 

「やっぱり、よくわからなくて、モヤモヤするよ」と感じておられるということですよね。

よしだ

「わたしも、モヤモヤして、このところずっと考えてきました」

 

そこで、今日は、「部分的にすごく当てはまるけど、全体としては当てはまらないモヤモヤ」に迫ってみたいと思います。

 

【前提】発達障害やHSPはどちらも生まれつきの器質

この記事では、発達障害とHSP双方の「ぴったり当てはまらない」について、合わせて考えていきます。

 

その理由は、発達障害とHSPが似ているから、ではなく、どちらも生まれついて持っている脳の器質であるところが同じだからです。

 

ここでは、「発達障害とは?」というところから説明していきますので、「もう知ってるよ」という方は、飛ばして読んでくださってもかまいません。

 

「発達障害」はグラデーションで考える

発達障害には、大きく分けてアスペルガー障害(以下ASDと記載しますね)と注意欠陥・多動性障害(以下ADHD)があります。

発達障害は、しかし、このようにきっぱりと「ある」「ない」と分かれているわけではないので、「スペクトラム」と言って、色の濃さ・薄さで考えます。

 

つまり、こんな風に・・・。

 

この図は大雑把で、ASDやADHDなどの区別はしていないのですが、この図を紹介した記事では発達障害による「苦手」や「困難」は、はっきりと診断される人でなくても何かしら持っていることが多いのではないか?と述べました。

 

その「苦手」や「困難」は年齢や生活場面で「困ったり、困らなかったりする」ので、わたしは「困ったときは対策することが大事」であると考えています。

 

障害の重さと困り感は比例するのか?

この図を見ると、きっとみなさん、「左側の黄色の濃い人の方がより強く困る」と感じられると思います。

 

実は、わたしもそう思ってきました。

 

でも、本田秀夫先生の著書『発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』を読んで考えが変わりました。

 

「発達障害やHSPの特徴が、部分的に当てはまるが、曖昧だなぁ」と感じる人のモヤモヤに迫る答えがあると思いました。

 

本田先生は、発達障害の重複例について、このような図を紹介しています。
*本田先生のご著書では、アスペルガー傾向や注意欠陥・多動症傾向があっても「障害」にまでなっていない場合、Disabilityを除いて「AS」「ADH」と区別して表記されておられますが、この記事では、わかりやすさを優先して、Dをつけて表記します。
 
 
この図では、縦軸に「ASD傾向の強さ」、横軸に「ADHD傾向の強さ」をとっていて、右上のチェックの部分が「ASDとADHD」を併せ持つと診断される方々が入ります。
 
 
本田先生が今回、注目して紹介しておられるのは、左下の赤い点線で囲まれた「ASDとADHDの傾向を持っているけど、診断されるほどではない」方々です。
 
 

【モヤモヤ①】異なる性質を併せ持つということ

これは、以前にも書いたことがあるのですが、ASD+ADHDとか、HSP+ADHDとか、異なる(時として相反する)性質を併せ持っているよ、という方々がいらっしゃると思います。

 
発達障害やHSPのような性質は、ひとつでも、生きにくさを感じてしまいがちなのですが、相反する性質を持つ場合は、自分の中でも矛盾を抱えなければなりません。
 
 
 
例えば、HSPとADHDを併せ持つ場合、敏感に察して深く考えるので慎重に行動したいはずなのに、気持ちが高ぶると自分の意に反して衝動的な言動をとってしまうというようなことが生じます。
 
 
 

【モヤモヤ②】薄く重なると難しくなる!?

では、異なる性質を併せ持つときに、それぞれの傾向が「薄かった」ら、対処しやすくなるのでしょうか?
 
 
「そうとは言えない」と本田秀夫先生はおっしゃいます。
 
 
本田先生が著書の中で紹介しておられた「ASDとADHDが微妙に重なるケース」(p44)でご説明しましょう。
 
 

薄いASD+薄いADHDのケース

この社会人女性(Aさんとします)は、仕事でミスが多いこと、雑談が苦手でコミュニケーションを取らないという傾向がありました。それでも、若手ポジションにいる間は「真面目さん」として先輩のフォローを得てやっていけたのです。
 
 
しかし、後輩が入ってくるようになると、相変わらずミスが多く、しかもコミュニケーションが苦手ということがAさんを苦しめるようになります。
 
 
本田先生が診察したこの女性(Aさん)は、仕事のミスの多さに注意欠陥が見られるけれども、多動性・衝動性は見られませんでした。
 
 
また、臨機応変なコミュニケーションの苦手さからASDが疑われましたが、こだわりの強さは見られませんでした。
 
 
 
つまり、ASDとADHDどちらも、診断されるには及ばないが、そのはっきりしない様子から周囲の支援も得にくくて、困り感としては、ASDやADHDの方以上だったというのです。
 
 
というのは、もし、AさんがASDだったら、「人づきあいは悪いけど、仕事はできる人」になれたかもしれません。
 
 
あるいはADHDだったら「明るく人づきあいが良いので、仕事のミスはカバーしてもらえる人」になれたかもしれません。
 
 
このように、特性がはっきりしている方が強みとして活かしやすく、また周囲も理解しやすい分、フォローがしやすくなります。
 
 
逆に、Aさんのように薄く合併する場合、障害は強くないのに、とても生きづらいということが生じるのです。
 
 
 
 

薄いHSP+薄いASDのケース

わたしは、以前こちらの記事で、「HSPとADHDは合併するが、HSPとASDは合併しないと思う」と書きました。

それは、HSPの「人の気持ちの些細なヒダを敏感に読んで反応すること」がASDの方はできないからです。

 

 

けれども、AさんがASDとADHDを薄く併せ持っていたのと同様に、HSPとADHDを薄く持ち合わせていたらどうでしょうか?

ASD的なところ

●  言葉のキャッチボールは苦手だけどできる

●  でも、冗談や皮肉は伝わらないことが多い

●  臨機応変も苦手

●  こだわりは強くない

→  コミュニケーションの苦手さはあるが、こだわりは強くない。ASDと診断されるかどうかは微妙。

 

HSP的なところ

●  些細なことを敏感に察知して神経が高ぶってしまう

●  自分の言動を深く省みすぎて不安になったり自信がなくなってしまう

→  HSPのチェックリストをすると高得点になる。「相手の気持ちを(深)読みする」部分はないが、それ以外では確かにHSP傾向があると感じられる。

 

”純粋な”ASDさんは、人の気持ちが読めない分、いちいち気にしないでいられるという長所がありますが、このように、薄いASD+薄いHSPさんの場合は、人の気持ちはブラックボックスで読めないのに、表面はキャッチして敏感に反応して疲れてしまうという辛さがあるようなのです。

 

まとめ

このように、異なる性質を併せ持つ場合、それぞれの性質が薄く重なり合うことは、思った以上に困難が強くなる場合があることがお分かりいただけたでしょうか。

 
今回は、本田先生のケースと、吉田が現場で感じたことを例としてご紹介しましたが、このように異なる性質を薄く重ね合わせて持っていて、自分でも理解しにくかったり、矛盾を抱えてしまったり、また周囲からも理解されにくくなってしまっている方々はきっと少なくないのだろうと思います。
 
 
というのは、この組み合わせは、グラデーションの色の濃淡によって無限のバリエーションがあるからです。
 
 
 
では、このような場合、どのように対処したら良いのでしょうか?
 
 
 

診断名・性質名にこだわらないで

ご自分の中で生きにくいと感じることがあって、その理由を探った時に、発達障害やHSPのような生まれ持った気質と「かぶる」のであれば、それぞれの対処方法から自分に合うものを上手に選択して取り入れてみると良いと思います。
 
 
でも、あなたにパーフェクトに合うものは見つからない可能性が高いでしょう。
 
 
それは、なんだか頼りなく、不安な気持ちになるかもしれません。
 
 
でも、それこそが、ご自分だけの色です。
 
 
唯一無二の大切な存在であること。誰にも代わりはできないこと。
 
 
そう、思っていただけるといいなと思います。
 
 
 

自分の「ハッピー」を大切にすること

人に認められるかどうかはまずは置いておきましょう。

 

自分だけの、「好き」や「ハッピー」を大切にすること。

 

本田先生も、特性のある方々はどうしても「我慢したり、頑張ったり」する場面が多くなりがちなので、意識して楽しい時間を確保することがとても大切だとおっしゃっておられます。

 

ささやかなことでも良いのです。自分の「好き」を大事にできることが、自分を大事にすることだと思います。

 

相談者を持つこと

信頼して相談できる人を見つけましょう。

 

お話を聴いてくれる人がいいですね。

 

信頼できる人にお話を聞いてもらうと、自然と自分の中で整理がついたりしてくるものです。
 
 
 
周りに見当たらないよ、という方、また特定の人に集中して相談してしまって嫌がられてしまったよという方は、支援の専門家に相談してみることをお勧めします。
 
 
あなただけの色を理解して、日常生活の困難を整理したり、自分の大切なことは何か、大切なことをどう獲得していくのかを計画したりすると、きっと今よりずっと人生が生きやすくなり、自分のことを愛おしく感じられるようになるはずです。
 
 

よしだ

この記事を読んで、少しでもご自分の色合いがわかったー!と思ってくださったら嬉しいです。

 

最後に、「こんな風にするといいよ」というアドバイスも書きましたけど、やはり、どの色合いの方にも通じること、というと、このくらい「ざっくり」したことしかお伝えできません。

 

本当に心苦しいのですが、そこから先は、ご自分で(あるいは身近な人や相談者とご一緒に)探していただくほかありません。

 

ですので、自分が何かわからないモヤモヤが、これからどうすればいいのかわからないモヤモヤになっただけじゃん!という方がいらしたら、ごめんなさい!

 

また、少しずつ、違う角度からお役に立てるような記事を書いていきたいと思っていますので、「こんなこと知りたい」がありましたら、下のコメント欄からお知らせくださいね。

 

発達障害やHSPについてもう少し知りたい方はこちらにも関連記事がありますので、ご参考に。

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外資企業勤務後、心理臨床を志す。臨床心理士の資格取得後は東京・神奈川・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年、東京都港区・青山一丁目に「はこにわサロン東京」を開室。ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析を行っている。日本臨床心理士会、箱庭療法学会所属。
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