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子どもが約束を守らないのはなぜ?どうしたら守れるようになる?

 
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外資企業勤務後、心理臨床を志す。臨床心理士の資格取得後は東京・神奈川・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年、東京都港区・青山一丁目に「はこにわサロン東京」を開室。ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析を行っている。日本臨床心理士会、箱庭療法学会所属。
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東京・青山の心理カウンセリングルーム「はこにわサロン東京」の吉田(臨床心理士・公認心理士)です。

子どもが約束を守りません。

というお悩み相談、よくあります。

今日は、子どもが約束を守らない理由と、どうしたら守れるようになるのか?について考えたいと思います。

 

大切な前提

子どもが約束を守らない時、子どもが悪いとか、能力がない、と思わないでください。

なぜなら、それはどちらも、正しくないからです。

(でも、この誤解はよく生じます。悲しい。)

 

子どもが約束を守らない時は、その約束の方に問題があります。

ですから、子どもが約束を守らない時は、親(大人)がその約束についてじっくり考える必要があります。

 

どんな約束をしましたか?

子どもとする約束。

いろいろあると思うのですが、いくつか定番と思われるものについて考えてみたいと思います。

 

勉強しない

勉強、してほしいですよね。

子どもの将来のためですものね。

ただ、子どもにとっても地道な努力を伴うことであり、最低でも9年から12年は継続していくことなので、焦らないこと、本人が主体的に取り組めるように応援するのが大切です。

 

宿題だけはしてほしい

学校の宿題をきちんとやれる子どもになって欲しい。

でも、なかなかとりかかれない。

終わらない。

こんな時に、「宿題するのは当たり前だから約束」してませんか?(約束ありきなっている。) 

 

この場合の「約束」は、良い習慣を作りたくてする約束だと思います。

本人が難なくこの約束を守れるようなら、よいです。

でも、「宿題をする約束を守れない=宿題の習慣が作れない」のだとしたら、親(大人)が子どもの様子を観察して、本人が守れる約束に修正してあげる必要があります。例えば・・・

 

■  宿題が多い。難しい。 

➡️ 一緒にやる。手助けする。

 

■  家に帰ってきてすぐはほっとして、エンジンがかからない。 

➡️ 宿題のタイミングを検討する。学校生活がハードな場合は、本人の気力・体力へのケア、配慮が必要。

 

■  遊びたい、他にやりたいことがある。 

➡️ 本人が意欲を持って取り組みたいことがあることを喜びつつ、学業との折り合いをどうつけるか相談する。

 

勉強時間が達成できない

宿題はできるけど、それだけじゃ足りない(と親が思っていて)時間を決めて勉強して欲しいとき。

本人のやる気・主体性が求められますよね。

こういう時は、決められた時間が長すぎて頑張れない場合と、何をしたらいいのかわからない場合に分かれるのではないかと思います。どちらも、本人の様子をよく観察して、どうぞご一緒に、どうしたら守れる約束に修正できるかよく検討してください。

 

受験勉強など本人の主体的努力が求められる場合

勉強したか、努力したかが、最終的には何らかの結果に結びつく場合は、親子ともに「特別なスイッチ」が入りがちです。本人より親が熱くなっていたら、親が冷静さを取り戻す必要があると思います。

 

場合によっては、目標設定の見直しが必要かもしれません。(受験する・しない、志望校など)。

 

目標設定の見直しを、本人が嫌がる・でも勉強しない場合は、親の判断が必要なことがあります。その場合、「努力しない罰」としてではなく、本人がよい時間を生きるために親が責任を持って判断したことを伝えてあげましょう。

勉強については、「子どものため」と思うとつい親も熱くなりがちですが、本当に子どものためになっているかどうか考えてみて欲しいなと思います。

 

もし、子どものためになっていないと感じられたら、子どものためになる勉強は何かを考えてみてください。いわゆる学校で習うこととは違うこともありますし、その場合はなおさら、「お勉強の押しつけ」ではなく、「子どもの10年後のために今できること」を本人や先生ともよく相談していく必要があると思います。

 

勉強する・しないという目の前のことだけに気を取られてしまって、大切なことを見失わないようにしましょう。

 

ゲームの時間が守れない

実は、保護者の方から一番多く寄せられる「子どもが約束を守らない」は、ゲーム・電子機器(スマホなど)の使用時間と使用方法に関することです。

もし、親子で決めた約束を「概ね守れている」なら、心配無用です。

 

心配なのは、「一日中やっている」「昼夜逆転など、生活習慣を乱してしまう」のような場合です。

子どもの人生がゲーム・電子機器に支配されている状態・依存状態といえます。)

 

こうなってしまうと、いくら親が心配して「時間を決めよう」と言っても、守るのは難しいでしょう。

 

この場合、親(大人)は、なぜ子どもがゲーム(電子機器)にそこまで夢中になってしまうのかを考えなければなりません。

 

子どもがゲームや電子機器に依存してしまうのはこんな場合です。

① それ以外に興味を持てることがない

② 居場所がない

③ 不安から逃れたい

この3つのどれに当てはまるのか(3つともという場合もあります)どうしたら解消できるか、ていねいに検討し、親子で対応・努力する必要があります。

 

いうまでもないことですが、①〜③を解決することなしに「ゲーム時間を決める」という約束を守ることはできません。

 

帰る時間が守れない

「17時には(18時には)家に帰ってくること」のような約束ごと、ありますね。

もし、遊びに夢中になって帰りが遅くなるのであれば、「帰る時間を知らせる工夫」などできると良いですね。

 

ちなみに「帰りの時間を約束する」というのは、つきつめていえば「本人の安全を守るための約束」になりますから、それをきちんと説明する必要があります。

 

親の願いが本人に伝わり、改善されるようなら、問題はありません。

 

それでも、本人の行動が全く改善しない場合は、外出を制限するとか、親が迎えにいくなどの対策が必要になるでしょう。

 

その試みを通じて、親の願いが子どもに伝わり、子どもが約束を守る努力ができるようになるようにしていけると良いですね。

 

本人から約束を持ち出したのに守れないとき

例えば、「自分で世話をするから犬を飼って欲しい」とか「ちゃんと勉強するから塾に行かせて欲しい」と言ったのに、ほんの数日で約束が反故にされてしまった時。

 

本人は「やる・やれる」と言っていたけど、親には「たぶん無理だろうな」と予測がついていて、親の予想通りになった時。

 

もやもやしますよね。

わかります。

 

でも、このように「本人がやりたいと言った」けど「できなかった」時は、子どもが成長するチャンスですよ!

 

「約束を守らなかったでしょ!」という点にこだわるのではなく、「目標達成には柔軟な対応・きめ細やかな目標修正が必要」なことを一緒に実践して学んでもらいましょう。

 

例をあげて説明しますね。

 

例:「犬の世話は自分がするから犬を飼って!」と言ったら

まず親の頭の中に浮かぶことは「本当に自分でできるの?」という疑問ではないでしょうか。

 

犬を飼うということは、ご飯やウンチの世話、朝夕のお散歩、ブラッシングをしてあげたり、病気になったら獣医さんに連れて行ってあげたり、途方もないお世話の数々が生じてきます。

 

大人にだって大変なこれらのお世話仕事を、子どもが、犬への愛情だけで本当に遂行できるとは思えませんよね。

 

でも、子どもが「絶対にするから!」と懇願すると、もしかしてするのかも!?と希望が湧いてきて「じゃあ、約束よ。犬のお世話は自分でする。大人は手伝いませんからね」となるのではないでしょうか。

 

いえ、この約束がダメなわけではありません。

親には予想がついていて、子どもに説明しても伝わらない時はやってみるしかないのです。

 

やってみて、うまくいかなかったときに、「ほら言ったでしょ」と大人風を吹かせるのではなく(言いたくなりますけど、どうぞ心の中にとどめて)、子どもの想定と実際の何が違ったのかを一緒に確認し、子どもだけではできないことを大人がどう協力・分担すればよいかを考えられたらとてもよいです。

 

このプロセスは何度も繰り返すかもしれません。

それでよいのです。

 

「約束を守るか、守らないか」ではなく、自分の見通しが甘いとわかった時に、誰かに相談し、目標修正を重ねていくことでありたい姿が実現する、ということを体験させてあげましょう。

 

とてもエネルギーのいることですけど、親子の信頼関係がつくれますし、子どもの生きる力も育ちますし、やる価値は充分にありますよ♡

 

約束をどのくらいしっかり守らせるのか?

これは、約束の内容によります。

命や安全に係る約束なら、しっかり守らせたい。

 

でも、勉強やゲームの時間のように「自分でコントロールできるようになることが目的」な約束は、うるさく言い過ぎないことも大切です。

 

細かく言い過ぎて親子喧嘩が頻発すると、お互い疲れてしまうので、御用心を。

 

罰(ペナルティ)について

約束が守れなかった時に、どうするか?

 

罰(ペナルティ)を与えるべきでしょうか?

 

いいえ、罰は不要です。

 

効果がないですし、親子間のフラストレーションも(不要に)高まるからです。

 

それでは、約束を守らなくなるのではないか?

約束が守れなかった時には、どうしたら守れるようにできるか双方が検討し、やり方を修正する必要はあります。

 

約束をする時は、親子でよく考えて、子どもが達成できるような設定にしましょう。

 

それさえできれば、親がいちいち口出しせずとも、子どもは自分でやりますよ。

 

まとめ

子どもが約束を守らないのはなぜかをお話しました。

 

子どもが約束を守らない時、子どもが悪いのではなく、子どもが守れない約束の内容設定に問題があります。

 

なぜその約束が守れないのか、どうしたら守れるのかを、どうぞじっくりと検討してみてください。

 

その際、子どもに「何がむずかしいのか」を問いかけてみることは大切ですが、理由を全て教えてもらえるとは思わないようにしましょう。

 

子どもにもよくわからないことが多いですし、約束を決める・修正するのは親(大人)の役目です。子どもの様子をよく観察していれば、できない理由は見えてきますよ。

 

子どもが守れる約束になるまで、必要なら何度でも修正しましょう。

 

罰は不要です。

 

子どもが実施できる約束をていねいに設定して、子どもが自ら守り成長していけるように、してあげましょう。

 

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