子どもを傷つけ親子関係を壊す言葉【1~5】批判・責める・文句・がみがみ・脅す
東京・青山の心理カウンセリングルーム「はこにわサロン東京」の吉田美智子(臨床心理士・公認心理師)です。
子育てをしていて、つい悪気なく言ってしまうことの中には、子どもに予想以上の悪影響を与えてしまうことがあります。
10の望ましくない言葉のうち、今回は【前編】として5つ(批判する・責める・文句を言う・がみがみ言う・脅す)について、具体例と子どもに与える影響、言い換え言葉をご紹介していきます。
【後編】は、罰を与える・ご褒美で釣る・比べる・決めつける・正論で押す、です。合わせてお読みください。
思い当たることがありましたら、今からでも遅くはありませんから、修正していきましょう。
【1】批判する(存在を否定する言葉)
批判する例①「ダメな子ね」
何がダメか
行動ではなく、子どもの存在そのものを否定しています。
子どもはどう感じるか
「自分は価値がない」「何をしてもダメなんだ」
影響
自己肯定感が下がり、失敗を怖がって挑戦を避けるようになります。
言い換え
「今回はうまくいかなかったね。どうしたらよかったと思う?」
批判する例②「要領が悪い」
何がダメか
性格や能力を固定したラベルとして貼ってしまいます。
子どもはどう感じるか
「自分はできない人間なんだ」と思い込む。
影響
挑戦を避ける/努力しても無駄だと感じやすくなります。
言い換え
「最初は難しいよね」「大丈夫、そのうちできるようになるよ」
批判する例③「だから言ったでしょ」
何がダメか
失敗を責める材料にすると、安心して失敗できず、挑戦しなくなります。
子どもはどう感じるか
「失敗すると責められる」「恥ずかしい」
影響
失敗を隠す・本音を話さなくなる。
言い換え
「悔しかったね。」「ちょっと手伝う?」
批判する例④「そんなこともできないの?」
何がダメか
できない状態を恥ずかしいものとして扱っています。
子どもはどう感じるか
「できない自分は情けない」「見下されている」
影響
自信がなくなり、意欲を失います。
言い換え
「一緒にやろう」「大丈夫、できるよ」
批判する例⑤「また同じミス?」
何がダメか
子どもは失敗しながら学ぶものなのに、ダメな人扱いになっています。
子どもはどう感じるか
「やる気を失う」「努力しても無駄だと思う」
影響
あきらめ・無気力・やる気の低下。
言い換え
「これ難しいところだよね。一緒にやってみようか?」
まとめ:批判がもたらすもの
「批判する言葉」は、行動を直すどころか、子どもの自己イメージを傷つけ、親との関係に「怖さ」を残します。
大切なのは、子どもは大人のイメージ通りの行動や成果を出せないものだと知ること。そして、一方的に批判するのではなく、チャレンジしたことをねぎらい、悔しさや恥ずかしさに寄り添い、励ますことです。

【2】責める(「あなたのせい」)
責める例①「あなたのせいで遅刻した」
何がダメか
起きた出来事の責任を一方的に子どもに押しつけています。
子どもはどう感じるか
「自分が悪者なんだ」「迷惑な存在なんだ」
影響
過剰に責任を背負う/人の顔色を過度に気にするようになります。
言い換え
「遅れちゃったね。次は遅れないように協力してくれるかな?」
責める例②「あなたが悪いから失敗した」
何がダメか
結果を子どもの人格・努力不足、と結びつけてしまっています。
また、「悪いから」(あなたのせい、ちゃんとしてないから、など)は漠然すぎて子どもには伝わりません。
不適切な点があるなら、具体的に、穏やかにその点を指摘するとよいです。
子どもはどう感じるか
「頑張っても意味がない」「どうせ責められる」
影響
無気力で反抗的になります。
言い換え
「残念だったね。どこが難しかった?」
「○○を〜〜するといいよ」
責める例③「ママ(パパ)がイライラするのは、あなたのせい」
何がダメか
大人の感情の責任を子どもに負わせています。
子どもはどう感じるか
「自分のせいで親が困る」「自分はいない方がいい」
影響
他人の感情を過剰に背負う/自己犠牲的になりやすい。
言い換え
「今ちょっと疲れてるんだ。少し時間をもらえる?」
責める例④「考えが甘いから失敗する」
何がダメか
失敗を学びの機会ではなく、責めの材料にしています。
子どもはどう感じるか
「失敗すると怒られる」「何もしない方が安全」
影響
ミスを隠す/消極的になる。
言い換え
「うまくいかなかったね。どこが難しかったと思う?」
「大丈夫。少しずつ前進してるよ。」
責める例⑤「あなたのせいで家の雰囲気が悪くなる」
何がダメか
家庭全体の空気という大きすぎる責任を子どもに負わせています。
子どもはどう感じるか
「自分は迷惑なんだ」「自分はいない方がいい」
影響
感情の抑圧・自己否定・自傷行為・心身症状、また、暴言暴力につながることもあります。
言い換え
「みんな疲れているかも。今日は無理せず早く寝よう。」
まとめ:責める言葉が残すもの
「責める」は、しつけや指導のように見えて、子どもに過剰な罪悪感を植えつける関わり になりやすいです。
行動を振り返ることと、「あなたのせい」と言うことは、まったく別です。
大切なのは、感情の責任を子どもに負わせないことと、結果より「プロセス」を見て子どもの頑張りや良いところを認めることです。

【3】文句を言う(「その態度は何?」)
文句を言う例①「その態度は何?感じ悪い」
何がダメか
子どもの内側の状態を聞かずに、表面だけを一方的に評価しています。
子どもはどう感じるか
「自分のことなんてどうでもいいんだ」「どうせわかってもらえない」
影響
黙り込み、怒りや悲しみを溜めるようになります。
その結果、自己否定や自傷行為、こころの病気、また暴言暴力になることもあります。
言い換え
「元気なさそうだけど、何かあった?」
「いつでも話聞くからね」
文句を言う例②「口のきき方がなってない」
何がダメか
子どものコンディションや感情を無視し、礼儀の問題にすり替えている点です。
子どもはどう感じるか
「どうせわかってもらえない」「何も言わない方がマシ」
影響
感情を抑え込む/無理に取り繕う癖がつきます。
言い換え
「イライラしちゃう時もあるよね」「話聞くよ」
文句を言う例③「やる気あるの?」
何がダメか
大人の期待にそぐわないと「やる気がない」と決めつけている点です。
子どもはどう感じるか
「どうせわかってもらえない」「やっても無駄」
影響
投げやりになったり、親が喜ぶように振る舞うようになり、本当の気持ちは置いてきぼりになります。
言い換え
「疲れてる?」「ドンマイ」「きっと大丈夫だよ」
文句を言う例④「もういい」
何がダメか
子どもを対話から締め出しています。
子どもはどう感じるか
「どうせ聞いてもらえない」「ちゃんと話そうとしても意味がない」
影響
親との会話を避ける/心を閉ざすようになります。
言い換え
「うまくわかってあげられなくてごめんね」
「応援しているよ」
文句を言う例⑤「いちいち態度に出さないで」
何がダメか
感情表現そのものを否定しています。
子どもはどう感じるか
「感情を出してはいけない」「感じないほうがいい」
影響
感情の鈍麻・自己否定・後の対人関係の困難につながることも。
言い換え
「調子悪そうだね。できることあったら言ってね?」
「お茶でも飲もうか」「おやつでも食べようか」
まとめ:文句が残すもの
「文句」は、しつけのつもりでも、実際には 親の苛立ちを子どもに丸投げする関わり になりがちです。
すると子どもは、
✔ 説明するのをあきらめ
✔ 感情を隠し
✔ 「どうせわかってもらえない」と感じるようになります。
大切なのは、
態度を直すことより、状態を理解しようとすること。
完璧に言い換えられなくても、「何があったんだろう?」という視点があるだけで、親子関係は大きく変わります。

【4】がみがみ言う
がみがみ言う例①「早くしなさい!急いで!」
何がダメか
子どもがなぜ動けないのかを見ずに、行動だけを急かしています。
子どもはどう感じるか
「焦らされて怖い」「遅い自分はダメなんだ」
影響
緊張が高まり、余計に動けなくなる/ミスが増えます。
言い換え
「ゆっくりでいいよ」「大丈夫、落ち着いてやろう」
がみがみ言う例②「何度言ったらわかるの?」
何がダメか
伝え方の問題を棚に上げて、「わからないあなたが悪い」と一方的に子どもを責めています。
子どもはどう感じるか
「自分のせい」「できない・怖い」
影響
自分で考えることを避け、親の顔色を読んで行動するようになります。
言い換え
「言い方変えて説明するね」
「難しかったら教えてね」
がみがみ言う例③「だから言ったでしょ!」
何がダメか
過去の注意を持ち出し失敗を責める言葉になっている。正しさで親が上に立ち、失敗から学ぶ機会を奪っている。
子どもはどう感じるか
「よくわからない」「どうせダメだ」「自分のせいだ」
影響
失敗を隠すようになり、挑戦を避けるようになります。
言い換え
「難しかったね。どこでつまずいた?」
「大丈夫。次はきっとうまくできるよ。」
がみがみ言う例④「いい加減にしなさい!」
何がダメか
子どもの気持ちが置き去りで、何を変えればいいかがわからない。
子どもの感情を否定してしまう。
子どもはどう感じるか
「どうすればいいの?」「もう嫌だ」「逃げたい」
影響
感情を抑え込んで自分を否定するようになるか、衝動的で感情を爆発させやすくなるといった影響を子どもに与えます。
言い換え
「1回休もう」
「落ち着いたら話そう」
がみがみ言う例⑤「ちゃんとしなさいよ!」
何がダメか
「ちゃんと」が曖昧で正解がわからないが、否定的な評価をされていることだけが伝わります。
子どもはどう感じるか
「どうすればいいの?」「何をしても責められる」「ダメな人間」
影響
無気力で回避的になるか、失敗を怖がる完璧主義になりやすい。
言い換え
「〇〇できる?」「できたね!」
「△△して?」「ありがとう」
まとめ:がみがみ言うことで起きること
がみがみ言われ続けると、子どもは「早くしなきゃ」「怒らせないようにしなきゃ」と常に緊張した状態になります。
すると、
✔️考える力や自分で動く力が働きにくくなる
✔️言われないと動けない
✔️失敗を怖がる
といった状態につながりやすくなります。
大切なのは、正しさを押しつけることではなく、安心できる関わりです。
落ち着いた声で見通しを伝え、できているところを認めることで、子どもは自分の力を発揮しやすくなります。

【5】脅す
脅す例①「社会じゃ通用しないよ」
何がダメか
今の行動を、将来の否定に一気に結びつけています。
子どもはどう感じるか
「自分はダメなんだ」
「社会に出るのが怖い・出たくない」
影響
不安が強く完璧主義になりやすい。
悲観的で無気力になりやすい。
言い換え
「今はこれでいい」
「いずれはちゃんとできるようになるよ」
脅す例②「そんな態度なら、誰も相手にしないよ」
何がダメか
人間関係からの排除をほのめかす言葉です。
子どもはどう感じるか
「嫌われる」「見捨てられる」
影響
人の顔色を過剰に気にする/自分を出せなくなります。
言い換え
「相手はどう感じたか、考えてみようか」
「落ち着いたら、もう一度伝えてみる?」
脅す例③「このままだと大変なことになるよ」
何がダメか
具体性のない不安で、恐怖をあおる関わりです。
子どもはどう感じるか
「何が起きるかわからない」「怖い」
影響
不安が強く完璧主義になったり、萎縮する、回避する。あるいは、イライラ怒りっぽく落ち着きがなくなります。
言い換え
「この点はまずいと思うから、変えていこう」
「大丈夫、少しずつ変えたらいいよ」
脅す例④「先生に叱られても知らないからね」
何がダメか
大人の責任を放棄し、孤立感を強めています。
子どもはどう感じるか
「怖い」「どうせダメだ」
影響
困っても相談しなくなる/抱え込むようになります。
言い換え
「何が起きたら一緒に考えようか」
脅す例⑤「言うこと聞かないなら、もう勝手にしなさい」
何がダメか
関係性を切ることをちらつかせる言葉です。
子どもはどう感じるか
「見捨てられた」「怖い」
影響
反抗か過剰適応のどちらかに傾きやすくなります。
言い換え
「落ち着いたら話そう」
「どう思っている?わたしはこう思っているよ。」
まとめ:脅しが残すもの
「脅す」関わりは、一時的に言うことを聞かせる力はあっても、安心や信頼を大きく削ります。
恐怖で動いた行動は、
✔ 内側の納得がなく
✔ 学びにつながりにくく
✔ 関係性に傷を残します。
大切なのは、
怖がらせて止めることではなく、理解できる形で伝えること。
言葉を変えるだけで、
子どもは「守られている中で学ぶ」ことができるようになります。

まとめ:子どもを傷つけ親子関係を壊す言葉【前編】
ここでご紹介した言葉は、ひとつひとつは、つい口から出てしまう軽微な言葉たちです。
けれども、これが積み重なっていくと、子どもを傷つけ、意欲を奪い、親子関係や対人関係にまでも不安感や不信感を与えてしまいます。そして、子どもの現在と未来にも爪痕を残してしまうのです。
ただ、「一度でも言ってはいけない」ということではありません。親も人間ですから、余裕のない日だってあります。でも、あらかじめ、よくない言葉を知っておいて、できるだけ避けるように気をつけることや、言ってしまった時は、後で落ち着きを取り戻してから修復の投げかけをする(謝る・一緒に心地よい時間を持つ)ことが大切です。
【後編】では、罰を与える・ご褒美で釣る・比べる・決めつける・正論で押す、についてご紹介します。ぜひ合わせてお読みください。