コロナ休校で高まる親のイライラ・ストレスを解消するために
東京・青山の心理カウンセリングルーム「はこにわサロン東京」の吉田(臨床心理士・公認心理士)です。
コロナで子どもの学校が休校になって2か月が過ぎ(@東京)、子どものストレスもさることながら、親側のストレスも高止まりしているように思います。
ゴールデンウィーク明けに予定されていた学校再開も、どうなるか不透明で、「いつまでがんばればいいのか?」、「もう無理!」という悲痛な声も聞こえてきます。
この苦しい状態をすこしでも、過ごしやすく、親子で協力して乗り切るにはどうすればよいか、考えました。
少しでもストレスが減りますように!
どうありたい?
まず最初にしたいのは、目標の確認です。
目標をはっきり決められると、ブレた時に修正ができますよ。
わたしたちが今、目指しているのは
ですよね。
これには2つのことが含まれると思います。
② 家族が壊れない
コロナにならないために、家族が壊れたらいけない、ですよね。
コロナ感染予防の努力するあまり、家族に不満が向いてしまい、攻撃的になってしまうことが、よくあると思います。
このような時には、「家族の無事のために、家族にイライラするのは、ちょっと違うなぁ・・・」と修正できるといいですよ。
現状の確認をする
コロナ休校は突然に始まりました(@東京)。
突然のことに戸惑いながらも、子どもが家で過ごす(どこにも行けない夏休みみたいな)生活を受け入れ、すでに2か月。
でも、こんなに長引くと思っていなかったし、さらに長期化するなんて思っていなかったのではないでしょうか。
いま家のなかは「とりあえず対応した」しくみで運営されているがエンドレスに長引いてイライラやストレスがアップしているのではないですか?
ですから、家の中を「とりあえず」から「息長く続く方法」へ修正する必要がありそうです。
家族会議で仕切り直しをしよう
そのために、提案したいのが「家族会議」です。
大人も子どもも、ともに大事な運命共同体メンバーとして、目標、現状確認、今後についての話し合いをしてみましょう。
大人も困惑していることを伝えよう
新型コロナウイルスによく似ている出来事は、100年前のスペイン風邪の大流行だと言われます。
100年前のこと経験している人は(たぶん)家族内にいないでしょう?大人にとっても初めてのことで、困っていること。
だから、子どもも大人と一緒に考えて欲しいことを伝えましょう。
コロナについての伝え方
お子さんが理解できるように、コロナについてわかっていることを伝えましょう。
年齢にかかわらず押さえておきたいのは:
● いま感染予防のための努力・行動をすることで未来が変わるということ
ちなみに、コロナについて「対等に」話す場を設けると、子どものほうから知っていることや、自分の考えを話してくれることもあるのではないかと思います。
もし、話してくれたら、子どもがコロナをどう理解しているのか、好奇心を持って聴いてくださいね!
「自分の考えをきちんと聴いてもらう」ことは、何歳の子どもにとっても貴重な体験です。親にとっては「子どもがこんなことを考えているんだ!」と発見できるチャンスですし、親が耳を傾けてくれると、子どもは「認めてもらえた」と感じて、責任ある言動をとるものです。
家族会議の開き方
この家族会議を開くときに、ひとつ大事なコツがあります。
それは、「フォーマル」な開き方をすること。
フォーマルっていうのは、つまり、この家族会議がとっても重要な位置づけにあるのだということを、セッティングや雰囲気で子どもに伝えることです。
「家族にとって大事な話をする」と伝え、時間を設定して、改まった雰囲気で話しましょう。
雑談の流れとか、お説教の途中でこの話をしても、絶対に伝わらないので、ご注意くださいね!
会議は、家族全員参加で行いましょうね。
子どもは、年齢が低くても、ひとりの人間として大切な話をするとちゃんと伝わります。
子どもをマンパワーとして戦力化しよう
では、運命共同体が無事にコロナを乗り切るために、自分は何をしたらいいのか、考えてもらいましょう。
役割と日課を考えてもらおう
まずは、子どもに、毎日をどのように過ごすと良いか、考えてもらいましょう。
具体的には:
毎日の日課として、何をしようか。
家の仕事は何をしようか。
自由時間は何をして過ごそうか。
親子でディスカッションをして決めてもいいし、子どもに考えて発表してもらってもいいと思います。
大事なのは、子どもの考えを尊重すること。
親から見て言いたいことがあったとしても、まずは、本人案でやってみることをおすすめします。
「決めたらおしまい」ではなく、「ときどき見直して、必要なら修正しようね」と言っておいたらいいのです。
勉強について
「学校がお休みで勉強の遅れが心配」という声をよく聞きます。
心配はごもっとも。
でも、今は「非常事態」です。
本人が勉強したいというならすればよいですが、したくないのに、やらせようと(親が努力)するのはおすすめしません。
とくに、「ちりも積もれば山となる」と思って「ちょっとでもいいからいなさい!」「漢字を書くだけでも!」みたいなアプローチは、成果がないばかりか、親子の溝を深めるばかりです。
勉強に関しては、机に向かうことにこだわらず、学びになるテレビを見ることや、本を読むこと、絵を描いたり、工作をしたりするのもオッケー(勉強にカウント)していくほうがよいと思います。
「読書は国語だね」、「家の仕事は家庭科だよ」などと、科目に置き換えて話すと、子どものほうからも「○○をしたよ」と言ってくると思います。
図書館にも行けないから読む本もない、という場合は、灘高校の故・橋本武先生方式(スローリーディング)がおすすめです。教科書のお話やトピックをもとに、調べたり、体験したりしてみると、子どもが自分で学ぶ方法を見つけるきっかけになるかもしれません。
それから、子どもが勉強に集中できないことの根底に、もしかすると「いま勉強している場合なのかな?」という気持ちがひそんでいるかもしれません。
世の中の落ち着きのなさを感じ取っているのかもしれないし、学校が始まっていないのにやっても仕方がないと思っているのかもしれない。
年齢が高ければ、コロナでストップしている教育システムに対して批判があるかもしれません。
そのようなときは、どうぞ、子どもの気持ちを聴いてあげてください。親が子どもの疑問に答えなくてもいいです。子どもは、もやもやした気持ちを聴いてもらえるだけで、不安やストレスが半減します。(聴く側は大変なのですが、答えを用意する必要はないので、聴くだけ。)
ただ、もしも子どもの話題が「悪口・誰かの批判」になっていくようだったら、ちょっと止めて話し合えるといいですね。
ストレスが溜まっているから、悪口・批判を言いたい気持ちはとてもよくわかります。でも、他人の批判は簡単ですし、何も生み出しません。言っている時はスッキリするかもしれませんが、人への悪口・批判は結局、自分に返ってきてしまうため、言った本人があとあと不安定になってしまうからです。
悪口・批判の受け止め・流し方を実地で教えるいいチャンスと思って、ぜひお願いします。
お手伝いについて
「運命共同体メンバー」として、おうちの仕事をやってもらうことは、積極的にお願いできるといいですね。
一人前の家族メンバーとして期待していることを伝えましょう。
ただし、上手にできなくても温かく見守ってくださいね。
お手伝いが初めてなら、目標は「上手にできること」ではなく「家の中の仕事を知ってもらう」とか「家族の一員として仕事を分担する気持ち」であると思うので。
イライラしたときの対策
コロナストレスに負けないように、家族で目標を確認したり、協力してできることをやっていっても、日々のイライラは生じてくるのではないかと思います。
イライラしたときにどうするかも話し合っておけるといいですね。
セラピストのおすすめは「放っておいてもらうこと」かな。
イライラしていることを指摘されると、大人も子どもも、イライラが倍増しますよね。
それから、親がイライラして、子どもにあたってしまったとしても、それは子どものせいではないことを、伝えてください。
親にとって、イライラの元凶はコロナである(子どもではない)ことは自明の理なのですが、「自分のせいだ」と感じてしまう子どもは少なくありません。
これは、感じやすい子どもだけが思うことではなく、どの子も考えることなので、不要の誤解を防ぐためにお願いします。
まとめ
コロナ休校・テレワークで生じている家庭での親子ストレスを軽減するためにできることについて書きました。
大切なことは
● 子どもたちを「一人前の戦力」として扱えるように家族会議をする
● 子どもが主体的に取り組むのを温かい気持ちで見守る
ご紹介した方法は「すぐに楽になる」というより「最初に手間がかかるけど長期的には手間いらず・子どもの成長も見込める」方法です。
子どもの力と家族が元気でコロナを乗り切れる日をイメージして、ぜひ取り組んでみてくださいね。
*中学生を想定した子どもへの協力要請メッセージはこちらから