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怒りをコントロールできないのはなぜ?〜情動不全とアンガーマネージメント

 
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外資企業勤務後、心理臨床を志す。臨床心理士の資格取得後は東京・神奈川・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年、東京都港区・青山一丁目に「はこにわサロン東京」を開室。ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析を行っている。日本臨床心理士会、箱庭療法学会所属。
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東京・青山の心理カウンセリングルーム「はこにわサロン東京」の吉田(臨床心理士・公認心理師)です。

 

怒りをコントロールしたいのにできない。

自分でも「よくない」「直したい」と努力しているのに変わらない。

 

この記事は、なぜ怒りをコントロールできないのか、その理由と改善方法についてお話しています。

 

こんなことはありませんか?

✔️ いつもイライラしている

✔️ 些細なことで強く怒ってしまう

✔️ 後から後悔するような言動をしてしまう

✔️ 我慢しようとするが、後でより大きな爆発が生じて無力感

✔️ 自分でも改善しようと努力するが改善しない

 

自分でも「よくない」「直したい」と思っているのに直せないのには、情動不全が関係しています。

 

情動不全についてお話しする前にまず、健康な情動とはどういう状態を言うのか、また、どのようにつくられるのかについてお話しましょう。

健康な情動調節とは

わたしたちは、いつも様々な感情・感覚を持っています。

 

喜怒哀楽はもちろん、不安、イライラ、ショックなどのネガティヴな気持ち、ホッとする、ハッとする、達成感などポジティヴな気持ち。

 

これら様々な感情・感覚を大人のわたしたちはストレートに表現するのではなく、自分の中で抱え、必要な処理をします。

 

例えば、

■ 不安だけど、少し様子を見てみよう。

■ イライラするから、ちょっと気分転換してこよう。

■ ショックだったから、後で誰かに話を聞いてもらおう〜というように。

 

これが健康な情動調節ができている状態です。

 

健康な情動調節は、大人になれば自然にできるようになる、という訳ではありません。

 

健康な情動調節は、幼少期からの身近な大人(多くは親)との親密で温かな交流を通じて、育まれていくのです(育まれなければ獲得できないものなのです)。

 

赤ちゃんの時は、不安になると抱き上げてもらう。不快な時に世話をしてもらう。笑うと笑顔を返してくれる。

 

よちよち歩きの頃には、子どもは好奇心を持って外の世界を探索に出かけますが、不安になるとすぐに親・大人の元に戻ってきます。そこで、安心と安全を確認して、また探索に出かけるのです。

 

幼稚園・小学生も同様に、怖い時や嫌な気持ちは、「怖かったね」「嫌だったね」と肯定的に受けとめ、慰めてもらい、解消してもらうことで、元気を取り戻す。

 

このような対応を日々繰り返してもらうことで、子どもが自分でネガティヴな気持ちを抱えていられるようになる、対処できるようになっていくのです。

 

情動不全とは

しかし、もし、身近な大人(親)が、子どものネガティヴな気持ちを適切に抱え、対応してあげることができない場合、子どもの情動調節は未発達のまま、不全な状態で成長することになります。

 

怖い・不安な気持ちを訴えても無視されたり、バカにされる。あるいは「うるさい」と怒られたり暴力をふるわれたりしたら?ただ我慢することを強要されたら?

 

子どもは、自分の感覚・感情をひとりではコントロールできませんから、もっと泣き叫ぶ、怒りを爆発させる、あるいは諦めて呑み込む、不快な感覚を切り離すことを学びます。(乖離といいます)

 

「怒りが抑えられない、わがままで乱暴な子」「すぐに泣く子」「元気のない無気力な子」になります。

これが情動不全です。

 

 

それでも、学校生活などを通じて、健康な情動調節のできる大人・友だちとの関係を通じて、情動調節を獲得していく方もおられます。

 

しかし、家庭に適切な情動調節者がいない・暴言暴力や無視などのマルトリートメント(不適切な子育て・虐待)がある場合は、健康な情動調節を獲得することがとても困難になることが多いです。

 

また、不適切な親の態度をコピーしてしまうこともあります。例えば、自分のネガティヴな感情を怒ることで解消する態度、他罰的で他人を攻撃する態度、怒っている自分ではなく怒らせた相手が悪いという態度、など。

 

では、子どもの頃から、与えられた環境で精一杯生き抜くために身につけた情動不全をどのように解消・改善したらよいのでしょう?

 

まずは、そのヒントとなる「耐性の窓」について説明します。

 

耐性の窓

「耐性の窓」というのは、人が圧倒されずに対処できるストレス範囲を指します。(D・シーゲル)

 

耐性の窓の内側にいる時は、こころ乱れる感情や苦痛に対して、自分で上手に抱えて対処することができます。

 

耐性の窓の外側にいる時は、ストレスに対してイライラ、不安、恐怖、怒りなどに圧倒されてしまい、感情を爆発させたり、不適切な攻撃をすることで自分を保とうとします。

 

感情不全の解消には、耐性の窓の内側を作っていくことが必要です。(後ほど、詳しく説明します。)

 

情動不全を解消して怒りをコントロールする方法

では、どうしたら、幼少期の親子関係で培われた情動不全を解消・改善することができるでしょう。

 

そのステップを順番にお話ししましょう。

 

①  情動不全があることを自覚する

怒りをコントロールしたいのにできないのは、情動不全によるものだ、と理解すること、自覚することが改善の大切な第一歩です。

②  振り返り

最初は、怒りを感じた時や爆発させてしまった時の自分のことを後から振り返ってみることから始めましょう。

 

何がきっかけ(トリガー、と呼びます)で、怒りが湧いてきましたか?

 

それは、自分にとって「よくある」パターン、あるいは「まただ・・・」と感じることですか?

 

この後、トリガー理解をしていきますが、ひとまず、この段階で大切なことをお伝えしますね。それは、今の自分にとって、これがベストなのだ、と受け入れることです。なぜかというと、自分を責めると怒りが強まり悪循環を生むからです。

 

今のベストを一旦受け入れて、改善に取り組みましょう。

 

③  トリガーに紐づく体験を探し癒す

例えば「バカにされたと感じて怒りが爆発してしまった」とき、「バカにされた」というキーワードで思い出す過去の体験はありますか?

 

子どもの頃、親に無視された体験。怒ったり泣いたりしていると、バカにされたり、叱られたりした体験などが思い出されるのではないかと思います。家庭ではなく学校での出来事であることもあるでしょう。

 

その時のことを思い出すと、怒りや悲しみが湧き上がってくるから、普段は避けているかもしれません。

 

でも、大人の自分でも悔しく悲しい気持ちになる出来事を、子どもの自分がひとりぼっちで体験・我慢していたのです。

 

当時の自分がどんな気持ちだったか、思い起こしてみてください。

 

そして、そんな辛い思いをしながらも、なんとか前を向いて生きていた自分に温かい労いの言葉をかけてあげられるといいと思います。

 

このように、あの時の自分に、今の自分が温かく寄り添うことで、自分が自分の親代わりとして情動調節を育むことができます。

 

②と③を、繰り返し行って、自分にとってのトリガーをひとつずつ解消していきましょう。

 

④  客観視する

①〜③ができるようになったら、次にカッとなることが起きた時、「情動不全が起きているな」と自分を客観視してみましょう。

 

カッとなる自分に客観的に気づくことができると、情動に呑み込まれて不適切な怒りの爆発や攻撃を回避することができるようになっていきます。

 

その場を離れ、自分なりのリラックスやリフレッシュを通じて気持ちを切り替えましょう。

 

気持ちが落ち着いたら、何が自分を怒らせたのか、トリガーを探す、自己理解を重ねていきましょう。

 

トリガーが過去の体験につながる時は、自分を怒らせているのは「今」ではなく「過去」の出来事です。現在の相手に怒りをぶつけても、自分の怒りや悲しみは解消しないことを理解しましょう。

 

このようなプロセスで、耐性の窓を広げると、自分で適切に怒りをコントロールしていくことができるようになりますよ。

 

信頼できるサポーターを見つける

ここまでお話ししてきたプロセスは、自分ひとりで取り組むことが可能ですけれども、もし、信頼できる人がいる時は、事情を伝えて、相談相手になってもらえると心強いし、苦しい時でも頑張れるのではないかと思います。

 

身近に相談者がいない時、ひとりでやってみてもうまくいかない時は、カウンセリングも有効です。

 

はこにわサロンでも、情動不全を改善するカウンセリングを行なっていますから、どうぞご相談ください。

 

情動調節の力を育てて、ご自分の感情を適切にコントロールしていけるようになりますように!

 

 

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外資企業勤務後、心理臨床を志す。臨床心理士の資格取得後は東京・神奈川・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年、東京都港区・青山一丁目に「はこにわサロン東京」を開室。ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析を行っている。日本臨床心理士会、箱庭療法学会所属。
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