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HSPの子育てでたったひとつ大切なことは信頼感(安心感)を獲得すること

 
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外資企業勤務後、心理臨床を志す。臨床心理士の資格取得後は東京・神奈川・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年、東京都港区・青山一丁目に「はこにわサロン東京」を開室。ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析を行っている。日本臨床心理士会、箱庭療法学会所属。
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東京・青山の心理カウンセリングルーム「はこにわサロン東京」の吉田(臨床心理士・公認心理師)です。

 

HSPの子育てで大事なことは、ただひとつだけ。

それは、安心感を育てることです。

 

でも、「安心感」と言われても漠然としてわかりにくいですよね。

具体的にはどんなことを指すのか、なぜそれが、HSPの子育てにそれほどまでに重要なのか(たったひとつ大事とまで言い切れるのか)についてお話したいと思います。

 

E.H.エリクソンの心の成長理論

HSPの安心感について説明するにあたり、アメリカの心理学者、E.H.エリクソン先生の『ライフサイクル』の考え方をご紹介します。

 

「??」となるかもしれませんが、やさしく解説しますので、おつきあいくださいね。

 

この図は、エリクソン先生が考えた人間の一生と心の成長です。

この図の一番大切なことは2つあります。

●  人間は一生成長し続ける。

●  人間の成長過程には順番があり、やり残したまま先には進めない。

 

今日は、①赤ん坊〜④小学生までを取り上げてお話します。

 

「信頼感」とは具体的にどんなこと?

乳児期(赤ちゃんの時期)というのは、人を信頼する力を獲得するとても大切な時期です。

赤ん坊ってとても無力な存在だと思いませんか?

自分では何ひとつ自分を満たすことができないのです。

 

お腹がすいたよ〜

オムツが濡れたよ〜

眠いよ〜〜

抱っこしてよ〜〜

 

を泣いて知らせるのですが、この赤ん坊の訴えにもし、大人が気づかなかったり、応えてやらなかったら、赤ちゃんはどう感じるでしょう?

 

きっと、誰も自分に応えてくれないと感じて、絶望してしまうでしょう。(これは本当にそうで、応えてもらえなかった赤ん坊は次第に泣いて訴えることもしなくなります。)

 

反対に、いつも見守られていて、泣けば「よしよし、どうしたの?大丈夫だよ〜」と声をかけられ、お世話をしてもらうことができたら?

 

いつだって母親(育児に携わる大人たち)が助けてくれるんだな!

ただ泣くだけの自分でも丸ごと愛してもらえるんだな!

 

そう感じて、赤ん坊は安心して成長していけるでしょう!

 

これがエリクソン先生のおっしゃる「信頼感」です。

 

信頼感の獲得がむずかしい理由

この図を見てください。冒頭でご紹介したエリクソン先生のライフサイクルモデルの中から、赤ん坊〜小学生の部分を抜き出したものです。

(積み上げるイメージを持たせたくて、先ほどの表とは逆に、信頼感が一番下に来ています。)

 

これらは誰にとってもとても大切な人間の基礎部分なのですが、実は、②の自律性から上は、どれも、大人が教え導くことができるのですね。

 

例えば、②の自律性の代表的なことはトイレトレーニングです。子どもは、排泄のコントロールを通じて、自分で自分を律することができるということを体感し、獲得していきます。

 

トイレトレーニングは、大人が声をかけて励ましたり、なぐさめたりして導いてあげますよね。

 

同様に③の積極性(幼稚園など、家庭から外に向かって世界を広げていくこと)や④勤勉性(小学生になって、自分でコツコツ勉強する習慣を身につけること)も、子どもたちは、親や大人たちの助けを得て少しずつマスターしていくのです。

 

でも、信頼感だけは、教えてあげることができません。

 

本人が体感するしかありません。

 

親(大人)は、ただただ、赤ん坊が信頼感を獲得できるように、愛情をかけ続けるしかできないのです。

 

特別なことは必要なく、普通のお世話で十分なのですが、普通のお世話といっても、日々の積み重ねで、手抜きができないので、本当に大変です。

 

でも、それを赤ん坊は全身で吸収して、「困ったときは必ず助けてもらえる」「自分は周りの人間を信頼することができる」「そうしてもらえる自分は価値のある人間だ」ということを感覚として獲得していくのですね。

 

この信頼感があるからこそ、この後に続く、トイレトレーニングや、外の世界に出ていくこと、コツコツ努力する忍耐力を培っていけるのです。

 

HSPの子どもにとって信頼感が重要な理由

ですから、①信頼感は、どの子どもにとってもものすごく大切なのですが、HSPの子どもにとってはさらに重要度が増すのです。

 

その理由は、きっとみなさんもお分かりのように、HSPの子どもは些細なことにも不安を感じやすい性質を持っているからです。

 

例えば・・・

●  初めての場所が怖かったり

●  やんちゃな男の子が苦手だったり

●  怒られるのが怖かったり(たとえ自分でなくても)

●  失敗するのが怖かったり

 

それこそ、赤ん坊が「おっぱい、オムツ、眠い、抱っこ!」と泣いて訴えるような頻度で、些細なことを察知して緊張したり、不安になったり、泣きたくなったりしてしまうのです。

 

ですから、その都度、「どうしたかな?よしよし、大丈夫だよ〜」のように関わり、本人の安心感を取り戻してあげることが大切なのです。

 

そして、こうしてくれる大人が身近にいることで、HSPはしっかりと信頼感を育んでいきます。

 

HSPの子どもの心の成長の特徴は?

この図を見てください。

HSPの子どもは信頼感の獲得にかかる時間が他の子どもに比べてずっと長く、また重要度が高いことがお分りいただけるでしょうか。

 

他の一般的な子どもが、「①信頼感→②自律性→③積極性→④勤勉性」と順番に進んでいくのに対し、HSPの子どもは、「信頼感獲得のプロセスを継続していくことが大事」なのです。

 

HSPの子どもたちにとって、信頼感の獲得はそれくらい、最重要かつ大きな課題なのですが、そこさえしっかりできれば、自律性、積極性、勤勉性は、そう苦労することなく獲得していくように感じます。

 

例えばこんな風に・・・

●  トイレトレーニング(自律性)

「失敗しても大丈夫」と心から安心できるとあっさりできる。

 

●  幼稚園(積極性)・小学校(勤勉性)

「自分のペースで大丈夫」

「無理しないでいいよ」

と本人の安心感とペースを尊重してもらい、先生やお友だちと安心できる関係が築けたら、どんな活動も大丈夫。実力を発揮できるようになる。

 

HSPは周囲と自分をよく観察比較していて、ちゃんとやりたい性質の子どもたちなので、自分が安心できていたら、自ら学んでいろいろなことができるようになるのですね。

 

HSP子育ての難しい点は?

HSPの子育ては、このように、本人の不安を受けとめてあげて「よしよし、大丈夫だよ〜」を繰り返していくだけなので、とてもシンプルで、難しいことは何もないのです。

 

ただ、根気がいります。

 

手間をかけることを惜しまないスタンスが必要です。

 

それから、HSPならではのこんな苦労もあります。

 

①親がブレないことが大事

②周囲の理解を得ること

 

親がブレないこととは?

HSPの子どもには信頼感が大事。安心感が大事。

 

でも、ついつい先を急いでしまったり、「もう大丈夫でしょ?」と言う態度をとってしまうことがありませんか?

 

例えば、運動会や音楽会。何度もやっている行事だし、今年はもう大丈夫よね?(大丈夫って信じたい気持ち!)と少し突き放した態度でいると、その母親の本音を察知してかどうかわかりませんが、本人がお母さんや先生にくっついて「やらない〜、怖い〜」なんて言い出すと、「えぇ〜、まだダメなの?もうそろそろ気持ちの自立をしてほしいよ」なんて思ってしまいがちです。

 

お母さんのお気持ちは痛いほどよくわかりますが、ここはどうしても、HSPの子どもを主役に考える必要があり、子どもが「お母さん(先生)いらない」となるまでは、たゆみなく信頼感を与えてあげる必要があるのです。

 

また、一旦は親離れできても、前思春期(早い子は小3からという場合も)や思春期(中〜高校生)、その後の人生の山場において再び、親からのたっぷりの愛情補給を求めてくることがあります。

 

ただね、赤ん坊〜小学生の間にしっかりと信頼関係ができていたら、思春期に少しぐらい揺れても、親も子もあまり動じないで過ごしていけるようにも思います。

 

ですので、今、他の子どもの何倍も愛情をかけてあげなければいけないとしても、それは「将来貯金」でもありますから、決して「持ち出し損」にはならないんですよ(笑)

 

周囲の理解を得ること

HSP子育てをしていて、周囲の理解や協力を取り付けるのが大変!と思われる方、多いのではないでしょうか。

 

HSPは生まれつきの子どもの気質なのですが、「お母さんが神経質過ぎるんじゃない?」「過保護なんじゃない?」と誤解されてしまったり、子どもへの配慮をしてもらえなくて、悲しい思いをすることが少なくないように思います。

 

ご家族メンバーや先生方に理解してもらうにはどうすればよいのでしょう?

 

わたしは、家庭での子育ての様子をオープンに伝えるのがよいと思います。

 

先生(や両親・義両親)は子育て経験者なので、具体的に家庭でどんな様子なのか(本人がどんな時に不安がり、母はどう対応しているのか)を聞くと、理解してもらいやすいです。お母さんに対して「たいへんなことも多いのに、よくやっているね!協力するね!」と言う態度を持ってもらいやすいと思います。

 

外にひとり、協力者ができると、HSP子育てはぐっと「楽」になりますから、ここは努力のしどころじゃないかと思います。

 

HSP子育てでオススメしたい具体的な方策

ここまで、親の心構え的なことを書いてきましたが、具体的にどんなことができるとよいかもご紹介たいと思います。

 

規則正しい生活

毎日の生活にルーティンがあることはとても大切です。

朝起きる時間、朝ごはん、身支度に始まり、お風呂や就寝の時間が概ね決まっていて、守られること。

本人が好むことを取り入れ、安心して過ごせるように工夫してみてくださいね。

 

また、たとえ本人が望んだとしても、夜更かしや無理のあるスケジュールは、結局本人が疲れてしまったり、気持ちが崩れてしまって逆効果になりやすいです。ご用心。

 

夢中になって遊べること

子どもにとって、遊びに夢中になれることは何より大事なことです。

本人が好む遊びができる環境(時間や場所、お友だち)を整えてあげましょう。

 

夢中になって遊ぶ力は、この後、学習に取り組む力になっていきますよ!

 

甘えさせてあげる

HSPにとって、「甘える」ということは、「こころのごはん」と同じで、必要不可欠です。

 

本人から甘えてきたら、何かやっていてもちょっと手をとめて受けとめてあげてください。

 

本人が求めていない時にも、こまめにちょこっと、ぎゅっとしたり、チュッとしたり、さすってあげたり、スキンシップしてあげることもオススメです。

 

お出かけの時に手をつなぐのはもちろん、おんぶに抱っこも、どんどんやってあげましょう。

 

とにかく、家族総出でやってあげましょう。

 

お父さんの協力は欠かせません。おんぶ・抱っこ大使に任命しましょう(笑)

親子で共に過ごす時間

絵本やお歌、お絵かきやお散歩。

なんでもよいのです。

でも、親子ともに「あぁ〜、いい時間だったなぁ!」と思える時間を作っていきましょう。

 

これは、「今の子育て」だけでなく「将来の子育て」をも助ける大切な資産となります。

 

子どもにとって、親と離れて心細いのに頑張らなければいけないときがあるでしょう?そんな時に、いちいち思い出すわけではないけれど、ぎゅっとしてもらってホッとしたことや共に過ごした楽しかった時間が本人を支えます。

 

親にとっても、子育てでイライラしたり、子どもが反抗期に入って理解し難くなった時に、「よく一緒に○○したなぁ!」という体験が緊張をゆるめ、初心と自信を取り戻すきっかけを与えてくれるでしょう。

 

これはHSPの子どもでなくても同じで、思春期の反抗期で親子関係がよくわからなくなってしまい、親子ともに五里霧中な時に、「共にした温かい思い出」があるかどうかが、危機を乗り切る鍵となることがよくあります。どなたにもおすすめしたい子育て術です。

 

子どもの気持ちに寄り添ってあげる

HSPの子どもは「へたれやすい」です。

 

その、へたれた気持ちを、まっすぐに打ち明けられる人がいることがとっても大切です。

 

どうぞ、「うんうん、そうかぁ〜、そうだったのかぁ〜」と聴いてあげてください。

 

いつも聴いてもらえるというだけで、へたれた気持ちは8割ぐらい回復します(笑)

 

「だれだれが意地悪するの〜涙」なんて言われても、下手に手を出したりはせず、「あぁ〜、それは嫌だったよねぇ!そんな悲しいことがあったんだねぇ!」と共感してあげることが大切です。

 

そうしてもらうと、ケロリと機嫌が直って、元気に遊び始めたりしますよ。

 

まとめ

エリクソン先生のライフサイクル理論をもとに、HSP子育てで大切なことをお話しました。

もう一度、大切なことをおさらいしますね。

●  人間は一生成長し続ける。

●  人間の成長過程には順番があり、やり残したまま先には進めない。

●  HSPにとって何より大切なのは「信頼感(安心感)」の獲得

 

ここまでお読みくださったらお気づきになったのではないかと思いますが、HSPの子どもは、親に「必要なことをちゃんとやってね!」と要求できる子どもなんです。

 

ですから、子どもの要求に応えてあげるだけで子育て成功になりますよ♫

 

どうか、この記事が少しでも、楽しいHSP子育てのお役にたちますように!

 

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